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犬の食事と栄養:正しいフード選びの科学

太りやすい?痩せやすい?老犬の体重管理

太りやすい?痩せやすい?老犬の体重管理の画像

「最近うちの子🛒、急に太ってきた気がする」「逆に痩せてきて心配」——老犬の飼い主さんから、このような声をよく聞きます。実は、老犬の体重は両極端になりやすく、太りすぎも痩せすぎも健康に悪影響を及ぼします。この記事では、老犬の体重管理について、太りやすい理由、痩せやすい理由、そして適正体重を維持するための具体的な方法を解説します。

老犬の体重管理とは?基本を理解しよう

老犬の体重管理とは、加齢に伴う体の変化を考慮しながら、愛犬の適正体重を維持するための健康管理のことです。シニア期に入った犬は、代謝・消化機能・運動能力などが変化するため、若い頃と同じ管理方法では対応できません。

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老犬の体重管理が重要な理由は、体重の増減が健康に直接影響するからです。太りすぎは関節への負担や糖尿病のリスクを高め、痩せすぎは筋肉量の低下や免疫力の低下を招きます。適正体重を保つことが、健康寿命を延ばす鍵となります。

老犬との暮らし全般については、/senior-dog-care-happy-golden-yearsで詳しく解説していますので、併せてご覧ください。

老犬の体重問題:太りやすいの?痩せやすいの?

老犬の体重管理は、一筋縄ではいきません。なぜなら、加齢に伴う体の変化が複雑で、個体差も大きいからです。

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若い頃は適正体重を維持できていた犬でも、シニア期に入ると体重が増えやすくなる子もいれば、逆にどんどん痩せていく子もいます。これは、老化による代謝の変化、消化機能の低下、運動量の減少、そして病気のリスク増加など、さまざまな要因が複雑に絡み合っているためです。

また、犬種による違いも無視できません。ラブラドール🛒やビーグルのように食欲旺盛で太りやすい犬種もいれば、イタリアン・グレーハウンドのように元々スリムで痩せやすい犬種もいます。

なぜ老犬は太りやすくなるのか?

まずは、老犬が太りやすくなる主な理由を見ていきましょう。

基礎代謝の低下

年を取ると、犬も人間と同じように基礎代謝が低下します。基礎代謝とは、何もしなくても消費されるエネルギーのことで、これが減ると同じ量を食べていても太りやすくなります。

特に問題なのが、筋肉量の減少です。筋肉は体の中で最もエネルギーを消費する組織ですが、老化とともに筋肉が減ると、消費カロリーも自動的に減ってしまいます。結果として、若い頃と同じ量のフード🛒を与え続けていると、カロリー過多になり肥満につながるのです。

老犬は体重増加になりやすい?老犬の肥満とダイエットについてによると、シニア期初期の犬は食欲が落ちないのに基礎代謝は減るため、特に太りやすいとされています。

運動量の減少

老犬になると、関節痛や体力の低下により、自然と運動量が減ります。散歩に行っても以前より距離が短くなったり、家の中で寝ている時間が増えたりします。

運動量が減れば、当然消費カロリーも減ります。しかし、食欲は変わらないことが多いため、摂取カロリーと消費カロリーのバランスが崩れ、体重が増加しやすくなるのです。

老犬の運動については、/senior-dog-exercise-walking-easy-tipsで詳しく解説しています。関節に負担をかけずに適度な運動を続ける方法を知ることが、体重管理🛒の鍵になります。

病気が原因の肥満

老犬の肥満の中には、病気が隠れているケースもあります。

甲状腺機能低下症(hypothyroidism)は、甲状腺ホルモンの分泌が減ることで代謝が低下し、太りやすくなる病気です。また、クッシング症候群(Cushing's Disease)は、副腎皮質ホルモンが過剰に分泌される病気で、食欲増加や腹部の膨らみが特徴です。

さらに、関節炎の痛みを抑えるステロイド薬などの薬の副作用で食欲が増し、体重が増えることもあります。

Preventing Obesity in Senior Dogs - AKCでは、病気による肥満のリスクと、定期的な健康診断の重要性が強調されています。

食事内容の問題

「若い頃からずっと同じフードを与えている」という飼い主さんは要注意です。老犬には、シニア犬用の低カロリー・高タンパクフードが適していますが、成犬用フード🛒を与え続けていると、カロリー過多になりがちです。

