はじめに
愛嬌たっぷりの表情と、クリクリとした大きな瞳が魅力的なパグ。その特徴的な「鼻ぺちゃ」顔は多くの人を魅了していますが、実はこの可愛らしい外見が、パグ特有の健康リスクを抱える原因にもなっています。

パグは「短頭種」と呼ばれる犬種に分類され、鼻が極端に短く、顔が平たい構造をしています。この身体的特徴により、呼吸器系のトラブルや熱中症のリスクが他の犬種と比較してはるかに高くなります。短頭種気道症候群について - アニコム動物病院によると、パグを含む短頭種の94%が何らかの呼吸器系の問題を抱えているとされています。
この記事では、パグを飼う上で必ず知っておきたい呼吸器の問題と暑さ対策🛒について、詳しく解説していきます。パグの健康を守るために、飼い主として何ができるのか、一緒に学んでいきましょう。
犬種選びに迷っている方は、初心者向け!飼いやすい犬種ベスト10もご覧ください。
パグの基本的な特徴と性格

パグの身体的特徴
パグは小型犬に分類され、成犬の体重は6~8kg、体高は25~28cm程度です。最も特徴的なのは、その平らな顔と短い鼻、深いシワ、そして大きく丸い瞳です。被毛は短く滑らかで、フォーン(薄茶色)やブラック(黒)などのカラーがあります。尾は特徴的な「カールテール」で、背中にくるりと巻いています。
パグの性格
パグの性格と飼い方 - ペットニュースストレージによると、パグは陽気で人懐っこく、飼い主さんと遊ぶのが大好きな性格です。攻撃性が少なく、警戒心や恐怖によって吠えたり噛み付いたりすることが少ない、穏やかな気質を持っています。
一方で、頑固で自立心旺盛な一面も持ち合わせています。また、寂しがり屋で留守番は苦手という特徴もあります。吠えることが少なく鳴き声も小さいため、マンションなどの集合住宅で暮らしている人にも適しています。
パグは落ち着いていて攻撃性が低いので、初心者でも比較的扱いやすいとされています。小型犬と中型犬の特徴を知りたい方は、小型犬・中型犬・大型犬:サイズ別の特徴と選び方をご参照ください。
短頭種気道症候群とは?パグの呼吸器問題
短頭種気道症候群の概要
パグが抱える最も深刻な健康問題の一つが「短頭種気道症候群(BOAS:Brachycephalic Obstructive Airway Syndrome)」です。これは、パグ、フレンチ・ブルドッグ、ブルドッグ、ボストンテリア、シーズー、ペキニーズなどの短頭種に特有の呼吸器疾患です。
短頭種は品種改良の過程で鼻が短くなりすぎた結果、気道に様々な構造的異常が生じています。短頭種気道症候群について - アニコム動物病院の情報によると、この症候群には以下の4つの主要な構造異常が含まれます。
短頭種気道症候群の4つの構造異常
| 異常の種類 | 説明 | 症状への影響 |
|---|---|---|
| 外鼻孔狭窄 | 鼻の穴が生まれつき狭い | 空気の取り込み量が減少 |
| 軟口蓋過長 | 喉の奥の柔らかい部分が長すぎる | 気道を塞ぎ、呼吸を妨げる |
| 喉頭小嚢の外反 | 喉頭の内側の組織が突出する | さらに気道を狭める |
| 気管低形成 | 気管が生まれつき細い | 空気の通り道が狭い |
典型的な症状
短頭種気道症候群を持つパグには、以下のような症状が現れます:
ガーガー、ブーブーという呼吸音:常に苦しそうな呼吸をしている
努力呼吸:呼吸するために普通の犬より多くの力を使う必要がある
いびき:寝ている時に大きないびきをかく
運動不耐性:少し運動しただけで疲れやすい
興奮時の呼吸困難:興奮すると呼吸がさらに苦しくなる
チアノーゼ:重症の場合、舌や歯茎が紫色になる
発症時期と治療
早い子では生後2、3か月から症状が出始めます。研究によると、短頭種気道症候群の症例の94%では、鼻孔拡張、軟口蓋切除、喉頭小嚢切除の3つの手術によって症状が改善されることが分かっています。
早期に手術を行うことで、より良い結果が得られるため、パグを飼う際は子犬の時期から呼吸の様子をよく観察し、気になる症状があれば早めに獣医師に相談することが重要です。
他の鼻ぺちゃ犬種については、フレンチブルドッグの魅力と飼育の注意点もご覧ください。
パグが抱える熱中症の高リスク
なぜパグは熱中症になりやすいのか
パグの暑さ対策と熱中症の症状 - パグーグルによると、パグは犬種の中でも特に熱中症にかかりやすい犬種です。その理由は以下の通りです:
