愛犬🛒の体がベタベタして臭う、あるいは大量のフケが出ている──こんな症状が見られたら、脂漏症(しろうしょう)の可能性があります。脂漏症は、皮脂の分泌異常により起こる皮膚疾患で、油性と乾性の2つのタイプがあります。
この記事では、犬の脂漏症の原因、症状、診断、治療法から、家庭でできるケア方法まで、獣医師の視点から詳しく解説します。
脂漏症とは?
脂漏症は、皮脂の分泌異常や皮膚のターンオーバーの異常により、皮膚が過度にベタついたり、逆に乾燥してフケが大量に出る疾患です。

健康な犬の皮膚では、皮脂腺から適量の皮脂が分泌され、皮膚を保護しています。しかし、脂漏症では皮脂のバランスが崩れ、様々な症状を引き起こします(参考:犬の脂漏症の症状と治療法)。
脂漏症の2つのタイプ
脂漏症には、「油性脂漏症」と「乾性脂漏症」の2つのタイプがあります。多くの場合、両方のタイプが混在して見られます。
油性脂漏症(脂っぽいタイプ): 皮脂が過剰に分泌され、皮膚や被毛がベタベタと油っぽくなります。体臭が強くなり、黄色っぽい塊が皮膚に付着することもあります。

乾性脂漏症(カサカサタイプ): 皮膚が異常に乾燥し、大量のフケが発生します。皮膚がカサカサして、白い粉のようなフケが目立ちます。
興味深いことに、実は「油性脂漏症」と「乾性脂漏症」は同じメカニズムから生じています。ターンオーバーが短くなることで、セラミドなどの保湿成分を十分に作れなくなり、皮膚が乾燥します。その乾燥を補うために皮脂が過剰に分泌されるのが油性脂漏症です。
脂漏症の原因
脂漏症は、遺伝的な「原発性脂漏症」と、何らかの原因により二次的に起こる「続発性脂漏症」に分類されます。
原発性脂漏症(遺伝性)
特定の犬種では、遺伝的に脂漏症を発症しやすい体質があります。
好発犬種:
アメリカン・コッカー・スパニエル🛒
イングリッシュ・スプリンガー・スパニエル
ウェスト・ハイランド・ホワイト・テリア
バセット・ハウンド
シー・ズー
ジャーマン・シェパード
ダックスフンド
これらの犬種では、若齢(1〜2歳)から症状が現れることが多く、生涯にわたる管理が必要になります。
続発性脂漏症(二次的)
他の疾患や要因が原因となって、二次的に脂漏症が発症する場合です。続発性脂漏症の原因を特定し、治療することで、脂漏症の症状も改善します。
主な原因:
1. ホルモン異常 甲状腺機能低下症、クッシング症候群、性ホルモン異常などにより、皮脂の分泌が異常になります。
2. アレルギー疾患 アトピー性皮膚炎や食物アレルギーにより、皮膚のバリア機能が低下し、二次的に脂漏症を起こします。
3. 寄生虫感染 疥癬や毛包虫症、ノミなどの寄生虫感染が脂漏症の原因となります。
4. 真菌・細菌感染 マラセチアや細菌感染により、皮膚環境が悪化し、脂漏症が発症します。
5. 栄養不足 脂肪酸、ビタミンA、亜鉛などの栄養素が不足すると、皮膚の健康が損なわれ、脂漏症を引き起こします。
6. 環境要因 湿度や温度の極端な変化、不適切なシャンプー🛒、過度な洗浄なども原因となります。
脂漏症の症状
脂漏症の症状は、油性タイプと乾性タイプで異なりますが、多くの場合、両方の症状が混在します。
油性脂漏症の症状
皮膚・被毛のベタつき: 触るとベトベトした感触
強い体臭: 脂っぽく不快なにおい
黄色っぽい塊: 皮膚や被毛に付着する皮脂の塊
被毛の光沢低下: 油でテカテカした外見
かゆみ: 中程度から強いかゆみ
皮膚の赤み: 炎症を伴うことが多い
外耳炎の併発: 耳の中もベタつき、においが強くなる
乾性脂漏症の症状
大量のフケ: 白い粉のようなフケが大量に出る
皮膚の乾燥: カサカサした感触
かゆみ: 軽度から中程度のかゆみ
被毛のパサつき: 毛がバサバサして艶がない
脱毛: フケと共に毛が抜けることも
皮膚の角化: 皮膚が厚くゴワゴワする
症状が現れやすい部位
