「うちの子🛒、ちょっとぽっちゃりしているけど可愛いから大丈夫」——そう思っていませんか?実は、犬の肥満は単なる見た目の問題ではありません。VCA Animal Hospitalsによると、北米では50〜65%の犬が肥満または過体重とされており、これは深刻な健康問題として認識されています。
肥満は「万病のもと」という言葉がありますが、これは犬にも当てはまります。肥満の犬は糖尿病、心臓病、関節炎など、様々な病気のリスクが高まり、寿命さえも縮まる可能性があるのです。この記事では、犬の肥満が引き起こす病気と、その予防法について詳しく解説します。愛犬の健康を守るために、ぜひ最後までお読みください。愛犬の健康を守る病気予防と早期発見の第一歩として、肥満対策は欠かせません。
犬の肥満は「病気」:獣医学会の見解
「太っている」ことが病気だと言われても、ピンとこない方も多いかもしれません。しかし、世界小動物獣医師会(WSAVA)の会議において、犬の肥満は正式に「病気」として分類されました。これは人間における肥満の分類と同様の扱いです。

PMC(米国国立医学図書館)の研究によると、犬の肥満は以下のように定義されています:
| 状態 | 定義 |
|---|---|
| 過体重 | 理想体重の10〜20%超過 |
| 肥満 | 理想体重の20%以上超過 |
例えば、理想体重が10kgの犬の場合、11〜12kgで過体重、12kg以上で肥満となります。この基準は獣医学的な見地から設定されており、健康への悪影響が現れ始める閾値として重要な意味を持ちます。
肥満が「病気」として認識される理由は、それが単独の問題ではなく、慢性炎症状態を引き起こし、様々な二次的疾患の原因となるからです。肥満の犬の体内では、脂肪組織から炎症性物質が持続的に放出され、これが全身の臓器に悪影響を及ぼします。

肥満が犬の寿命を縮める:衝撃の研究結果
「少しくらい太っていても大丈夫」と思っている飼い主さんに、ぜひ知っていただきたい研究結果があります。
American Kennel Club(AKC)が紹介するラブラドール🛒・レトリーバーを対象とした画期的な研究では、適正体重を維持した犬は肥満の犬より平均1.8年長生きしたことが明らかになりました。適正体重グループの寿命中央値は13年、肥満グループは11.2年でした。
さらに、12犬種を対象とした2018年の研究では、過体重の犬は最大2.5年寿命が短くなる可能性があることが示されています。
なぜ肥満が寿命を縮めるのか
肥満が寿命に影響するメカニズムは複合的です:
慢性炎症:脂肪細胞から放出される炎症性物質が全身に悪影響
臓器への負担:心臓、肝臓、腎臓などの主要臓器に過度の負荷
代謝異常:インスリン抵抗性や脂質代謝異常の発生
免疫機能低下:感染症への抵抗力が低下
がんリスク増加:特定のがんの発症率上昇
これらの要因が複合的に作用し、肥満の犬の健康を蝕んでいきます。
犬の肥満が引き起こす7つの深刻な病気
肥満は様々な病気のリスクを高めます。ここでは、特に注意すべき7つの病気について詳しく解説します。
1. 糖尿病:インスリン抵抗性と血糖コントロール不全
肥満の犬で最も懸念される病気の一つが糖尿病です。肥満になると、体内の脂肪細胞が増加し、これがインスリンの働きを妨げる「インスリン抵抗性」を引き起こします。
インスリンは血糖値を下げるホルモンですが、その効きが悪くなると血糖値が上昇し、最終的に糖尿病を発症します。糖尿病の主な症状は:
多飲多尿(水をたくさん飲み、頻繁に排尿する)
体重減少(食べているのに痩せる)
元気がなくなる
白内障の進行
糖尿病は一度発症すると生涯にわたるインスリン注射が必要になることも多く、愛犬にも飼い主🛒にも大きな負担となります。詳しくは多飲多尿は危険信号?犬の糖尿病を知るをご覧ください。
2. 心臓病:心臓への過剰な負担
肥満の犬の心臓は、通常の犬よりもはるかに重労働を強いられています。体重が増えると血液量も増加し、心臓は全身に酸素を送るためにより強く、より頻繁に拍動しなければなりません。
この過剰な負担が続くと:
高血圧の発症
心筋の肥大
うっ血性心不全への進行
うっ血性心不全は、心臓が十分な血液を送り出せなくなる状態で、咳、呼吸困難、運動不耐性などの症状が現れます。治療しなければ命に関わる深刻な状態です。
