愛犬がしきりに体を掻いたり、足先を舐め続けたりする姿を見ると、飼い主として胸が痛みます。「何がかゆみの原因なのか」「どうすれば楽にしてあげられるのか」と悩む方も多いでしょう。
犬のかゆみの原因として最も多いのがアレルギー🛒です。Cornell大学獣医学部の研究によると、犬のアトピー性皮膚炎は犬口の10〜15%に影響を与えるとされています。
アレルギーの原因を特定することは簡単ではありませんが、正しい検査と診断のプロセスを踏めば、愛犬のかゆみを根本から解決する道が開けます。この記事では、犬のアレルギーの種類から検査方法、費用まで詳しく解説します。
犬の三大アレルギーとは
犬のアレルギーは大きく3つのタイプに分類されます。アイペット損保の獣医師監修記事によると、これらは「犬の三大アレルギー」と呼ばれ、いずれも主症状は「かゆみ」です。

愛犬の健康管理においてアレルギーへの理解は欠かせません。愛犬の健康を守る病気予防と早期発見の観点からも、アレルギーの種類を知ることは重要です。
アトピー性皮膚炎(環境アレルゲン)
アトピー性皮膚炎は、犬のアレルギーの中で最も発症率が高い疾患です。ハウスダスト、花粉、カビ、ダニなど環境中に存在するアレルゲンが原因で発症します。
Merck獣医マニュアルによると、犬アトピー性皮膚炎は「遺伝的素因を持つ犬が環境アレルゲンに対してIgE抗体を産生することで起こる慢性炎症性皮膚疾患」と定義されています。

特徴的なのは、70%の犬が1〜3歳の間に発症することです。季節性のかゆみ(春や秋に悪化)がある場合は、花粉などの環境アレルゲンが原因の可能性が高いでしょう。
食物アレルギー
食物アレルギー🛒は、特定の食材に含まれるタンパク質に対する免疫反応です。日本臨床獣医学フォーラム(JBVP)によると、主な原因食材とその割合は以下の通りです:
牛肉:36%
乳製品:28%
小麦:15%
卵:10%
鶏肉:9.6%
食物アレルギーの特徴は、季節に関係なく一年中症状が続くことです。また、アトピー性皮膚炎とは異なり、どの年齢でも発症する可能性があります。
ノミアレルギー
ノミアレルギーは、ノミの唾液に含まれるタンパク質に対するアレルギー反応です。驚くべきことに、たった1匹のノミに刺されただけでも激しいかゆみを引き起こすことがあります。
ノミアレルギーの犬は、特に腰から尾の付け根にかけて強いかゆみを示し、脱毛や皮膚の黒ずみが見られます。定期的なノミ予防が最も効果的な対策です。
かゆみの部位でわかるアレルギーのタイプ
犬のアレルギーでは、症状が出やすい部位にパターンがあります。アイペット損保の解説によると、かゆみや赤みが出る部位によって、アレルギーのタイプをある程度推測できます。
アトピー性皮膚炎で症状が出やすい部位:
目の周り
口の周り
耳(外耳炎を併発することも多い)
脇の下
内股
足先(指の間)
食物アレルギーで症状が出やすい部位:
顔全体
耳
足先
肛門周辺
消化器症状(嘔吐、下痢)を伴うことも
ノミアレルギーで症状が出やすい部位:
腰から尾の付け根
後ろ足の内側
腹部
ただし、これらは典型的なパターンであり、複数のアレルギーを併発している場合や個体差もあります。正確な診断には獣医師による検査が必要です。
アレルギーになりやすい犬種
アレルギー性皮膚疾患には遺伝的要因が大きく関与しており、特定の犬種に好発する傾向があります。サーカス動物病院の解説によると、日本で特にアトピー性皮膚炎を発症しやすい犬種は以下の通りです:
柴犬
フレンチブルドッグ
シーズー
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア
ラブラドール🛒・レトリーバー
ゴールデン・レトリーバー
パグ
柴犬のアレルギー対策
柴犬は日本で最もアトピー性皮膚炎の発症率が高い犬種の一つです。柴犬独特の繊細な体質と被毛の特性から、症状が重症化しやすい傾向があります。
柴犬のオーナーは、以下の点に特に注意が必要です:
定期的なブラッシングで皮膚の状態をチェック
高温多湿の環境を避ける
ストレスを軽減する生活環境づくり
症状が軽いうちに獣医師に相談
フレンチブルドッグのアレルギー対策
フレンチブルドッグは若齢から皮膚トラブルを起こしやすく、複合的なアレルギーを持つことが多い犬種です。若いうちは食物アレルギーが主体ですが、3歳を過ぎるとアトピー性皮膚炎が悪化する傾向があります。
フレンチブルドッグでは、膿皮症(細菌感染)、アトピー、食物アレルギーが複雑に絡み合っていることが多く、それぞれに対する治療とケアが必要になります。
アレルギー原因を特定する5つの検査方法
アレルギーの原因を特定するためには、複数の検査を組み合わせて行います。カインズの獣医師監修記事を参考に、主な検査方法を解説します。
アレルゲン特異的IgE検査
血液を採取して、特定のアレルゲンに対するIgE抗体の量を測定する検査です。
費用:約30,000円
結果が出るまで:1〜2週間
特徴:ハウス🛒ダストから植物まで幅広いアレルゲンを一度に調べられる
ただし、IgE検査で陽性でも症状が出ない場合や、陰性でもアレルギー症状がある場合もあります。あくまで診断の参考として使用されます。
リンパ球反応試験
血液中のリンパ球がアレルゲンに反応するかを調べる検査です。犬の食物アレルギーでは、IgEよりもリンパ球が関与することが多いため、食物アレルギーの診断に特に有用です。
費用:15,000〜30,000円
