
愛犬と過ごす時間は、何年経っても変わらない宝物です。しかし、犬は人間よりもずっと早く年を取ります。ある日ふと気づくと、かつて元気に走り回っていた愛犬の動きがゆっくりになり、白い毛が増えていることに気づくかもしれません。
シニア期に入った愛犬との暮らしには、若い頃とは異なるケアと配慮が必要です。でも心配しないでください。適切な知識と愛情があれば、シニア犬🛒も幸せで快適な余生を送ることができます。この記事では、老犬との暮らしに必要な健康管理、食事、運動、介護について詳しく解説します。
シニア犬とは?何歳から老犬と呼ばれる?

「うちの子はもうシニア?」と疑問に思う飼い主さんも多いでしょう。実は、犬がシニア期に入る年齢は、体のサイズによって大きく異なります。
Scientific Reports誌に発表された研究によると、58万頭以上の犬を調査した結果、体のサイズが寿命を予測する最も重要な要因であることが明らかになりました。
サイズ別シニア期の目安
| サイズ | シニア期開始 | 平均寿命 |
|---|---|---|
| 小型犬(10kg未満) | 10〜12歳 | 14.95年 |
| 中型犬(10〜25kg) | 8〜10歳 | 13.86年 |
| 大型犬(25kg以上) | 6〜7歳 | 13.38年 |
| 超大型犬 | 5〜6歳 | 8〜10年 |
犬の年齢を人間に換算すると?
アニコム損保の資料によると、犬の年齢を人間に換算する計算式は以下の通りです。
小型〜中型犬の場合:
1歳 = 人間の15歳
2歳 = 人間の24歳
その後は1年につき4歳ずつ加算
大型犬の場合:
1歳 = 人間の12歳
その後は1年につき7歳ずつ加算
例えば、10歳の小型犬は人間で約56歳、10歳の大型犬は約75歳に相当します。子犬との幸せな暮らしから始まった愛犬との日々も、気づけばシニア期を迎えているのです。
見逃さないで!老化のサインと行動の変化
シニア犬の変化は、ゆっくりと進行するため見逃しやすいものです。VCA Animal Hospitalsによると、老化のサインを早期に発見することが、愛犬の健康維持に重要です。
身体的な老化のサイン
被毛の変化:顔周りや体に白髪が増える
視力・聴力の低下:呼びかけへの反応が鈍くなる
動きの変化:立ち上がるのに時間がかかる、階段を嫌がる
体重の変化:筋肉量が減り、太りやすくなる
行動面での変化
シニア犬では以下のような行動変化がよく見られます:
頑固になる:新しいことを受け入れにくくなる
反応が鈍くなる:名前を呼んでも反応が遅い
寝ている時間が増える:活動量が全体的に減少
トイレ🛒の失敗:排泄のコントロールが難しくなる
以前できたことをしなくなる:お座りやお手を忘れたように見える
これらの変化は自然な老化現象ですが、急激な変化や著しい異常がある場合は、病気のサインかもしれません。
シニア犬の健康管理 - 定期健診の重要性
アメリカ獣医師会(AVMA)は、シニア犬は年に2回(6ヶ月ごと)の健康診断を推奨しています。これは、犬は人間より早く年を取るため、半年で人間の数年分の変化が起きる可能性があるからです。
健康診断で行う検査
| 検査項目 | 目的 |
|---|---|
| 血液検査 | 内臓機能、貧血、感染症のチェック |
| 尿検査 | 腎臓機能、糖尿病のスクリーニング |
| 便検査 | 寄生虫、消化器の健康確認 |
| X線検査 | 心臓、肺、骨の状態確認 |
| 体重測定 | 肥満や痩せすぎの確認 |
シニア犬がかかりやすい病気
早期発見が特に重要な疾患には以下があります:
慢性腎臓病:腎臓の線維化により進行。体重減少、多飲多尿、嘔吐が症状
心臓病:咳、疲れやすさ、呼吸困難が初期症状
甲状腺機能低下症:元気がない、太りやすい、毛が薄くなる
クッシング症候群:お腹が膨らむ、多飲多尿
関節炎:動きが鈍くなる、痛そうにする
がん:しこり、体重減少、食欲不振
詳しい病気の情報については、愛犬の健康を守る病気予防と早期発見をご覧ください。
