「最近、うちの子ちょっと太ったかも...」そんな心配を抱えている飼い主さんは多いのではないでしょうか。実は、アメリカンケネルクラブの調査によると、アメリカでは56%もの犬が過体重または肥満と報告されています。日本でも同様の傾向があり、ペットの肥満率は50%を超えるとも言われています。
肥満は単に見た目の問題ではありません。関節炎、心臓病、糖尿病など深刻な病気のリスクを高め、愛犬の寿命を縮める可能性があります。しかし、正しい知識と適切な方法があれば、愛犬のダイエットは必ず成功できます。
この記事では、犬の食事と栄養の基本を踏まえながら、肥満のチェック方法から減量フード🛒の選び方、安全なダイエット計画まで徹底的に解説します。愛犬の健康的な体重管理を始めましょう。
愛犬は肥満?BCSでチェックする肥満度
まずは愛犬が本当に肥満なのかを正確に判断することが大切です。体重計の数値だけでなく、体型を総合的に評価する方法を知っておきましょう。

BCS(ボディコンディションスコア)とは
BCS(ボディコンディションスコア)は、犬の体型を客観的に評価するための指標です。PETOKOTOの解説によると、日本では5段階評価が一般的で、獣医師もこの基準を用いて肥満の診断を行っています。
5段階BCS評価
| スコア | 体型 | 特徴 |
|---|---|---|
| BCS1 | 痩せすぎ | 肋骨・腰骨・骨盤が外から見える |
| BCS2 | 痩せ気味 | 肋骨が容易に触れる、くびれが顕著 |
| BCS3 | 理想体型 | 肋骨が薄い脂肪で覆われ触れる、くびれあり |
| BCS4 | 太り気味 | 肋骨が触りにくい、くびれが不明瞭 |
| BCS5 | 肥満 | 肋骨が触れない、腹部が垂れ下がる |

理想はBCS3の状態です。BCS4以上の場合は、ダイエットを検討する必要があります。
肥満の定義:適正体重の15-30%超過
獣医学的には、適正体重を15〜30%超過している状態を「肥満」と定義します。例えば、適正体重が5kgの犬であれば、5.75kg〜6.5kgを超えると肥満の範囲に入ります。
BCSから適正体重を計算する方法もあります:
BCS4(やや肥満)の場合:現在の体重 ÷ 1.15 = 理想体重の目安
BCS5(肥満)の場合:現在の体重 ÷ 1.30 = 理想体重の目安
ただし、30%以上の重度肥満の場合は、必ず獣医師に相談してください。
自宅でできる肥満チェック3つのポイント
体重計がなくても、以下の3つのポイントをチェックすることで肥満度を判断できます。
1. 肋骨の触り具合
愛犬の胸の横を優しく触ってみてください。理想的な体型では、薄い脂肪の下に肋骨を感じることができます。肋骨がまったく触れない場合は、脂肪が厚くついている証拠です。
2. 上から見たくびれ
愛犬を上から見下ろしたとき、肋骨の後ろから腰にかけて緩やかなくびれが見えるのが理想です。くびれがなく、胴体が寸胴に見える場合は太り気味のサインです。
3. 横から見た腹部の吊り上がり
横から見て、胸から腹部にかけて緩やかに上がっているのが正常です。腹部が垂れ下がっている、または胸と同じ高さの場合は肥満の可能性があります。
犬が肥満になる原因とリスク
愛犬の肥満を改善するためには、まず原因を理解することが重要です。また、肥満が健康に与える深刻な影響を知ることで、ダイエットへのモチベーションも高まります。
肥満の主な原因
食べ過ぎ
最も一般的な原因は、単純に摂取カロリーが消費カロリーを上回っていることです。おやつの与えすぎ、人間の食べ物のおすそ分け、フードの計量をしていないことなどが要因になります。適切な食事量の計算を参考に、給餌量を見直しましょう。
運動不足
現代の室内飼いの犬は、運動量が不足しがちです。特に都市部に住む犬は、十分な散歩時間を確保できていないケースが多いです。
避妊・去勢手術後
避妊・去勢手術を受けた犬は、ホルモンバランスの変化により基礎代謝が低下し、太りやすくなります。手術後はフード🛒量の調整が必要です。
加齢
シニア犬の栄養ニーズでも解説していますが、7歳を過ぎると運動量と基礎代謝が徐々に低下します。若い頃と同じ食事量では太ってしまいます。
肥満が引き起こす病気
愛犬の健康を守る病気予防の観点から、肥満が引き起こす主な病気を理解しておきましょう。
関節炎・椎間板ヘルニア
体重が増えると、関節や脊椎への負担が大きくなります。特にミニチュア・ダックスフンドやウェルシュ・コーギーなど、椎間板ヘルニアになりやすい犬種では、肥満は大敵です。慢性的な痛みを伴う変形性関節症のリスクも高まります。
心臓病