心臓病の早期発見は非常に重要です。犬の心臓病:早期発見のサインを見逃さないで詳しい症状をチェックしてください。
3. 関節炎・関節疾患:体重が関節を蝕む
肥満が関節に与えるダメージは深刻です。体重が増えると、足腰の関節にかかる負荷が大幅に増加し、関節の軟骨が摩耗していきます。
EPARKペットライフによると、肥満による関節への影響は:
変形性関節症(関節炎)の発症・悪化
椎間板ヘルニアのリスク増加
慢性的な痛みによる生活の質の低下
さらに厄介なのは、関節が痛くなると犬は運動を嫌がるようになり、運動不足によってさらに太るという悪循環に陥ることです。
関節の健康は愛犬の生活の質に直結します。歩き方がおかしい?関節炎と骨の病気で早期発見のポイントを確認しましょう。
4. 呼吸器疾患:息苦しさの原因
肥満の犬は呼吸にも問題を抱えやすくなります。首周りに蓄積した脂肪が気道を圧迫し、呼吸がスムーズに行えなくなるのです。
特に注意が必要なのは短頭種(パグ、フレンチブルドッグ、ブルドッグなど)です。これらの犬種はもともと呼吸器の構造上の問題を抱えていることが多く、肥満によってさらに症状が悪化します。
呼吸器疾患の症状:
いびきの増加
運動時の激しい息切れ
興奮時の呼吸困難
チアノーゼ(舌や歯茎が青紫色になる)
暑い日の体温調節困難
5. 肝臓病(脂肪肝):沈黙の臓器への影響
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、病気が進行するまで症状が現れにくい特徴があります。肥満の犬では、余分な脂肪が肝臓の細胞内に蓄積し、脂肪肝を引き起こします。
脂肪肝が進行すると:
肝機能の低下
解毒能力の低下
重症化すると肝硬変へ進行
初期症状がほとんどないため、定期的な血液検査による肝機能チェック🛒が重要です。沈黙の臓器・肝臓:犬の肝臓病を見抜くで詳細を確認してください。
6. 腎臓病:慢性炎症がもたらす影響
肥満は腎臓にも悪影響を及ぼします。肥満状態で生じる慢性炎症は、腎臓の糸球体(血液をろ過する部分)にダメージを与え、腎機能を低下させます。
腎臓病は進行すると元に戻らないため、予防と早期発見が非常に重要です。腎臓病になった場合は、特別な食事療法が必要になります。腎臓病の犬に最適な食事療法とはを参考にしてください。
7. がん:肥満と腫瘍の関係
肥満と特定のがんとの関連性も研究で示されています。肥満状態で生じる慢性炎症は、細胞のDNA損傷や異常増殖を促進し、がんの発症リスクを高める可能性があります。
特に肥満との関連が指摘されているがんには:
乳腺腫瘍
膀胱がん
特定の皮膚がん
がんは早期発見・早期治療が重要です。犬のがん:種類別の症状と治療オプションで詳しい情報をご確認ください。
愛犬は肥満?BCS(ボディコンディションスコア)でチェック
愛犬が肥満かどうかを判断するには、BCS(ボディコンディションスコア)を使うのが効果的です。環境省のガイドラインでも推奨されているこの方法は、見た目と触診で愛犬の体型を評価します。
BCS 5段階評価
| スコア | 状態 | 特徴 |
|---|---|---|
| BCS 1 | 痩せすぎ | 肋骨、腰骨、骨盤が明らかに見える |
| BCS 2 | やや痩せ | 肋骨が容易に触れる、腰のくびれが顕著 |
| BCS 3 | 理想的 | 肋骨は触れるが見えない、適度なくびれ |
| BCS 4 | やや肥満 | 肋骨が触りにくい、くびれが不明瞭 |
| BCS 5 | 肥満 | 肋骨が触れない、くびれがない、腹部が垂れ下がる |
Purina Instituteによると、理想的なBCSは犬ではBCS 3(9段階評価の場合は4〜5)とされています。
自宅でできる4つのチェックポイント
1. くびれのチェック🛒(上から見る) 愛犬を真上から見たとき、ウエストにくびれが見えますか?はっきりとしたくびれがあれば理想的、ずんぐりとしていればBCS 4〜5の可能性があります。
2. 肋骨のチェック(触診) 胸の横を優しく触ってください。薄い脂肪の層を通して肋骨が感じられれば理想的です。肋骨が全く感じられなければ肥満、逆に肋骨が目で見てわかるほど浮き出ていれば痩せすぎです。
