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犬の食事と栄養:正しいフード選びの科学

グレインフリーは本当に良い?最新研究から

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「グレインフリード🛒ッグフードは犬の健康に良い」という話を聞いたことはありませんか?近年、ペットフード市場で大きな注目を集めているグレインフリーですが、実はアメリカ食品医薬品局(FDA)の調査によって心臓病との関連が指摘され、飼い主の間で混乱が広がっています。

本記事では、グレインフリードッグフードの真実について、最新の研究結果をもとに詳しく解説します。愛犬のフード選びに迷っている方は、ぜひ最後までお読みください。

グレインフリードッグフードとは?人気の理由

グレインフリードッグフードとは、小麦、トウモロコシ、米などの穀物を一切使用していないドッグフードのことです。「穀物不使用」「グレインフリー」などの表示で販売されています。

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なぜグレインフリーが人気になったのか

グレインフリーフードが人気を集めた背景には、いくつかの理由があります。

  1. 自然派志向の高まり:犬の祖先であるオオカミは穀物を食べなかったという考えから、より「自然」な食事を求める飼い主が増えました

  2. アレルギー対策:穀物がアレルギーの原因になるという認識が広まりました

  3. 消化の良さ:穀物より消化しやすいという主張がありました

しかし、穀物を使わない代わりに何が使われているかご存知でしょうか?多くのグレインフリーフードでは、エンドウ豆、レンズ豆、ヒヨコ豆などの豆類サツマイモ、ジャガイモなどのイモ類が炭水化物源として使用されています。

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この「穀物の代替成分」こそが、後に大きな議論を呼ぶことになったのです。

FDAが警告した心臓病(DCM)との関連性

2018年、アメリカ食品医薬品局(FDA)が衝撃的な発表を行いました。特定のドッグフードを食べている犬で、拡張型心筋症(DCM)という心臓病の報告が増加しているというものです。

調査で明らかになったこと

FDAの調査によると、2014年1月から2018年11月までに報告されたDCM症例において:

  • 90%以上がグレインフリーフード🛒を食べていた

  • 93%の製品にエンドウ豆やレンズ豆が含まれていた

  • 報告された325頭の犬のうち、74頭が死亡

特に注目すべきは、これまでDCMにかかりやすいとされていなかった犬種(ゴールデンレトリバーなど)でも発症が報告された点です。

問題の本質は「グレインフリー」ではなく「豆類」

重要なのは、問題とされたのは「穀物を使っていないこと」そのものではなく、穀物の代わりに大量に使われている豆類だということです。アメリカ獣医師会(AVMA)の報告によると、FDAは非遺伝性DCMとグレインフリー・豆類含有フード🛒の両方との関連を報告しています。

2022年のFDA結論

2022年12月、FDAは調査の途中経過として「因果関係を立証するにはデータが不十分」と発表しました。これは「安全」という意味ではなく、「まだ結論が出せない」という意味です。研究は現在も継続されています。

最新研究が明らかにした真実

グレインフリーフードとDCMの関連については、世界中の大学や研究機関で調査が進められています。ここでは、主要な研究結果を紹介します。

タウリン欠乏と心臓病の関係

カリフォルニア大学デービス校の研究では、獣医心臓専門医のジョシュ・スターン博士が驚くべき傾向を発見しました。

DCMと診断されたゴールデンレトリバー24頭を調査したところ:

  • 23頭がグレインフリーまたは豆類の多いフードを食べていた

  • 多くの犬で血中タウリン濃度が低下していた

タウリンは心臓の健康維持に必要なアミノ酸です。豆類にはタウリンの合成に必要なメチオニンとシスチンが少ないため、豆類を多く含むフードではタウリン欠乏が起こりやすいと考えられています。

タフツ大学の研究でも、食事関連DCMについての調査が続けられており、「原因はまだ不明だが、問題は消えていない」と報告されています。

反対意見:豆類は安全という研究

一方で、豆類の安全性を支持する研究もあります。

カナダ・ゲルフ大学の研究では、28頭のシベリアンハスキーを使った20週間の給餌試験を実施しました。

その結果:

  • 最大45%の豆類を含むフードでも心臓への悪影響は認められなかった

  • 心エコー検査でも異常なし

また、PMCに掲載された28日間の給餌試験でも、パルス(豆類)ベースのフード🛒と穀物含有フードの比較研究が行われています。

なぜ研究結果が異なるのか

研究結果が矛盾する理由として、以下が考えられています:

  1. 犬種による違い:遺伝的にDCMやタウリン欠乏になりやすい犬種がある

  2. フードの配合:豆類の種類や量、その他の成分との組み合わせ

  3. 個体差:同じフードを食べても影響を受ける犬と受けない犬がいる

グレインフリーが本当に必要な犬とは

では、どのような犬にグレインフリーフードが適しているのでしょうか?

