
愛犬との幸せな時間を少しでも長く過ごしたい——これはすべての飼い主さんの願いです。犬の平均寿命は小型犬で14〜15歳、大型犬で10〜12歳と言われていますが、適切な健康管理🛒によってその寿命をさらに延ばすことができます。
予防医療は、病気になってから治療するよりもはるかに効果的で、愛犬への負担も少なく、医療費の面でも経済的です。アニコム損保の調査によれば、定期的な健康診断を受けている犬は、そうでない犬と比べて病気の早期発見率が格段に高いことが分かっています。
この記事では、ワクチン接種から日常の健康チェックまで、愛犬の健康を守るために知っておくべき予防医療の知識を徹底解説します。子犬との幸せな暮らし方と併せて読むことで、愛犬との生活をより充実させることができるでしょう。

犬の定期健康診断:いつ・何を・どれくらい?
人間と同様に、犬にも定期的な健康診断が必要です。犬は体調不良を言葉で伝えることができず、本能的に不調を隠そうとする習性があります。そのため、飼い主が気づいたときには病気が進行していることも少なくありません。
年齢別の健康診断頻度
Honda Dogの獣医師監修記事によると、健康診断の推奨頻度は年齢によって異なります。
6歳までの若い犬は、体力もあり目立った異常が出にくい時期ですが、年に1回の健康診断が推奨されています。この時期に「健康な状態」の基準値を把握しておくことで、将来の変化を見逃さずに済みます。
7歳以上のシニア期に入った犬には、半年に1回の健康診断をおすすめします。シニア期は様々な病気のリスクが高まる時期であり、より頻繁なチェックが早期発見につながります。
健康診断の検査項目
犬の健康診断では、人間ドックと同様に様々な検査が行われます。
基本的な検査項目:
身体検査:体重測定、視診、触診、聴診
血液検査:血球検査と生化学検査
尿検査:腎機能や糖尿病のチェック
糞便検査:寄生虫の有無
追加検査項目(シニア犬推奨):
レントゲン検査:骨や内臓の状態
超音波検査:心臓や腹部臓器の詳細
心電図:不整脈のチェック🛒
甲状腺ホルモン検査:代謝異常の発見
詳しい検査内容については、年に何回必要?犬の健康診断と検査内容で解説しています。
血液検査で分かること
血液検査は犬の健康状態を知る上で最も重要な検査の一つです。
血球検査では、赤血球・白血球・血小板などの数をカウントし、貧血や炎症、感染症の有無を確認します。
生化学検査では、以下の臓器機能を評価します:
肝臓(GPT、GOT、ALP):肝機能の状態
腎臓(BUN、クレアチニン):腎機能の状態
血糖値(Glu):糖尿病のリスク
脂質(コレステロール):代謝の状態
近年ではSDMA検査という新しい検査法も普及しており、従来の検査よりも早い段階で腎機能の低下を発見できるようになっています。
健康診断の費用目安
日本獣医師会の調査によると、健康診断(1日ドック)の費用は中央値で14,021円、一般的には7,500円〜30,000円の範囲です。血液検査のみの場合は5,000円〜10,000円程度が相場となっています。
ペット保険に加入している場合、予防目的の健康診断は通常は保険適用外ですが、病気が疑われる検査は保険が適用される場合もあります。詳細は加入している保険会社に確認しましょう。
ワクチン接種:感染症から愛犬を守る
ワクチン接種は、致死率の高い感染症から愛犬を守る最も効果的な方法です。みんなのブリーダーの獣医師監修記事によれば、適切なワクチン接種により多くの命を脅かす感染症を予防できます。
コアワクチンとノンコアワクチンの違い
ワクチンは大きくコアワクチンとノンコアワクチンに分類されます。
コアワクチンは、感染力が強く致死率が高い病気を予防するもので、すべての犬に接種が推奨されています:
犬ジステンパーウイルス感染症:致死率が高く、後遺症も残りやすい