1. 体温調節機能の低下 犬は汗腺がほとんどなく、主に舌からの蒸発(パンティング)で体温を下げます。しかし、パグは鼻が短く口腔の面積が狭いため、唾液を気化して熱を逃がすのが非常に苦手です。
2. 呼吸効率の低下 短頭種気道症候群により、そもそも呼吸自体が効率的にできていないため、体温調節のための呼吸がさらに困難になります。
3. 体の構造 パグは比較的筋肉質で体重があるため、体が熱を持ちやすい🛒傾向があります。
パグの適温と温度管理
パグの温度管理と季節別対策ガイドによると、パグにとっての適温はおよそ20~27度です。室温は27度以下をキープすることが重要で、理想的には温度26℃、湿度50%程度を維持することが推奨されています。
熱中症の症状チェックリスト
パグが熱中症になると、以下のような症状が現れます:
✓ 激しいパンティング(ハァハァという呼吸)
✓ 弱々しく疲れきった様子
✓ ドロッとした粘り気のあるよだれ
✓ フラフラとした不安定な歩き方
✓ 舌や歯茎の色の変化(通常のピンク色ではなく、真っ赤や青白く変色)
✓ 嘔吐や下痢
✓ 意識障害や痙攣(重症の場合)
これらの症状が見られたら、すぐに体を冷やしながら動物病院に連絡してください。熱中症は命に関わる緊急事態です。
暑さに弱い犬種は他にもいます。詳しくはブルドッグの暑さ弱点と適切な飼育環境をご覧ください。
効果的な暑さ対策:夏を安全に乗り切る方法
室内環境の整備
エアコンの適切な使用 パグを飼う家庭では、夏場のエアコンは必須です。外出時も必ずエアコンをつけたままにしてください。室温は26~27度、湿度は50%程度を目安に設定しましょう。
冷却グッズの活用
ペット用冷感マット🛒:床に敷いて使用。ひんやりして気持ちいい
ネッククーラー:首元を冷やして体温を下げる。パグのトレーニングと飼い方のコツ - イオンペットでも推奨されている
冷却ベスト:散歩時に着用すると効果的
凍らせたペットボトル:タオルで巻いて設置
換気と日除け 直射日光が当たる場所には遮光カーテンやすだれを設置し、室内温度の上昇を防ぎましょう。ただし、エアコンなしで換気だけでは不十分です。
散歩の時間と方法
散歩のタイミング 夏の炎天下でのお散歩は、パグにとって非常に危険です。散歩は必ず以下の時間帯に行いましょう:
早朝:日の出後の涼しい時間(5:00~7:00頃)
夜間:日没後、アスファルトが冷めてから(20:00以降)
アスファルトの温度チェック 散歩前に必ず手の甲でアスファルトを触って温度を確認してください。5秒以上触っていられないほど熱い場合は、パグの足の裏が火傷する危険があるため散歩を中止しましょう。
散歩の長さと強度 パグは1日20~30分の散歩を1回~2回行うことが推奨されていますが、夏場は短めに調整しましょう。15分程度でも構いません。無理は禁物です。
持ち物リスト
冷たい飲み水(多めに)
携帯用水飲みボウル
ネッククーラー
タオル(濡らして使える)
保冷剤
懐中電灯(夜間散歩用)
水分補給と食事管理
常に新鮮な水を 複数の場所に水飲み場を設置し、いつでも新鮮な水が飲めるようにしましょう。夏場は水が温まりやすいので、氷を入れるか、頻繁に交換してください。
食事の工夫 パグは食いしん坊で肥満になりやすい犬種です。肥満は熱中症のリスクをさらに高めるため、適正体重を維持することが非常に重要です。
夏場は食欲が落ちる場合もありますが、水分補給だけは欠かさないようにしてください。ウェットフード🛒を混ぜると水分摂取量を増やせます。
犬の食事管理については、犬の健康的な食事:栄養バランスとフード選びも参考にしてください。
パグの日常ケアと健康管理
顔のシワのケア
パグの特徴的な顔のシワは可愛らしいですが、適切なケアを怠ると皮膚炎の原因になります。
シワの清掃方法
濡らしたコットン🛒やガーゼで、シワの間を優しく拭く
汚れや湿気を取り除く
乾いた清潔な布で水分をしっかり拭き取る
必要に応じて、獣医師が推奨するワイプやクリームを使用
頻度 できるだけ毎日、最低でも週1回はシワの間を拭いてあげましょう。シワの間にたまった汚れを放置すると、皮膚炎や悪臭の原因となります。
定期的な健康チェック
パグがなりやすい病気 - ペッツファーストによると、パグは以下の疾患にかかりやすいとされています:
| 疾患名 | 説明 | 予防・対策 |
|---|---|---|
| 短頭種気道症候群 | 呼吸器系のトラブル | 早期発見・手術 |
| パグ脳炎 | 壊死性髄膜脳炎 | 定期検診で早期発見 |
| 皮膚炎 | 顔のシワの汚れが原因 | 毎日のシワ清掃 |
