「ごはんだよ」と言った瞬間、愛犬が興奮して飛びついてくる。フードボウル🛒を置く前からガツガツと食べようとする。こんな経験はありませんか?食事の時間は犬にとって一日の中でも特に楽しみな時間ですが、だからこそ「待て」のコマンドと食事マナーを教えることが大切です。
アメリカンケネルクラブ(AKC)によると、衝動制御(インパルスコントロール)は犬が自然に身につけるものではなく、トレーニングによって学ぶスキルです。この記事では、1秒から始める段階的なアプローチで、愛犬に「待て」と食事マナーを教える方法をご紹介します。
なぜ「待て」と食事マナーが大切なのか
犬の安全を守る「待て」の役割

「待て」は単なるしつけのテクニックではなく、愛犬の命を守る重要なコマンドです。ワンペディアでは、「待て」ができることで以下のような危険を回避できると解説しています。
飛び出し事故の防止:玄関のドアが開いた瞬間や、車から降りるときに飛び出すのを防ぎます
誤飲の防止:道路に落ちている危険なものを食べようとしたとき、「待て」で止められます
日常生活での安全確保:階段や人混みなど、危険な場所での事故を防ぎます
食事の場面で「待て」ができる犬は、他の場面でも落ち着いて指示を待てるようになります。毎日の食事は、この大切なスキルを練習する絶好の機会なのです。
食事マナーがもたらす3つのメリット

食事マナーを身につけることで、犬にも飼い主にも大きなメリットがあります。
1. 衝動制御力の向上
Whole Dog Journalによると、食事の「待て」で培った衝動制御力は、来客時に飛びつかない、散歩中に引っ張らないなど、様々な場面で発揮されます。
2. 他のしつけへの好影響
「待て」ができるようになると、「おすわり」や「伏せ」など他のコマンドも覚えやすくなります。基本的な自制心が身についているからです。
3. フードアグレッション予防
適切な食事マナーを教えることで、食べ物に対する過度な執着や攻撃性(フードアグレッション)を予防できます。詳しくは後述しますが、これは犬の精神的な安定にも大きく貢献します。
信頼関係に基づいたトレーニングの詳細は、犬のしつけ:信頼関係を築くトレーニング術もご覧ください。
「待て」を始める最適なタイミングと準備
子犬の場合:迎えてから1〜2週間後
PETOKOTOのドッグトレーナーによると、子犬を迎えてから家の環境に慣れ、リラックスできるようになってから(目安としては1〜2週間後)トレーニングを始めるのがベストです。
子犬の場合は以下の点に注意しましょう。
おやつ🛒をあげすぎるとお腹を壊しやすいため、小粒のフードで代用する
集中力が短いので、1回のセッションは5分以内に
遊びの延長として、楽しい雰囲気で行う
成犬の場合:2週間〜1ヶ月後
成犬を新しく迎え入れた場合は、子犬よりも環境に慣れるまで時間がかかる傾向があります。個体差はありますが、犬を迎えてから2週間〜1ヶ月後からトレーニングを始めると良いでしょう。
すでに一緒に暮らしている成犬の場合は、いつでもトレーニングを始められます。「うちの子はもう大人だから無理」ということはありません。
準備するもの
トレーニングを始める前に、以下のものを用意しましょう。
| 準備するもの | ポイント |
|---|---|
| 小さく切ったおやつ | 一口サイズで、犬が大好きなもの |
| 静かな練習場所 | テレビを消すなど、気が散らない環境 |
| クリッカー(任意) | あると便利だが必須ではない |
| 犬用フードボウル | 滑りにくいものがおすすめ |
クリッカートレーニング入門で詳しいクリッカーの使い方を解説していますので、興味がある方はご覧ください。また、褒めて伸ばす!ポジティブ強化トレーニングの基本も参考になります。
「待て」の基本トレーニング:1秒から始める段階的アプローチ
みんなのペットライフのトレーナー直伝メソッドを参考に、段階的なトレーニング方法をご紹介します。
ステップ1:おすわりの状態で1秒待つ
まずは「おすわり」ができる状態を作ります。「おすわり」の教え方がまだの場合は、先にそちらをマスターしましょう。
犬を「おすわり」させる
「待て」と言って、手のひらを犬に向ける
1秒でも待てたらすぐに「よし」と言っておやつをあげる
たっぷり褒める
ポイント:最初は本当に1秒で大丈夫です。成功体験を積み重ねることが大切です。
ステップ2:3秒→5秒→8秒と延ばす
1秒が安定してできるようになったら、徐々に時間を延ばしていきます。