犬パルボウイルス感染症:致死率90%以上の恐ろしい病気
犬アデノウイルス感染症:伝染性肝炎を引き起こす
狂犬病:人にも感染し、発症するとほぼ100%死亡
ノンコアワクチンは、生活環境や地域によって接種を検討するものです:
レプトスピラ症
ケンネルコフ(犬伝染性気管気管支炎)
犬コロナウイルス感染症
混合ワクチンの種類と選び方
混合ワクチンには5種、6種、8種などの種類があり、含まれる病原体の数によって異なります。混合ワクチンの種類:5種・8種どれを選ぶ?で詳しく解説していますが、基本的な選び方は以下の通りです:
5種・6種:室内飼いで他の犬との接触が少ない場合
8種以上:ドッグラン🛒や川遊びなど、アウトドア活動が多い場合
2024年のガイドライン改訂では、レプトスピラが流行している地域ではコアワクチンとして扱われるようになりました。日本でも発生報告があるため、獣医師と相談の上で接種を検討しましょう。
子犬のワクチンスケジュール
子犬は母犬からの移行抗体で守られていますが、この免疫は生後数週間で徐々に低下します。ペット&ファミリー損保の解説によると、推奨されるスケジュールは以下の通りです:
| 時期 | 接種内容 |
|---|---|
| 生後6〜8週 | 1回目の混合ワクチン |
| 生後10〜12週 | 2回目の混合ワクチン |
| 生後14〜16週 | 3回目の混合ワクチン |
| 生後6ヶ月〜1年 | ブースター接種 |
重要:最後のワクチン接種は16週齢以降に設定することが推奨されています。これは移行抗体の影響を避け、確実に免疫を獲得するためです。
成犬のワクチン接種間隔
成犬になってからのワクチン接種について、最新のガイドラインではコアワクチンは3年に1回で十分な免疫が維持されるとされています。
ただし、抗体価の持続期間には個体差があるため、接種しない年は抗体価検査を受けることをおすすめします。抗体価が十分であれば追加接種は不要であり、愛犬への負担を減らすことができます。
レプトスピラなどのノンコアワクチンは、免疫の持続期間が短いため毎年の接種が推奨されます。
狂犬病ワクチンは法律で義務
狂犬病ワクチンは、日本の狂犬病予防法によって接種が義務付けられています。狂犬病ワクチン:法律で決まった義務と罰則で詳しく解説していますが、重要なポイントは以下の通りです:
生後91日以上のすべての犬に接種義務
毎年1回の接種が必要
接種期間は4月〜6月
違反すると20万円以下の罰金
日本では1956年以降、国内での狂犬病発生はありませんが、これは予防接種の徹底によるものです。残念ながら、日本の狂犬病ワクチン接種率は推定42%程度と低く、WHOが推奨する70%を大きく下回っています。愛犬と社会を守るために、必ず接種しましょう。
フィラリア・ノミダニ予防:見えない敵から守る
寄生虫は目に見えにくい敵ですが、愛犬の健康を脅かす深刻な問題を引き起こします。ゾエティスの情報によると、これらの予防は現代の犬の健康管理において欠かせないものとなっています。
フィラリア症とは?予防が必須の理由
フィラリア症(犬糸状虫症)は、蚊に刺されることで感染する寄生虫疾患です。かつては犬の死亡原因第1位でしたが、予防薬の普及により現在では97%の飼い主が予防を行っています。
感染経路と症状:
フィラリアに感染した蚊が犬を刺す
幼虫が体内に侵入し、約6ヶ月かけて成虫に成長
成虫は心臓や肺動脈に寄生
咳、呼吸困難、腹水、最悪の場合は死亡
重要な注意点:室内飼いでも蚊は侵入するため、予防は必須です。マンションの高層階でも蚊の侵入は確認されています。
ノミ・マダニの危険性
ノミやマダニは単なる「かゆみ」だけでなく、深刻な健康被害を引き起こします:
ノミによる被害:
激しいかゆみとアレルギー性皮膚炎
瓜実条虫(サナダムシ)の媒介