穀物アレルギーを持つ犬のみ

結論から言うと、穀物アレルギーが確認されている犬のみがグレインフリーフード🛒を選ぶ理由があります。

しかし、実際のところ穀物アレルギーの犬はそれほど多くありません。ドイツ・ミュンヘン大学の調査によると、犬の食物アレルギーの原因として報告が多いのは:

  1. 牛肉

  2. 乳製品

  3. 鶏肉

  4. 小麦(4位)

  5. 羊肉

  6. トウモロコシ(7位)

...

  1. 米(11位)

このように、穀物は実はアレルギーの上位原因ではないのです。「なんとなく穀物が悪そう」というイメージだけでグレインフリーを選ぶのは賢明ではありません。

もし愛犬に食物アレルギーの疑いがある場合は、食物アレルギーの犬に選ぶべきフードの記事も参考にしてください。適切なアレルギー検査を受けることをおすすめします。

自己判断のリスク

飼い主の思い込みで穀物アレルギーと判断し、グレインフリーフードに切り替えるのは危険です。獣医師監修の記事でも指摘されているように、アレルギー検査で陽性反応が出ただけでは本当のアレルギーとは限りません。

グレインフリーのメリット・デメリット比較

グレインフリードッグフードのメリットとデメリットを表で整理します。

メリットデメリット
穀物アレルギーの犬に適している心臓病(DCM)との関連が懸念されている
一部の犬では消化が良い場合がある一般的に価格が高い
穀物由来の添加物を避けられる豆類が多すぎる製品がある
穀物を含む良質な栄養源を逃す可能性

重要なポイント:

グレインフリーだから「良い」わけでも「悪い」わけでもありません。大切なのは、愛犬の健康状態に合った、バランスの取れた総合栄養食を選ぶことです。

愛犬のフードを選ぶ際のチェックポイント

グレインフリーであってもなくても、良いドッグフード🛒を選ぶためのポイントをご紹介します。

1. 原材料表示をチェック

原材料は使用量の多い順に記載されています。以下の点を確認しましょう:

  • 豆類(エンドウ豆、レンズ豆など)が上位3〜5位以内に複数入っていないか

  • 良質なタンパク源(肉・魚)が最初に記載されているか

  • 合成保存料(BHA、BHT)や着色料が使われていないか

2. AAFCO基準を満たしているか

AAFCO(米国飼料検査官協会)の栄養基準を満たした「総合栄養食」であることを確認しましょう。これは、そのフードだけで必要な栄養素がすべて摂れることを意味します。

3. 信頼できるメーカーを選ぶ

  • 製造工場の情報が公開されている

  • 品質管理体制が明確

  • トレーサビリティ(原材料の追跡)が確保されている

詳しいフードの選び方については、ドライフード徹底比較:本当に良いフードとはをご覧ください。また、犬の食事と栄養:正しいフード選びの科学では、フード選びの基本的な考え方を詳しく解説しています。

4. 獣医師に相談する

特に以下の場合は、フードを変更する前に獣医師に相談することをおすすめします:

  • 心臓病のリスクが高い犬種(ドーベルマン、ボクサー、グレートデンなど)

  • すでに心臓に問題がある犬

  • シニア犬

  • 何らかの持病がある犬

まとめ:グレインフリーは「万能」ではない

グレインフリード🛒ッグフードについて、最新の研究からわかったことをまとめます。

結論:

  1. 穀物アレルギーが確認されていない犬には、グレインフリーを選ぶ明確な理由はない

  2. グレインフリー自体が問題ではなく、豆類の過剰使用が懸念されている

  3. 因果関係は証明されていないが、リスクの可能性は否定できない

最も大切なのは、「グレインフリーかどうか」にこだわるのではなく、愛犬の年齢、体質、健康状態に合った総合栄養食を選ぶことです。

愛犬の健康を守るために、以下のことを心がけましょう:

  • 定期的な健康診断を受ける

  • フードを変更する際は少しずつ切り替える

  • 気になる症状があれば早めに獣医師に相談する

栄養バランスについてさらに詳しく知りたい方は、犬に必要な5大栄養素と1日の摂取量の記事も参考にしてください。

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参考文献・情報源:

  • FDA Investigation: Potential Link Between Diet and Canine Dilated Cardiomyopathy

  • UC Davis School of Veterinary Medicine

  • Tufts University Petfoodology

  • University of Guelph Research

  • American Veterinary Medical Association (AVMA)

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