愛犬が腎臓病と診断されたとき、飼い主として最も気になる🛒のは「何を食べさせればいいのか」という点ではないでしょうか。犬の腎臓病は完治が難しい病気ですが、適切な食事療法によって進行を遅らせ、愛犬のQOL(生活の質)を維持することが可能です。
この記事では、腎臓病の犬に最適な食事療法について、IRISステージ分類に基づいた栄養管理から、おすすめの療法食、手作り食の注意点まで詳しく解説します。愛犬の健康を守る病気予防と早期発見の観点からも、食事管理は非常に重要な要素です。
犬の腎臓病と食事療法の重要性
慢性腎臓病の現実

ペット栄養学会誌の報告によると、犬の10頭に1頭が生涯で慢性腎臓病(CKD)に罹患するとされています。特に高齢犬では罹患率が高くなり、シニア期の愛犬を持つ飼い主にとっては他人事ではありません。
慢性腎臓病の最も重要な特徴は、一度低下した腎機能は回復しないということです。腎臓は血液をろ過して老廃物を排出する重要な臓器ですが、ネフロン(腎臓の機能単位)が一度損傷を受けると、再生することはありません。
食事療法がもたらす効果
しかし、希望を持ってください。VCA動物病院の研究によると、適切な腎臓食を食べた犬は、通常の食事を続けた犬と比べて平均13ヶ月も長生きしたという結果が報告されています。

これは食事療法が腎臓病の進行を効果的に遅らせることを示す重要なエビデンスです。つまり、愛犬が腎臓病と診断されても、正しい食事管理を始めることで、できるだけ長く健康な時間を共に過ごすことができるのです。
IRISステージ分類を理解する
IRISとは何か
腎臓病の治療方針を決定する上で重要なのが、IRIS(International Renal Interest Society:国際獣医腎臓病研究グループ)によるステージ分類です。IRISは世界11ヵ国15名の獣医学専門家で構成され、犬と猫の腎臓病に対する診断・治療の国際的なガイドライ🛒ンを提供しています。
IRIS公式ガイドラインでは、主に血液検査のクレアチニン(CREA)とSDMAの数値に基づいてステージ分類が行われます。定期的な健康診断と検査を受けることで、早期発見が可能になります。
各ステージの特徴と症状
アニコム動物病院の解説によると、各ステージには以下のような特徴があります:
ステージ1(初期)
血中クレアチニン値は正常範囲内
尿濃縮能の低下や腎臓の形態学的異常が見られる
ほとんど無症状で、飲水量のわずかな増加程度
残腎機能:33%以上
ステージ2(軽度)
多飲多尿が見られるようになる
その他の症状はほとんどなく、一見正常に見える
「最近、水の減りが早いな」と感じたら要注意
残腎機能:約25%
ステージ3(中等度)
食欲の低下、嘔吐、体重減少、貧血などの症状が出現
腎臓のフィルター機能低下により老廃物が蓄積
残腎機能:10%未満
この段階で多くの飼い主が異変に気づく
ステージ4(重度)
尿毒症が強くなり、重篤な症状が現れる
激しい嘔吐、意識レベルの低下、痙攣などの神経症状
QOL維持を目的とした緩和ケアが中心
積極的な治療介入が必要な危険な状態
食事療法の3大原則:リン・タンパク質・ナトリウム
腎臓病の食事管理で最も重要なのは、リン・タンパク質・ナトリウムの3つの栄養素を適切に制限することです。
リン制限が最も重要
PubMedに掲載された研究は、腎臓病の食事管理においてリン制限が最も効果的であることを明らかにしました。
この研究では、0.4%のリン制限食を与えた犬は、1.4%のリン食を与えた犬と比較して、生存期間が有意に延長したことが報告されています。さらに、リン制限食を与えた犬では、腎機能(GFR:糸球体ろ過量)が安定した期間も長く維持されました。
興味深いことに、同研究ではタンパク質制限単独では生存期間に有意な差が見られませんでした。これは、リン制限こそが腎臓病の食事療法における最優先事項であることを示しています。
リンを多く含む食材(控えるべき食品):
レバーなどの内臓肉
魚介類(特に小骨ごと食べる魚)
乳製品(チーズ🛒、ヨーグルト)
卵黄
豆類
タンパク質は「質」が重要
タンパク質制限については、近年議論が分かれています。Today's Veterinary Practiceの記事によると、単にタンパク質を減らすのではなく、「高品質なタンパク質を適量与える」ことが重要とされています。
現在のエビデンスに基づく推奨値は、約35g/1000kcalの高品質タンパク質です。これにより、アルブミン産生を維持し、体重減少を防ぎながら、腎臓への負担を軽減できます。
タンパク質の「質」を測る指標が生物価(Biological Value:BV)です。生物価が高いほど、体内で効率よく利用され、老廃物の産生が少なくなります。
生物価の高いタンパク質源:
卵白:最高品質のタンパク質源(リンも少ない)
鶏肉(特に胸肉)
白身魚
ナトリウム制限
ナトリウム(塩分)の過剰摂取は、血圧を上昇させ、腎臓や心臓に負担をかけます。特に腎機能が低下している犬は、余分なナトリウムを排出する能力が低下しているため、体内に蓄積されやすくなります。
ナトリウム制限は特にステージ3以上の重症化した犬で重要になります。人間の食べ物やおやつを与えないことが基本です。
腎臓に良い食材とオメガ3脂肪酸
制限すべき栄養素がある一方で、腎臓病の犬に積極的に与えたい栄養素もあります。