大量寄生による貧血
マダニによる被害:
バベシア症(赤血球を破壊する寄生虫)
SFTS(重症熱性血小板減少症候群):人にも感染する致死性疾患
ライム病
予防薬の種類と選び方
予防薬には様々なタイプがあり、それぞれ特徴があります:
| タイプ | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| スポット剤 | 投与が簡単 | シャンプー制限あり |
| 経口薬(チュアブル) | 食べさせるだけ | 嗜好性に個体差 |
| 注射タイプ | 長期間効果持続 | 動物病院での接種必要 |
| オールインワン | 1剤で複数予防 | やや高価格 |
最近はシンパリカトリオなどのオールインワンタイプが人気で、フィラリア・ノミ・マダニ・消化管内寄生虫を1回の投与で予防できます。
年間予防スケジュール
フィラリア予防:
予防期間:蚊が発生する4月下旬〜12月上旬
投与方法:月1回の投薬(蚊のシーズン終了後1ヶ月まで継続)
重要:投薬開始前に必ずフィラリア検査を受けること
ノミ・ダニ予防:
予防期間:通年が理想(気温13℃以上で活動)
特に注意が必要な時期:春〜秋
フィラリア検査が必要な理由は、体内にすでにフィラリアがいる状態で予防薬を投与すると、幼虫が一斉に死滅してショック症状を起こす危険があるためです。
日常でできる健康チェック:病気の早期発見
定期健診だけでなく、日常的な観察が病気の早期発見には欠かせません。動物病院サプリの解説によると、飼い主が最初に異変に気づくことが多いとされています。
毎日観察したい5つのポイント
1. 食欲の変化
いつもの量を完食するか
食べ方に変化はないか(ゆっくり食べる、片側だけで噛むなど)
2. 排泄の状態
便の硬さ、色、回数
尿の量、色、回数
排泄時に痛がる様子はないか
3. 活動量と行動
散歩の意欲
遊びへの興味
階段🛒の上り下りの様子
4. 体重の変化
急激な増減は要注意
定期的に体重測定を
5. 被毛と皮膚の状態
毛艶の変化
フケや脱毛
しこりや腫れ
危険信号!すぐに病院へ行くべき症状
以下の症状が見られたら、すぐに動物病院を受診してください:
緊急性が高い症状:
呼吸が速く浅い、息苦しそう
ぐったりして動かない
意識がもうろうとしている
大量の出血
発作を起こしている
繰り返す嘔吐や血便
24時間以内に受診すべき症状:
食欲が全くない状態が続く
嘔吐や下痢が止まらない
歩き方がおかしい
目や鼻から異常な分泌物
多飲多尿は重要なサイン
水を飲む量やおしっこの量が増えることは、深刻な病気のサインである可能性があります。
正常な飲水量の目安:体重1kgあたり約50〜60ml 例:5kgの犬なら250〜300ml/日
体重×100ml以上飲んでいる場合は「多飲」の可能性があり、以下の病気が疑われます:
腎臓病
糖尿病
クッシング症候群
子宮蓄膿症(未避妊のメス犬)
多飲多尿は、これらの病気の初期段階で現れることが多いため、早期発見・早期治療につながる重要なサインです。
皮膚・被毛でわかる健康状態
皮膚と被毛は「第二の臓器」とも呼ばれ、体の内部の状態を反映します。
注意すべきサイン:
頻繁に体を掻く → ノミ・ダニ、アレルギー🛒の可能性
局所的な脱毛 → 真菌感染、ホルモン異常
皮膚の赤み・湿疹 → 皮膚炎、アトピー
しこり・腫れ → 腫瘍の可能性
特にしこりは早期発見が重要です。日頃からスキンシップを通じて体を触り、異常がないかチェックする習慣をつけましょう。
犬がかかりやすい病気とその予防
ペット保険比較のピクシーの2025年版調査によると、犬がかかりやすい病気には年齢や犬種による傾向があります。
心臓病:シニア犬の大敵
犬の心臓疾患で最も多いのが僧帽弁閉鎖不全症です。特に小型犬のシニア期に多く発症します。