コーネル大学の研究によると、肥満は心臓に大きな負担をかけます。大きくなった体に血液を送り出すため、心臓はより強く働く必要があり、結果として心機能が低下します。高血圧のリスクも増加します。
糖尿病
過剰な体脂肪はインスリンの効果を低下させ、インスリン抵抗性を引き起こします。その結果、糖尿病のリスクが高まります。犬の糖尿病は、生涯にわたるインスリン注射が必要になることもある深刻な病気です。
その他のリスク
肥満は、脂肪肝、尿路結石、呼吸器疾患、皮膚病、さらには麻酔時のリスク増大など、様々な健康問題と関連しています。
寿命への影響:最大2.5年短くなる可能性
肥満が寿命に与える影響は、科学的な研究でも明らかになっています。PMCに掲載された研究では、50,787頭以上の犬のデータを分析した結果、過体重の犬は正常体重の犬と比較して寿命が短いことが示されました。
特に注目すべきは、体格によって影響の大きさが異なる点です:
小型犬:最大2年以上の寿命短縮
大型犬:約5ヶ月の寿命短縮
小型犬では、わずか3ポンド(約1.4kg)の体重増加が、人間でいうと30ポンド(約14kg)の増加に相当するとも言われています。小さな体にとって、余分な体重の影響は非常に大きいのです。
太りやすい犬種とライフステージ
すべての犬が同じように太りやすいわけではありません。遺伝的な要因やライフステージによって、肥満リスクは異なります。
太りやすい犬種リスト
以下の犬種は、遺伝的に太りやすい傾向があります:
ラブラドール・レトリーバー:食欲を抑制する遺伝子変異を持つ個体が多い
ゴールデン・レトリーバー:食いしん坊で運動量が低下しやすい
ビーグル:嗅覚が優れており、食べ物への執着が強い
パグ:運動量が少なく、呼吸器の問題で激しい運動ができない
チワワ:小型のため、少量のおやつ🛒でもカロリーオーバーしやすい
ミニチュア・ダックスフンド:胴長で運動量が少ない傾向
コッカー・スパニエル:甲状腺機能低下症になりやすい
これらの犬種を飼っている場合は、特に体重管理に注意が必要です。
要注意のライフステージ
子犬期の過食
成長期の子犬に「たくさん食べさせたい」と思う飼い主さんは多いですが、過食は肥満体質の基礎を作ってしまいます。研究によると、成長期に過体重だった犬は、成犬になっても肥満になるリスクが1.85倍高くなります。子犬用から成犬用へのフード切り替え時期も、体重管理の重要なタイミングです。
7歳以降のシニア期
7歳前後から、犬は徐々に代謝が低下し、運動量も減少します。飼い主さんが「気づいたら太っていた」と感じやすい時期です。この時期からは、カロリー控えめのシニア用フードへの切り替えや、食事量の調整を検討しましょう。
減量フードの選び方:5つのポイント
効果的なダイエットには、適切なフード選びが欠かせません。GREEN DOGの専門家の見解も参考に、減量フードを選ぶ際の5つのポイントを解説します。
高タンパク・低脂肪を選ぶ
ダイエットフード🛒の基本は、高タンパク・低脂肪です。これは人間のダイエットと同じ原理です。
タンパク質:AAFCO基準では成犬で18%以上が最低ラインですが、ダイエット用フードではさらに高いタンパク質量(25%以上)が理想的です。タンパク質は筋肉量を維持しながら脂肪を減らすのに役立ちます。
脂肪:粗脂肪10%以下が「低脂肪」の目安です。通常のフードは12〜18%程度なので、明らかに低いものを選びましょう。
食物繊維で満腹感をキープ
減量中の愛犬が空腹でストレスを感じないよう、食物繊維が豊富なフードを選びましょう。繊維質は消化に時間がかかるため、満腹感が長続きします。
ダイエット用フードには、セルロースやビートパルプなどの繊維源が配合されていることが多いです。パッケージの「粗繊維」の項目をチェックしてみてください。
低GI食材をチェック
GI(グリセミック・インデックス)値が高い食材は、血糖値を急激に上昇させ、脂肪を蓄積しやすくします。
避けたい高GI食材:
白米
トウモロコシ
ジャガイモ
おすすめの低GI食材:
サツマイモ
ひよこ豆
大麦
オーツ麦
原材料表示をチェックして、低GI食材が使われているフードを選びましょう。グレインフリーフードの真実も参考に、穀物の種類と量を確認してください。
L-カルニチン・オメガ3脂肪酸の配合
減量をサポートする有効成分が配合されているかも重要なチェックポイントです。
L-カルニチン
L-カルニチンは、脂肪をエネルギーに変換するのを助けるアミノ酸の一種です。多くのダイエット用フードに配合されており、脂肪燃焼を促進します。
オメガ3脂肪酸
