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愛犬の健康を守る病気予防と早期発見

咳が止まらない!ケンネルコフの症状と対処

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愛犬が突然「ゲホゲホ」「カッカッ」と咳き込み始めたら、飼い主として心配になりますよね。その咳、ケンネルコフ(犬伝染性気管気管支炎)かもしれません。

ケンネルコフは犬の「風邪」とも呼ばれる伝染性の呼吸器疾患で、特にペットショップやペットホテルから迎えたばかりの子犬に多く見られます。多くの場合は1〜2週間で自然に回復しますが、子犬やシニア犬🛒では重症化するケースもあるため、正しい知識を持っておくことが大切です。

この記事では、ケンネルコフの症状の見分け方、原因となる病原体、家庭での対処法、そして効果的な予防策を詳しく解説します。愛犬の健康管理について詳しくは「愛犬の健康を守る病気予防と早期発見」もあわせてご覧ください。

ケンネルコフとは?犬の「風邪」を正しく理解する

ケンネルコフ(Kennel Cough)は、正式には犬伝染性気管気管支炎と呼ばれる感染症です。「ケンネル(kennel)」は犬舎や犬小屋、「コフ(cough)」は咳を意味し、文字通り「犬舎で広がる咳の病気」という名前がついています。

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犬伝染性気管気管支炎(Wikipedia)によると、この病気は種々のウイルスや細菌などの感染を原因とする伝染性の強い呼吸器疾患であり、単一の病原体ではなく複数の微生物が関与しています。

人間の風邪と似ている点として、咳やくしゃみ、鼻水などの症状が出ること、飛沫感染で広がること、そして多くの場合は安静にしていれば自然に回復することが挙げられます。一方で、原因となる病原体は人間の風邪ウイルスとは異なるため、犬から人への感染は極めてまれです。

ケンネルコフの原因:ウイルスと細菌の複合感染

主な病原体

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ケンネルコフの原因となる病原体は複数存在し、多くの場合は単独ではなく複合感染によって発症します。共立製薬の解説によると、主な病原体には以下のものがあります。

ボルデテラ・ブロンキセプチカ(Bordetella bronchiseptica)は、ケンネルコフの原因として最も重要な細菌です。気管支敗血症菌とも呼ばれ、この細菌の感染がある場合、症状が重症化しやすいことが知られています。

犬パラインフルエンザウイルス(CPIV)は、呼吸器症状を引き起こすウイルスで、感染した犬の咳やくしゃみを介して広がります。混合ワクチンで予防が可能な病原体の一つです。

犬アデノウイルス2型(CAV-2)も、ケンネルコフの原因ウイルスとして知られています。こちらも混合ワクチンに含まれており、予防接種で対策できます。

その他にも、犬ジステンパーウイルス、犬ヘルペスウイルス、マイコプラズマなど、多くの病原体が関与することがあります。

感染経路

ケンネルコフは非常に感染力が強く、主に飛沫感染接触感染によって広がります。アメリカ獣医師会(AVMA)の情報によると、感染犬の咳やくしゃみによる飛沫、鼻と鼻の直接接触、食器🛒や水飲み場の共有などが感染経路となります。

特に感染リスクが高い場所としては、以下が挙げられます。

  • ペットショップやブリーダー

  • ペットホテルや預かり施設

  • ドッグランや公園

  • トリミングサロン

  • 動物病院の待合室

  • しつけ教室やドッグショー

これらの場所では多くの犬が集まるため、1頭が感染していると急速に広がる可能性があります。

ケンネルコフの症状:こんなサインが出たら要注意

特徴的な咳の音

ケンネルコフの最も特徴的な症状は、独特の咳です。メルク獣医マニュアルでは、この咳を「ガチョウの鳴き声(goose honk)のような音」と表現しています。

具体的には以下のような特徴があります。

  • 乾いた「ガハッ」「ケホケホ」という短い咳

  • 喉に何か詰まったような咳き込み

  • 咳の後に「オエッ」と吐くような仕草(実際には吐かないことが多い)

