愛犬が最近やたらと水を飲む、トイレの回数が増えた——そんな変化に気づいたことはありませんか?実はこの「多飲多尿」と呼ばれる症状は、犬の糖尿病を示す重要なサインかもしれません。
糖尿病は人間だけの病気ではありません。犬も糖尿病になり、放置すると命に関わる深刻な合併症を引き起こす可能性があります。この記事では、愛犬の健康を守るために知っておくべき糖尿病の症状、原因、治療法について詳しく解説します。
多飲多尿とは?糖尿病を疑うべきサイン
正常な飲水量と多飲の基準

犬の正常な飲水量は、1日あたり体重1kgにつき20〜70ml程度です。しかし、獣医師の解説によると、体重1kgあたり100ml以上飲んでいる場合は「多飲」の可能性があります。
例えば、体重5kgの小型犬なら1日500ml以上、体重10kgの中型犬なら1日1リットル以上飲んでいれば要注意です。
愛犬の飲水量をチェックする簡単な方法があります:
毎朝決まった量の水を器に入れる
翌朝残った水の量を確認する
数日間記録して平均を出す

多飲になると自然と排尿量も増加します。これが「多尿」です。トイレシート🛒の交換頻度が増えた、散歩中の排尿回数が増えたなどの変化も見逃さないでください。
多飲多尿以外の初期症状
糖尿病の症状は多飲多尿だけではありません。ペット保険のPS保険の解説によると、以下のような症状も糖尿病のサインとなります:
食欲増加と体重減少:たくさん食べているのに痩せてくる矛盾した症状
被毛の変化:毛艶がなくなる、パサパサになる
活動性の低下:元気がなくなる、遊びたがらない
嘔吐や下痢:進行すると消化器症状が現れることも
これらの症状が複数見られる場合は、すぐに動物病院を受診することをおすすめします。
犬の糖尿病とは:原因とメカニズム
インスリンと血糖値の関係
糖尿病を理解するには、まずインスリンの役割を知る必要があります。
インスリンは膵臓から分泌されるホルモンで、血液中のブドウ糖(血糖)を細胞に取り込ませる働きがあります。食事で摂取した糖質は血液中でブドウ糖になり、インスリンの助けを借りて細胞のエネルギー源として使われます。
アニコム損保の解説によると、糖尿病とは「血糖値が高い状態が続いてしまう病気」です。インスリンが不足したり、うまく作用しなくなると、ブドウ糖が細胞に取り込まれず、血液中にあふれてしまいます。
1型糖尿病が多い理由
人間の糖尿病には1型と2型がありますが、犬の糖尿病はほとんどが1型糖尿病に分類されます。
1型糖尿病:膵臓がインスリンを十分に分泌できない
2型糖尿病:インスリンは分泌されるが、体が反応しにくい
犬は1型が多いため、治療にはインスリンの補充が必要になります。これが人間の2型糖尿病と大きく異なる点です。
発症リスクが高い犬の特徴
次郎丸動物病院の獣医師解説によると、以下の特徴を持つ犬は糖尿病のリスクが高いとされています:
| リスク要因 | 詳細 |
|---|---|
| 年齢 | 7歳以上の中高齢犬 |
| 性別 | メス犬はオス犬の2〜3倍なりやすい |
| 肥満 | インスリン抵抗性を高める |
| 犬種 | トイプードル、ミニチュアダックスフンド、ミニチュアシュナウザーなど |
また、甲状腺機能低下症やクッシング症候群などの内分泌疾患を持つ犬も、糖尿病を併発しやすいことがわかっています。
糖尿病の診断:動物病院での検査
血液検査と尿検査
糖尿病の診断は、主に血液検査と尿検査で行われます。Today's Veterinary Practiceの診断ガイドラインによると、多飲多尿の症状がある場合、以下の検査が実施されます:
血液検査で確認すること:
持続的な高血糖(空腹時でも血糖値が高い)
高脂血症(脂質代謝の異常)
電解質バランスの乱れ
尿検査で確認すること:
尿糖の有無(糖尿病では尿に糖が出る)
ケトン体の有無(重症化の指標)
尿比重(腎臓機能の確認)
