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血液検査の結果の見方:数値が意味すること

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愛犬が健康診断で血液検査を受けた後、渡された結果表を見て「この数値は何を意味しているのだろう?」と疑問に思ったことはありませんか。ALT、BUN、クレアチニンといった専門用語が並び、高い・低いと言われても、それが愛犬の体にどのような影響があるのか分かりにくいものです。

この記事では、犬の血液検査結果の見方を詳しく解説します。検査項目ごとの数値の意味、正常値と異常値の違い、そして異常が見つかった場合の対処法まで、飼い主として知っておきたい情報をまとめました。血液検査の結果を理解することで、獣医師との会話がスムーズになり、愛犬の健康管理に役立てることができます。

血液検査の2つの種類

犬の血液検査には、大きく分けて2つの種類があります。それぞれ調べる内容が異なり、両方を組み合わせ🛒ることで愛犬の健康状態を総合的に把握できます。

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CBC検査(血球検査)

CBC検査は「Complete Blood Count」の略で、血液中の細胞成分を調べる検査です。赤血球、白血球、血小板の数や状態を測定し、貧血、感染症、炎症、出血傾向などの有無を確認します。みんなのどうぶつ病気大百科によると、この検査は愛犬の免疫状態や血液の健康度を知る基本的な検査として位置づけられています。

血液化学検査

血液化学検査は、血液中の酵素やタンパク質、電解質などを測定する検査です。肝臓、腎臓、膵臓などの内臓機能を評価でき、臓器に異常がないかを調べます。「Chem10」「Chem17」「Chem25」など、測定項目数によって複数のパネルがあります。

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健康診断では、これら2つの検査を組み合わせて行うことが一般的です。CBC検査で血液そのものの状態を、血液化学検査で臓器の機能を調べることで、愛犬の体の状態を包括的に評価できます。

CBC検査(血球検査)の項目と数値の意味

CBC検査では、血液を構成する3種類の細胞について詳しく調べます。AAHA(米国動物病院協会)の解説を参考に、それぞれの検査項目について説明します。

赤血球系の検査項目

赤血球は体中に酸素を運ぶ役割を担っています。以下の項目で赤血球の状態を評価します。

赤血球数(RBC) 血液1マイクロリットル中の赤血球の数を測定します。犬の正常値は一般的に550万〜850万/μL程度です。低い場合は貧血、高い場合は脱水や多血症が疑われます。

ヘマトクリット値(HCT) 血液全体に占める赤血球の割合を示します。犬では35〜55%程度が正常値とされています。この数値が低いと貧血、高いと脱水を示唆します。

ヘモグロビン濃度(Hb) 赤血球内で酸素を運ぶタンパク質の量を測定します。ヘマトクリット値と併せて貧血の程度を評価します。

白血球系の検査項目

白血球は体を感染から守る免疫システムの中心的な役割を果たしています。

白血球数(WBC) 白血球の総数を測定します。犬の正常値は5,500〜16,900/μL程度です。高い場合は感染症や炎症、ストレス🛒、まれに白血病が疑われます。低い場合は免疫力の低下や特定のウイルス感染が考えられます。

白血球分画 白血球にはいくつかの種類があり、それぞれの割合を調べることで、どのような異常が起きているかを推測できます。

  • 好中球:細菌感染と戦う主力。増加は細菌感染やストレスを示唆

  • リンパ球:ウイルス感染や免疫反応に関与。増減で様々な状態を推測

  • 単球:慢性感染症や炎症で増加

  • 好酸球アレルギー🛒や寄生虫感染で増加

  • 好塩基球:アレルギー反応に関与

血小板の検査

血小板数 血小板は出血を止める働きがあります。犬の正常値は17.5万〜50万/μL程度です。数が少ないと出血しやすくなり、あざができやすい、歯茎から出血するなどの症状が現れることがあります。免疫介在性血小板減少症やダニ媒介性疾患などで減少することがあります。

血液化学検査の項目と数値の意味

血液化学検査では、各臓器から放出される酵素や代謝産物を測定することで、臓器の機能を評価します。ドクターオザワ動物病院Veterinary Partnerの情報を参考に、主要な検査項目を解説します。

肝臓機能の検査項目

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、かなり機能が低下するまで症状が現れにくい特徴があります。血液検査で早期に異常を発見することが重要です。詳しくは犬の肝臓病についてもご参照ください。

ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)/ GPT 肝細胞に最も多く含まれる酵素で、肝細胞がダメージを受けると血液中に放出されます。犬の正常値は10〜125 U/L程度です。数値が高い場合、肝炎、肝臓腫瘍、薬剤性肝障害などが疑われます。

AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)/ GOT 肝臓だけでなく、心筋や骨格筋にも存在する酵素です。ALTと併せて評価することで、肝臓の異常か筋肉の異常かを判断する手がかりになります。

ALP(アルカリホスファターゼ) 肝臓、骨、腸など様々な組織に存在する酵素です。犬では特に胆汁の流れに問題がある場合や、ステロイド薬の投与、クッシング症候群などで上昇します。成長期の若い犬では骨の成長に伴い高値を示すことがあります。

GGT(ガンマグルタミルトランスペプチダーゼ) 主に胆管系の状態を反映する酵素です。ALPと同様に胆汁うっ滞で上昇します。

腎臓機能の検査項目

腎臓は老廃物を濾過して尿として排出する重要な臓器です。腎臓病は特に高齢犬で多く、食事療法が重要になります。

BUN(血中尿素窒素) タンパク質が分解されてできる老廃物で、腎臓から排出されます。犬の正常値は7〜27 mg/dL程度です。高い場合は腎機能低下、脱水、高タンパク🛒食、消化管出血などが考えられます。

