愛犬の目をふと見たとき、「いつもより目やにが多いかも」「白目が赤くなっている」「涙で目の周りが濡れている」と感じたことはありませんか?犬は目の不調を言葉で伝えることができません。だからこそ、飼い主が日々の観察を通じて異変に気づくことが、愛犬の視力を守る第一歩となります。
目やに・充血・涙は、単なる一時的な症状の場合もあれば、結膜炎、角膜炎、ドライアイ、緑内障といった深刻な病気のサインである可能性もあります。愛犬の健康を守る病気予防と早期発見のためには、目の症状を正しく理解し、適切なタイミングで動物病院🛒を受診することが重要です。
この記事では、犬の目に現れる3大症状(目やに・充血・涙)について、それぞれの原因となる病気、自宅でできるケア方法、そして動物病院を受診すべきサインを詳しく解説します。
目やに(眼脂)のチェックポイント
目やには医学的には「眼脂(がんし)」と呼ばれ、結膜などから分泌されるムチンという粘液を主成分に、新陳代謝で剥がれ落ちた細胞や老廃物、ゴミなどが混ざってできたものです。健康な犬でも少量の目やにが出ることは正常な生理現象です。

正常な目やにと異常な目やにの見分け方
正常な目やにには以下の特徴があります。
色:白、黒、茶色、灰色
量:少量(朝起きたときに目頭に少し付着している程度)
質感:乾燥してカサカサしている、または軽く湿っている程度
一方、以下のような目やには異常のサインです。

黄色や黄緑色の目やに:細菌感染の可能性
ねっとりとした粘度のある目やに:ドライアイの可能性
量が急に増えた:炎症や感染症の可能性
眼球にべったりと付着する:重度の炎症の可能性
PS保険の獣医師による解説によると、目やにの色や質感の変化は、目の病気を早期発見するための重要な手がかりとなります。
目やにが増える主な原因
犬の目やにが増える原因はさまざまです。主な原因を以下に挙げます。
1. アレルギー反応
食べ物、花粉、ハウスダストなどに対するアレルギー反応により、目の周りに炎症が起こることがあります。アレルギー🛒が原因の場合、目をしきりにこする、目の周りが赤くなるといった症状も併発することが多いです。詳しくはかゆがる愛犬:アレルギーの原因特定法をご参照ください。
2. 結膜炎
まぶたの内側にある結膜に炎症が起こる病気です。アレルギー、異物の混入、細菌やウイルスの感染などが原因で発症します。目やにの増加に加え、白目の充血やまぶたの腫れを伴うことが特徴です。
3. 角膜炎
角膜(黒目の最も外側の透明な膜)に炎症が生じた状態です。外傷、ドライアイ、細菌やウイルス感染、逆さまつげなどが原因となります。目やにの増加とともに、まぶしそうに目を細めるしぐさが見られます。
4. ドライアイ(乾性角結膜炎)
涙の分泌量が減少し、目の表面が乾燥することで起こる病気です。黄色から緑色のねばねばした目やにが特徴的で、放置すると角膜に深刻なダメージを与える可能性があります。
目の充血:白目が赤いときに疑う病気
愛犬の白目が赤く見えるとき、それは結膜や強膜の血管が拡張して充血している状態です。一時的な刺激による軽度の充血もありますが、病気のサインである可能性も考慮する必要があります。
結膜炎の症状と原因
ヒルズの解説記事によると、結膜炎は犬種や年齢を問わず発症する可能性がある、非常に身近な眼疾患です。
主な症状
白目の充血(赤く見える)
涙の増加
まぶたの腫れ
目やにの増加(特に感染性の場合)
結膜浮腫(結膜が腫れて膨らむ)
結膜炎の原因
結膜炎には感染性と非感染性があります。
| 種類 | 原因 |
|---|---|
| 感染性 | ウイルス、細菌、寄生虫の感染 |
| 非感染性 | 外傷、アレルギー、異物混入、逆さまつげ、眼瞼内反症、ドライアイ |
犬が主にかかるのは非感染性結膜炎で、アレルギーや外部からの刺激が原因であることが多いです。Rootsどうぶつ病院の解説では、愛犬の目が充血していることに気づいたら、なるべく早めに動物病院での診察を受けることを推奨しています。
緑内障・ぶどう膜炎の警告サイン
目の充血は、より深刻な病気のサインである可能性もあります。特に注意が必要なのが緑内障とぶどう膜炎です。
緑内障とは