また、おやつの与えすぎも肥満の大きな原因です。「可愛いからつい」「おねだりされると断れない」という気持ちは分かりますが、おやつ🛒は1日の総カロリーの10%以内に抑えるのが理想です。

老犬の食事管理については、/senior-dog-diet-nutrition-changes-needsで詳しく解説しています。

なぜ老犬は痩せやすくなるのか?

一方で、老犬の中には体重が減少していく子も少なくありません。その主な理由を見ていきましょう。

消化吸収能力の低下

年を取ると、消化器官の機能が低下し、栄養の吸収率が悪くなります。食欲は旺盛で以前と同じ量を食べていても、実際に体内に吸収される栄養素が減ってしまうため、筋肉量や脂肪量が減り、徐々に痩せていくのです。

老犬が痩せる原因とは?注意が必要な症状ととるべき対策を解説によると、消化器の機能低下による体重減少は、老犬によく見られる自然な現象とされています。

ただし、急激な体重減少の場合は、消化器系の病気(胃腸炎、膵炎、炎症性腸疾患など)の可能性もあるため、獣医師の診察が必要です。

サルコペニア(筋肉減少症)

サルコペニアとは、加齢に伴う筋肉量の減少を指す医学用語です。老犬は運動量が減ることに加え、タンパク質の合成能力も低下するため、筋肉が落ちやすくなります。

筋肉が減ると、体重が減るだけでなく、歩行が不安定になったり、転びやすくなったりします。また、筋肉量の減少は基礎代謝をさらに🛒低下させるため、悪循環に陥ることもあります。

Obesity and weight loss in dogs - Cornell Universityでは、老犬🛒のサルコペニアと適切な栄養管理の重要性が詳しく解説されています。

病気が原因の体重減少

老犬の体重減少の背景には、重大な病気が隠れていることもあります。

  • 糖尿病:インスリンの不足により、栄養が細胞に取り込まれず、体重が減少します

  • 腎臓病:食欲不振や嘔吐により、栄養摂取が不十分になります

  • 心臓病:エネルギー消費が増え、食欲も低下します

  • がん:カヘキシア(悪液質)という状態になり、急速に筋肉や脂肪が失われます

【獣医師執筆】犬が痩せる原因は?痩せすぎの判断方法や病院に連れて行くべき症状を解説では、病気による体重減少の見分け方と、獣医師に相談すべきタイミングが詳しく説明されています。

食べにくさの問題

老犬が痩せる理由として意外と多いのが、「食べにくさ」の問題です。

歯の問題(歯周病、歯の欠損)があると、硬いドライフードが噛めず、食べる量が減ってしまいます。また、嗅覚の低下により食欲が刺激されにくくなったり、フード🛒が硬すぎて食べづらかったりすることもあります。

老犬の口腔ケアについては、/senior-dog-dental-oral-care-never-lateで詳しく解説しています。

愛犬の適正体重を知る方法

太りすぎも痩せすぎも避けるには、まず「愛犬の適正体重」を知ることが大切です。

BCS(ボディコンディションスコア)とは

BCS(Body Condition Score / ボディコンディションスコア)とは、犬の体型を客観的に評価する方法です。体重計🛒の数値だけでなく、見た目や触った感じから脂肪の付き具合を判定します。

BCSは5段階評価が一般的で、以下のように分類されます:

  • BCS 1:痩せすぎ(肋骨や骨盤が目立つ)

  • BCS 2:やや痩せ気味

  • BCS 3:理想的(肋骨が触れるが見えない、ウエストのくびれがある)

  • BCS 4:やや太り気味

  • BCS 5:肥満(肋骨が触れない、ウエストのくびれがない)