初期症状:
疲れやすくなる
咳が出る(特に興奮時や夜間)
呼吸が荒い
心臓病は完治が難しい病気ですが、早期発見により投薬で症状をコントロールし、QOLを維持することができます。詳しくは犬の心臓病:早期発見のサインを見逃さないをご覧ください。
腎臓病:サイレントキラー
腎臓病は「沈黙の臓器」と呼ばれる腎臓の病気で、犬の10頭に1頭が生涯のうちに発症すると言われています。
特徴と症状:
初期は症状がほとんど出ない
症状が出た時には腎機能の75%以上が失われていることも
多飲多尿、食欲低下、体重減少、嘔吐
腎臓病は「がん」「心臓病」に次ぐ犬の死因であり、早期発見が極めて重要です。定期的な血液検査(特にSDMA検査)が早期発見の鍵となります。食事療法については腎臓病の犬に最適な食事療法とはで解説しています。
糖尿病:生活習慣病
犬の糖尿病は、インスリンの分泌不足や作用不全により血糖値が高くなる病気です。
リスク要因:
肥満
高齢
避妊していないメス犬
遺伝的素因
初期症状:
多飲多尿
食欲旺盛なのに痩せる
白内障の急速な進行
予防には肥満防止が最も重要です。適切な食事量と運動で理想体重を維持しましょう。詳しくは多飲多尿は危険信号?犬の糖尿病を知るをご覧ください。
がん:早期発見がカギ
がんは高齢犬の主要な死因の一つです。犬で多い腫瘍には以下のものがあります:
乳腺腫瘍:未避妊のメス犬に多く、約50%が悪性
リンパ腫:リンパ節の腫れ
肥満細胞腫:皮膚にできるしこり
骨肉腫:大型犬に多い
がんは早期発見が非常に難しい病気ですが、日頃から体を触ってしこりがないかチェックすることが重要です。異常を見つけたら、すぐに獣医師に相談しましょう。詳しくは犬のがん:種類別の症状と治療オプションで解説しています。
年齢別の健康管理ポイント
犬のライフステージによって、必要な健康管理は異なります。
子犬期(0〜1歳):基礎づくり
この時期は免疫システムの確立と健康的な成長が最優先です。
重要なポイント:
ワクチン接種スケジュールの完了
社会化トレーニング
適切な栄養管理(成長期用フード)
避妊・去勢手術の検討
子犬期の健康管理については、子犬との幸せな暮らし方で詳しく解説しています。
成犬期(1〜6歳):維持と予防
成犬期は健康維持と予防医療の継続が重要です。
重要なポイント:
年1回の定期健康診断
肥満予防(適切な食事量と運動)
歯のケア(歯周病予防)
寄生虫予防の継続
特に歯周病は、3歳以上の犬の約80%が罹患していると言われており、心臓病や腎臓病のリスク因子にもなります。毎日の歯磨きを習慣づけましょう。
シニア期(7歳以上):注意深い観察
シニア期は様々な病気のリスクが高まる時期です。
重要なポイント:
半年に1回の定期健康診断
持病の管理と投薬の継続
関節ケア(サプリメント🛒、適度な運動)
QOL(生活の質)の維持
シニア犬との暮らしについては、シニア犬との暮らし:老犬の幸せな余生で詳しく解説しています。
まとめ:予防医療で愛犬と長く幸せに
愛犬の健康を守るためには、予防が何よりも大切です。この記事で紹介した内容をまとめると:
今日からできること:
毎日の健康チェックを習慣に
ワクチン接種と寄生虫予防を確実に
年齢に応じた定期健康診断の受診
飲水量や排泄の変化に注意を払う
体を触ってしこりがないかチェック
かかりつけ医との連携: 信頼できる獣医師を見つけ、何でも相談できる関係を築くことが大切です。些細な変化でも気になることがあれば、遠慮なく相談しましょう。
予防医療への投資は、愛犬との幸せな時間を延ばすための最良の方法です。病気になってから後悔するのではなく、今日から予防を始めましょう。愛犬はあなたの大切な家族なのですから。















