FPCペット保険の解説によると、緑内障は目の中の水(眼房水)が溜まり、眼圧が上昇することで視覚障害や目の痛みを引き起こす病気です。犬の正常眼圧は10〜25mmHgとされており、これを超える状態が続くと視神経がダメージを受けます。
緑内障の警告サイン
結膜・強膜の激しい充血
瞳孔が開いたまま(散瞳)
目の表面が白く濁る(角膜浮腫)
目が大きくなる(牛眼)
目を痛がる様子
ぶどう膜炎との関連
ぶどう膜炎は、虹彩、毛様体、脈絡膜からなるぶどう膜に炎症が起こる病気です。角膜の深い傷から進行することもあり、ぶどう膜炎から緑内障に発展するケースも少なくありません。
緑内障は進行性の疾患であり、放置すると失明に至る可能性があります。急激な眼圧上昇は緊急事態であり、24時間以内の受診が推奨されます。
涙やけ・涙が多い:流涙症のすべて
愛犬の目の下が常に濡れている、または目の周りの毛が茶色く変色している場合、それは「涙やけ」かもしれません。涙やけは医学的には「流涙症」と呼ばれ、涙が過剰に分泌されるか、涙の排出経路に問題があることで起こります。
涙やけができる仕組み
富士見台どうぶつ病院の解説によると、涙やけのメカニズムは以下の通りです。
涙の正常な流れ
涙は以下の経路で排出されます。
涙腺で涙が作られる
涙点から涙が排出される
涙小管を通過
涙嚢に一時的に溜まる
鼻涙管を通って鼻腔へ排出
この経路のどこかに問題があると、涙が目から溢れ出してしまいます。
毛の変色のメカニズム
涙に含まれるポルフィリンという色素が紫外線や空気に触れて酸化すると、赤褐色に変色します。これが目の下の毛に付着し続けることで、いわゆる「涙やけ」の茶色い跡ができるのです。
涙やけの原因と対処
涙やけの原因は多岐にわたります。
1. 鼻涙管閉塞
涙を鼻に流す管が詰まったり、生まれつき狭かったりすることで涙が溢れます。特にチワワやトイプードル🛒などの小型犬に多く見られます。
2. 眼瞼内反症・逆さまつげ
まぶたが内側に入り込んだり、まつげが眼球を刺激したりすることで、涙の分泌が過剰になります。
3. マイボーム腺機能不全
まぶたの縁にあるマイボーム腺から分泌される油分が減少すると、涙の安定性が低下し、目から溢れやすくなります。
4. アレルギーや感染症
アレルギー反応や細菌感染による結膜炎も、涙の分泌量を増加させる原因となります。
対処法
こまめに涙を拭く(コットンやガーゼを使用)
目の周りの毛を短くカット
2歳未満の犬は成長とともに改善することも多い
鼻涙管洗浄(動物病院での処置)
ドライアイ(乾性角結膜炎)の見逃せない症状
ドライアイは、涙の分泌量が減少することで角膜や結膜に炎症を起こす病気です。PS保険の解説によると、犬の眼球表面は通常「涙膜」と呼ばれる涙の薄い層で覆われており、この涙膜の原料となる涙は、上まぶたの涙腺(約50%)と下まぶたの第三眼瞼腺(約50%)から供給されています。
ドライアイの主な症状
粘性のある目やに:黄色から緑色のねばねばした目やに
結膜・角膜の充血
角膜の色素沈着や潰瘍
まぶたの痙攣
目をしきりにこする
重症化すると視力障害や失明のリスクがあるため、早期発見・早期治療が重要です。
ドライアイの原因
ドライアイの原因には以下のものがあります。
免疫介在性:免疫系が自身の涙腺を攻撃する(最も多い原因)
シェーグレン様症候群:自己免疫疾患の一種
神経性:涙の分泌を司る神経の障害
先天性:生まれつきの涙腺の異常
外傷・感染症
治療と生涯ケア
ドライアイの治療には主に以下の方法が用いられます。
免疫抑制剤
シクロスポリンやタクロリムスなどの免疫抑制剤の点眼が第一選択となります。免疫介在性のドライアイでは、治療によく反応するケースが多いです。
人工涙液・点眼薬
涙の代わりに目の表面を潤す人工涙液や、角膜・結膜を保護する点眼薬を使用します。
重要な注意点
ドライアイは多くの場合、生涯にわたる治療が必要です。症状が改善しても自己判断で投薬を中止せず、獣医師の指示に従って継続的なケアを行うことが大切です。
目の病気になりやすい犬種
犬の目の病気には、特定の犬種で発症リスクが高いものがあります。ご自身の愛犬が該当する場合は、より注意深い観察が必要です。詳しい犬種の特徴については犬種図鑑:あなたにぴったりの犬種を見つけるもご参照ください。
短頭種(結膜炎・角膜炎のリスクが高い)
シーズー
パグ