シニア犬の食事と栄養 - 年齢に合わせた食事管理
楽天保険のコラム🛒によると、シニア犬は代謝機能や消化機能が低下するため、年齢に合わせた食事管理が重要です。
シニア犬の栄養ニーズ
必要な栄養素:
良質なタンパク質:筋肉量維持のために不可欠
低脂肪:代謝低下による肥満を防ぐ
DHA・EPA:脳の健康維持、認知症予防に効果的
抗酸化物質:老化防止、免疫力向上
食物繊維:消化を助け、便通を整える
シニア用ドッグフードの選び方
| ポイント | 理由 |
|---|---|
| 低カロリー設計 | 代謝低下に対応 |
| 高消化性タンパク質 | 消化器への負担軽減 |
| グルコサミン配合 | 関節の健康サポート |
| オメガ3脂肪酸 | 被毛と脳の健康維持 |
食欲が落ちた時の対処法
シニア犬は食欲が低下しやすいですが、以下の工夫で改善できることがあります:
フードを少し温めて香りを立たせる
ウェットフード🛒をトッピングする
1回の量を減らして回数を増やす
食器の高さを調整して食べやすくする
栄養管理の詳細については、犬の食事と栄養:正しいフード選びの科学も参考にしてください。
適切な運動と散歩 - 無理なく続けるコツ
キュティア老犬クリニックによると、シニア犬にとっても運動は非常に重要です。運動は筋力維持だけでなく、認知症予防にも効果があります。
シニア犬の推奨運動量
1回10分程度を1日2〜3回が目安
長距離より短い距離を複数回に分ける
愛犬のペースに合わせてゆっくり歩く
季節ごとの散歩のポイント
| 季節 | ポイント |
|---|---|
| 夏 | 涼しい早朝か夕方に。アスファルトの温度に注意 |
| 冬 | 暖かい日中に。防寒対策を忘れずに |
| 雨の日 | 室内での軽い運動で代替 |
歩けなくなった場合
後ろ足が弱くなったり、長距離が難しくなった場合は:
犬用カート🛒を使って外の空気を吸わせる
ハーネスで歩行をサポートする
短い距離でも外に出ることで気分転換
散歩で外の匂いを嗅いだり、お友達と交流することは、シニア犬にとって良い刺激になります。
犬の認知症(CDS)を知る - 症状と対処法
犬も人間と同じように認知症になることがあります。正式には認知機能不全症候群(CDS)と呼ばれ、14歳以上の犬で発生が多くなります。17歳以上では半数以上の犬に何らかの徴候が見られるという報告もあります。
認知症の主な症状
以下のような症状が複数見られる場合、認知症の可能性があります:
見当識障害:家の中で迷う、部屋の隅で立ち往生する
夜鳴き:夜中に理由なく鳴き続ける
徘徊:目的もなく歩き回る
排泄の失敗:トイレの場所を忘れる
反応の低下:飼い主の呼びかけに反応しない
睡眠パターンの変化:昼夜逆転する
認知症の予防と対策
認知症の予防には、以下が効果的とされています:
適度な運動:脳への血流を促進
知的刺激:新しいおもちゃや遊び
社会的交流:他の犬や人との触れ合い
DHA・EPAの摂取:青魚やサプリメントから
サプリメントについて: DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)を含むサプリメントやフード🛒は、認知機能の維持に効果があるとされています。動物用の塩分の少ない煮干しなどをおやつに加えるのも良い方法です。
症状が気になる場合は、早めに獣医師に相談しましょう。
関節ケアとサプリメント - 痛みを軽減する方法
関節炎は、シニア犬で最も多く診断される疾患の一つです。痛みを我慢する犬も多いため、動きの変化に注意が必要です。
関節炎のサイン
立ち上がるのに時間がかかる
階段を嫌がる
散歩を嫌がる、途中で座り込む
足を引きずる
触ると痛がる
グルコサミン・コンドロイチンの効果
グルコサミンは関節軟骨の構成成分で、軟骨の修復・再生を促します。コンドロイチンは軟骨の破壊を抑制し、関節の動きをなめらかにします。
