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ペット保険と医療費:賢い備え方

愛犬や愛猫は、私たちにとってかけがえのない家族の一員です。しかし、ペットが病気やケガをしたとき、その治療費は全額自己負担となることをご存知でしょうか。日本では動物に公的な医療保険制度がないため、高額な医療費に直面して困惑する飼い主さんが少なくありません。

シニア犬の保険:加入できる年齢上限の画像
シニア犬の保険:加入できる年齢上限の画像

愛犬や愛猫は、私たちにとってかけがえのない家族の一員です。しかし、ペットが病気やケガをしたとき、その治療費は全額自己負担となることをご存知でしょうか。日本では動物に公的な医療保険制度がないため、高額な医療費に直面して困惑する飼い主さんが少なくありません。

PS保険の調査によると、日本のペット保険加入率は約20%、つまり5頭に1頭しか保険に入っていない計算になります。この記事では、ペット医療費の実態から保険の選び方、そして保険以外の賢い備え方まで、愛するペットと家計を守るための知識をお伝えします。

1. ペットの医療費の実態を知る

シニア犬の保険:加入できる年齢上限の画像

1.1 なぜペット医療費は高額になるのか

人間の場合、健康保険に加入していれば医療費の自己負担は通常3割で済みます。しかし、ペットの場合は事情が大きく異なります。

動物には公的な医療保険制度が存在しないため、診療費は全額飼い主の自己負担となります。さらに、獣医療は自由診療であり、病院ごとに治療費が異なります。日本獣医師会の調査では、同じ治療内容でも病院によって倍以上の金額差があることが報告されています。

近年では、CT・MRIなどの高度医療機器の導入や、がん治療・心臓手術といった高度な医療が受けられるようになりました。これは愛犬の命を救う選択肢が増えた反面、治療費が高額化する要因にもなっています。

1.2 通院・入院・手術の費用相場

ピクシーの調査によると、ペット医療費の相場は以下のとおりです。

通院費用の目安 病気やケガで動物病院に通院する場合、1回あたりの費用は平均9,000〜11,000円程度です。年間では約43,000円以上の通院費がかかる計算になります。

入院費用の目安 重い病気や手術後の経過観察で入院が必要になった場合、1日あたりの費用は平均約18,000円と🛒されています。1週間の入院で10万円を超えることも珍しくありません。

手術費用の目安 手術費用は病気の種類や犬のサイズによって大きく異なります。子犬に多い異物誤飲や骨折の手術は10〜30万円程度、シニア犬に多いがんや腫瘍の手術は10〜50万円程度かかることがあります。

健康な犬であっても、年間の医療費は小型犬・中型犬で3〜5万円ほど、月あたり3,000〜4,000円程度は見込んでおく必要があります。病気がちな犬種や高齢犬の場合は、この数倍になることも覚悟しておきましょう。

1.3 高額治療の実例

ペット&ファミリー損保の情報によると、実際の高額治療事例は以下のとおりです。

異物誤飲 おもちゃ🛒や靴下などを飲み込んでしまった場合、内視鏡で取り出せれば約1万7千円ですが、開腹手術が必要な場合は約13万円かかります。

骨折 ギプスで固定する処置の場合は約5〜6万円ですが、ピンやボルトで固定する手術が必要な場合は入院・検査費込みで約12〜25万円になります。

子宮蓄膿症 緊急手術が必要となることが多く、5〜30万円の治療費がかかるケースがあります。

がん・腫瘍 アニコムの調査では、手術ランキング第1位は「腫瘍」となっています。皮膚腫瘍の切除でも約9万円、進行がんの治療では100万円以上かかった事例も報告されています。

愛犬の健康を守るためには、病気の早期発見が何より大切です。定期的な健康診断と日頃の観察を心がけましょう。病気の予防と早期発見について詳しくは愛犬の健康を守る病気予防と早期発見をご覧ください。

2. ペット保険の基本を理解する

2.1 ペット保険とは何か

ペット保険は、犬や猫などのペットがケガや病気で治療を受けた際に発生する治療費の一部を補償する保険です。アニコム損保によると、主な補償は以下の3種類に分けられます。