一度の検査で血糖値が高くても、ストレス🛒などで一時的に上昇している可能性があるため、複数回の検査で「持続的な高血糖」を確認することが重要です。
その他の精密検査
糖尿病が確定したら、合併症や原因を調べるための追加検査が行われることがあります:
腹部エコー検査:膵臓、肝臓、腎臓の状態を確認
眼科検査:白内障の有無を確認
甲状腺ホルモン検査:他の内分泌疾患の合併を確認
定期的な健康診断を受けていれば、症状が出る前に血糖値の異常を発見できることもあります。
インスリン治療:飼い主ができる管理
インスリン注射の基本
犬の糖尿病治療の中心はインスリン注射です。1型糖尿病が多い犬は、体内でインスリンを十分に作れないため、外から補充する必要があります。
インスリン注射の基本ポイント:
投与回数:通常1日2回(朝と夕の食後)
投与方法:皮下注射(首の後ろや背中の皮膚をつまんで注射)
投与量:獣医師が個体ごとに調整
最初は動物病院で1〜2週間かけてインスリンの適正量を決めます。この期間は頻繁に血糖値を測定し、最適な投与量を見つけていきます。
飼い主さんが自宅で注射することに不安を感じるかもしれませんが、獣医師が丁寧に指導してくれますので安心してください。注射針は非常に細く、ほとんどの犬は痛みを感じません。
自宅での血糖値管理
インスリン治療を始めたら、血糖値のモニタリングも重要です。
動物病院での定期検査:
月1回程度の血液検査
血糖曲線(1日の血糖値の変動)の確認
自宅でのモニタリング:
動物用血糖測定器を使用(獣医師の指導のもと)
飲水量・排尿量の記録
体重の定期的な測定
特に注意が必要なのは低血糖です。インスリンが効きすぎると血糖値が下がりすぎ、ふらつき、震え、意識障害などの症状が現れます。このような症状が見られたら、すぐにブドウ糖やガム🛒シロップを口の粘膜に塗り、動物病院に連絡してください。
治療費用の目安
糖尿病治療は長期にわたるため、費用の目安を知っておくことも大切です:
| 項目 | 費用目安 |
|---|---|
| 初期検査・インスリン量調整 | 2〜3万円 |
| 月々のインスリン代 | 6,000〜1万円 |
| 月々の血液検査 | 1〜2万円 |
| 月間合計 | 約2〜3万円 |
ペット保険に加入していれば、これらの費用の一部がカバーされる可能性があります。糖尿病のような慢性疾患こそ、保険の恩恵を受けやすいといえるでしょう。
食事療法:糖尿病の犬に適した食事
低GI・高タンパク・低脂肪の原則
インスリン治療と並んで重要なのが食事療法です。ロイヤルカナンの糖尿病用療法食のように、糖尿病の犬のために特別に設計されたフードがあります。
糖尿病の犬の食事で重視すべきポイント:
1. 低GI(グリセミック指数)
血糖値を急激に上げない食材を選ぶ
大麦、サツマイモなど糖の吸収が穏やかな炭水化物
白米や小麦粉など高GI食品は避ける
2. 高タンパク質
筋肉量を維持するために重要
良質な動物性タンパク源を選ぶ
3. 低〜中脂肪
肥満予防と膵臓への負担軽減
粗脂肪15%以下が目安
4. 食物繊維
血糖値の上昇を緩やかにする
満腹感を得やすい
犬の食事と栄養について詳しく知りたい方は、関連記事もご参照ください。
療法食と手作り食
糖尿病の犬の食事管理には、大きく分けて2つの選択肢があります:
1. 動物病院処方の療法食
栄養バランスが計算済み
血糖コントロールに最適化
管理が簡単
2. 手作り食
食材を自分で選べる
栄養計算が必要で難易度が高い
獣医師や栄養士への相談が必須
初めて糖尿病と診断された場合は、まず療法食から始めることをおすすめします。
また、食事のタイミングも重要です:
1日2〜3回に分けて規則正しく与える
インスリン注射のタイミングと合わせる
おやつ🛒は基本的に控える(与える場合は獣医師に相談)