脂漏症の症状は、全身に現れることもありますが、特に以下の部位で顕著です。
耳(耳介の内側、外耳道)
顔(目の周り、口の周り)
脇の下
股
腹部
足の指の間
しっぽの付け根
脂漏症の診断
脂漏症の診断では、原発性か続発性かを見極めることが重要です。
診断の流れ
1. 問診 発症年齢、犬種、症状の経過、生活環境、食事内容などを詳しく聞き取ります。
2. 身体検査・皮膚検査 皮膚の状態、病変の分布、においの特徴などを確認します。
3. 除外診断 続発性脂漏症の原因となる疾患を除外するため、以下の検査を実施します。
皮膚掻爬検査: 疥癬や毛包虫症の確認
スタンプ細胞診: マラセチアや細菌の確認
真菌培養検査: 皮膚糸状菌症の確認
血液検査: ホルモン異常(甲状腺機能、副腎機能)の確認
アレルギー検査: アトピー性皮膚炎や食物アレルギーの確認
皮膚生検: 必要に応じて実施
4. 総合的な診断 検査結果を総合的に判断し、原発性か続発性か、どのような治療が必要かを決定します。
脂漏症の治療法
脂漏症の治療は、原因に応じて異なりますが、基本となるのは「スキンケア療法」です(参考:脂漏症の治療)。
スキンケア療法(シャンプー療法)
脂漏症治療の基本は、薬用シャンプー🛒によるスキンケアです。
薬用シャンプー🛒の選択:
シャンプーは市販のものではなく、動物病院で処方される「薬用シャンプー」を使用します。主な成分として以下のものがあります。
2%ミコナゾール + 2%クロルヘキシジン: 抗真菌・抗菌作用があり、マラセチアや細菌感染に効果的
過酸化ベンゾイル: 角質溶解作用と脱脂作用が強く、油性脂漏症に有効
硫黄・サリチル酸: 角質軟化作用があり、フケを取り除く
タール製剤: 角化異常を改善する
保湿成分配合: 乾性脂漏症や洗浄後の乾燥予防に
シャンプーの頻度:
初期治療では週2回から開始し、症状の改善に合わせて週1回、さらに5〜7日に1回へと頻度を減らしていきます。
シャンプーの手順:
ぬるま湯(38〜40℃)で全身を濡らす
シャンプーを泡立て、優しく全身に塗布
5〜10分間放置(薬剤を浸透させる)
しっかりとすすぐ(すすぎ残しは症状悪化の原因に)
タオルドライ後、ドライヤーで完全に乾かす(生乾きは厳禁)
保湿ケア:
脂漏症用シャンプーは脱脂作用が強いため、洗浄後は保湿剤やコンディショナーで皮膚バリアを保護します。
薬物療法
抗真菌薬 マラセチアの増殖が認められる場合、内服または外用の抗真菌薬を使用します。
抗生剤 細菌の二次感染がある場合、適切な抗生剤を使用します。
ステロイド剤・免疫抑制剤 炎症やかゆみが強い場合、短期間のステロイド治療を行います。長期使用が必要な場合は、免疫抑制剤も検討します。
ホルモン補充療法 甲状腺機能低下症などのホルモン異常が原因の場合、ホルモン補充療法を行います。
ビタミンA製剤 角化異常に対して、ビタミンA誘導体(レチノイド)が使用されることがあります。
食事療法
栄養管理も脂漏症治療の重要な要素です(参考:脂漏症と食事)。
推奨される栄養素:
オメガ3脂肪酸(EPA・DHA): 炎症を抑え、健康的な皮脂分泌を促進
亜鉛: 皮膚細胞の新陳代謝をサポート
ビタミンA: 皮膚の健康維持に必須
良質なタンパク質: 皮膚と被毛の材料となる
ビオチン: 皮膚の健康をサポート
療法食の利用:
皮膚サポート用の療法食は、これらの栄養素がバランス良く配合されており、長期的な管理に有効です。
水分摂取:
十分な水分摂取は、皮膚の保湿にも重要です。新鮮な水を常に用意しましょう。
油性脂漏症と乾性脂漏症の比較
2つのタイプの特徴を比較してみましょう。
| 項目 | 油性脂漏症 | 乾性脂漏症 |
|---|---|---|
| 皮膚の状態 | ベタベタ、油っぽい | カサカサ、乾燥 |
| フケの特徴 | 黄色っぽい塊状 | 白い粉状、大量 |