オメガ3脂肪酸の効果
獣医師監修の解説によると、オメガ3脂肪酸(EPA・DHA)は腎臓の炎症を抑制し、腎機能の保護に役立つとされています。
オメガ3脂肪酸は腎臓のネフロンにある毛細血管の炎症を緩和し、腎臓病の進行を遅らせる効果が期待できます。犬の心臓病の予防にも効果があるとされ、高齢犬の健康維持に重要な栄養素です。
オメガ3脂肪酸を多く含む食材:
サーモン
マグロ
サバなどの青魚
魚油サプリメント🛒
腎臓に優しい食材
鶏手羽はお肉類の中でもリンの含有量が少なく、腎臓に優しいタンパク質源です。皮を除いた鶏胸肉も良い選択肢です。
野菜の調理法も重要です。野菜には腎臓に負担をかけるカリウムが含まれていますが、たっぷりの水で茹でることでカリウムを減らすことができます。野菜を細かくカットして断面を増やし、沸騰後に弱火で約10分茹でることで、カリウムを効果的に除去できます。
おすすめの療法食ブランド
腎臓病の犬には、専門的に設計された療法食を与えることが推奨されます。療法食は腎臓に負担をかける栄養素が適切に調整されており、慢性腎臓病の食事管理に最適です。
ロイヤルカナン腎臓サポート
ロイヤルカナンは腎臓病の進行度に合わせた2種類の療法食を提供しています。
早期腎臓サポート(ステージ1〜2向け)
タンパク質配合量:20.5%
早期の慢性腎臓病の犬に適した設計
腎機能の維持をサポート
腎臓サポート(ステージ3以上向け)
タンパク質配合量:約12%
より厳格なタンパク質・リン制限
犬が好む香りで食欲を刺激し、食欲低下に配慮
ヒルズ プリスクリプション・ダイエット k/d
ヒルズのk/dシリーズ🛒は、腎臓病の療法食として長年の実績があります。
リン・タンパク質の配合量を適切に調整
低ナトリウム設計で血圧管理に配慮
オメガ3脂肪酸を配合し、腎臓の健康をサポート
ドクターズケア キドニーケア
国産の療法食として人気があるのがドクターズケアです。
リン・タンパク質・ナトリウムを調整した国産療法食
フラクトオリゴ糖を配合し、腸内で発生する窒素性老廃物に配慮
オメガ3脂肪酸も配合
療法食を選ぶポイント
療法食を選ぶ際は、歴史・実績・エビデンスがあるメーカーを選ぶことが重要です。長年の研究開発を行い、腎臓病の症状改善に関するデータを持つメーカーの製品を優先しましょう。
また、必ずかかりつけの獣医師に相談してから療法食を開始してください。愛犬のステージや状態に合った製品を選ぶことが大切です。
手作り食という選択肢
療法食を嫌がる犬や、より自然な食事を与えたいと考える飼い主の中には、手作り食を検討する方もいるでしょう。獣医師の解説によると、腎臓病の犬に手作り食を与えることは可能ですが、非常に難しいとされています。
手作り食の難しさ
腎臓病の食事管理では、タンパク質・リン・ナトリウム・カリウムなど複数の栄養素を同時に制限しながら、必要なカロリーやビタミン、ミネラルを確保する必要があります。これを家庭で正確に計算・調整するのは容易ではありません。
特に、多飲多尿などの症状が見られる腎臓病の犬は脱水になりやすいため、水分摂取量にも注意が必要です。
手作り食を行う場合の注意点
それでも手作り食を行う場合は、以下の点に注意してください:
必ず獣医師に相談し、栄養計算のアドバイスを受ける
定期的な血液検査で愛犬の状態を確認する
野菜は必ず茹でてカリウムを減らす
高品質なタンパク質源(卵白、鶏胸肉など)を選ぶ
療法食との併用も検討する
完全な手作り食よりも、療法食をベースに手作りのトッピング🛒を加える方法がより安全でおすすめです。
療法食を食べないときの対処法
腎臓病の犬は食欲が低下することが多く、せっかくの療法食を食べてくれないこともあります。そんなときは、以下の工夫を試してみてください。
食べやすくする工夫
ぬるま湯でふやかす:香りが立ち、食べやすくなります
粒を砕いて与える:小型犬や高齢犬には効果的
人肌程度に温める:冷たいフードより食いつきが良くなることも
フードの種類を変える
ウェットフード🛒に変更:水分も一緒に摂取できるメリットも
ドライフードに缶詰をトッピング:香りと味に変化をつける
複数のブランドを試す:同じ療法食でもメーカーによって嗜好性が異なる
獣医師に相談すべきケース
食欲不振が続く場合は、腎臓病の進行や他の合併症の可能性もあります。数日間ほとんど食べない場合は、必ず獣医師に相談してください。
まとめ:愛犬の腎臓を守る食事管理
腎臓病は完治が難しい病気ですが、適切な食事療法によって進行を遅らせ、愛犬との時間を延ばすことができます。
食事療法のポイントまとめ
リン制限が最も効果的:0.4%リン食で生存期間延長の研究結果あり
タンパク質は質を重視:高品質なタンパク質を約35g/1000kcal程度に
オメガ3脂肪酸を積極的に:腎臓の炎症抑制に効果的
療法食の活用を推奨:専門的に設計された食事が安心
早期発見・早期対応が鍵
腎臓病は早期に発見し、早期に食事療法を開始することで、より良い予後が期待できます。愛犬の健康を守る病気予防と早期発見を心がけ、定期的な健康診断を受けることが大切です。
愛犬が腎臓病と診断されても、決して諦めないでください。正しい知識を持ち、獣医師と相談しながら適切な食事管理を行うことで、愛犬の健康寿命を延ばすことができます。大切な家族との時間を、一日でも長く、そして質の高いものにしていきましょう。