| 外耳炎 | 耳の感染症 | 定期的な耳掃除 |
| 眼疾患 | 角膜潰瘍など | 目の異常をチェック |
| 肥満 | 食べ過ぎが原因 | 食事と運動の管理 |
定期検診の重要性 パグの平均寿命は12.8歳ですが、適切なケアにより健康寿命を延ばすことができます。最低でも年に1回、できれば年に2回は動物病院で健康診断を受けましょう。
体重管理
パグは食いしん坊で肥満になりやすい体質です。適正体重を維持することは、呼吸器の負担を減らし、熱中症のリスクを下げるためにも非常に重要です。
適正体重の目安
オス:6.3~8.1kg
メス:6.3~8.1kg
月に1回は体重を測定し、急激な増減がないかチェックしましょう。
他の小型犬の健康管理については、チワワの健康管理:小さな体を守るケア方法も参考になります。
パグのしつけとトレーニング
パグに適したしつけ方法
パグは傷つきやすく優しい性格のため、きつい叱り方は適していません。褒めると伸びるタイプなので、できたことはどんどん褒めてあげましょう。
基本的なしつけのポイント
✓ ポジティブな強化(褒める・ご褒美)を中心に
✓ 短時間(5~10分)の集中トレーニング
✓ 一貫性のあるコマンドと対応
✓ 興奮を抑えるトレーニング(「待て」「ふせ」など)
避けるべきこと
✗ 大声で叱る
✗ 体罰
✗ 長時間のトレーニング
✗ 不一致なルール
社会化トレーニング
子犬期(生後3週~14週)は社会化の重要な時期です。様々な人、動物、環境に慣れさせることで、落ち着いた成犬に育ちます。
ただし、パグは呼吸器が弱いため、ドッグランでの激しい遊びは短時間にとどめ、頻繁に休憩を取らせてあげてください。
犬のしつけ全般については、犬のしつけ基本ガイド:トイレから社会化までをご覧ください。
パグを飼う前に知っておきたいこと
パグ飼育に適した環境
住環境
マンションやアパートでも飼いやすい(無駄吠えが少ない)
エアコン設備が必須
室内飼いが基本(外飼いは不可)
家族構成
在宅時間が長い家庭が理想(留守番が苦手)
小さな子どもがいる家庭でも比較的飼いやすい
高齢者でも飼育可能(ただし暑さ対策の管理が必要)
費用面の考慮
パグを飼う際には、以下のような費用がかかります:
初期費用
子犬の購入費:20万~40万円
ワクチン・健康診断:3万~5万円
飼育用品(ケージ🛒、トイレ、食器など):3万~5万円
月々の費用
フード代:5,000~8,000円
ペット保険:3,000~5,000円
トリミング・ケア用品:2,000~3,000円
医療費
定期健診:5,000~10,000円(年1~2回)
短頭種気道症候群の手術:20万~40万円(必要な場合)
緊急医療:状況により変動
ペット保険の加入を強くお勧めします。特にパグは医療費がかかりやすい犬種です。
パグ飼育に向いている人・向いていない人
向いている人
✓ 在宅時間が長い
✓ 夏場のエアコン使用に抵抗がない
✓ 医療費の負担を覚悟している
✓ 犬の呼吸音が気にならない
✓ 毎日のケアを楽しめる
向いていない人
✗ 長時間の留守が多い
✗ エアコンの電気代が気になる
✗ アクティブなアウトドア活動を犬と楽しみたい
✗ 医療費をかけたくない
✗ 手のかからない犬が欲しい
犬種選びで迷っている方は、犬種選びで後悔しないためのチェックリストも参考にしてください。
まとめ:パグとの幸せな生活のために
パグは、その愛らしい外見と陽気な性格で多くの人を魅了する素晴らしい犬種です。しかし、短頭種特有の健康リスクを理解し、適切なケアを行うことが、パグとの幸せな生活には不可欠です。
この記事の重要ポイント
呼吸器の問題:パグの94%が短頭種気道症候群を抱えている。早期発見と適切な治療が重要。
熱中症対策:パグは熱中症に極めて弱い。室温管理(26~27度)とエアコンは必須。
散歩の工夫:夏場は早朝か夜間に短時間の散歩を。アスファルト🛒の温度に注意。
日々のケア:顔のシワの清掃、体重管理、定期健診を欠かさずに。
優しいしつけ:褒めて伸ばすポジティブな方法で。
パグを家族に迎える際は、これらの特性を十分に理解し、長期的なケアの覚悟を持つことが大切です。適切なケアを行えば、パグは12年以上も愛らしい笑顔であなたを癒してくれる最高のパートナーになるでしょう。
他の犬種と比較検討したい方は、犬種図鑑:あなたにぴったりの犬種を見つけるのピラー記事もぜひご覧ください。
愛情と責任を持って、パグとの素晴らしい生活をお楽しみください!