| 体臭 | 非常に強い | 軽度〜中程度 |
| 被毛の状態 | ベトついて光沢低下 | パサついて艶がない |
| かゆみ | 中程度〜強い | 軽度〜中程度 |
| 好発部位 | 耳、脇、股、顔 | 背中、腰、四肢 |
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| 併発しやすい疾患 | マラセチア、外耳炎 | 細菌感染、角化症 |
多くの場合、両方のタイプが混在するため、獣医師と相談しながら適切なケアを選択します。
家庭でできるケアと予防
脂漏症は体質的な要因が大きく、完全な予防は難しいですが、適切な管理で症状をコントロールできます。
日常のスキンケア
定期的なブラッシング: 毎日のブラッシングで、古い角質や余分な皮脂を取り除きます。被毛タイプに合ったブラシを選びましょう。
適切なシャンプー: 獣医師の指示に従った頻度でシャンプーを行います。必ず完全に乾かすことが重要です。
保湿ケア: シャンプー後や乾燥が気になる時は、保湿剤を塗布します。
環境管理
湿度管理: 室内の湿度を50〜60%に保つことで、皮膚の乾燥を防ぎます。
清潔な寝床: 寝床やタオルをこまめに洗濯し、清潔に保ちます。
適切な温度: 暑すぎず寒すぎない快適な温度を保ちます。
食事管理
バランスの良い食事: オメガ3脂肪酸、亜鉛、ビタミンを含むバランスの取れた食事を与えます。
おやつの制限: 糖質や脂肪分の過剰摂取は避けます。
サプリメント🛒の活用: 必要に応じて、オメガ3脂肪酸のサプリメントを追加します。
定期的な健康チェック
動物病院での定期検診: 月1回〜3ヶ月に1回、皮膚の状態をチェックしてもらいましょう。
早期発見: 症状の変化に気づいたら、すぐに獣医師に相談します。
治療の継続: 症状が改善しても、自己判断で治療を中断せず、獣医師の指示に従います。
よくある質問
Q: 脂漏症は完治しますか? A: 原発性脂漏症は遺伝的な体質が原因のため、完治は難しく、生涯にわたる管理が必要です。ただし、続発性脂漏症の場合は、原因疾患を治療することで改善が期待できます。
Q: 人間用のシャンプー🛒を使っても大丈夫ですか? A: 絶対に使用しないでください。犬と人間では皮膚のpHが異なるため、人間用シャンプーは犬の皮膚バリアを破壊し、症状を悪化させます。
Q: シャンプーの頻度が多すぎませんか? A: 脂漏症の治療では、通常よりも頻繁なシャンプーが必要です。ただし、獣医師処方の薬用シャンプーを使用し、必ず保湿ケアを行うことで、皮膚へのダメージを最小限に抑えます。
Q: 油性から乾性に、またはその逆に変化することはありますか? A: はい、症状は変化することがあります。季節や体調、治療の経過により、油性と乾性が混在したり、どちらかが優勢になったりします。
Q: 食事だけで改善できますか? A: 食事療法は重要な要素ですが、単独での治療は困難です。シャンプー療法と組み合わせることで、より効果的な管理ができます。
まとめ
犬の脂漏症は、皮脂の分泌異常により起こる皮膚疾患で、油性と乾性の2つのタイプがあります。遺伝的な原発性脂漏症と、他の疾患が原因の続発性脂漏症に分類されます。
治療の基本は、薬用シャンプーによるスキンケア療法で、症状に応じて薬物療法や食事療法を組み合わせます。
脂漏症管理のポイント:
獣医師処方の薬用シャンプーを使用
適切な頻度でシャンプーし、完全に乾かす
保湿ケアを怠らない
オメガ3脂肪酸、亜鉛を含むバランスの良い食事
定期的な健康チェック
脂漏症は長期的な管理が必要な疾患ですが、適切なケアにより、愛犬の生活の質を大きく改善できます。症状が現れたら早めに獣医師に相談し、愛犬に合った治療計画を立てましょう。継続的なケアが、快適な生活への鍵となります。