1秒 → 3秒 → 5秒 → 8秒 → 10秒
この順番で少しずつ時間を延ばしましょう。いきなり1分待たせようとすると犬は動いてしまうので、小さなステップを踏むことが重要です。
失敗したら一段階戻る:もし犬が動いてしまったら、一つ前のステップに戻って練習し直します。焦らず、できる時間で成功体験を積みましょう。
ステップ3:解除の合図「よし」を教える
「待て」と同じくらい大切なのが、解除の合図です。
「よし」「OK」「どうぞ」など、どんな言葉でもOK
大切なのは家族全員で統一すること
解除の合図と同時におやつをあげる
ワンペディアでも強調されているように、「待て」の指示語も「待て」「stay」などどれでもいいのですが、家族で統一することが重要です。バラバラの言葉を使うと犬が混乱してしまいます。
ステップ4:距離を離す練習
時間が延ばせるようになったら、次は距離を離す練習です。
「待て」と言って、1歩後ろに下がる
すぐ戻って「よし」、おやつ🛒をあげる
1歩 → 2歩 → 3歩と距離を延ばしていく
室内でできるようになったら、玄関、家の前、公園と場所を変えて練習しましょう。家と外では環境が違うため、外での「待て」のほうが何倍も難しいことを覚えておいてください。
「待て」ができれば事故が防げる!練習法でより詳しい練習法を解説しています。
フードボウルを使った食事マナートレーニング
基本の「待て」ができるようになったら、実際の食事シーンで練習しましょう。
フードボウルを下ろす練習
フードを入れたボウルを胸の高さで持つ
犬を「おすわり」「待て」させる
ゆっくりボウルを下げ始める
犬が動いたら、ボウルを元の高さに戻す
犬が待てたら、また少し下げる
床に置けたら「よし」と解除
この練習のポイントは、犬が動いたらすぐにボウルを上げ直すことです。「待ったらごはんがもらえる」「動いたらごはんが遠くなる」ということを犬に学ばせます。
「よし」までガマンさせる
最終的な目標は、ボウルを床に置いても飼い主の合図があるまで待てることです。
ボウルを床に置く
犬と目を合わせる
「よし」と言って食べさせる
最初は床に置いた瞬間に「よし」で大丈夫です。徐々に床に置いてから「よし」までの時間を延ばしていきましょう。
長時間待たせすぎない注意点
ここで重要な注意点があります。東京DOGSによると、食事前の「待て」を長くしすぎると、フードアグレッションの原因になることがあると指摘されています。
待たせる時間は最大でも30秒程度が目安
「食べたいのに禁止されているモヤモヤ」が溜まると逆効果
目的は「マナーを教えること」であり、「我慢させること」ではない
食事の「待て」は、落ち着いて食事を始めるための儀式として位置づけましょう。
早食い・ガツガツ食べる犬への対処法
「待て」ができても、食べ始めるとガツガツと早食いする犬もいます。これは健康上のリスクがあるため、対策が必要です。
早食いのリスク:胃捻転の危険性
PETOKOTO(獣医師執筆)によると、早食いには以下のようなリスクがあります。
空気を大量に飲み込む:げっぷやおならの原因に
胃拡張・胃捻転:特に大型犬は要注意。命に関わることも
嘔吐や消化不良:食べ物が十分に消化されない
窒息の危険:特に子犬や高齢犬は注意が必要
胃捻転が起きた場合、数時間以内に処置しなければ命の危険があります。以下の症状が見られたらすぐに動物病院へ。
よだれをたくさん流す
お腹が膨れる
吐きたがるが何も出てこない
落ち着きがなくなる
早食い防止の5つの方法
1. 早食い防止食器を使う
内部に凹凸がある早食い防止食器は、犬が一度に大量のフードを口に入れられないよう設計されています。自然と食べるスピードが落ちます。
2. フードをふやかす
ドライフード🛒をぬるま湯でふやかすと、満腹感が得やすくなり、早食いと食べすぎを防げます。
3. 食事回数を増やす
1日1回の食事だとお腹が空きすぎて早食いになりがちです。成犬は1日2回、子犬は1日3〜4回に分けましょう。
4. 知育おもちゃを活用する
コングなどの知育おもちゃにフードを入れると、遊びながら少しずつ食べるため、自然と早食いが防げます。
5. 手から少しずつ与える
最も確実な方法は、手から小分けにして与えることです。飼い主との信頼関係も深まります。
フードの選び方については、犬の食事と栄養:正しいフード選びの科学も参考にしてください。
フードアグレッションを予防するポイント
フードアグレッションは、適切なトレーニングで予防できます。
フードアグレッションとは?
