ペットショップやホームセンターのドッグフード売り場に行くと、棚一面に並ぶ膨大な種類のフードに圧倒されたことはありませんか?「プレミアム」「ナチュラル」「グレインフリー」など、さまざまなキャッチコピーが目に入りますが、結局どれを選べばいいのかわからない…そんな飼い主さんも多いのではないでしょうか。
愛犬の健康は毎日の食事から作られます。だからこそ、フード選びは慎重になりたいもの。この記事では、犬の食事と栄養の基本を踏まえながら、ドライフード🛒を選ぶ際に本当に重要なポイントを、科学的な根拠に基づいて徹底解説します。原材料の見方から栄養成分の基準値、話題のグレインフリーの真実まで、愛犬のための最適なフード選びをサポートします。
ドライフードの基本:総合栄養食とは
ドライフードを選ぶとき、まず確認すべきなのが「総合栄養食」という表示です。INUNAVIによると、総合栄養食とは、そのフードと水だけで犬に必要なすべての栄養素がバランスよく摂取できる製品のことです。

これはAAFCO(米国飼料検査官協会)の栄養基準に基づいて認定されており、日本でもこの基準が広く採用されています。パッケージに「総合栄養食」と記載があれば、主食として安心して与えることができます。
一方、「一般食」や「間食(おやつ)」は栄養バランスが整っていないため、主食としては不適切です。また「療法食」は特定の病気や症状に対応するための特別なフードで、獣医師の指導のもとで使用するものです。
犬に必要な5大栄養素を理解し、総合栄養食を基本に据えることが、フード選びの第一歩となります。
原材料表示の正しい読み方

フードの質を見極めるには、パッケージの原材料表示をしっかり確認することが大切です。原材料は重量の多い順に記載されているため、最初に書かれている成分がそのフードの「主原料」となります。
主原料でわかるフードの質
GREEN DOGの獣医師監修情報によると、良質なドライフードの条件として、主原料(原材料の1〜3番目)に肉や魚が使われていることが重要とされています。犬はもともと肉食に近い雑食動物で、動物性タンパク質を効率よく消化・吸収できる体を持っているからです。
原材料表示で注目すべきポイントは以下の通りです:
| 良い表示例 | 避けたい表示例 |
|---|---|
| チキン、鶏肉 | 肉類、家禽類 |
| ラム、羊肉 | ミートミール |
| サーモン、まぐろ | フィッシュミール |
| 乾燥鶏肉 | 〇〇エキス |
「肉類」「ミートミール」などの曖昧な表記は、何の肉がどの部位から使われているか不明確です。副産物(内臓や骨など)が含まれている可能性もあり、品質にばらつきがあることも。可能であれば、原材料の産地や品質管理について明確に公表しているメーカーのフード🛒を選びましょう。
避けたい添加物と安全な添加物
食環境衛生研究所によると、ドッグフードに使用される添加物には、避けるべきものと安全なものがあります。
避けたい添加物:
BHA、BHT(合成酸化防止剤)
赤色〇号、青色〇号などの着色料
人工香料
プロピレングリコール
比較的安全な添加物:
ミックストコフェロール(ビタミンE)
ローズマリー抽出物
クエン酸
ビタミンC
特に着色料は、犬にとって何のメリットもありません。犬は色で食べ物を選ばないため、着色料は飼い主の見た目の印象を良くするためだけに添加されています。天然由来の酸化防止剤(ビタミンEやローズマリーなど)は、フードの鮮度を保つために必要な成分であり、心配する必要はありません。
栄養成分値の見方:タンパク質・脂質の基準
フードのパッケージには「保証成分値」として、タンパク質や脂質などの栄養成分が記載されています。この数値を正しく理解することで、愛犬に適したフードを選べるようになります。
タンパク質:成犬18%以上、子犬22.5%以上
