
愛犬の健康を脅かす寄生虫。目に見えない小さな存在ですが、フィラリアやノミ、マダニ、回虫など、適切な対策を怠ると命に関わる深刻な病気を引き起こすことがあります。しかし、正しい知識と予防を行えば、これらの寄生虫から愛犬を守ることは十分に可能です。
この記事では、犬に寄生する主要な寄生虫の種類、それぞれの危険性、そして効果的な予防方法について詳しく解説します。愛犬の健康を守る病気予防と早期発見と合わせて、寄生虫対策🛒の知識を身につけましょう。
犬の寄生虫とは?愛犬の健康を脅かす見えない敵

犬に寄生する寄生虫は、大きく「外部寄生虫」と「内部寄生虫」の2種類に分けられます。
外部寄生虫は、ノミやマダニなど、犬の体の表面に寄生して血を吸う虫です。皮膚炎やアレルギーを引き起こすだけでなく、バベシア症やSFTS(重症熱性血小板減少症候群)などの危険な感染症を媒介することがあります。
内部寄生虫は、フィラリア(犬糸状虫)、回虫、鉤虫、条虫など、犬の体内に寄生する虫です。OCEAN'S ANIMAL CLINICによると、これらの寄生虫は消化管や心臓、肺などに寄生し、栄養を奪ったり臓器を傷つけたりします。
寄生虫対策で最も重要なのは「予防」です。特にフィラリアは、予防薬を正しく投与すれば100%予防できる病気です。一度感染してしまうと治療は困難で、完治しても心臓や肺に後遺症が残ることがあります。「かかってから治す」のではなく、「かからないように防ぐ」という意識が愛犬の健康を守る鍵となります。
フィラリア(犬糸状虫):予防で100%防げる致命的な病気
フィラリア症は、犬の寄生虫疾患の中でも特に恐ろしい病気の一つです。アニコム損保の獣医師監修記事によると、フィラリア(犬糸状虫)は蚊を媒介して犬の体内に侵入し、最終的に心臓や肺動脈に寄生する寄生虫です。
感染の仕組み
フィラリアに感染した犬の血液中にはミクロフィラリア(幼虫)がいる
蚊がその血を吸うと、幼虫が蚊の体内に入る
蚊が別の犬を刺すと、幼虫が犬の体内に侵入
約6ヶ月かけて成虫になり、心臓や肺動脈に到達
症状の進行
フィラリア症の恐ろしい点は、初期には症状がほとんど現れないことです。症状が出る頃には、すでに病気が進行していることが多いのです。
| 進行段階 | 主な症状 |
|---|---|
| 初期 | ほぼ無症状 |
| 中期 | 咳、運動を嫌がる、疲れやすい |
| 後期 | 腹水、呼吸困難、体重減少 |
| 末期 | 心不全、突然死 |
治療の困難さ
フィラリア症の治療は非常に困難で、リスクも伴います。駆虫薬で成虫を殺すと、死んだ虫が血管を詰まらせる危険性があるためです。治療費も高額で、1回あたり約13,374円、年間通院回数は約2回程度かかるとされています。
だからこそ、予防が何より重要なのです。American Heartworm Societyも年間を通じた予防を推奨しています。
フィラリア予防の実践ガイド
フィラリア予防は、蚊が発生する時期に合わせて予防薬を投与します。
予防期間の目安
一般的には蚊が発生し始める1ヶ月後から、いなくなった1ヶ月後まで
多くの地域では4月〜12月(温暖化の影響で期間が延びている地域も)
最後の投薬が重要:蚊がいなくなった後も1ヶ月間は投薬を続ける
予防薬の種類
錠剤タイプ:確実に投薬できるが、好き嫌いがある犬も
おやつ🛒タイプ:嗜好性が高く、おやつ感覚で与えられる
スポット剤:背中に滴下するタイプ、内服が苦手な犬に
投薬前の検査が必須
毎年の投薬開始前には、必ず動物病院でフィラリア検査を受けましょう。万が一感染している状態で予防薬を投与すると、ショック症状などの重篤な副作用が起こる可能性があります。
また、室内飼いでも予防は必要です。家の中にも蚊は入ってきますし、実際に室内飼いの犬や猫での感染例も報告されています。
ノミ対策:アレルギーと感染症を防ぐ
ノミは犬にとって最も身近な外部寄生虫の一つです。体長わずか1〜3mmですが、その繁殖力は驚異的で、適切な対策を怠ると瞬く間に大発生してしまいます。
ノミの驚異的な繁殖力
ノミの成虫1匹を見つけたら、その周囲には卵・幼虫・さなぎが99匹いると言われています。成虫は犬の体の上にいますが、卵は床やカーペット、ソファなどに落ち、そこで幼虫が育ちます。つまり、犬だけを治療しても、環境を清潔にしなければノミは減らないのです。