研究により、オメガ3脂肪酸は肥満の発症を防ぎ、すでに肥満になっている場合でも体脂肪を減らす効果があることが示唆されています。魚油やアマニ油由来のオメガ3が含まれているフードがおすすめです。
カロリー密度の確認
ダイエット用フードは、通常のフードより1カップあたりのカロリーが低く設定されています。VCA Hospitalsの専門家によると、減量用フードは1カップあたり約300kcal程度が目安です。
これにより、量を極端に減らさなくても、摂取カロリーをコントロールできます。パッケージに記載されているカロリー情報を必ず確認しましょう。
獣医師推奨のダイエット用ドッグフード
ダイエットフードには、動物病院で処方される「療法食」と、一般のペットショップで購入できる「市販フード」があります。
処方食vs市販フード
処方食(療法食)のメリット
栄養密度が高く、カロリー密度が低い設計
科学的な研究に基づいた配合
重度の肥満や持病がある場合に適切
獣医師のサポートが受けられる
市販フードのメリット
手軽に購入できる
価格が比較的手頃
軽度の体重管理に適している
選択肢が豊富
愛犬の肥満度が高い場合や、糖尿病などの持病がある場合は、まず獣医師に相談して処方食を検討することをおすすめします。
人気の減量サポートフード
獣医師が推奨することの多い減量サポートフード🛒をご紹介します:
処方食
Hill's Prescription Diet Metabolic:代謝を活性化させる独自の配合
Royal Canin Satiety Support:満腹感を持続させる高繊維設計
Purina Pro Plan Veterinary Diets OM:高タンパク・低カロリー
市販フード
サイエンス・ダイエット ライト:獣医師推奨の体重管理フード
ニュートロ シュプレモ 体重管理用:自然素材使用
ロイヤルカナン ライト ウェイトケア:小型犬〜大型犬まで対応
ドライフード徹底比較も参考に、愛犬に合ったフードを選んでください。
安全なダイエット計画の立て方
愛犬のダイエットは、急激に行うと健康を害する可能性があります。アニコム損保の専門家も推奨するように、獣医師と相談しながら安全な計画を立てましょう。
目標体重の設定方法
目標体重は、BCSを基に計算するか、獣医師に相談して決定します。
BCSからの計算
BCS4の場合:現在の体重 × 0.87 = 目標体重
BCS5の場合:現在の体重 × 0.77 = 目標体重
例えば、現在7kgでBCS5の犬の場合、目標体重は約5.4kgになります。
ただし、30%以上の減量が必要な重度肥満の場合は、中間目標を設定して段階的に減量することが重要です。必ず獣医師の指導を受けてください。
適切な減量ペース
急激なダイエットは、筋肉量の低下や栄養不足を招き、かえって太りやすい体質を作ってしまいます。
理想的な減量ペース
週あたり:体重の1〜2%
月あたり:3〜5%
例えば、10kgの犬であれば、1週間で100〜200gの減量が適切です。これ以上のペースで減量している場合は、フード量を少し増やすか、獣医師に相談してください。
フードの切り替え方
現在のフードからダイエットフードへの切り替えは、7〜10日かけて徐々に行います。急な切り替えは消化器系のトラブルを引き起こす可能性があります。
切り替えスケジュール例
| 日数 | 現在のフード | 新しいフード |
|---|---|---|
| 1〜2日目 | 75% | 25% |
| 3〜4日目 | 50% | 50% |
| 5〜6日目 | 25% | 75% |
| 7日目以降 | 0% | 100% |
給餌量の計算と調整
ダイエットフードに切り替えたら、パッケージに記載されている給餌量を参考にしますが、これはあくまで目安です。
適切な食事量の計算法を参考に、愛犬の活動量や年齢に応じて調整してください。また、週に1回は体重を測定し、減量ペースが適切かどうかをモニタリングすることが大切です。
運動でダイエット効果をアップ
食事管理だけでなく、適度な運動を組み合わせることで、ダイエット効果は大きく向上します。
適切な運動量の目安
健康な成犬の場合、1日20分以上の運動を2回行うことが推奨されています。ただし、すでに肥満の犬は、足腰や心臓への負担を考慮して、無理のない範囲から始めましょう。
運動量の目安(肥満犬の場合)
最初の2週間:1回10〜15分の散歩を1日2回
3〜4週目:1回15〜20分の散歩を1日2回
5週目以降:徐々に時間と強度を増やす
肥満犬におすすめの運動
散歩
最も基本的で安全な運動です。最初はゆっくりしたペースで、徐々に距離と速度を上げていきます。アスファルトよりも、芝生や土の上を歩く方が関節への負担が少なくなります。