【獣医師執筆】愛犬のBCS(ボディコンディションスコア)って?体型チェックの計算方法を解説では、BCSの詳しい評価方法が獣医師によって解説されています。

家庭でできるBCSチェック

BCSは、家庭でも簡単にチェック🛒できます。以下の手順で確認してみましょう。

1. 上からの見た目チェック 愛犬を真上から見たとき、腰の部分にくびれがあるか確認します。理想的な体型(BCS3)では、明確なくびれが見られます。

2. 横からの見た目チェック 横から見たとき、お腹が引き締まっているか確認します。お腹が垂れ下がっている場合は太り気味、逆に極端に細い場合は痩せすぎです。

3. 肋骨の触診チェック 両手で胸を優しく触り、肋骨が感じられるか確認します。BCS3では、薄い脂肪越しに肋骨が触れる状態が理想です。肋骨が全く触れない場合は太りすぎ、肋骨が浮き出ている場合は痩せすぎです。

4. 腰の触診チェック 腰の骨を触ったとき、適度に脂肪がついているか確認します。

愛犬の肥満・痩せすぎに要注意!BCS(ボディ・コンディション・スコア)で愛犬の適正な体型・体重をチェックでは、写真付きで分かりやすくBCSチェック🛒方法が紹介されています。

体重だけでは判断できない理由

「うちの子は○kgだから大丈夫」と体重の数値だけで判断するのは危険です。なぜなら、同じ犬種でも骨格や筋肉量に個体差があるからです。

たとえば、筋肉質で引き締まった10kgの犬と、脂肪が多い10kgの犬では、健康状態がまったく異なります。BCSを使えば、筋肉量と脂肪量のバランスを考慮した評価ができます。

また、定期的に体重を測って記録することも重要です。週に1回程度体重を測り、グラフにすることで、わずかな変化にも早く気づくことができます。

太りすぎのシニア犬:安全なダイエット方法

愛犬が太りすぎている場合、どのようにダイエットすればよいのでしょうか。

目標設定と減量ペース

老犬のダイエット🛒で最も大切なのは、急激に痩せさせないことです。急激な減量は体に負担をかけ、筋肉まで落としてしまう危険があります。

理想的な減量ペースは、現体重の1~2%を1週間で減らす程度です。たとえば、10kgの犬なら1週間で100~200gの減量が目安です。最終目標は、現体重の10~15%減を数ヶ月かけて達成することです。

食事管理

ダイエットの基本は、摂取カロリーを適切にコントロールすることです。

カロリー計算の基本として、まずRER(安静時エネルギー要求量)を計算します:

RER = 70 × (体重kg)^0.75

次に、老犬の活動係数(通常1.2~1.4)をかけて、DER(1日エネルギー要求量)を算出します。ダイエット🛒中は、このDERよりも少ないカロリーを与えます。

【シニア犬のごはん量の計算方法】体重から簡単にわかるカロリー計算ステップでは、具体的なカロリー計算方法がステップバイステップで解説されています。

また、シニア犬用の低カロリーフードへの切り替えも効果的です。ダイエット用フードは、カロリーを抑えながら必要な栄養素はしっかり含まれているため、健康的に痩せることができます。

食事回数を1日2~3回に分けると、空腹感を和らげながら代謝を保つことができます。詳しくは/senior-dog-diet-nutrition-changes-needsをご覧ください。