通院補償 動物病院でケガや病気の治療を受けた場合に適用されます。診療費のほか、処置費や処方薬代も補償対象となります。ちょっとした体調不良でも気軽に病院に行けるのがメリットです。

入院補償 ケガや病気で入院した場合に適用されます。入院中の診療費(診察・治療・投薬)と入院費が補償対象となります。

手術補償 高額になりがちな手術費用に対する補償です。麻酔費用なども含まれます。ただし、避妊・去勢手術は一般的に補償対象外です。

補償割合は50%または70%で設定されているプランが多く、補償割合が高いほど毎月の保険料も高くなります。

2.2 保険の種類と特徴

ペット保険には大きく分けて3つのタイプがあります。

フルカバー🛒 通院・入院・手術のすべてを補償するタイプです。ちょっとした体調不良から大きな手術まで幅広くカバーできます。補償割合70%のフルカバー型は、高額治療でも自己負担を抑えられ、保険料とのバランスも良いとされています。

手術特化型 高額になりがちな手術費用のみを補償するタイプです。保険料を抑えたい方や、通院費用は自己負担でも良いと考える方に向いています。

シニア向けプラン 8歳以上の高齢ペットでも加入できる専用プランです。高額になりがちな入院・手術に特化して保険料を抑えています。年齢上限なく入れるプランもあります。

2.3 知っておくべき免責事項

アイペット損保によると、ペット保険には「免責」という重要な概念があります。

免責事由 保険金が支払われない治療や措置のことです。一般的に以下が対象外となります。

  • 去勢手術・避妊手術

  • ワクチン接種

  • 健康診断

  • 予防医療(フィラリア予防など)

  • 契約開始前から発症していた病気

  • 先天性異常

免責金額 治療費のうち、飼い主が自己負担する最低金額のことです。例えば「免責金額1万円」のプランでは、治療費が1万円以下の場合は全額自己負担となります。免責金額があるプランは保険料が安い傾向にありますが、軽いケガや病気では補償を受けられないデメリットがあります。

継続時の注意点 ペット保険は1年ごとに更新が必要です。初年度は補償対象だった病気も、慢性化して頻繁に治療が必要になると、継続時に補償対象外となる場合があります。契約前にパンフレットなどで確認しておきましょう。

3. ペット保険の選び方

3.1 保険選びの5つのポイント

価格.comのペット保険比較を参考に、保険選びで押さえるべき5つのポイントをご紹介します。

1. 補償内容(フルカバーか手術特化か) 通院・入院・手術のフルカバー型か、手術のみの特化型か。愛犬の年齢や健康状態、家計の状況に合わせて選びましょう。

2. 補償割合(50%か70%か) 70%補償は高額治療でも自己負担を抑えられますが、保険料は高くなります。50%補償は保険料を抑えられますが、自己負担が大きくなります。

3. 免責金額の有無 免責金額なしのプランは少額の治療でも補償を受けられます。免責金額ありのプランは保険料が安いですが、軽い治療では補償を受けられません。

4. 精算方式(窓口精算か後日請求か) 窓口精算は動物病院の会計時に補償分を差し引いて支払えます。後日請求は一度全額を支払い、後から保険会社に請求します。

5. 保険料と年齢による値上がり ペットの年齢が上がると保険料も上がります。10年、15年と長期で加入する場合の保険料推移を確認しましょう。

3.2 窓口精算のメリット・デメリット

窓口精算対応の保険は、動物病院の会計時に保険証を提示するだけで補償分を差し引いた金額を支払えます。

メリット

  • 高額治療でも立て替え払いが不要

  • 保険金請求の手間がない

  • その場で補償を受けられる安心感

デメリット

  • 保険料が年間2〜3万円高い傾向

  • 対応病院でないと使えない

窓口精算対応の動物病院は全国で7,002病院(2025年時点)あり、主要な動物病院はほぼカバーされています。便利さを重視するならアニコムやアイペットなどの窓口精算対応保険、保険料を抑えたいならFPCなどの後日請求型保険がおすすめです。