  • 喉を軽く触ると咳が誘発される

潜伏期間は3〜10日程度で、感染してから数日後に症状が現れ始めます。

軽症の場合

多くのケンネルコフは軽症で済み、以下のような症状が見られます。

  • 1日に数回程度の乾いた咳

  • 元気・食欲は普段通り

  • 発熱があっても微熱程度

  • 軽い鼻水や目やに

軽症の場合、特別な治療をしなくても1〜2週間で自然に回復することがほとんどです。

重症化のサイン(すぐ病院へ)

PS保険の解説によると、以下のような症状が見られた場合は重症化している可能性があり、すぐに動物病院🛒を受診する必要があります。

  • 元気・食欲の著しい低下

  • 高熱(39.5℃以上)

  • 黄色〜緑色の膿のような鼻水

  • 呼吸が荒い、苦しそう

  • ぐったりしている

これらは細菌による二次感染や肺炎を起こしている可能性を示すサインです。特に子犬やシニア犬では重症化しやすいため、早めの対応が重要です。緊急時の対応については「犬の緊急事態:応急処置と命を守る知識」も参考にしてください。

かかりやすい犬:リスクが高いのは?

ロイヤルカナンの情報によると、ケンネルコフにかかりやすい犬には以下のような特徴があります。

子犬(6週齢〜6か月齢)は、免疫系がまだ十分に発達していないため、感染リスクが高く、重症化もしやすい傾向があります。特にペットショップやブリーダーから迎えたばかりの子犬は要注意です。子犬を迎える際の注意点については「子犬との幸せな暮らし方」で詳しく解説しています。

シニア犬🛒も、加齢による免疫力の低下から感染リスクが高まります。

ストレスを受けた犬は、環境の変化や移動、長時間の移送などでストレスを受けると免疫力が低下し、発症しやすくなります。

慢性疾患を持つ犬は、心臓病や呼吸器疾患などの基礎疾患があると、ケンネルコフが重症化するリスクが高まります。

動物病院での診断と治療

診断方法

ケンネルコフの診断は、主に問診と身体検査によって行われます。獣医師は咳の特徴、発症時期、他の犬との接触歴などを確認します。

動画を撮っておくことをおすすめします。愛犬が咳をしているタイミングは病院では出ないことも多いため、自宅で咳をしている様子を動画で撮影しておくと、より正確な診断に役立ちます。

重症の場合や他の病気との鑑別が必要な場合は、レントゲン検査や血液検査が行われることもあります。検査結果の見方については「血液検査の結果の見方:数値が意味すること」をご参照ください。