フード🛒アグレッションとは、犬が食事をしているときに誰かが近づいたり、食器を取ろうとしたりすると、唸る、歯を剥き出す、噛みつくなどの攻撃的な行動を見せることです。
東京DOGSによると、主な原因は以下の3つです。
競争率が高い環境(多頭飼い、兄弟犬との競争)で育った
過度に長い「待て」をさせられた経験
警戒心が強く、こだわりが強い性格
予防のための正しい接し方
フードアグレッションを予防するには、日頃から以下のことを心がけましょう。
1. 食事中は近づかない、触らない、じっと見ない
食事の時間は犬にとって最も幸せな時間です。特に理由がなければ、食べている最中に近づいたり触ったりすることは避けましょう。
2. 食器は気づかないタイミングで回収
食べ終わった後、犬が別のことに気を取られているタイミングで食器を片付けます。
3. 手から与えて信頼を築く
時々、手からフードを与えることで「人の手=良いことが起こる」と学習させます。
4. 静かな場所で食事させる
家族の導線とは離れた、落ち着いた場所で食事させましょう。
すでに症状がある場合の対処
すでにフードアグレッションの症状がある場合は、専門家への相談を強くおすすめします。特に柴犬などは症状が深刻になりやすいと言われています。
自己流で対処しようとすると、ケガのリスクがあります。Whole Dog Journalでも、問題行動への対処はプロの指導を仰ぐことが推奨されています。
その他の問題行動については、犬の問題行動:原因を知って根本から解決で詳しく解説しています。
よくある失敗パターンと解決策
「待て」のトレーニングがうまくいかないとき、以下のパターンをチェックしてみてください。
待てない・すぐ動いてしまう
原因:待たせる時間が長すぎる、おやつ🛒の魅力が足りない
解決策:
待たせる時間を1秒に戻す
より魅力的なおやつを使う(チーズ、ササミなど)
成功したらすぐに褒める
外だと言うことを聞かない
原因:外は刺激が多く、集中力が続かない
解決策:
まずは室内で完璧にできるようになってから外へ
外では刺激の少ない場所から始める(人通りの少ない時間帯など)
外でのおやつは特別に美味しいものを用意
どこでも呼び戻せる!リコール強化トレーニングでも、環境を変えた練習のコツを解説しています。
家族によって態度が違う
原因:家族それぞれが違う指示語やルールを使っている
解決策:
指示語を統一する(「待て」か「ステイ」か、「よし」か「OK」かを決める)
ルールを書き出して家族全員で共有する
全員が同じ方法でトレーニングに参加する
まとめ:毎日の食事がトレーニングのチャンス
「待て」と食事マナーのトレーニングは、愛犬の安全を守り、穏やかな暮らしを実現するための大切なスキルです。
覚えておきたいポイント:
✅ 1秒から始めて段階的に時間を延ばす
✅ 家族で指示語を統一する(「待て」と「よし」)
✅ 長時間の待ては逆効果、最大30秒を目安に
✅ 毎日の食事で継続的に練習する
✅ 困ったら専門家に相談する
毎日2〜3回ある食事の時間は、トレーニングの絶好のチャンスです。焦らず、愛犬のペースに合わせて、楽しみながら取り組んでいきましょう。
「待て」ができるようになったら、次は「伏せ」を覚えさせる効果的な3ステップにも挑戦してみてください。また、褒めて伸ばす!ポジティブ強化トレーニングの基本を参考に、ポジティブなトレーニングを心がけてくださいね。