フレンチブルドッグ
ペキニーズ
ボストンテリア
短頭種は目が大きく突出しているため、草むらなどで目を傷つけやすく、異物も入りやすい特徴があります。また、ドライアイの発症率も高いとされています。
小型犬(涙やけのリスクが高い)
チワワ
トイプードル
マルチーズ🛒
ヨークシャーテリア
ミニチュアダックスフンド
小型犬は生まれつき鼻涙管が狭いことが多く、涙やけを起こしやすい傾向があります。また、ミニチュアダックスフンドや柴犬はアレルギー🛒を起こしやすい犬種でもあります。
緑内障のリスクが高い犬種
柴犬
シーズー
アメリカン・コッカー・スパニエル
ビーグル
プードル
原発性緑内障は遺伝的要因が関与しており、上記の犬種では3〜7歳で発症することが多いとされています。両目に発症するケースも多く、定期的な眼圧検査が推奨されます。
動物病院を受診すべきサイン
目の症状の中には、すぐに動物病院を受診すべきものがあります。以下のサインが見られたら、早急に獣医師の診察を受けてください。定期的な健康チェックについては年に何回必要?犬の健康診断と検査内容も参考になります。
緊急性の高い症状(24時間以内に受診)
目が開かない、または開けようとしない
瞳孔の大きさが左右で異なる
目の表面が白く濁っている
目が急に大きくなった
激しい目の痛みを示す(頭を触らせない、元気がないなど)
目から出血している
できるだけ早く受診すべき症状
黄色や緑色のねばねばした目やにが続く
充血が3日以上改善しない
目をしきりにこする、かく
涙の量が急激に増えた
目の周りの毛が常に濡れている
まぶたが腫れている
定期検診の重要性
緑内障やドライアイなど、初期症状が分かりにくい病気もあります。特にリスクの高い犬種を飼っている場合は、年に1〜2回の定期的な眼科検診を受けることで、早期発見・早期治療につなげることができます。
自宅でできる目のケアと予防
日常的なケアで、愛犬の目の健康を守ることができます。アニコムの解説を参考に、正しいケア方法を身につけましょう。
目やにの正しい取り方
用意するもの
清潔なコットンまたはガーゼ
ぬるま湯または犬用アイローション
手順
コットンやガーゼをぬるま湯で軽く濡らす
目頭から目尻に向かって優しく拭く
ゴシゴシこすらず、なでるように拭き取る
固まった目やには無理に取らず、濡らして柔らかくしてから取る
注意点
ティッシュペーパーは繊維が硬く、目の表面を傷つける可能性があるため避ける
人間用の目薬は使用しない
両目を拭く場合は、片目ごとに清潔な部分を使う
目の周りのトリミング
目の周りの毛が長いと、毛先が眼球を刺激して涙やけや炎症の原因になることがあります。定期的なトリミングで目の周りをすっきりさせましょう。自信がない場合は、プロのトリマーに依頼することをお勧めします。
日常観察のポイント
毎日のスキンシップの中で、以下の点をチェックする習慣をつけましょう。
目やにの量と色に変化はないか
白目の部分に充血はないか
涙の量は正常か
目を気にする様子(こする、かくなど)はないか
左右の目に違いはないか
環境の整備
散歩後は目の周りをチェックし、異物が入っていないか確認する
室内の空気を清潔に保ち、ホコリやハウス🛒ダストを減らす
紫外線の強い時間帯の散歩は避ける(目へのダメージを軽減)
まとめ:愛犬の目を守るために
犬の目やに、充血、涙は、日常的によく見られる症状ですが、その背後には結膜炎、角膜炎、ドライアイ、緑内障といった様々な病気が隠れている可能性があります。
この記事のポイント
目やに:色や量の変化に注意。黄色・緑色、ねばねばは要注意
充血:結膜炎の可能性が高いが、緑内障など深刻な病気のサインの場合も
涙やけ:涙の排出経路の問題や、アレルギー、感染症が原因
犬種によるリスク:短頭種、小型犬、特定の犬種は注意が必要
早期発見:日常観察と定期検診が視力を守る鍵
愛犬は目の不調を言葉で伝えることができません。だからこそ、飼い主であるあなたの観察力が愛犬の目を守る最大の武器となります。少しでも異常を感じたら、早めに動物病院を受診することをお勧めします。
愛犬の健康を守る病気予防と早期発見の基本は、日々の観察と適切なタイミングでの受診です。愛犬との幸せな暮らしのために、目の健康にも気を配りましょう。