治療法

ヒルズペットによると、ケンネルコフの治療は症状の程度によって異なります。

軽症の場合は、安静にして経過観察するか、咳を抑える鎮咳薬が処方されることがあります。多くは1〜2週間で自然に回復します。

細菌感染が疑われる場合は、抗生物質(ドキシサイクリンなど)が処方されます。膿のような鼻水や発熱がある場合に使用されることが多いです。

重症の場合は、ネブライザー療法(霧状にした薬を吸入する治療)が行われることがあります。呼吸困難がある場合は入院治療が必要になることもあります。

家庭でできる対処法と看護のポイント

安静と環境づくり

ケンネルコフの回復には安静が重要です。以下のポイントを心がけましょう。

  • 興奮させない:激しい運動や遊びは避け、静かに過ごさせる

  • 室温・湿度の管理:乾燥は咳を悪化させるため、加湿器などで適度な湿度を保つ

  • 首輪からハーネスへ:首輪は気管を刺激するため、散歩時はハーネスを使用する

  • 煙やホコリを避ける:タバコの煙や掃除機のホコリなど、気道を刺激するものを避ける

栄養と水分

病気の回復には十分な栄養と水分が欠かせません。

  • 食欲がない場合は、ぬるま湯でふやかしたフードや、消化の良いウェットフード🛒を試してみましょう

  • 十分な水分補給を心がけ、新鮮な水をいつでも飲めるようにしておく

  • 免疫力を高める食事を意識し、栄養バランスの取れた食事を与える

免疫力を高める方法については「免疫力アップ!病気に負けない体づくり」で詳しく解説しています。

他の犬への感染防止

ケンネルコフは非常に感染力が強いため、他の犬への感染防止も重要です。

  • 発症後2週間は、症状が治まっても他の犬との接触を避ける

  • 多頭飼いの場合は、可能であれば感染犬を隔離する

  • 使用した食器、寝具、おもちゃは消毒する

  • ドッグランやペットホテルの利用は控える

ケンネルコフの予防:ワクチン接種が鍵

混合ワクチンで予防できる病原体

ケンネルコフの原因となる病原体の一部は、混合ワクチンで予防することができます。

  • 犬パラインフルエンザウイルス

  • 犬アデノウイルス2型

  • 犬ジステンパーウイルス

これらは4種、5種、6種、8種などの混合ワクチンに含まれています。ワクチンの種類選びについては「混合ワクチンの種類:5種・8種どれを選ぶ?」で詳しく解説しています。

ボルデテラ専用ワクチン

混合ワクチンとは別に、ボルデテラ菌に対する専用ワクチンも存在します。

  • 経鼻ワクチン:鼻に直接噴霧するタイプ

  • 注射タイプ:皮下注射で接種

ドッグラン🛒やペットホテルを頻繁に利用する犬、ドッグショーに参加する犬など、感染リスクの高い犬には、このワクチンの接種が推奨されることがあります。獣医師に相談してみましょう。

ワクチン接種のタイミング

ワクチン接種は適切なタイミングで行うことが重要です。

子犬の場合は、生後8週齢頃から接種を開始し、2〜4週間隔で複数回接種します。母犬からもらった移行抗体が徐々に減少する時期に合わせて接種することで、確実に免疫を獲得できます。

成犬の場合は、年1回の追加接種が推奨されています。年間の予防医療スケジュールについては「年間スケジュール表:予防医療カレンダー」をご覧ください。

ただし、ワクチンを接種していても完全に予防できるわけではありません。原因となる病原体が多いため、ワクチンでカバーできないものもあります。それでも、接種しておくことで重症化を防ぐ効果が期待できます。

よくある質問(FAQ)

Q: ケンネルコフは人にうつりますか?

基本的に、犬のケンネルコフが人間に感染することは極めてまれです。原因となる病原体のほとんどは、人には感染しないか、感染しても発症しにくいものです。

ただし、ボルデテラ菌は免疫力が著しく低下している人(免疫抑制剤を使用中の方、HIV感染者など)には感染する可能性がゼロではありません。心配な場合は、手洗いを徹底し、犬の咳を直接浴びないように注意しましょう。

Q: 猫にうつりますか?

犬パラインフルエンザウイルスや犬アデノウイルスは、猫には感染しません。しかし、ボルデテラ菌は猫にも感染する可能性があります。

犬がケンネルコフにかかった場合、同居の猫が咳をし始めたら、念のため獣医師に相談することをおすすめ🛒します。

Q: ワクチンを打っていても感染しますか?

はい、ワクチンを打っていても感染する可能性はあります。ケンネルコフの原因となる病原体は非常に多く、すべてをワクチンでカバーすることはできません。

しかし、ワクチン接種によって主要な病原体に対する免疫を獲得できるため、感染しても軽症で済む、または重症化を防ぐ効果が期待できます。予防接種は引き続き重要な対策です。

まとめ:早期発見と適切な対応がカギ

ケンネルコフは、犬にとって非常に一般的な感染症です。多くの場合は1〜2週間で自然に回復する軽い病気ですが、適切な知識を持っておくことで、愛犬の不調に早く気づき、重症化を防ぐことができます。

覚えておきたいポイント

  • 「ガチョウの鳴き声」のような特徴的な咳がサイン

  • 子犬やシニア犬は重症化しやすいので要注意

  • 軽症なら安静にして1〜2週間で回復

  • 元気・食欲の低下、膿のような鼻水、呼吸困難があれば即受診

  • 混合ワクチンの定期接種で予防と重症化防止

  • 感染中は他の犬との接触を2週間避ける

愛犬の咳が気になったら、まずは動画を撮影して、早めに動物病院を受診しましょう。日頃からの健康管理と予防接種で、愛犬を病気から守りましょう。

愛犬の健康を守るための総合的な情報は「愛犬の健康を守る病気予防と早期発見」でも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

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