INUNAVIによると、AAFCOが定める総合栄養食の基準値では、タンパク質は成犬で18%以上、子犬(成長期)で22.5%以上が最低限必要とされています。
タンパク質は筋肉、皮膚、被毛、内臓など、体のあらゆる組織を作る重要な栄養素です。特に成長期の子犬や、運動量の多い犬には、より高タンパクなフードが適しています。
ただし、ヒルズペットによると、高タンパクであればあるほど良いというわけではありません。過剰なタンパク質は腎臓に負担をかける可能性があり、特にシニア犬や腎臓に問題のある犬では注意が必要です。
また、タンパク質の「質」も重要です。動物性タンパク質は犬にとって消化しやすく、必須アミノ酸をバランスよく含んでいます。一方、植物性タンパク質だけでは必須アミノ酸が不足する可能性があるため、主原料に動物性タンパク源が使われているフード🛒を選びましょう。
子犬用から成犬用へのフード切り替えのタイミングでは、この栄養基準の違いを意識することが大切です。
脂質:エネルギー源と必須脂肪酸
AAFCOの基準では、脂質は成犬で5.5%以上、子犬で8.5%以上が必要とされています。脂質は効率の良いエネルギー源であり、1gあたりのカロリーはタンパク質や炭水化物の約2倍です。
脂質の中でも特に重要なのが必須脂肪酸です。これは体内で合成できないため、食事から摂取する必要があります:
オメガ6系脂肪酸(リノール酸):皮膚と被毛の健康維持
オメガ3系脂肪酸(α-リノレン酸、EPA、DHA):炎症抑制、脳や神経の発達
特にDHAとEPAは、魚油に多く含まれる成分で、皮膚の健康や認知機能のサポートに効果があるとされています。原材料に「魚油」「サーモンオイル」などが含まれているフードは、これらの必須脂肪酸を豊富に摂取できます。
オメガ6とオメガ3の理想的な比率は5:1〜10:1程度と言われており、このバランスが崩れると炎症反応に影響を与える可能性があります。
グレインフリーは本当に良いのか?
近年、「グレインフリー(穀物不使用)」をうたうドッグフードが人気を集めています。しかし、PETOKOTOの獣医師執筆記事によると、グレインフリーが必ずしも犬の健康に良いとは限りません。
グレインフリーのメリット
グレインフリーフードには、以下のようなメリットがあります:
穀物アレルギーのある犬に適している:小麦やトウモロコシにアレルギーがある犬は、これらを含まないフードを選ぶ必要があります
動物性タンパク質の割合が高い:穀物を使わない分、肉の含有量が増えることが多い
消化しやすい場合がある:一部の犬では、穀物より豆類や芋類の方が消化しやすいことも
グレインフリーのデメリットと注意点
一方で、グレインフリーには以下のような懸念もあります:
1. 心臓病(DCM)との関連性
アメリカ食品医薬品局(FDA)は、グレインフリーフードと拡張型心筋症(DCM)の関連性について調査を行っています。特にエンドウ豆やレンズ豆などの豆類を多く含むフードで、DCMの発症リスクが高まる可能性が指摘されています。グレインフリーの最新研究でも、この問題について詳しく解説しています。
2. 穀物アレルギーは実は少ない
ドイツ・ミュンヘン大学の調査によると、犬のアレルゲン食材として報告が多いのは牛肉、乳製品、鶏肉の順で、小麦は4番目、トウモロコシは7番目、米は11番目です。つまり、穀物が原因のアレルギーは、肉類のアレルギーよりも少ないのです。
3. 栄養バランスの偏り
穀物には食物繊維やビタミン、ミネラルが含まれており、これらを排除することで栄養バランスが崩れる可能性があります。
結論:グレインフリーは必要な犬だけに
獣医師の多くは、特別な理由がない限りグレインフリーを推奨していません。愛犬に食物アレルギーが疑われる場合は、自己判断でフードを変えるのではなく、動物病院で検査を受け、獣医師と相談しながら適切なフードを選ぶことが大切です。