3. 腹部のライン(横から見る) 横から見たとき、お腹のラインが後ろ足に向かって引き締まっていますか?腹部が垂れ下がっていたり、地面と平行であれば肥満の兆候です。
4. 骨盤・腰椎のチェック 腰から背中にかけて触ったとき、骨の輪郭が感じられるか確認してください。
長毛種の場合は見た目だけでは判断しづらいので、必ず触診も行いましょう。
肥満になりやすい犬種と要因
すべての犬が同じように肥満になりやすいわけではありません。遺伝的に太りやすい犬種や、肥満のリスクを高める要因があります。
肥満ハイリスク犬種
研究により、以下の犬種は肥満になりやすいとされています:
ラブラドール・レトリーバー
ゴールデン・レトリーバー
コッカー・スパニエル
ダックスフンド
ビーグル
パグ
ロットワイラー
シェットランド・シープドッグ
これらの犬種を飼っている場合は、特に体重管理に注意が必要です。
肥満リスクを高める要因
去勢・避妊手術後の代謝変化 去勢・避妊手術を受けた犬は、ホルモンバランスの変化により基礎代謝が約20%低下します。手術前と同じ量の食事を与え続けると、太りやすくなります。
年齢による代謝低下 中高齢(5〜11歳)の犬は若い頃に比べて代謝が低下し、肥満リスクが高まります。
甲状腺機能低下症 甲状腺ホルモンの分泌が低下すると、代謝が落ちて太りやすくなります。元気がない、毛艶が悪いなどの症状がある場合は、元気がない・太る:甲状腺機能低下症かも?をチェックしてください。
愛犬を肥満から守る:予防と対策
肥満は予防可能な病気です。適切な食事管理と運動で、愛犬を健康に保つことができます。
食事管理のポイント
アニコム損保によると、犬のダイエットと肥満予防には以下のポイントが重要です:
適切なカロリー管理
愛犬の理想体重に基づいた適切なカロリー量を計算
フード🛒のパッケージに記載された給与量を目安に
おやつは1日の総カロリーの10%以下に
フード選びのコツ
低脂肪・高繊維のフードを選ぶ
繊維質が多いと少量でも満腹感を得やすい
ダイエット用フードへの切り替えも検討
食事の与え方
食事回数を増やす(2回→3〜4回)と血糖値の急上昇を防げる
早食い防止食器を使用すると、ゆっくり食べることで満腹感が得やすい
人間の食べ物は与えない
運動で代謝アップ
運動は肥満予防・解消に欠かせません。体格別の散歩目安は:
| 体格 | 1回の散歩時間 | 回数/日 |
|---|---|---|
| 小型犬(10kg未満) | 30分 | 2回 |
| 中型犬(10〜25kg) | 1時間 | 2回 |
| 大型犬(25kg以上) | 2時間 | 2回 |
効果的な運動のポイント
20分以上の有酸素運動を1日2回が目安
約1.6kmを15分で歩くペースが推奨
階段や坂道を取り入れると効果アップ
水泳は関節への負担が少なく、肥満犬にもおすすめ
運動と食事のバランスについては、理想体重をキープする食事と運動のバランスで詳しく解説しています。
ダイエット時の注意点
愛犬にダイエットさせる際は、以下の点に注意してください:
急激な減量は危険
月1〜2%の減量が理想的
最大でも月3〜5%までに抑える
数ヶ月かけてゆっくりと目標体重を目指す
持病がある場合の注意
心臓病や皮膚トラブルがある場合、過度な食事制限は症状を悪化させる可能性
関節に問題がある場合、激しい運動は避ける
必ず獣医師に相談してからダイエットを始める
モチベーション維持
定期的に体重を測定して記録
小さな成果も褒めて、飼い主も愛犬も前向きに
まとめ:肥満予防は最高の健康投資
犬の肥満は、糖尿病、心臓病、関節炎、呼吸器疾患、肝臓病、腎臓病、がんなど、多くの深刻な病気のリスクを高め、寿命を最大2.5年も縮める可能性があります。しかし、肥満は予防可能な病気であり、適切な食事管理と運動によって愛犬を守ることができます。
今日からできることは:
BCSチェックを習慣化:月に1回は愛犬の体型をチェック
適切な食事量:おやつ🛒の与えすぎに注意
毎日の運動:散歩の時間と質を見直す
定期的な体重測定:変化を早期に察知
愛犬の健康は、飼い主であるあなたの手の中にあります。肥満予防は、愛犬への最高の健康投資です。不安なことがあれば、かかりつけの獣医師に相談しましょう。
愛犬の健康を守る病気予防と早期発見のために、今日から肥満対策を始めてください。