ノミアレルギー性皮膚炎
ペット保険FPCによると、ノミアレルギー性皮膚炎はたった1匹のノミに刺されただけでも激しいかゆみを引き起こすことがあります。
主な症状:
背中から腰、尻尾の付け根にかけての激しいかゆみ
掻きむしりによる脱毛、かさぶた、出血
二次的な細菌感染
アトピー体質の犬は特にノミアレルギーを発症しやすいため、予防を徹底することが大切です。犬のグルーミング:自宅でできるプロのケアでも解説していますが、日頃のブラッシングでノミの早期発見につながります。
ノミが媒介する病気
ノミは単にかゆみを引き起こすだけでなく、以下のような病気を媒介します:
瓜実条虫:ノミを飲み込むことで感染する寄生虫
ヘモプラズマ:赤血球に寄生し、貧血を引き起こす
猫ひっかき病の原因菌:人にも感染する可能性
環境対策の重要性
ノミ対策は犬への投薬だけでは不十分です。以下の環境対策も併せて行いましょう:
こまめな掃除:カーペット、ソファ、犬のベッドを重点的に
寝具の洗濯:犬の使う毛布やクッション🛒は定期的に高温で洗う
多頭飼いは全頭同時に:1匹でも予防していないと再発生の原因に
マダニ対策:命に関わる感染症を予防する
マダニは草むらや森林に生息し、散歩中の犬に寄生します。吸血前は数mm程度ですが、血を吸うと1cm以上に膨れ上がることもあります。マダニの恐ろしさは、命に関わる深刻な感染症を媒介することにあります。
マダニが媒介する主な病気
バベシア症 マダニに咬まれることで、バベシア原虫が犬の赤血球に寄生します。発熱、貧血、黄疸、血尿などの症状が現れ、重症化すると命を落とすこともあります。
SFTS(重症熱性血小板減少症候群) 厚生労働省によると、SFTSはマダニが媒介するウイルス感染症で、猫は約6割、犬は約4割が死亡する非常に危険な病気です。人間にも感染するため、ペットを通じた家族への感染リスクもあります。
ライム病 ボレリアという細菌による感染症。発熱、関節の腫れ、跛行(びっこ)などの症状が現れます。
感染のタイミング
マダニの病原体は、吸血開始後24〜48時間で犬の体内に侵入するとされています。つまり、マダニを早く発見して除去すれば、感染リスクを下げられる可能性があります。
散歩後のチェックポイント
散歩から帰ったら、以下の部位を重点的にチェック🛒しましょう:
耳の中と周り
目の周り
足の指の間
脇の下
内股
尻尾の付け根
マダニを見つけても、無理に引き抜くのは禁物です。頭部が皮膚に残ってしまうことがあるため、専用の器具を使うか、動物病院で除去してもらいましょう。
内部寄生虫:お腹の中の見えない脅威
フィラリア以外にも、犬のお腹には様々な寄生虫が住み着く可能性があります。
主な内部寄生虫
| 寄生虫 | 寄生場所 | 主な感染経路 |
|---|---|---|
| 回虫 | 小腸 | 経口感染、母子感染 |
| 鉤虫 | 小腸 | 経口・経皮・母子感染 |
| 鞭虫 | 大腸 | 経口感染 |
| 条虫 | 小腸 | ノミ、カエルなどを介して |
母子感染のリスク
特に注意が必要なのは母子感染です。回虫や鉤虫は、妊娠中の母犬から胎盤を通じて(胎盤感染)、または授乳を通じて(経乳感染)子犬に感染します。そのため、母犬が感染していると、生まれたばかりの子犬も高確率で感染しています。
人への感染リスク
犬の寄生虫の中には、人にも感染するもの(人獣共通感染症)があります。特に回虫は、犬の糞便から感染した土壌を通じて人間に感染することがあり、幼児が砂場で遊んで感染するケース🛒も報告されています。
犬の糞便は速やかに処理し、触った後は必ず手を洗うことが重要です。
子犬の寄生虫対策:早期駆虫が鍵
子犬との幸せな暮らし方でも触れていますが、子犬は寄生虫に感染しやすい存在です。ペットショップやブリーダーから迎えた子犬は、多くの犬と接触する環境にいたため、寄生虫に感染している可能性があります。
推奨される駆虫スケジュール
生後2週目〜3ヶ月:2週間ごとに駆虫
生後3ヶ月〜6ヶ月:月1回駆虫
生後6ヶ月以降:年4回(3ヶ月ごと)の定期駆虫
子犬のワクチンスケジュールと合わせて、獣医師と相談しながら適切な駆虫計画を立てましょう。
オールインワン予防薬:一つで複数の寄生虫を予防