3.3 犬種・年齢別の保険選び

ペットの年齢やライフステージによって、必要な備えは変わってきます。

子犬期(0〜1歳) 好奇心旺盛で異物誤飲や骨折のリスクが高い時期です。通院・手術をカバーするフルカバー🛒型がおすすめです。この時期に加入すれば、保険料も最も安く抑えられます。

成犬期(1〜7歳) 皮膚炎や外耳炎など、通院が必要な慢性疾患が増える時期です。通院補償が充実したプランを選びましょう。

シニア期(7歳以上) がんや心臓病など、高額治療が必要な病気のリスクが高まる時期です。手術・入院補償が手厚いプランや、シニア向け専用プランを検討しましょう。シニア犬のケアについてはシニア犬との暮らし:老犬の幸せな余生で詳しく解説しています。

4. 保険以外の備え方

4.1 ペット貯金(医療費積立)

ペット保険に入らない場合や、保険と併用する場合に有効なのが「ペット貯金」です。

ペット貯金のやり方

  1. 普段使っていない口座を「ペット専用口座」として設定

  2. 毎月一定額(3,000〜5,000円程度)を自動積立

  3. 医療費が発生したらその口座から支払う

メリット

  • 使い道が自由(医療費以外にも使える)

  • 保険のような条件や審査がない

  • 健康なまま過ごせば貯金として残る

デメリット

  • 積立初期は備えが不十分

  • 強制力がなく、貯金を続ける自己管理が必要

  • 高額治療には対応できない可能性

ある飼い主の体験談では、6年間毎月3,000円をコツコツ積み立てた結果、最終的に約10万円の残高が残ったそうです。ただし、早期に大きな病気になった場合は対応できないリスクがあります。

4.2 貯金と保険の違いを理解する

三菱UFJ信託銀行のコラムでは、貯金と保険の違いを「形」で説明しています。

貯金は「三角形」 少しずつ増えていく貯金は三角形のイメージです。積み立てを始めて間もない頃は備えが薄く、時間が経つにつれて厚くなります。

保険は「四角形」 加入直後から契約期間を通じて一定の補償が受けられる保険は四角形のイメージです。万が一のときに備えが薄い時期がありません。

ペットは突発的な病気やケガに見舞われることがあります。貯金の積み立てを始めて間もない頃に大きな病気が見つかった場合、高額な治療費を支払えない可能性があります。この点で、保険は加入直後から安心を得られる「四角形」の備えといえます。

4.3 両方を組み合わせる賢い選択

貯金と保険、どちらか一方を選ぶ必要はありません。両方を組み合わせ🛒る「ハイブリッド戦略」が最も賢い選択といえるでしょう。

若いうちの戦略

  • ペット保険に加入して大きなリスクに備える

  • 同時にペット貯金も少額から始める

  • 保険料が安いうちに手厚い補償を確保

貯金が貯まってきたら

  • 貯金残高と年間医療費の見込みを比較

  • 十分な貯金があれば保険の補償内容を見直す

  • 手術特化型に切り替えて保険料を節約することも選択肢

シニア期の戦略

  • 貯金が十分でも保険は継続を検討

  • 高齢になるほど高額治療のリスクが高まる

  • シニア向けプランへの切り替えも選択肢

5. 日本と海外のペット保険事情

5.1 日本のペット保険の現状

PS保険によると、日本のペット保険加入率の推移は以下のとおりです。

  • 2014年:約6〜8%

  • 2022年:約9.4%

  • 2024年:約20%(犬は約23.6%、猫は約17.5%)

10年前と比べて約3倍に成長していますが、それでもまだ5頭に1頭しか保険に入っていない計算です。

ペット🛒保険市場の規模も拡大を続けており、2021年には初めて1,000億円を突破、2022年には1,179億円に達しました。ペットの高齢化や医療技術の進歩に伴い、今後も成長が見込まれています。

5.2 海外との比較から学ぶ

海外のペット保険加入率と比較すると、日本はまだ発展途上であることがわかります。

  • スウェーデン:約65%

  • イギリス:約30〜40%

  • 日本:約20%

特にペット保険発祥地といわれるスウェーデンでは、3頭に2頭が保険に加入しています。ペットの飼育に対する責任意識が高く、保険加入が当たり前になっているのです。

日本でペット保険の普及が遅れている最大の理由は、歴史の浅さにあります。世界初のペット保険は1890年に誕生し、1924年にはスウェーデンで犬の保険が販売されました。一方、日本のペット保険は1995年に誕生したばかりで、まだ30年ほどの歴史しかありません。