ライフステージ別のフード選び
犬の栄養ニーズは年齢によって大きく変わります。ライフステージに合ったフードを選ぶことで、愛犬の健康をより効果的にサポートできます。
子犬期:高タンパク・高カロリーが必要
成長期の子犬は、体を大きくするために多くのエネルギーと栄養素を必要とします。子犬用フード🛒の特徴は:
高タンパク(22.5%以上):筋肉や臓器の発達に必要
高脂質(8.5%以上):効率的なエネルギー源
カルシウムとリンのバランス:骨の健康な発達に重要
DHA:脳と神経系の発達をサポート
生後3〜4ヶ月頃までは、ドライフードをぬるま湯でふやかして与えることが推奨されます。ふやかす際は30〜40℃のぬるま湯を使い、5〜15分程度待ちます。熱湯(50℃以上)を使うと、タンパク質や水溶性ビタミンが変性してしまうので注意しましょう。
乳歯が生えそろう生後3〜4ヶ月頃から、徐々にドライフードへ移行していきます。1週間から10日ほどかけて、少しずつ水分量を減らしていくのがポイントです。
成犬期:維持に必要な栄養バランス
成犬(1〜7歳頃)は、体の維持に必要な栄養を摂取することが目標です。子犬期ほど高カロリーである必要はなく、活動量に応じた適切なカロリー管理が重要になります。
成犬用フード🛒を選ぶポイント:
タンパク質18〜25%程度:筋肉量の維持
脂質8〜15%程度:活動量に応じて調整
適切なカロリー:体重管理に注意
特に避妊・去勢後の犬は代謝が落ち、太りやすくなる傾向があります。体重管理用のフードや、低カロリータイプを検討するのも良いでしょう。
シニア期:低カロリー・関節サポート
シニア犬の栄養ニーズは、成犬期とは異なります。一般的に7歳以上(大型犬は5〜6歳以上)になると、以下の変化が起こります:
代謝の低下:必要カロリーが減少
筋肉量の減少:良質なタンパク質が重要
関節の衰え:グルコサミン、コンドロイチンなどのサポート成分が有効
内臓機能の低下:消化しやすいフードが必要
シニア用フードは、低カロリーでありながら十分なタンパク質を含み、関節サポート成分や抗酸化物質が配合されているものが多いです。ただし、タンパク質を極端に制限するのは筋肉量の低下につながるため、獣医師と相談しながら適切なフードを選びましょう。
価格と品質の関係:安いフードは危険?
ドッグフード比較サイトの調査によると、ドライフードの価格は1kgあたり800円〜4,500円と幅広い範囲に分布しています。では、価格と品質にはどのような関係があるのでしょうか?
価格帯別の特徴
| 価格帯(1kgあたり) | 特徴 |
|---|---|
| 〜800円 | 穀物主体、添加物多め、原材料の質に不安 |
| 800〜1,500円 | 標準的な品質、一般的な原材料 |
| 1,500〜2,500円 | 高品質な原材料、無添加傾向 |
| 2,500円〜 | プレミアム原材料、ヒューマングレード |
一般的に、1kgあたり1,000円以上が安全ラインと言われています。これ以下の価格帯では、主原料に穀物が多く使われていたり、添加物が多かったりする傾向があります。
ただし、高ければ必ず良いというわけではありません。高価格帯のフードでも、愛犬の体質に合わなければ意味がありません。逆に、適度な価格帯でも品質管理がしっかりしたフードはたくさんあります。
コストパフォーマンスの考え方
フード選びで大切なのは、価格だけでなく「愛犬に合っているか」という視点です。以下の点をチェックしましょう:
便の状態が良好か
毛艶が良いか
食いつきが良いか
体重が適正に維持されているか
アレルギー症状がないか
これらがクリアできていれば、極端に安いフードでなければ問題ないことが多いです。愛犬の健康状態を観察しながら、最適なフードを見つけていきましょう。
国産と海外産:どちらを選ぶべき?
