「子犬を迎えたばかりなのに、突然ぐったりして血便が…」そんな恐ろしい状況を引き起こす犬パルボウイルス感染症。適切な治療を受けなければ、子犬の致死率は90%にも達するといわれています。
この記事では、犬パルボウイルス感染症の感染経路、症状、治療法、そして確実な予防方法まで徹底解説します。愛犬を守るために、今すぐ知っておくべき知識をお伝えします。
犬パルボウイルス感染症とは?致死率90%の真実
犬パルボウイルス感染症は、犬パルボウイルス(CPV: Canine Parvovirus)によって引き起こされる非常に深刻な感染症です。このウイルスは1978年に初めて発見され、世界中の犬に感染を広げてきました。

致死率データの真実
「致死率90%」という数字は、主に子犬が未治療の場合のデータです。実際の致死率は条件によって大きく異なります:
| 条件 | 致死率 |
|---|---|
| 未治療の子犬 | 約90% |
| 未治療の成犬 | 約91% |
| 適切な治療を受けた場合 | 約5〜15%(生存率85〜95%) |
感染した犬全体のうち、実際に発症するのは20%以下です。しかし、発症した場合は非常に危険で、特に生後6週間から6ヶ月齢の子犬は重症化しやすいとされています。

ウイルスの恐ろしい特徴
犬パルボウイルスが恐れられる理由は、その驚異的な生存力にあります:
環境中で数ヶ月から1年以上生存可能
60℃の熱でも1時間は死滅しない
一般的なアルコール🛒消毒では効果がない
感染力が非常に強く、少量のウイルスでも感染が成立
愛犬の健康を守るためには、病気の予防と早期発見が何より重要です。詳しくは愛犬の健康を守る病気予防と早期発見もご覧ください。
パルボウイルスの感染経路を完全理解
パルボウイルスがどのように感染するかを理解することは、予防の第一歩です。アニコム損保の解説によると、主な感染経路は経口感染です。
糞便からの経口感染が主な経路
感染の主なパターンは以下の通りです:
感染犬の糞便にウイルスが大量に排出される
他の犬がその糞便を口や鼻から摂取する
ウイルスが体内に侵入し、小腸の粘膜で増殖を開始
感染犬は発症前からウイルスを排出し始め、回復後も数週間はウイルスを排出し続けることがあります。
人や物を介した間接感染に注意
直接的な接触がなくても感染するケースも多く報告されています:
飼い主の靴底についたウイルス
衣服や手を介した伝播
汚染された食器やリード🛒
ペットショップ、ドッグラン、トリミングサロンでの感染
特に不特定多数の犬が集まる場所では、目に見えないウイルスが潜んでいる可能性があります。ワクチン未接種の子犬を連れ出す際は、十分な注意が必要です。
見逃さないで!パルボウイルス感染の症状
パルボウイルス感染症の症状は急速に進行します。PetMDの解説によると、感染後2日程度で最初の症状が現れ始めます。
消化器症状:激しい嘔吐と血便
最も特徴的な症状は消化器系に現れます:
激しい嘔吐:何度も繰り返す
重度の下痢:水様性から血便へ進行
血便:特徴的な悪臭を伴う
食欲の完全な消失
血便は「トマトジュース様」と表現されることもあり、独特の強い臭いが特徴です。
全身症状:発熱・脱水・無気力
消化器症状に続いて、全身状態が急速に悪化します:
発熱(38.5〜40℃以上)または低体温
重度の脱水:皮膚の弾力低下、目のくぼみ
無気力・衰弱:ぐったりして動けない
腹痛:触ると痛がる
これらの症状が見られたら、24時間以内に動物病院🛒を受診してください。同様の感染症であるジステンパーの初期症状と治療の現実についても知っておくと、症状の鑑別に役立ちます。
子犬の心筋炎:突然死のリスク
8週齢未満の非常に幼い子犬では、心筋炎という別の形態で発症することがあります:
心臓の細胞がウイルスに攻撃される
突然の呼吸困難
急性心不全による突然死
この形態は消化器症状がほとんど現れないまま、突然死に至ることがあるため、特に注意が必要です。
パルボウイルスの治療法と生存率
パルボウイルスに直接効く特効薬は存在しません。しかし、PMCの大規模研究によると、適切な治療を受ければ高い生存率が期待できます。
対症療法が中心:特効薬は存在しない
治療の基本は、体がウイルスと戦う間、体を支える対症療法です:
| 治療法 | 目的 |
|---|---|
| 輸液療法 | 脱水の補正、電解質バランスの維持 |
| 制吐剤 | 嘔吐の抑制 |
| 抗生物質 | 二次感染の予防 |
| 栄養管理 | 体力の維持 |
入院期間は通常5〜7日間で、24時間体制での点滴治療が必要になります。