しかし、日本でもペットの平均寿命は年々延びています。犬の平均寿命は2008年の13.2歳から2022年には14.2歳まで伸びており、長寿化に伴う医療費の増加が予想されます。今後、日本でもペット保険の重要性がさらに認識されていくでしょう。

6. 賢い備えのための実践ガイド

6.1 今すぐできる3つのアクション

愛犬の医療費に備えるために、今すぐできることがあります。

アクション1:愛犬のかかりやすい病気を知る 犬種によってかかりやすい病気は異なります。小型犬は僧帽弁閉鎖不全症や気管虚脱、大型犬は胃捻転や股関節形成不全に注意が必要です。愛犬の犬種特性を理解し、必要な備えを考えましょう。犬種ごとの特徴については犬種図鑑:あなたにぴったりの犬種を見つけるをご覧ください。

アクション2:年間医療費の目安を計算する 健康な犬でも年間3〜5万円、持病がある場合や高齢犬はその数倍の医療費がかかります。愛犬の状態に合わせて、必要な備えの金額を見積もりましょう。

アクション3:保険と貯金のバランスを決める 若くて健康なうちは保険でリスクに備え、同時に貯金も始める。貯金が貯まってきたら保険を見直す。このサイクルで、無理なく備えを続けられます。

6.2 保険加入のベストタイミング

ペット保険に加入するなら、できるだけ若いうちがおすすめです。

若いうちに加入するメリット

  • 保険料が最も安い

  • 既往症がないため審査に通りやすい

  • 将来の病気に備えられる

病気になってからでは遅い理由

  • 既往症は補償対象外となる

  • 継続治療が必要な病気は加入を断られることも

  • 保険料が高くなる可能性

ただし、8歳以上の高齢ペットでも加入できるシニア向けプランがあります。「今さら遅い」とあきらめず、愛犬に合ったプランを探してみましょう。

6.3 治療費が払えないときの対処法

万が一、高額な治療費を払えない状況になった場合の対処法をご紹介します。

動物病院への相談 まずは動物病院に誠実に相談しましょう。病院によっては分割払いに対応してもらえる場合があります。

ペットローンの活用 高額な医療費が必要な場合、ペットローンを利用する方法もあります。計画的な返済ができるか、よく検討してから利用しましょう。

クレジットカード払い 高額な治療費をクレジットカードで支払いできる動物病院も増えています。分割払いやリボ払いで負担を軽減できる場合があります。

クラウドファンディング 最後の手段として、クラウドファンディングで治療費を募る方法もあります。ただし、必ずしも目標金額が集まるとは限りません。

いざというときに慌てないためにも、日頃から備えておくことが大切です。詳しくはピクシーの記事も参考にしてください。

まとめ

ペットの医療費は全額自己負担となるため、事前の備えが不可欠です。この記事のポイントをおさらいしましょう。

医療費の実態

  • 通院1回で約1万円、入院1日で約1.8万円

  • 手術は10〜50万円、がん治療は100万円以上も

  • 犬の生涯医療費は約100万円が目安

ペット保険の基本

  • 通院・入院・手術を補償する保険

  • 補償割合は50%か70%が主流

  • 免責事由と免責金額に注意

賢い備え方

  • 保険は「四角形」:加入直後から安心

  • 貯金は「三角形」:時間をかけて備える

  • 両方を組み合わせ🛒るハイブリッド戦略がベスト

愛犬との幸せな暮らしを続けるためには、健康管理と経済的な備えの両方が大切です。子犬との幸せな暮らし方も参考に、愛犬との生活をより充実したものにしてください。

今日からできることから始めましょう。まずはペット保険の資料請求や、ペット専用口座の開設など、小さな一歩を踏み出してみてください。愛犬の健康と家計を守るために、賢い備えを始めましょう。