クレアチニン(Cre) 筋肉の代謝産物で、腎臓から排出されます。犬の正常値は0.5〜1.8 mg/dL程度です。BUNと異なり食事の影響を受けにくいため、より正確に腎機能を評価できます。

SDMA(対称性ジメチルアルギニン) 比較的新しい腎臓マーカーで、従来のBUNやクレアチニンよりも早い段階で腎機能低下を検出できます。腎機能が40%低下した段階で上昇し始めるため、早期発見に有用です。

その他の重要な検査項目

血糖値(Glu) 血液中のブドウ糖の濃度を測定します。犬の正常値は74〜143 mg/dL程度です。高値が持続する場合は糖尿病が疑われます。低値は膵臓腫瘍や敗血症で見られることがあります。なお、緊張やストレスで一時的に上昇することもあります。

アルブミン(Alb) 肝臓で作られるタンパク質で、血液中の水分を保持する働きがあります。犬の正常値は2.3〜4.0 g/dL程度です。低下すると浮腫や腹水の原因となります。肝臓病、腎臓病、腸の病気、栄養不良などで低下します。

カルシウム🛒(Ca)とリン(P) 骨や神経、筋肉の機能に重要なミネラルです。バランスが崩れると様々な症状が現れます。特に腎臓病ではリンが上昇しやすく、管理が必要です。

CRP(C反応性タンパク) 急性炎症で上昇するマーカーです。体のどこかで炎症が起きているサインですが、部位の特定はできないため、他の検査と組み合わせて評価します。

検査結果の正常値と個体差

血液検査の結果を見る際に重要なのは、「正常値」が絶対的なものではないということです。アニホック動物病院でも解説されているように、いくつかの要因で基準値は変動します。

犬種・年齢・性別による違い

血液検査の正常値は、犬種によって異なることがあります。例えば、グレーハウンドは他の犬種よりもヘマトクリット値が高い傾向があります。また、子犬と成犬、シニア犬では正常値の範囲が異なることがあります。

「その子の基準値」を知る重要性

同じ犬種でも、個体によって数値の傾向は異なります。ある犬では正常範囲の下限付近が通常であっても、別の犬では上限付近が通常ということがあります。そのため、健康な時から定期的に血液検査を受けて、愛犬の「ベースライン」を把握しておくことが大切です。

検査結果表の見方

動物病院から渡される検査結果表では、通常、各項目の横に正常範囲が記載されています。正常範囲を外れた数値は太字で表示されたり、「H」(高値)「L」(低値)などの記号が付けられたりすることが一般的です。

ただし、正常範囲を少し外れただけでは、必ずしも病気とは限りません。総合的に判断することが重要で、気になる🛒点は獣医師に質問することをお勧めします。

血液検査を受けるタイミングと頻度

犬の健康診断において、血液検査は重要な位置を占めています。犬との暮らし大百科によると、以下のような頻度が推奨されています。

年齢別の推奨頻度

年齢推奨頻度理由
6歳まで年1回基本的な健康状態の確認とベースライン把握
7〜10歳年2回シニア期に入り、病気のリスクが高まるため
11歳以上年3〜4回老化が進み、より細やかな観察が必要

大型犬は小型犬よりも老化が早いため、5歳頃から年2回の検査を検討してもよいでしょう。

検査前の準備

血液化学検査の精度を高めるため、検査前に12時間程度の絶食が必要な場合があります。水は通常飲んでも構いません。事前に動物病院に確認しましょう。

費用の目安

血液検査の費用は病院や検査項目によって異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。

  • CBC検査のみ:1,000円〜3,000円

  • 血液化学検査:1項目あたり500円〜800円

  • 総合的な血液検査:5,000円〜10,000円

なお、健康診断目的の血液検査はペット保険の対象外となることが多いです。

異常値が出た場合の対処法

血液検査で異常値が出た場合、すぐに重大な病気と結びつける必要はありません。愛犬の健康を守るためには、冷静に対処することが大切です。

一時的な異常と継続的な異常

血液検査の数値は、採血時の状況によって変動することがあります。

  • ストレス🛒や興奮:白血球数や血糖値が一時的に上昇

  • 食事:血糖値や中性脂肪が上昇

  • 脱水:ヘマトクリット値やBUNが上昇

  • 激しい運動後:筋肉酵素(ASTなど)が上昇

これらの一時的な変動と、病気による持続的な異常を区別するために、再検査が行われることがあります。

再検査と追加検査

異常値が見つかった場合、獣医師は以下のような対応を取ることがあります。

  1. 再検査:条件を変えて(絶食後など)再度血液検査を実施

  2. 追加の血液検査:より詳細な項目を調べる

  3. 画像診断:レントゲンやエコー検査で臓器の状態を確認

  4. 尿検査:腎臓機能をより詳しく評価

獣医師と相談すべきこと

検査結果について疑問があれば、遠慮なく獣医師に質問しましょう。

  • この数値は何を意味しているのか

  • 今後どのような経過観察が必要か

  • 日常生活で気をつけることはあるか

  • 食事や運動の制限は必要か

  • 次の検査はいつ受けるべきか

まとめ:血液検査を味方につける

血液検査は、愛犬の体の中で起きていることを知るための重要な「窓」です。検査結果の見方を理解することで、獣医師との会話がスムーズになり、愛犬の健康管理に主体的に関わることができます。

犬の腎臓病をはじめとする多くの病気は、早期発見・早期治療が予後を大きく左右します。定期的な血液検査で愛犬の健康状態を把握し、小さな変化も見逃さないようにしましょう。

検査結果で気になることがあれば、必ず獣医師に相談してください。数値の意味を正しく理解し、愛犬との健やかな暮らしに役立てていただければ幸いです。

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