無理のない運動

ダイエットには運動も欠かせませんが、老犬の場合は関節に負担をかけない工夫が必要です。

  • 短めの散歩を回数多く:1回の散歩を短くして、1日3~4回に分ける

  • 平坦な道を選ぶ:階段や坂道は関節に負担がかかるため避ける

  • 水中運動:プールでの運動は関節への負担が少なく、効果的です

詳しい運動方法については、/senior-dog-exercise-walking-easy-tipsで解説しています。

おやつの見直し

おやつのカロリーは意外と高く、ダイエットの妨げになりがちです。

  • 低カロリーおやつに変更ジャーキー🛒よりも茹でた野菜(ブロッコリー、にんじん)がおすすめ

  • 量を減らす:おやつは1日の総カロリーの10%以内に

  • 与えるタイミング:食前ではなく食後に与える

痩せすぎのシニア犬:健康的に体重を増やす方法

逆に、愛犬が痩せすぎている場合はどうすればよいのでしょうか。

まずは病気の可能性を除外

体重減少の原因が病気の場合、治療が最優先です。以下のような症状がある場合は、すぐに動物病院を受診してください。

  • 2週間で体重が10%以上減った

  • 食欲がない、嘔吐や下痢がある

  • 元気がない、ぐったりしている

  • 多飲多尿がある

定期的な健康🛒診断については、/senior-dog-checkup-frequency-tests-whatで詳しく解説しています。

高カロリー・高栄養食の選び方

病気が除外された後は、食事内容を見直しましょう。

少量で高カロリーなフード🛒を選ぶことがポイントです。シニア犬向けの高カロリーフードや、子犬用フード(タンパク質・脂質が高い)を少量与える方法もあります。

また、消化しやすい食材を選ぶことも重要です。鶏肉、白身魚、卵、カッテージチーズなどは、消化が良く高タンパクでおすすめです。

シニア犬に最適な食事の量や回数は?ドッグフードの選び方や与え方も解説では、痩せ気味のシニア犬向けのフード選びが詳しく紹介されています。

食べやすさの工夫

食べにくさが原因で痩せている場合、以下の工夫が効果的です。

  • フードをふやかす:ぬるま湯でふやかすと食べやすく、香りも立つ

  • 温める:レンジで少し温めると香りが強くなり、食欲を刺激する

  • 食事回数を増やす:1日3~4回に分けて与える

歯の問題がある場合は、/senior-dog-dental-oral-care-never-lateを参考に、適切なケアを行いましょう。

食欲を刺激する方法

食欲が落ちている老犬には、以下の方法を試してみてください。

  • トッピング🛒の活用:茹でた鶏肉やかつお節をトッピング

  • 手から与える:飼い主の手から食べさせると安心感が生まれる

  • 食事環境の見直し:静かで落ち着ける場所で食べさせる

日常的な体重管理のポイント

適正体重を維持するには、日常的な管理が欠かせません。

定期的な体重測定

週に1回の体重測定を習慣にしましょう。同じ曜日、同じ時間に測ると、変化が分かりやすくなります。

体重をノートやアプリに記録し、グラフ化すると、わずかな増減にも早く気づけます。1週間で5%以上の変化があった場合は、獣医師に相談しましょう。

年齢に応じた食事量の調整

老犬は、成犬期に比べて消費カロリーが約20%減少します。そのため、定期的に必要カロリーを再計算し、フード🛒の量を調整することが大切です。

7歳を過ぎたら、半年~1年ごとに食事量を見直しましょう。

獣医師との連携

定期健診の際には、必ず体重の変化を獣医師に報告しましょう。体重の推移を共有することで、病気の早期発見につながることもあります。

/senior-dog-checkup-frequency-tests-whatでは、老犬に必要な検査項目と頻度が詳しく解説されています。

生活環境の見直し

運動しやすい環境を整えることも大切です。滑りやすい床にはマットを敷く、段差にはスロープを設置するなど、老犬が動きやすい環境を作りましょう。

また、ストレスは食欲に影響します。静かで安心できる環境を整えることも、体重管理につながります。

詳しくは/senior-dog-home-modifications-barrier-freeをご覧ください。

まとめ:老犬の体重管理は「個別対応」が基本

老犬の体重管理は、一律の方法では上手くいきません。太りやすい子、痩せやすい子、それぞれに個体差があり、健康状態や生活環境によっても適切な管理方法は異なります。

大切なのは、以下のポイントです:

  • BCSでの定期的なチェック体重計🛒の数値だけでなく、見た目と触診で判断

  • 急激な変化に注意:体重の急増・急減は病気のサインの可能性

  • 年齢と健康状態に合わせた柔軟な管理:定期的に食事量や運動量を見直す

  • 獣医師との連携:不安なことがあれば、すぐに相談

愛犬の体重を適正に保つことは、健康寿命を延ばすことにつながります。日々の観察と記録を大切にし、その子に合った体重管理を続けていきましょう。

老犬との暮らし全般については、/senior-dog-care-happy-golden-yearsで総合的に解説していますので、ぜひご覧ください。

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