「国産だから安心」と考える飼い主さんは多いですが、食環境衛生研究所によると、実は注意が必要なポイントがあります。
国産表記の落とし穴
ペットフード安全法では、最終加工工程を行った国を原産国として表示することが定められています。つまり、原材料が海外産であっても、粒の成型が日本で行われていれば「国産」と表記できるのです。
「国産」と書かれているからといって、すべての原材料が日本国内で調達されているとは限りません。本当に国産原材料にこだわりたい場合は、原材料の産地まで明記しているメーカーを選ぶ必要があります。
品質管理の基準に注目
国産・海外産を問わず、重要なのは品質管理体制です。以下の認証や基準をクリアしているメーカーは、より信頼性が高いと言えます:
ISO22000/ISO9001:国際的な品質・食品安全マネジメントシステム
FAMIC(農林水産消費安全技術センター)基準:日本国内の製造基準
HACCP:食品衛生管理システム
海外産でも、ドイツやオーストラリア、ニュージーランドなど、ペットフードの品質基準が厳しい国の製品は高品質なものが多いです。産地よりも、メーカーの品質管理への姿勢を確認することが大切です。
ドライフードの正しい保存方法
せっかく良いフードを選んでも、保存方法が悪ければ品質が落ちてしまいます。GREEN DOGによると、ドライフードの正しい保存方法を知ることは非常に重要です。
開封後の賞味期限
ドライフード🛒は水分含量が12%以下と少ないため、未開封であれば約1年程度保存できます。しかし、開封後は約1ヶ月(理想は2週間以内)で使い切ることが推奨されています。
特に高脂肪タイプのフードは酸化が早く、2週間程度を目安に使い切りましょう。
酸化による影響
ドライフード🛒の表面には、風味をつけるための油がコーティングされています。開封後、この油が空気に触れることで酸化が進みます。酸化したフードは:
風味が落ち、食いつきが悪くなる
栄養価が低下する
過酸化脂質が生成され、健康に悪影響を与える可能性がある
正しい保存のポイント
1. 密閉保存 開封後は空気に触れないよう、チャック付きの袋や密閉容器に移し替えます。可能であれば脱酸素剤やシリカゲルを一緒に入れると効果的です。
2. 常温保存(冷暗所) 冷蔵庫での保存は避けましょう。出し入れのたびに結露が生じ、カビの原因になります。直射日光を避けた涼しい場所(38℃以下)で保存してください。
3. 小分け管理 大容量パックを購入した場合は、1〜2週間分ずつ小分けにして保存すると、酸化を最小限に抑えられます。
4. 冷凍保存は最終手段 どうしても長期保存したい場合は冷凍も可能ですが、3週間程度を限度にしましょう。冷凍焼けで風味が落ち、美味しくなくなってしまいます。
まとめ:本当に良いドライフードの条件
ここまでの内容をまとめると、愛犬にとって本当に良いドライフードの条件は以下の通りです:
ドライフード選びのチェックリスト
✅ 「総合栄養食」の表示がある ✅ 主原料(1〜3番目)に肉または魚が使われている ✅ 原材料が明確に表示されている(曖昧な「肉類」などを避ける) ✅ 合成添加物(BHA、BHT、着色料など)が使われていない ✅ タンパク質・脂質がAAFCO基準を満たしている ✅ 愛犬のライフステージに合っている ✅ 1kgあたり1,000円以上(極端に安くない) ✅ 品質管理がしっかりしたメーカー
最後に
フード選びに「絶対の正解」はありません。同じフードでも、犬によって合う・合わないがあります。大切なのは、愛犬の体調や便の状態、毛艶などを観察しながら、試行錯誤を重ねることです。
ウェットフードとドライフードの比較も参考にしながら、愛犬に最適なフードを見つけてください。そして、フード選びに迷ったときは、かかりつけの獣医師に相談することをおすすめします。正しい知識と愛情を持って、愛犬の食生活をサポートしていきましょう。






