避妊🛒・去勢手術を行わない選択には、さまざまな健康リスクと行動上の問題が伴います。本記事では、未避妊・未去勢の犬が直面する具体的なリスクを科学的根拠に基づいて解説します。
未避妊メス犬の健康リスク
乳腺腫瘍:最も多い雌犬の腫瘍

乳腺腫瘍は雌犬の全腫瘍中52%を占める、最も一般的な腫瘍です。未避妊の雌犬では約4頭に1頭の割合で発生し、その約半数が悪性という深刻な疾患です。
| タイミング | 乳腺腫瘍発生率 | 予防効果 |
|---|---|---|
| 初回発情前に避妊 | 0.5%(200頭に1頭) | 99.5% |
| 1回目発情後に避妊 | 8% | 92% |
| 2回目発情後に避妊 | 26% | 74% |
| 未避妊 | 約25%(4頭に1頭) |
悪性乳腺腫瘍の特徴:
急速に成長する
リンパ節や肺に転移しやすい
発見が遅れると命に関わる
外科的切除が必要

初回発情前に避妊手術を行うことで、発生率を0.5%まで劇的に下げることができます。これは200頭に1頭の割合であり、99.5%の予防効果を意味します。
詳しくは避妊・去勢手術の最適な時期とタイミングをご覧ください。
子宮蓄膿症:致命的な緊急疾患
子宮蓄膿症は中高齢の雌犬で多く見られる、生命を脅かす生殖器疾患です。子宮内に膿が溜まり、放置すると腹膜炎や敗血症を引き起こします。
症状の進行:
| ステージ | 症状 | 危険度 |
|---|---|---|
| 初期 | 陰部からの異常分泌物、食欲低下 | 中 |
| 中期 | 多飲多尿、嘔吐、発熱 | 高 |
| 末期 | 腹膜炎、敗血症、ショック状態 | 極めて高 |
発症リスク要因:
加齢(5歳以上で発症率上昇)
発情を繰り返すことによるホルモン変動
発情後2ヶ月以内(黄体期)が最も危険
子宮蓄膿症は緊急手術が必要な疾患であり、治療が遅れると致命的です。避妊手術により子宮を摘出することで、**1🛒00%予防**できます。
卵巣腫瘍と子宮腫瘍
未避妊の雌犬では、卵巣腫瘍や子宮腫瘍のリスクもあります。
主な腫瘍タイプ:
卵巣顆粒膜細胞腫
卵巣腺癌
子宮平滑筋腫
子宮内膜癌
これらの腫瘍は早期発見が難しく、症状が現れた時には進行していることが多いため、予防的な避妊手術が推奨されます。
未去勢オス犬の健康リスク
精巣腫瘍:高齢犬で増加
精巣腫瘍は未去勢の高齢オス犬に多く見られる疾患です。特に停留精巣(精巣が正常な位置まで降りてこない状態)を持つ犬では、発症リスクが通常の10倍以上になります。
主な精巣腫瘍のタイプ:
| 腫瘍タイプ | 発生率 | 特徴 |
|---|---|---|
| セルトリ細胞腫 | 30-40% | ホルモン産生、脱毛を引き起こす |
| 精上皮腫 | 40-50% | 比較的良性が多い |
| ライディッヒ細胞腫 | 10-20% | ホルモン異常を起こす |
セルトリ細胞腫の症状:
対称性脱毛(特に胴体)
乳頭の腫大
貧血
元気・食欲の低下
精巣の腫大や硬化
去勢手術により精巣を摘出することで、精巣腫瘍の発生を**1🛒00%予防**できます。
前立腺肥大:排尿障害の原因
未去勢オスの多くが高齢になると前立腺肥大を発症します。これはテストステロンの影響により前立腺が徐々に大きくなる疾患です。
前立腺肥大の症状:
排尿困難、頻尿
血尿
排便困難(前立腺が直腸を圧迫)
後肢の跛行(痛みによる)
発症率:
5歳以上の未去勢オスの約80%
8歳以上では95%以上
去勢手術により前立腺は縮小し、症状は70-90%改善します。
会陰ヘルニア:手術が必要な疾患
会陰ヘルニアは、会陰部(肛門周囲)の筋肉が弱くなり、腹腔内の臓器が突出する疾患です。未去勢オスで10倍以上発症しやすいとされています。
症状:
肛門の横に膨らみができる
排便困難
尿閉(膀胱が脱出した場合)
治療には外科手術が必要で、再発率も高い疾患です。去勢手術によりリスクを大幅に減少させることができます。
未去勢オス犬の問題行動
マーキング行動:縄張り意識の表れ
性成熟に伴い、マーキング行動が顕著になります。これは縄張り意識の高まりと発情中のメスへのアピールのために行われます。
マーキング🛒行動の特徴:
足を上げて少量ずつ排尿
家の中でも行う
散歩中に頻繁に止まって排尿
他の犬の尿の匂いに反応
| 去勢時期 | マーキング改善率 | 備考 |
|---|---|---|
| 行動出始め(生後6-10ヶ月) | 70-80% | 習慣化前が効果的 |
| 習慣化後(1歳以降) | 20-40% | 学習済み行動は残る |
