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犬のしつけ:信頼関係を築くトレーニング術

引っ張らない散歩:リーシュウォーキングの基本

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愛犬との散歩は本来、楽しいコミュニケーションの時間のはず。しかし、リード🛒をグイグイ引っ張られて腕が痛い、引きずられそうになって危険…そんな悩みを抱えていませんか?

実は、Dogsterの調査によると、82.7%もの犬が散歩中にリードを引っ張るという結果が出ています。あなただけが悩んでいるわけではないのです。

この記事では、犬がなぜリードを引っ張るのか、その科学的な理由から、効果的なトレーニング方法、適切な道具の選び方まで、引っ張らない散歩を実現するための基本を徹底解説します。犬のしつけの基本を理解したうえで、実践的なテクニックを身につけましょう。

なぜ犬はリードを引っ張るのか?

引っ張り癖を直すためには、まずなぜ犬が引っ張るのかを理解することが大切です。主な原因は3つあります。

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興奮と好奇心

外の世界は犬にとって刺激の宝庫です。さまざまな匂い、音、動くものに対する好奇心から「早く行きたい!」「あの匂いを嗅ぎたい!」という気持ちが高まり、つい前のめりになってしまいます。

そもそも犬の祖先であるオオカミは、人間よりもはるかに速いスピードで移動する動物です。ゆっくり歩く人間のペースに合わせること自体が、犬にとっては自然ではないのです。

反対反射(オポジションリフレックス)

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VCA Animal Hospitalsの解説によると、犬には反対反射(オポジションリフレックス)という本能的な反応があります。これは、圧力を感じると逆方向に押し返そうとする反射です。

つまり、リード🛒が張って首に圧力がかかると、犬は無意識のうちに反対方向——つまり前——に引っ張ってしまうのです。飼い主が引っ張り返せば返すほど、犬も強く引っ張るという悪循環に陥ります。

学習された行動

犬は賢い動物です。「引っ張れば早く目的地に着ける」「引っ張れば気になる匂いを嗅げる」と学習すると、その行動を繰り返すようになります。

飼い主が引っ張りを許容したり、時々は引っ張りに負けて進んでしまったりすると、犬は「引っ張れば願いが叶う」と学習してしまいます。

リーシュウォーキング(ルースリードウォーキング)とは

リーシュウォーキングとは、リードが緩んだ状態(ルースリード)で飼い主の隣を歩く散歩スタイルのことです。英語では「Loose Leash Walking」と呼ばれます。

Animal Humane Societyによると、リーシュウォーキングの目標は、犬が常にぴったり横につくことではなく、リードが張らない範囲で自由に動ける状態を維持することです。

日本で「リーダーウォーク」と呼ばれる方法は、犬をぴったり横につかせることを目指しますが、これは犬にとって緊張を強いることにもなります。リーシュウォーキングは、もう少しリラックスした状態で、飼い主と犬の両方が快適に歩けることを目指します。

リーシュウォーキングを習得することで、安全な散歩、飼い主の体への負担軽減、そして犬との信頼関係の強化につながります。ポジティブ強化トレーニングの基本を活用して、楽しく教えていきましょう。

準備するもの:適切な道具選び

トレーニングを始める前に、適切な道具を揃えることが成功への近道です。

首輪 vs ハーネス

首輪は、飼い主の指示が伝わりやすいというメリットがあります。軽い合図で犬に意思を伝えることができます。

ただし、引っ張り癖がある犬の場合、首輪は首や気管に大きな負担をかけます。特に以下の犬種は気管虚脱のリスクが高いため、ハーネスの使用をおすすめします。

  • チワワ

  • トイプードル

  • ポメラニアン

  • フレンチブルドッグ

  • パグ

フロントクリップハーネスの効果

マイベストのハーネスランキングでも紹介されているフロントクリップハーネス(イージーウォークハーネス)は、引っ張り癖のある犬に特に効果的です。

リードの取り付け位置が犬の胸の前にあるため、犬が引っ張ると体が横を向いてしまい、前に進めなくなります。このテコの原理を利用することで、引っ張りを最大98%軽減できるというデータもあります。

リードの長さと素材

リードは1.2〜1.8mの標準的な長さがおすすめです。長すぎると犬のコントロールが難しくなり、短すぎると犬が自由に動けません。

伸縮リード🛒(フレキシブルリード)は避けてください。 伸縮リードは「引っ張れば伸びる」ことを犬に教えてしまい、引っ張り癖を助長します。

基本トレーニング法4選

ここからは、プロのドッグトレーナーも使う効果的なトレーニング方法を4つ紹介します。

レッドライト・グリーンライト法

American Kennel Clubも推奨するこの方法は、最もシンプルで効果的なテクニックです。

やり方:

  1. 犬がリード🛒を引っ張ったら、その場で完全に止まる(レッドライト)

  2. 犬が振り返ったり、リードが緩んだりしたら「いい子」と褒める

  3. リードが緩んだ状態で歩き始める(グリーンライト)

  4. また引っ張ったら、同じことを繰り返す

最初は10歩も進めないかもしれませんが、根気強く続けることで犬は「引っ張ると止まる、緩めると進める」と学習します。

Uターン法(方向転換)

PETOKOTOのトレーナー解説でも紹介されているこの方法は、引っ張りが強い犬に特に有効です。

やり方:

  1. 犬がリードを引っ張り始めたら、180度向きを変えて反対方向に歩く

  2. このとき、犬に声をかけたり振り返ったりしない

  3. 犬がついてきたら、穏やかに褒める

  4. また引っ張ったら、同じことを繰り返す

犬は「飼い主がいつ方向転換するかわからない」と学習し、飼い主を注視するようになります。

おやつ誘導法

特に子犬や食べ物に興味がある犬に効果的な方法です。

やり方:

  1. 小さくちぎったおやつを手に握る

  2. その手を犬の鼻の高さ、足の横に置く

  3. 犬が手に注目している間に2〜3歩歩く

  4. おやつ🛒を1つ与える

  5. 徐々に歩く距離を延ばし、おやつの間隔を空けていく

クリッカートレーニングと組み合わせると、より効果的にタイミングを伝えられます。

8の字ウォーキング

集中力を高め、方向転換に慣れさせるための練習です。

やり方:

  1. 広いスペースで8の字を描くように歩く

  2. 内側を回るときと外側を回るときで犬の位置が変わる

  3. おやつで犬を誘導しながら、スムーズに歩く

  4. 慣れてきたら、おやつなしで挑戦

この練習は、犬が飼い主の動きに集中する訓練になります。

成功のための5つのコツ

トレーニング方法を知っていても、やり方次第で効果は大きく変わります。成功するためのコツを押さえましょう。

室内から始める

外の世界は刺激が多すぎて、犬が集中できません。まずは刺激の少ない室内でリードをつけて歩く練習から始めましょう。

室内で上手に歩けるようになったら、玄関先、庭、静かな道、そしていつもの散歩コースへと段階的にステップアップしていきます。

一貫性を保つ

東京DOGSのドッグトレーナーも強調するように、一貫性が最も重要です。

「今日は疲れているから引っ張られてもいいや」「急いでいるから仕方ない」と、時々引っ張りを許容すると、トレーニングは振り出しに戻ります。家族全員が同じルールを守ることも大切です。

事前にエネルギーを発散

エネルギーが有り余っている犬は、落ち着いて歩くことが難しいです。散歩の前に室内でボール遊びやおもちゃ🛒で遊ばせることで、適度にエネルギーを発散させましょう。

少し疲れた状態の犬は集中しやすく、学習効率も上がります。

アイコンタクトを強化

犬が飼い主を見るようになれば、引っ張りは自然と減ります。散歩中に名前を呼び、こちらを見たらすぐにおやつを与える練習を繰り返しましょう。

「おいで」のリコールトレーニングと同様に、アイコンタクトは多くのしつけの基礎になります。

短い練習を繰り返す

犬の集中力は長く続きません。1回5〜10分、1日に数回の短い練習を繰り返すほうが、長時間の練習より効果的です。

リーシュウォーキングの習得には数週間から数ヶ月かかることを理解し、焦らずコツコツと取り組みましょう。

よくある失敗と対処法

トレーニング中によくある失敗パターンと、その対処法を紹介します。

リードを引っ張り返す

犬が引っ張ったときに、飼い主もリードを引っ張り返すのはNGです。反対反射を強化してしまい、犬はさらに強く引っ張るようになります。

対処法: リードを引っ張り返す代わりに、その場で止まるか、方向転換してください。

言葉で叱る

「ダメ!」「引っ張らないで!」と言葉で叱っても、犬には何がダメなのか伝わりません。むしろ、飼い主との信頼関係を損なう恐れがあります。

対処法: 叱る代わりに、正しい行動をしたときに褒めることで、望ましい行動を教えましょう。

途中で諦める

「うちの犬は無理」「もう何年も引っ張っているから」と諦めてしまうケースがあります。しかし、一貫性を持って取り組めば、成犬でも改善できます。

対処法: 小さな進歩を認め、自分と愛犬を褒めましょう。「今日は3回止まっただけで済んだ」など、ポジティブな変化に目を向けてください。

引っ張り癖を放置するリスク

「別に引っ張られても困らない」と思うかもしれませんが、引っ張り癖を放置することにはリスクがあります。

犬の体への負担: 首輪をつけた状態で引っ張り続けると、首や気管に大きな負担がかかります。気管虚脱や頸椎ヘルニアなど、深刻な健康問題につながる可能性があります。

飼い主の怪我: 大型犬に引っ張られて転倒したり、肩や腕を痛めたりするケースは少なくありません。特に高齢の飼い主にとっては骨折のリスクもあります。

散歩が苦痛に: 引っ張りが続くと散歩自体がストレスになり、散歩の頻度が減ってしまうことがあります。これは犬の運動不足やストレス蓄積につながり、さまざまな問題行動の原因になりかねません。

まとめ:楽しい散歩への第一歩

引っ張らない散歩を実現するためのポイントをおさらいしましょう。

  • 引っ張る原因を理解する: 興奮、反対反射、学習された行動が主な原因

  • 適切な道具を選ぶ: フロントクリップハーネス🛒と標準リードがおすすめ

  • 効果的なトレーニング法: レッドライト・グリーンライト法、Uターン法、おやつ誘導法、8の字ウォーキング

  • 成功のコツ: 室内から始め、一貫性を保ち、短い練習を繰り返す

リーシュウォーキングの習得には時間がかかりますが、根気強く続ければ必ず成果が出ます。引っ張られるストレスから解放され、愛犬との散歩が楽しい時間に変わる日を目指して、今日から始めてみませんか?

さらに集中的に取り組みたい方は、グイグイ引っ張る癖を2週間で直す方法も参考にしてください。

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