結果が出るまで:1〜2週間
特徴:主要な食物アレルゲン(牛肉、鶏肉、小麦など)への反応を調べられる
皮内反応試験
皮膚に少量のアレルゲンを注入し、その部位の反応を見る検査です。アレルギーがある場合は、注入部位が赤く腫れます。
費用:5,000〜10,000円
結果が出るまで:約15分
特徴:即時型アレルギーの診断に有効、専門医(皮膚科)で実施されることが多い
除去食試験
最も信頼性の高い食物アレルギーの診断方法です。特定の食材を含まない療法食だけを与え、症状の変化を観察します。
費用:療法食代(1ヶ月分約5,000〜15,000円)
期間:最低8週間
特徴:血液検査では診断できない食物アレルギーを特定できる
日本臨床獣医学フォーラムによると、除去食試験は80%以上の犬で症状改善が見られる、最も確実な診断法です。
アレルギー強度試験
アレルギー反応の重症度を数値化して評価する検査です。
費用:約8,000円
結果が出るまで:1〜2週間
特徴:治療方針の決定や経過観察に役立つ
除去食試験の正しいやり方
除去食試験は食物アレルギーを診断する「ゴールドスタンダード」ですが、正しく行わないと意味がありません。日本臨床獣医学フォーラムの指針に基づいて、正しいやり方を解説します。
Step 1:除去食の選択
獣医師と相談して、愛犬がこれまで食べたことのないタンパク源を含む療法食を選びます。一般的には以下のような選択肢があります:
新奇タンパク食(鹿肉、カンガルー、魚など)
加水分解タンパク食(タンパク質を小さく分解したフード🛒)
Step 2:厳格な食事管理(8週間以上)
除去食以外のものは一切与えません。これは非常に重要なポイントです:
おやつは禁止(除去食と同じ成分のもののみ可)
人間の食べ物は絶対にNG
投薬用のおやつも注意
散歩中の拾い食いに注意
Step 3:症状の観察と記録
毎日、かゆみの程度や皮膚の状態を記録します。写真を撮っておくと、変化がわかりやすくなります。
Step 4:負荷試験
8週間で症状が改善した場合、以前の食事を少量与えて症状が再発するか確認します。再発すれば食物アレルギーと確定診断できます。
正しいフード選びの科学も参考にしながら、愛犬に合った食事を見つけていきましょう。
アレルギー検査の費用と期間
アニコム損保の「みんなのどうぶつ病気大百科」によると、アレルギー検査にかかる費用と期間の目安は以下の通りです。
| 検査名 | 費用 | 結果までの期間 |
|---|---|---|
| アレルギー強度試験 | 約8,000円 | 1〜2週間 |
| 皮内反応試験 | 5,000〜10,000円 | 約15分 |
| アレルゲン特異的IgE検査 | 約30,000円 | 1〜2週間 |
| リンパ球反応試験 | 15,000〜30,000円 | 1〜2週間 |
| 除去食試験 | 療法食代のみ | 8週間以上 |
総合検査を行った場合の総額:40,000〜70,000円
これに加えて、初診料(約2,200円)、再診料(約880円)、採血料(約880円)が別途かかります。
ペット保険に加入している場合、検査費用の一部がカバーされることもあります。加入中の保険の補償内容を確認してみましょう。
年に何回必要?犬の健康診断と検査内容と合わせて、計画的に検査を受けることをおすすめします。
原因がわかったらどう対処する?
アレルギーの原因が特定できたら、その原因に応じた対処が必要です。Merck獣医マニュアルによると、治療は複数のアプローチを組み合わせる「マルチモーダル治療」が基本です。
環境アレルゲンの場合
ハウス🛒ダストや花粉などの環境アレルゲンが原因の場合、完全に避けることは難しいですが、以下の対策が有効です:
生活環境の改善:
こまめな掃除と換気
空気清浄機の設置
寝具の定期的な洗濯
散歩後の足拭き・ブラッシング
スキンケア:
薬用シャンプー🛒による定期的な洗浄(週1〜2回)
保湿剤の使用
セラミド配合のスキンケア製品
薬物療法:
アポキル(JAK阻害薬):かゆみを素早く抑える
サイトポイント(ロキベトマブ):4〜8週間ごとの注射で効果持続
減感作療法:唯一アレルギーを根本的に改善できる治療法
食物アレルゲンの場合
食物アレルギーの場合、原因となる食材を避けることが最も効果的な対策です:
食事管理:
除去食試験で効果があった療法食を継続
原因食材を含むおやつも避ける
フードのローテーションは避ける(新たなアレルギーを誘発する可能性)
代替タンパク源の活用:
魚(サーモン、タラなど)
鹿肉、馬肉、カンガルー肉
加水分解タンパク食
食物アレルギーそのものを治すことは難しいですが、原因食材を与えなければ症状は消失します。
まとめ:愛犬のかゆみを根本から解決するために
愛犬のかゆみがアレルギーによるものかどうか、そして何が原因かを特定するには、以下のステップが重要です:
症状の観察:かゆみの部位、季節性、食事との関連を記録
早期受診:症状が軽いうちに獣医師に相談
適切な検査:血液検査や除去食試験を組み合わせて原因を特定
継続的な管理:原因に応じた対策を継続
アレルギーは完治が難しい疾患ですが、原因を特定し適切に対処することで、愛犬のかゆみを大幅に軽減できます。サーカス動物病院でも述べられているように、アレルギー治療には獣医師との密な連携と飼い主さんの根気が必要です。
愛犬がかゆみから解放され、快適に過ごせる日々を取り戻すために、ぜひ今日から行動を始めてみてください。