重要:マーキングが習慣化してしまうと、去勢手術後もマーキングが継続することがあります。早期の去勢が効果的です。
詳細は避妊・去勢手術後の行動変化を参照してください。
攻撃性の増加
未去勢オスは年中発情状態にあるため、交尾欲や縄張り意識の高まりにより、攻撃性が増すことがあります。
攻撃性が現れる場面:
他のオス犬との遭遇時
発情中のメス犬をめぐる争い
縄張りへの侵入者に対して
飼い主や家族に対しても(まれ)
去勢による改善効果:
他犬への攻撃性:50-60%の犬で改善
人への攻撃性:30-40%の犬で改善
効果は個体差が大きい
ただし、恐怖や学習による攻撃性は去勢だけでは改善しないため、行動療法との併用が推奨されます。
マウンティング行動
マウンティングは本来繁殖行動の一環ですが、興奮や支配性の表現としても行われます。
マウンティングの対象:
他の犬(オス・メス問わず)
人の脚
クッション🛒やぬいぐるみ
去勢による効果:
性的なマウンティング:70-80%減少
支配性や興奮によるマウンティング:改善は限定的
マウンティングが習慣化する前の早期去勢が最も効果的です。
脱走行動:発情メスを求めて
未去勢オスは発情中のメスの匂いに強く反応し、数キロ先のメスを探知できると言われています。
脱走のリスク:
フェンスを飛び越える
門や玄関からの飛び出し
リードを強引に引っ張る
散歩中に飼い主を振り切る
脱走によるリスク:
交通事故
迷子
他の犬とのトラブル
望まない繁殖
去勢手術により発情メスへの関心が大幅に低下し、脱走リスクが60-80%減少します。
問題行動と健康リスクの関係
未避妊・未去勢の犬では、健康リスクと問題行動が相互に影響し合います。
| 状態 | 健康への影響 | 行動への影響 |
|---|---|---|
| 慢性的な発情ストレス | 免疫力低下、ホルモン異常 | 攻撃性、不安行動の増加 |
| 前立腺肥大による痛み | QOL(生活の質)低下 | イライラ、攻撃性 |
| 満たされない繁殖欲求 | ストレスホルモン増加 | 破壊行動、脱走、遠吠え |
年齢別リスクの変化
未避妊・未去勢のリスクは年齢とともに変化します。
若齢期(1-3歳)
問題行動が主なリスク
望まない繁殖の危険性
健康リスクは比較的低い
中年期(4-7歳)
健康リスクが徐々に上昇
乳腺腫瘍、子宮蓄膿症の発症開始
前立腺肥大の兆候
高齢期(8歳以上)
健康リスクが最も高い
生殖器系腫瘍の発生率急上昇
前立腺肥大がほぼ確実に発症
手術のリスクも増加(麻酔リスク)
重要:高齢になってからの避妊・去勢手術は麻酔リスクが高まるため、若い時期の手術が推奨されます。
リスク管理:避妊・去勢以外の選択肢
何らかの理由で避妊・去勢手術を行わない場合、以下のリスク管理が必要です。
健康管理
| 検査項目 | 頻度 | 目的 |
|---|---|---|
| 乳腺触診 | 月1回(自宅) | 乳腺腫瘍の早期発見 |
| 生殖器検査 | 年2回(動物病院) | 子宮蓄膿症、精巣腫瘍の早期発見 |
| 前立腺エコー | 年1回(5歳以上) | 前立腺肥大のモニタリング |
| 血液検査 | 年1-2回 | ホルモン値、全身状態の確認 |
行動管理
発情期のメスとの接触を完全に避ける
厳重な脱走防止対策
早期のしつけと社会化
マーキング🛒やマウンティングの習慣化を防ぐ
環境管理
高いフェンスの設置
二重扉システムの導入
GPSトラッカーの装着
去勢済みの犬とのみ接触させる
ただし、これらの管理は非常に労力がかかり、100%のリスク回避は不可能です。
まとめ:避妊・去勢手術の予防効果
避妊・去勢手術は、多くの深刻な健康リスクと問題行動を予防する最も確実な方法です。
予防できる主なリスク:
| カテゴリー | メス | オス |
|---|---|---|
| 腫瘍 | 乳腺腫瘍(99.5%予防)、卵巣腫瘍(100%) | 精巣腫瘍(100%) |
| 生殖器疾患 | 子宮蓄膿症(100%) | 前立腺肥大(70-90%改善) |
| 問題行動 | 発情期の不安定さ | マーキング(70-80%)、攻撃性(50-60%)、脱走(60-80%) |
手術を検討すべきケース:
繁殖の予定がない
病気予防を重視したい
問題行動がすでに出始めている
多頭飼いで管理が困難
最適な手術時期や方法については、獣医師に相談し、愛犬の状態に合わせた判断をしましょう。
詳しくは犬の繁殖と避妊・去勢:正しい知識と選択をご覧ください。
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