腎臓病を併発している場合は、タンパク質の制限が必要になることもあるため、必ず獣医師と相談してください。
恐ろしい合併症:白内障とケトアシドーシス
糖尿病性白内障の恐怖
糖尿病の犬が最も発症しやすい合併症が白内障です。
驚くべきことに、糖尿病を発症した犬の80%以上が白内障になるといわれています。しかも、その進行は非常に速く、わずか1🛒〜2日で視力を失ってしまうケースもあります。
糖尿病性白内障の特徴:
両目同時に発症することが多い
進行が非常に速い
放置するとぶどう膜炎や緑内障を併発
白内障になると水晶体が白く濁り、視力が低下します。手術で人工レンズを入れる治療法がありますが、合併症のリスクもあるため、できれば白内障になる前に糖尿病をしっかり管理することが重要です。
糖尿病と診断されたら、定期的な眼科検査を受けることをおすすめします。
糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)
もう一つの恐ろしい合併症が糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)です。EPARKペットライフの解説によると、これは命に関わる緊急疾患です。
DKAは、インスリンが極度に不足することで起こります。体はブドウ糖を使えないため、代わりに脂肪を分解してエネルギーを得ようとします。その過程で「ケトン体」という物質が大量に産生され、血液が酸性に傾いてしまいます。
DKAを疑う症状:
急な元気消失、ぐったりする
嘔吐、食欲廃絶
甘酸っぱい口臭(アセトン臭)
呼吸が速くなる
脱水
これらの症状が見られたら、一刻も早く動物病院へ連れて行ってください。DKAは集中治療が必要で、点滴によるとう補正、インスリン投与、電解質バランスの補正などが行われます。
DKAを防ぐためには:
インスリン注射を忘れない、自己判断で中止しない
感染症に注意する(膀胱炎、歯周病など)
定期的な血糖値チェック
緊急事態への対処法についても、事前に知っておくと安心です。
糖尿病の予防と早期発見
肥満予防と適正体重管理
糖尿病を予防するために最も重要なのは、肥満を防ぐことです。
肥満は「インスリン抵抗性」を高め、血糖値を下げにくくします。適正体重を維持することで、糖尿病のリスクを大幅に下げることができます。
肥満予防のポイント:
フード🛒のパッケージに記載された適正量を守る
おやつは1日の摂取カロリーの10%以内に
人間の食べ物を与えない
年齢や活動量に合わせてフード量を調整
また、適度な運動も血糖値のコントロールに役立ちます。毎日の散歩は、愛犬の体重管理だけでなく、インスリンの効きを良くする効果もあります。
定期健診で早期発見
糖尿病は早期発見・早期治療が非常に重要です。症状が出る前に血糖値の異常を発見できれば、より効果的な治療が可能になります。
特に以下に該当する犬は、定期的な血液検査をおすすめします:
7歳以上の中高齢犬
避妊していないメス犬
肥満傾向のある犬
糖尿病になりやすい犬種(トイプードル、ミニチュアダックスフンドなど)
最低でも年1回、できれば年2回の健康診断で血糖値をチェックしましょう。
まとめ:愛犬の異変を見逃さないで
多飲多尿は、犬の糖尿病を知らせる重要なサインです。
愛犬がいつもより水を多く飲む、トイレの回数が増えた——そんな変化に気づいたら、できるだけ早く動物病院を受診してください。
糖尿病は確かに完治が難しい病気ですが、適切な治療と管理を続ければ、愛犬と長く幸せに暮らすことは十分に可能です。
多飲多尿は糖尿病の重要なサイン
犬の糖尿病は1型が多く、インスリン注射が必要
食事療法と体重管理も治療の柱
白内障やケトアシドーシスなどの合併症に注意
早期発見のために定期健診を
愛犬の小さな変化に気づけるのは、毎日一緒に暮らす飼い主さんだけです。異変を感じたら、迷わず獣医師に相談しましょう。