治療を受けた場合の生存率は85〜95%
日本臨床獣医学フォーラムの情報によると、早期に適切な治療を開始すれば、生存率は大幅に向上します:
早期治療開始:生存率85〜95%
高度医療施設での治療:生存率90%以上
未治療の場合:死亡率91%以上
治療費は症状の重さによって異なりますが、入院治療の場合は**1🛒0万〜30万円程度**かかることも珍しくありません。
治療の分岐点:発症5日目が鍵
大規模な研究データによると、発症後5日間が生死を分ける重要な期間です:
死亡例の80%は発症後5日以内に発生
5日目を乗り越えると、生存率は96.7%に上昇
免疫が獲得できれば、徐々に回復へ向かう
つまり、最初の5日間を集中治療で乗り切ることが、生存への鍵となります。
パルボウイルスを予防するワクチン接種
パルボウイルス感染症は、ワクチン接種で予防🛒できる病気です。PMCの最新レビューでも、ワクチン接種の重要性が強調されています。
コアワクチンとして全犬に推奨
パルボウイルスワクチンは、すべての犬に接種が推奨されるコアワクチンに含まれています:
5種混合ワクチン:パルボウイルスを含む
7種混合ワクチン:パルボウイルスを含む
8種混合ワクチン:パルボウイルスを含む
どのワクチンを選ぶべきかは、混合ワクチンの種類:5種・8種どれを選ぶ?で詳しく解説しています。
子犬のワクチンスケジュール
子犬のワクチン接種は、以下のスケジュールが推奨されています:
| 時期 | 接種内容 |
|---|---|
| 生後6〜8週齢 | 1回目接種 |
| 生後10〜12週齢 | 2回目接種 |
| 生後14〜16週齢 | 3回目接種 |
| 以降毎年 | 追加接種(ブースター) |
重要:ワクチン接種が完了するまで(3回目接種後2週間)は、散歩やドッグランなど他の犬との接触は避けましょう。
移行抗体とワクチンの関係
子犬は母親から移行抗体(母乳を通じて受け取る免疫)を持っています。この移行抗体には重要な特徴があります:
生後数週間は感染から守ってくれる
しかし、ワクチンの効果も妨げる
個体差が大きく、いつ消失するか予測困難
そのため、移行抗体が確実に消失する時期まで、複数回のワクチン接種が必要なのです。
なお、ワクチン接種に関連して、狂犬病ワクチン:法律で決まった義務と罰則についても確認しておくことをお勧めします。
パルボウイルスの消毒方法:アルコールでは効かない
パルボウイルスは非常に強いウイルスで、一般的な消毒方法では死滅しません。正しい消毒方法を知ることが、感染予防の重要なポイントです。
効果的な消毒剤:次亜塩素酸ナトリウム
以下の消毒剤は効果がありません:
❌ アルコール消毒
❌ 逆性石鹸
❌ クレゾール
❌ 一般的な除菌スプレー🛒
効果がある消毒剤は限られています:
✅ 次亜塩素酸ナトリウム(家庭用漂白剤)
✅ ホルマリン
✅ グルタルアルデヒド
家庭で最も手に入りやすいのは、キッチンハイターなどの塩素系漂白剤です。
消毒の正しい手順
次亜塩素酸ナトリウムを使った消毒手順:
希釈液を作る:漂白剤を水で30〜50倍に薄める(0.1〜0.5%濃度)
表面に塗布:汚染された場所にスプレーまたは拭き掛け
接触時間を確保:最低30分以上そのまま放置
水拭き:残留塩素を拭き取る
消毒が必要な場所:
床、壁、ケージ🛒
食器、水入れ
リード、首輪
飼い主の靴底
玄関周り
感染犬がいる場合は、隔離と徹底的な消毒を継続してください。
まとめ:愛犬をパルボウイルスから守るために
犬パルボウイルス感染症は、子犬にとって致死率90%にもなる恐ろしい病気です。しかし、正しい知識と予防で、愛犬を守ることができます。
飼い主がすべき3つのこと
ワクチン接種を確実に行う
- 生後6〜8週齢から開始 - 2〜4週間隔で3回接種 - 毎年の追加接種を忘れずに
ワクチン完了前は感染リスクを避ける
- 散歩は控える - 他の犬との接触を避ける - 不特定多数の犬がいる場所に行かない
異常を感じたらすぐに病院へ
- 嘔吐、下痢、血便は緊急サイン - 24時間以内の受診が生存率を大きく左右 - 早期治療で85〜95%が生存可能
定期的な健康チェックの重要性
パルボウイルスだけでなく、愛犬の健康を守るためには定期的な健康診断が欠かせません。愛犬の健康を守る病気予防と早期発見や年に何回必要?犬の健康診断と検査内容も参考に、愛犬の健康管理を徹底しましょう。
パルボウイルスは恐ろしい病気ですが、ワクチン接種という確実な予防法があります。大切な家族である愛犬を守るため、今日からできることを始めてください。