水泳(水中運動)
関節への負担が少ない理想的な運動です。犬用プール🛒や浅瀬での水遊びが可能であれば、積極的に取り入れましょう。浮力により体重の負担が軽減されながら、全身の筋肉を使えます。
遊び
ボール遊びやロープの引っ張り合いなど、遊びを通じた運動も効果的です。犬のしつけとトレーニングで紹介しているコマンドトレーニングも、精神的な刺激と軽い運動になります。
足腰に負担をかけない工夫
肥満犬は関節に問題を抱えていることも多いため、運動時は以下の点に注意してください:
準備運動:散歩の最初の5分はゆっくり歩いてウォーミングアップ
階段の回避:可能な限り階段の上り下りは避ける
ジャンプの禁止:高い場所からの飛び降りは厳禁
休憩の確保:愛犬が疲れたサインを見せたら無理せず休憩
暑い時間の回避:夏場は早朝や夕方の涼しい時間に運動
ダイエット中の食事管理のコツ
フードを変えるだけでなく、食事の与え方にも工夫が必要です。
早食い防止の工夫
早食いは、満腹中枢が働く前に食べ過ぎてしまう原因になります。早食い防止の食器と食べさせ方を参考に、以下の工夫を試してみてください:
早食い防止用食器:凹凸のある食器で食べるスピードを落とす
知育玩具:コングなどにフードを入れて時間をかけて食べさせる
ペットボトル給餌:ペットボトルに小さな穴を開け、転がして少しずつ出す
食事の分割:1日の量を2〜3回に分けて与える
おやつの与え方
ダイエット中でも、おやつを完全にゼロにする必要はありません。ただし、以下のルールを守りましょう:
おやつは1日の摂取カロリーの10%以内
例えば、1日の目標カロリーが400kcalの場合、おやつは40kcal以内に抑えます。おやつ🛒を与えた分は、フードの量から引くことを忘れずに。
低カロリーなおやつを選ぶ
犬が食べても安全な果物と野菜を参考に、ニンジンスティックやキュウリ、りんごの小片など、低カロリーな自然食品をおやつにするのもおすすめです。
健康的なおやつの選び方も参考にしてください。市販のダイエット用おやつを活用するのも良い方法です。
家族全員でルールを共有
ダイエットの最大の敵は、「おねだりに負けてしまう」ことです。愛犬の悲しそうな目を見ると、つい何かあげたくなってしまいますが、それは愛犬の健康を損なう行為です。
家族で共有すべきルール
おやつを与える人を決める(または記録する)
人間の食べ物は絶対に与えない
食事中にテーブルの下でおねだりしても無視する
全員が愛犬の目標体重と現在の体重を把握する
ダイエットしてはいけない犬
すべての犬がダイエットできるわけではありません。以下に該当する場合は、減量は控えてください。
成長期の子犬
生後1年未満(大型犬は1.5〜2年)の成長期の子犬は、骨格や筋肉の発達に十分な栄養が必要です。この時期にカロリー制限をすると、成長障害を引き起こす可能性があります。
子犬が太り気味に見える場合は、フードの量を調整するのではなく、獣医師に相談してください。成長に応じた適切な栄養管理が重要です。
妊娠中・授乳中の母犬
妊娠中や授乳中の母犬は、通常の2〜3倍のカロリーが必要になることもあります。この時期のダイエットは、母犬の健康だけでなく、子犬の発育にも悪影響を与えます。
出産・授乳が終わってから、徐々に体重管理を始めましょう。
持病のある犬
以下のような持病がある犬は、自己判断でダイエットを始めてはいけません:
糖尿病
心臓病
腎臓病
肝臓病
甲状腺機能低下症
クッシング症候群
これらの病気がある場合は、必ず獣医師の指導のもとで食事管理を行ってください。病気によっては、一般的なダイエットフードが適さない場合もあります。
まとめ:愛犬の健康的なダイエットのために
愛犬の肥満は、見過ごしてはいけない深刻な健康問題です。しかし、正しい知識と適切な方法があれば、安全にダイエットを成功させることができます。
ダイエット成功のポイント
まずはBCSで肥満度をチェック:主観ではなく、客観的な基準で判断する
獣医師に相談:目標体重と減量計画を専門家と一緒に立てる
適切なフードを選ぶ:高タンパク・低脂肪・低GIの減量フードを選択
急がない:週1〜2%の緩やかなペースで減量
運動を取り入れる:食事管理と適度な運動の組み合わせ
家族全員で協力:おねだりに負けない強い意志を共有
愛犬の健康は、飼い主であるあなたの手の中にあります。今日から、愛犬のための健康的な体重管理を始めてみませんか?
犬の食事と栄養の基本に戻って、愛犬の食事について総合的に学ぶこともおすすめします。正しい知識を身につけて、愛犬との幸せな毎日を過ごしましょう。






