愛犬や愛猫が病気と診断されたとき、獣医師から「療法食」を勧められることがあります。療法食は特定の病気や健康状態に対応するために開発された特別なフード🛒で、適切に使用することで病気の進行を遅らせたり、症状を緩和したりする効果が期待できます。
この記事では、療法食の基本から種類別の特徴、主要メーカーの比較、正しい選び方まで詳しく解説します。愛犬・愛猫の健康管理に役立ててください。
獣医師処方の療法食とは?一般フードとの違い
療法食(食事療法食)とは、特定の病気や症状、健康状態に対応するために特別な栄養バランス設計で作られたフードのことです。一般的なドッグフードやキャットフードとは異なり、製品ごとに栄養成分の量や比率が細かく調整されています。

例えば、腎臓病用の療法食ではリンやタンパク質の含有量が制限されており、尿路結石用の療法食ではミネラルバランスが調整されています。このような特殊な栄養設計により、病気の治療をサポートしたり、症状の悪化を防いだりすることができます。
療法食と一般フードの主な違い:
| 項目 | 一般フード | 療法食 |
|---|---|---|
| 目的 | 健康な犬猫の栄養維持 | 特定の病気・症状への対応 |
| 栄養設計 | 総合栄養食の基準 | 疾患に合わせた特殊設計 |
| 購入方法 | ペットショップ等で自由に購入 | 獣医師の指導のもとで購入 |
| 使用期間 | 継続使用可能 | 獣医師の判断で変更・終了 |
療法食は「獣医師の指導下で給与してください」という注意書きがあり、独自の判断で与え続けると、特定の栄養素の欠乏症や摂取過多で別の病気を引き起こす可能性があります。必ずかかりつけの動物病院で診断を受け、獣医師の指示に従って使用しましょう。

正しいフード選びの基本については、犬の食事と栄養:正しいフード選びの科学も参考にしてください。
療法食が必要な主な疾患と種類
療法食には様々な種類があり、それぞれ対象となる疾患や症状が異なります。ペットゴーの療法食一覧によると、消化器、下部尿路、腎臓、体重管理、皮膚、肝臓、糖尿病、心臓、関節など多岐にわたるカテゴリーが存在します。
ここでは、特に多くの犬猫が必要とする主な療法食の種類を詳しく解説します。
腎臓病用療法食
腎臓病は犬猫、特に高齢の猫に多い疾患です。腎臓病用の療法食は、腎臓への負担を軽減するためにリンとタンパク質の含有量を制限しています。
ロイヤルカナンの腎臓サポートなどの製品は、慢性腎臓病の犬猫に給与することを目的として開発されています。高消化性のタンパク質を使用し、腎臓病による食欲低下にも配慮した嗜好性の高い設計になっています。
腎臓病用療法食の特徴:
リンの含有量を制限(腎臓への負担軽減)
タンパク質の質と量を調整(老廃物の蓄積防止)
ナトリウムを制限(血圧管理)
オメガ3🛒脂肪酸を配合(腎臓の炎症抑制)
腎臓病のステージによって適切な療法食が異なります。早期(ステージ1〜2)向けと進行期(ステージ3以上)向けでは、タンパク質の制限度合いが異なるため、獣医師と相談して適切な製品を選びましょう。
下部尿路疾患・尿路結石用療法食
尿路結石は犬猫に多い疾患で、結石の種類によって療法食の設計が異なります。主な結石にはストルバイト結石とシュウ酸カルシウム結石があります。
ストルバイト結石用:
尿のpHを酸性化する成分を配合
マグネシウム、リン、カルシウムを制限
結石溶解用と再発防止用がある
シュウ酸カルシウム結石用:
尿のpHをアルカリ化
カルシウムとシュウ酸を制限
溶解はできないため、主に再発防止が目的
下部尿路疾患用の療法食を選ぶ際は、尿検査で結石の種類を特定し、それに合った製品を選ぶことが重要です。
食物アレルギー・皮膚疾患用療法食
食物アレルギーの犬猫には、アレルゲンとなるタンパク質を避けた療法食が処方されます。主に以下のタイプがあります:
加水分解タンパク食:タンパク質を小さく分解し、免疫反応を起こしにくくした食事
新奇タンパク食:カンガルー、鹿、ダックなど、一般的でないタンパク源を使用