最近では、フィラリア、ノミ、マダニ、消化管内寄生虫をまとめて予防できる「オールインワン予防薬」が人気です。PetMDでも、その利便性と効果について詳しく解説されています。
主なオールインワン予防薬
| 製品名 | 対象寄生虫 | タイプ |
|---|---|---|
| ネクスガードスペクトラ | フィラリア、ノミ、マダニ、回虫、鉤虫、鞭虫 | おやつ |
| シンパリカトリオ | フィラリア、ノミ、マダニ、回虫、鉤虫 | 錠剤 |
| クレデリオプラス | フィラリア、ノミ、マダニ、回虫、鉤虫 | 錠剤 |
| クレデリオクアトロ | 上記+条虫 | 錠剤 |
タイプ別の選び方
おやつタイプ
メリット:嗜好性が高く、喜んで食べる犬が多い
デメリット:好き嫌いがある犬も
錠剤タイプ
メリット:確実に投薬できる
デメリット:投薬を嫌がる犬もいる
スポット剤
メリット:内服が苦手な犬に最適
デメリット:シャンプー🛒前後に使用制限がある
獣医師への相談が重要
これらのオールインワン予防薬には、イソキサゾリン系と呼ばれる成分が含まれているものが多くあります。この成分は、まれに神経系の副作用(震え、けいれんなど)を引き起こす可能性があるため、てんかんの既往歴がある犬などは注意が必要です。
必ず獣医師に相談し、愛犬に合った予防薬を処方してもらいましょう。
年間予防スケジュール:月別の対策カレンダー
寄生虫対策は、季節に合わせて計画的に行うことが大切です。
春(3〜5月)
フィラリア検査:投薬開始前に必ず受診
フィラリア予防薬投与開始:4月頃から(地域による)
ノミ・マダニ対策強化:気温上昇とともに活動が活発に
夏(6〜8月)
蚊のピーク:フィラリア予防薬を忘れずに
ノミ・マダニ:最も活発な時期、こまめなチェックを
暑さ対策と並行して、予防を怠らない
秋(9〜11月)
マダニの第2ピーク:涼しくなっても油断禁物
フィラリア投薬継続:蚊がいなくなるまで続ける
犬の食事と栄養でも触れている免疫力アップの食事も意識
冬(12〜2月)
フィラリア最終投薬:蚊がいなくなった1ヶ月後まで
室内のノミ対策:暖房の効いた室内ではノミが生存可能
来年の予防計画を立てる
温暖化の影響で、従来の予防期間では不十分な地域も増えています。獣医師と相談し、お住まいの地域に合った予防スケジュールを立てましょう。
環境対策:家庭でできる寄生虫予防
予防薬の投与と並行して、生活環境の衛生管理も重要です。
室内環境の整備
こまめな掃除機がけ:カーペットやソファの隙間にノミの卵が潜んでいる
犬用ベッド🛒の定期洗濯:週1回は洗濯し、できれば乾燥機で高温処理
部屋の換気:湿度が高いとノミが繁殖しやすい
庭の管理
草刈り:マダニは草むらに潜んでいる
水たまりの除去:蚊の発生源を減らす
野生動物の侵入防止:キツネやタヌキは寄生虫を持っていることがある
多頭飼いの注意点
複数の犬を飼っている場合、全頭同時に予防することが重要です。1匹でも予防していない犬がいると、そこから他の犬に寄生虫が広がってしまいます。
糞便の適切な処理
犬の糞便には寄生虫の卵が含まれている可能性があります。散歩中の糞は必ず持ち帰り、庭で飼っている場合もこまめに処理しましょう。処理後は必ず手を洗うことで、人への感染リスクも減らせます。
まとめ:予防こそが最大の愛情
愛犬を寄生虫から守るためには、以下の3本柱が重要です。
寄生虫対策の3本柱
予防薬の定期投与
- フィラリア、ノミ、マダニ、消化管内寄生虫に対応した予防薬を - 投薬スケジュールを守り、飲み忘れを防ぐ
環境管理
- 室内外の清掃を徹底 - 糞便の適切な処理 - 多頭飼いなら全頭同時予防
定期検査
- 年1回のフィラリア検査 - 糞便検査で内部寄生虫をチェック - 皮膚や被毛のチェックでノミ・マダニを早期発見
獣医師との連携
寄生虫対策は、かかりつけの獣医師と相談しながら進めることが大切です。愛犬の年齢、健康状態、生活環境に合わせた最適な予防プランを立ててもらいましょう。
予防薬の費用は月々数千円程度ですが、病気になってからの治療費と比べれば、はるかに安価です。何より、愛犬が苦しむ姿を見なくて済みます。
予防こそが、愛犬への最大の愛情表現です。今日から、適切な寄生虫対策を始めましょう。
愛犬の健康を守る病気予防と早期発見や子犬との幸せな暮らし方も参考に、愛犬との健康で幸せな毎日を送ってください。




