研究によると、グルコサミンとコンドロイチンを一緒に摂取すると相乗効果が期待でき、70日間の投与で痛みと運動時の状態に改善が見られたと報告されています。
サプリメント選びの注意点
| 注意点 | 詳細 |
|---|---|
| 甲殻類アレルギー | グルコサミンはエビ・カニ由来が多いため注意 |
| 過剰摂取 | 獣医師と相談して適量を決める |
| 体重管理 | 肥満は関節への負担を増やす |
オメガ3脂肪酸や緑イ貝も関節の健康をサポートする成分として注目されています。
床ずれ予防と寝たきりケア
寝たきりや長時間同じ姿勢でいるシニア犬は、床ずれ(褥瘡)のリスクがあります。キュティア老犬クリニックによると、特に中型犬〜大型犬は数日で床ずれができることもあるため、注意が必要です。
床ずれができやすい部位
骨が出っ張っていて、脂肪や筋肉が少ない場所に床ずれはできやすいです:
ほお(顔の骨)
肩
腰骨
前足首・後足首
膝
床ずれ予防の基本
最も重要なのは「体圧の分散」です。
定期的な寝返り:3時間ごとを目安に体位を変える
床ずれ防止マット:体圧分散設計のマットを使用
ドーナツ型クッション🛒:骨が出ている部位を保護
清潔の維持:蒸れや汚れを防ぐ
床ずれ防止マットの選び方
柔らかすぎず硬すぎないもの
通気性が良いもの
裏面が滑りにくいもの
洗濯できるもの
床ずれができてしまった場合
万が一床ずれができてしまったら、すぐに動物病院を受診してください。自己判断での様子見は症状を悪化させる可能性があります。応急処置として、水道水で患部を洗浄し、乾燥を防ぐためにワセリンを塗ることが推奨されています。
シニア犬に優しい住環境づくり
シニア犬が安全で快適に過ごせるよう、住環境を整えることも大切です。若いうちから少しずつ準備を始めることで、愛犬も環境の変化に適応しやすくなります。
住環境改善のポイント
| 改善点 | 効果 |
|---|---|
| 滑り止めマット | 転倒・足の負担を軽減 |
| スロープ・ペット階段 | 段差の負担を軽減 |
| オーソペディックベッド | 関節への負担を軽減 |
| 食器スタンド | 首への負担を軽減 |
| 温度管理 | 体温調節のサポート |
具体的な工夫
フローリングには滑り止めマットやカーペットを敷く
ソファや車への乗り降りにはスロープを設置
寝床は静かで暖かい場所に置く
トイレは近くに設置して移動距離を短くする
夜間照明で暗い中でも移動しやすくする
日々のケアについては、犬のグルーミング:自宅でできるプロのケアも参考になります。
最後まで一緒に - シニア犬との絆を深める過ごし方
シニア犬との時間は、かけがえのない宝物です。動きがゆっくりになっても、愛犬との絆を深める方法はたくさんあります。
ルーティンの重要性
シニア犬は予測可能な日常に安心感を覚えます。特に認知機能が低下し始めた犬には、毎日同じ時間に食事、散歩、遊びを行うことが心の安定につながります。
スキンシップを大切に
優しいマッサージ:血行促進とリラックス効果
ブラッシング🛒:被毛ケアと同時にコミュニケーション
そばにいる時間:一緒にいるだけで愛犬は安心する
新しいことにも挑戦
「老犬に新しい芸は教えられない」というのは誤解です。シニア犬でも、短時間の楽しいトレーニングは脳への良い刺激になります。基本的なコマンドの復習や、新しい簡単なトリックに挑戦してみましょう。
詳しいトレーニング方法は、犬のしつけ:信頼関係を築くトレーニング術をご覧ください。
年齢は病気ではない
大切なのは、年齢そのものは病気ではないということです。適切なケアと愛情があれば、シニア犬も幸せで充実した日々を送ることができます。
愛犬が年を取ることは自然なことです。その変化を受け入れ、寄り添いながら一緒に過ごす時間を大切にしましょう。シニア期だからこそ深まる絆があります。最後まで愛犬の一番の味方でいてあげてください。
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参考文献:





