アミノ酸食:タンパク質を完全にアミノ酸レベルまで分解した食事
皮膚疾患用の療法食には、炎症を抑えるオメガ3脂肪酸が豊富に配合されており、皮膚・被毛の健康をサポートします。
食物アレルギーの犬に適したフード🛒選びについては、食物アレルギーの犬に選ぶべきフードで詳しく解説しています。
消化器疾患用療法食
慢性的な下痢や嘔吐、膵炎などの消化器疾患を持つ犬猫には、消化器に負担をかけない療法食が処方されます。
消化器用療法食の特徴:
高消化性タンパク質を使用(消化吸収しやすい)
低脂肪設計(膵臓への負担軽減)
プレバイオティクス配合(腸内環境の改善)
食物繊維のバランス調整
急性の消化器症状と慢性の消化器疾患では適切な療法食が異なるため、症状に合わせて獣医師に相談しましょう。
肝臓・心臓疾患用療法食
肝臓疾患用療法食:
銅の蓄積を防ぐため銅を制限
分岐鎖アミノ酸(BCAA)を増量
良質なタンパク質を適量使用
抗酸化成分を配合
心臓疾患用療法食:
ナトリウムを制限(心臓への負担軽減)
タウリンを強化(心筋機能のサポート)
L-カルニチンを配合(心臓のエネルギー代謝をサポート)
オメガ3脂肪酸を配合
心臓病や肝臓病は進行性の疾患が多いため、定期的な検査と療法食の見直しが必要です。
糖尿病・肥満用療法食
糖尿病や肥満の管理には、血糖値の急激な上昇を防ぎ、適正体重を維持するための療法食が使用されます。
糖尿病・肥満用療法食の特徴:
低炭水化物・高タンパク設計
食物繊維を増量(満腹感の維持、血糖値の安定)
低カロリー設計
L-カルニチン配合(脂肪燃焼のサポート)
肥満犬のダイエットについては、ダイエット成功!肥満犬の減量フードと方法で詳しく解説しています。
主要メーカー比較:ロイヤルカナン vs ヒルズ vs その他
療法食を製造する主要メーカーにはそれぞれ特徴があります。にしのみや動物病院の獣医師解説によると、どのメーカーも長年の研究実績があり、信頼性は高いとされています。
| メーカー | 特徴 | 強み |
|---|---|---|
| ヒルズ(プリスクリプション・ダイエット) | 療法食の元祖、世界トップシェア | 長年の実績とエビデンス、独自製品(t/dなど) |
| ロイヤルカナン(ベテリナリーダイエット) | 日本でトップシェア | 嗜好性の高さ、品種・年齢別の細かいラインナップ |
| スペシフィック | デンマーク製、デクラ社の療法食 | オメガ脂肪酸に注力、ウェットフードが充実 |
| ベッツセレクション | 日本の臨床獣医師と共同開発 | 動物病院専用、国産 |
| サニメド | オランダ製の療法食 | コストパフォーマンスが良い |
ヒルズとロイヤルカナンの比較:
ヒルズのプリスクリプション・ダイエットは科学的な研究に基づいて開発されており、世界的にはトップシェアを誇ります。特に歯の健康をサポートするt/dのように独自の製品もあります。
ロイヤルカナンは日本国内でのシェアが高く、嗜好性(美味しさ)に定評があります。食欲が落ちやすい病気の犬猫でも食べやすいよう工夫されています。
どちらのメーカーも、ほぼすべての動物病院で取り扱いがあり、サンプルも用意されています。愛犬・愛猫が食べる方を選ぶという決め方も一般的です。
療法食の正しい選び方:5つのポイント
療法食を選ぶ際には、以下の5つのポイントを押さえましょう。
1. 獣医師の診断を受ける
療法食は必ず獣医師の診断に基づいて選ぶ必要があります。同じ症状でも原因が異なれば、適切な療法食も異なります。自己判断で療法食を与えることは避けてください。
2. 疾患のステージを確認する
腎臓病など進行性の疾患では、ステージによって適切な療法食が異なります。定期的な検査で現在のステージを把握し、それに合った製品を選びましょう。
3. 嗜好性を考慮する
どんなに優れた療法食でも、愛犬・愛猫が食べなければ意味がありません。複数のメーカーの製品を試して、よく食べるものを選ぶことも大切です。
