「最近、愛犬の歯茎が白っぽい気がする」「便が黒くて心配」—そんな症状があれば、鉤虫症(こうちゅうしょう)の可能性があります。鉤虫は腸壁から血を吸う寄生虫で、特に子犬では命に関わる重度の貧血を引き起こすことがあります。
この記事では、鉤虫症の感染経路から症状、治療・予防方法まで詳しく解説します。犬の寄生虫対策の一環として、正しい知識を身につけましょう。
鉤虫(こうちゅう)とは?
鉤虫は、犬に寄生する内部寄生虫の一種で、名前の通り口にフック🛒状の「鉤」を持っています。

鉤虫の特徴
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 学名 | Ancylostoma caninum(犬鉤虫) |
| 大きさ | 1〜2cm |
| 外見 | 白色の細長い虫 |
| 寄生場所 | 小腸 |
| 特徴 | 口のフックで腸壁に固着し吸血 |
VCA Animal Hospitalsによると、鉤虫は非常に小さいため肉眼での確認は困難ですが、その小さな体で大量の血液を吸血します。
なぜ貧血を起こすのか?吸血のメカニズム

鉤虫が危険な理由は、その吸血量の多さにあります。
貧血が起こる仕組み
鉤虫が口のフックで腸壁にしっかり固着
固着した場所から持続的に吸血
フックで傷ついた腸壁からも出血
複数の鉤虫が寄生すると大量出血に
AKC(アメリカンケネルクラブ)によると、特に犬鉤虫(A. caninum)は非常に貪欲な吸血者で、子犬を死に至らしめることもあります。
鉤虫の感染経路:4つのルート
鉤虫は回虫と同様に複数の経路で感染しますが、特徴的なのは経皮感染です。
主な感染経路
| 感染経路 | 説明 | 特徴 |
|---|---|---|
| 経口感染 | 虫卵や幼虫を口から摂取 | 汚染された土や便から |
| 経皮感染 | 幼虫が皮膚から侵入 | 足の裏や腹部から |
| 経乳感染 | 母乳を通じて感染 | 子犬に多い |
| 胎盤感染 | 妊娠中に母犬から | 生まれた時点で感染 |
経皮感染の特徴
鉤虫の幼虫は皮膚や毛穴から直接体内に侵入できます。皮膚から侵入した幼虫は血流に乗って肺に到達し、気道→食道を経由して最終的に小腸で成虫になります。
散歩🛒中に汚染された土の上を歩いたり、寝そべったりすることで感染するリスクがあります。
鉤虫症の症状:3つのタイプ
鉤虫症の症状は、感染の程度と進行速度によって3つのタイプに分類されます。
症状のタイプ別比較
| タイプ | 発症時期 | 主な症状 | 重症度 |
|---|---|---|---|
| 甚急性型 | 生後2週間頃〜 | 重度の貧血、粘血便、母乳を飲まない | 非常に危険、死亡リスク |
| 急性型 | 感染後早期 | 貧血、タール状の黒い便、腹痛、嘔吐 | 危険 |
| 慢性型 | 長期感染 | 軽度の貧血持続、体重減少、毛艶悪化 | 成犬に多い |
特徴的な症状
タール状の黒い便:酸化した血液が混じることで起こる
歯茎や舌が白っぽい:貧血のサイン
元気がない、すぐ疲れる:貧血による酸素不足
体重減少・発育不良:栄養を奪われるため
肌荒れ・かゆみ🛒:経皮感染時に皮膚を通過する際に
CAPC(Companion Animal Parasite Council)によると、重度感染の子犬では輸血が必要になることもあります。
鉤虫症の診断と治療
診断方法
| 検査方法 | 内容 |
|---|---|
| 便検査(浮遊法) | 便中の虫卵を顕微鏡で確認 |
| 抗原検査 | 鉤虫の抗原を検出 |
| 血液検査 | 貧血の程度を評価 |
便検査でわかることも参考にしてください。
治療方法
| 治療 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 駆虫薬 | フェンベンダゾール、ピランテルなど | 2〜4週間後に再投与が必要 |
| 鉄剤投与 | 貧血の改善 | 鉄欠乏性貧血の場合 |
| 輸血 | 重度貧血時 | 緊急時のみ |
| 支持療法 | 点滴、栄養補給 | 衰弱した子犬に |
駆虫薬は成虫にしか効かないため、幼虫が成長してから再度駆虫する必要があります。詳しくは「予防薬の種類と選び方」をご覧ください。
鉤虫症の予防
鉤虫症は予防可能な病気です。
予防のポイント
| 対策 | 内容 |
|---|---|
| 定期駆虫 | 月1回の予防薬投与 |
| 子犬の早期駆虫 | 生後2〜3週間から開始 |
| 母犬の駆虫 | 妊娠前・妊娠中に |
| 環境管理 | 便の速やかな処理 |
| 定期検便 | 感染の早期発見 |
環境対策も重要
鉤虫の幼虫は暖かく(15℃以上)湿った環境を好みます。
犬舎や庭は乾燥した状態を保つ
屋外飼育の場合、土の上での飼育を避ける
便は速やかに処理して環境汚染を防ぐ
子犬の寄生虫予防:いつから始める?も参考にしてください。
人への感染リスク
鉤虫は人獣共通感染症で、人にも感染することがあります。
人への感染経路と症状
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 感染経路 | 経皮感染(皮膚から幼虫が侵入) |
| 症状 | 皮膚炎、ミミズ腫れ、強いかゆみ |
| 好発部位 | 足の裏、手、おしりなど地面に触れる部分 |
幼虫は人の体内では成虫になれず、しばらくすると死滅しますが、皮膚の下を移動する際に強いかゆみを引き起こします。
特に裸足で庭や公園🛒を歩くことでリスクが高まります。人にもうつる!人獣共通感染症のリスクも併せてご覧ください。
まとめ:早期発見・早期治療が命を守る
鉤虫症は、特に子犬にとって命に関わる危険な病気ですが、適切な予防と治療で対処できます。
重要なポイント:
鉤虫は腸壁から吸血し重度の貧血を引き起こす
経皮感染という特徴的な感染経路がある
タール状の黒い便や歯茎の白さは要注意
子犬は特に重症化しやすい
定期的な駆虫と便検査で予防・早期発見を