4. 形状(ドライ/ウェット)を選ぶ
同じ療法食でも、ドライフードとウェットフード(缶詰・パウチ)があります。水分摂取が重要な疾患(腎臓病、尿路結石など)ではウェットフード🛒が推奨されることもあります。
5. 継続できる価格帯を選ぶ
療法食は長期間継続する必要があることが多いです。無理なく続けられる価格帯の製品を選ぶことも重要な要素です。
療法食を与える際の注意点
療法食を効果的に使用するために、以下の注意点を守りましょう。
フードの切り替え方
今までのフードから療法食に切り替える際は、1週間〜10日ほどかけて徐々に移行しましょう。急な切り替えは嘔吐や下痢、食欲不振の原因になります。
切り替えスケジュールの目安:
1〜3日目:従来のフード75% + 療法食25%
4〜6日目:従来のフード50% + 療法食50%
7〜9日目:従来のフード25% + 療法食75%
10日目以降:療法食100%
おやつ・トッピングはNG
療法食を与えている間は、おやつやトッピングは原則禁止です。「少しくらいなら」と思いがちですが、療法食は特定の栄養バランスで設計されているため、他の食べ物を加えると効果が薄れたり、かえって有害になることもあります。
どうしてもおやつを与えたい場合は、獣医師に相談して、療法食と同じシリーズのおやつを少量だけ与えるようにしましょう。
療法食を食べてくれないときの対処法
病気の犬猫は食欲が落ちていることも多く、療法食を食べてくれないこともあります。サニメドのコラムでは、以下の対処法が紹介されています。
療法食を食べやすくする工夫:
温める:電子レンジで人肌程度に温めると、香りが立って食欲を刺激します
ぬるま湯でふやかす:ドライフードをぬるま湯でふやかすと食べやすくなります
ウェットフードに変更:ドライフードを食べない場合、同じ療法食のウェットタイプを試してみましょう
少量ずつ複数回に分けて与える:一度に多く与えず、少量を複数回に分けて与えます
手から与える:飼い主の手から直接与えると食べることがあります
これらの工夫をしても食べない場合は、獣医師に相談して別の療法食に変更することも検討しましょう。
療法食の購入方法と費用
購入方法
療法食は以下の方法で購入できます:
動物病院(推奨)
ネット通販(Amazon、楽天、ペットゴーなど)
ペットショップ・ホームセンター
基本的にはかかりつけの動物病院での購入が推奨されます。理由は以下の通りです:
獣医師が愛犬・愛猫の状態を把握した上で適切な製品を選んでくれる
定期検診とセットで療法食の効果を確認できる
正規ルートでの購入なので品質が保証される
ネット通販でも購入できますが、多くのメーカーは病院を経由しない流通ルートを望んでいません。購入時に病院IDが必要な場合もあります。
費用の目安
療法食は一般的なフードより高価です。目安として:
ドライフード(2kg):3,000円〜5,000円程度
ウェットフード🛒(1缶/パウチ):200円〜400円程度
長期間の使用を考えると、継続できる価格帯の製品を選ぶことが大切です。動物病院によっては、定期購入で割引がある場合もあります。
まとめ:愛犬・愛猫に最適な療法食を見つけるために
獣医師処方の療法食は、特定の病気や健康状態を持つ犬猫の治療をサポートする重要なツールです。正しく使用することで、病気の進行を遅らせ、愛犬・愛猫のQOL(生活の質)を維持することができます。
療法食を成功させるポイント:
必ず獣医師の診断・指導のもとで使用する
定期的な検診で効果を確認し、必要に応じて見直す
おやつやトッピングは避け、療法食だけで栄養管理する
食べない場合は工夫を凝らし、それでもダメなら獣医師に相談
愛犬・愛猫の病気予防と早期発見については、愛犬の健康を守る病気予防と早期発見も参考にしてください。
療法食は「薬」ではありませんが、適切に使用することで治療効果を高める大切なパートナーです。獣医師と二人三脚で、愛犬・愛猫に最適な療法食を見つけ、健康な毎日をサポートしてあげましょう。






