愛犬🛒が自分の尻尾を追いかけてくるくる回る姿を見たことはありませんか?一見かわいらしく見えるこの行動ですが、頻繁に繰り返される場合は「常同障害」という深刻な問題のサインかもしれません。この記事では、犬の尾追い行動について、その原因から治療法まで詳しく解説します。
犬が尻尾を追いかける「尾追い行動」とは?
犬が自分の尻尾をぐるぐると回りながら追いかける行動のことを「尾追い(おおい)」または「テイルチェイシング」といいます。この行動は犬種を問わず多くの犬に見られますが、その原因や深刻度はさまざまです。

正常な遊び行動と異常な強迫行動の違い
子犬が自分の尻尾に興味を持ち、遊びの一環として追いかけることは珍しくありません。しかし、VCA Animal Hospitalsによると、以下のような特徴がある場合は注意が必要です:
正常な尾追い行動の特徴:
短時間で自然に止まる
他の遊びや活動に切り替えられる
声をかけると反応して止まる
頻度が低い(たまにしか起こらない)

異常な尾追い行動の特徴:
長時間止められない
声をかけても反応しない、または一時的にしか止まらない
唸りながら回る
尻尾を噛んで🛒傷つける
毎日何度も繰り返す
飼い主として重要なのは、愛犬🛒の行動パターンを普段から観察し、変化に気づくことです。犬の問題行動には必ず原因があり、早期発見が改善への第一歩となります。
尻尾を追いかける行動の5つの原因
獣医師監修の解説によると、犬が尻尾を追いかける理由には主に5つの原因が考えられます。
1. 遊びや好奇心による一時的な行動
特に子犬は、自分の体の一部である尻尾に興味を持ち、「動くおもちゃ🛒」として追いかけることがあります。これは成長とともに自然に減少することが多く、深刻な問題ではありません。
この場合の特徴:
生後3〜6ヶ月の子犬に多い
数秒から数分で飽きて止まる
他の遊びを提供すると切り替えられる
2. ストレス・葛藤・不安からの逃避行動
犬が怖かったり、苦手だったり、我慢したりしている時に、気持ちを紛らわそうとして尻尾を追いかけることがあります。これは犬のストレスサインの一つとして知られています。
ストレスの原因となりやすい状況:
散歩に行きたいのに行けない
怖い音(雷、花火、工事音など)
嫌いな犬や人に会った
長時間の留守番
引っ越しや家族構成の変化
特定の状況でのみ尾追いが起こり、その状況が終われば止まる場合は、ストレスや葛藤が原因の可能性が高いです。分離不安を抱える犬にも、この行動が見られることがあります。
3. 身体的な不快感や痛み
体にかゆみや痛みを感じている場合、犬は気になる部分に注意を向けようとして尻尾を追いかけることがあります。
考えられる身体的原因:
ノミ・マダニなどの寄生虫
皮膚炎やアレルギー🛒
肛門腺の詰まりや炎症
尻尾の怪我や感染症
神経学的な問題
身体的な原因が疑われる場合は、まず獣医師による診察を受けることが重要です。
4. 注意を引くための学習行動
最初は何気なく尻尾を追いかけた時に、飼い主が「かわいい🛒!」と反応したり、「やめなさい!」と注目したりすることで、犬はこの行動が飼い主の関心を引けることを学習してしまうことがあります。
PetMDの解説によると、多くの飼い主は犬が尻尾を追いかける姿を面白がって見てしまい、結果として犬はこの行動を「報酬」として認識するようになります。注意を引きたい時にわざと尻尾を追いかけるようになるのです。
5. 常同障害(強迫性障害に類似した状態)
最も深刻なのが「常同障害」です。これは人間の強迫性障害(OCD)に類似した状態で、同じ行動を何度も繰り返さなければ気持ちを落ち着けることができない病的な状態です。
獣医行動診療科認定医の解説によると、常同障害は脳内の神経伝達物質(セロトニンやドーパミン)の異常が関係しており、しつけやトレーニングだけでは改善が難しく、医療的な介入が必要になることが多いです。
尾追い行動が多い犬種と遺伝的要因
尾追い行動には遺伝的な要因も関係していることがわかっています。PMCに掲載された研究論文によると、特定の犬種で発症率が高いことが報告されています。
好発犬種
柴犬 日本犬の代表である柴犬は、尾追い行動の好発犬種として知られています。研究によると、約6割の柴犬に何らかの尾追い行動が見られ、そのうち約3割は唸りながら回るなど深刻な尾追い行動を示すとされています。
ブルテリア・ミニチュアブルテリア 海外の研究では、ブルテリア種が最も尾追い行動を起こしやすい犬種の一つとして報告されています。強迫神経症にかかりやすい特性があるとされています。
その他の好発犬種
遺伝的要因と早期離乳の影響
研究では、母犬から早期に離された犬は尾追い行動を発症しやすいことが示されています。母犬からの適切なケアを受けられなかった犬は、不安関連の行動問題を抱えやすくなります。
また、CDH2遺伝子と強迫性行動の関連を示唆する研究もありますが、この分野はまだ研究が進行中です。
常同障害の症状と診断基準
獣医師監修の解説によると、常同障害と診断されるには、単に尻尾を追いかけるだけでなく、特定の症状パターンが見られる必要があります。
異常な尾追いの特徴
以下の症状が複数当てはまる場合、常同障害の可能性があります:
制御不能:声をかけても止められない、または止まってもすぐに再開する
長時間継続:数十分から数時間続くことがある
自傷行為:尻尾を噛んで🛒出血させる
唸り声:回りながら唸る、興奮する
日常生活への支障:食事や睡眠よりも尾追いを優先する
トリガー不明:特定のきっかけなく始まることがある
獣医師による診断プロセス
常同障害が疑われる場合、獣医師は以下の手順で診断を行います:
身体検査:尻尾や肛門周辺の異常、皮膚疾患の確認
神経学的検査:脳や神経系の問題を除外
血液検査・尿検査:内臓疾患や代謝異常の確認
行動歴の聴取:いつから、どのような状況で起こるか
ビデオ記録:飼い主に自宅での様子を撮影してもらう
これらの検査で身体的な原因が除外された場合、行動学的な問題として診断されます。改善が見られない場合は、行動診療の専門医への相談が推奨されます。
放置した場合のリスクと自傷行動
尾追い行動を「かわいい🛒癖」として放置することは危険です。特に常同障害の場合、症状は時間とともに悪化する傾向があります。
深刻化するリスク
自傷行為のエスカレート 最初は軽く尻尾を追いかけるだけだった行動が、次第に激しくなり、最終的には自分の尻尾を噛みちぎってしまうケースもあります。出血を伴う傷は感染症のリスクを高め、外科的処置が必要になることもあります。
精神状態の悪化 常同行動に費やす時間が増えると、通常の活動(食事、睡眠、遊び、飼い主との交流)が減少し、犬の生活の質が著しく低下します。
二次的な問題行動 ストレス🛒や不安が解消されないまま放置されると、過度な舐め行動など他の問題行動も併発する可能性があります。
早期介入が予後を大きく左右するため、気になる行動が見られたら早めに専門家に相談することが重要です。
家庭でできる対処法と環境改善
軽度の尾追い行動や、常同障害の補助的なケアとして、家庭でできることもあります。
ストレス要因の特定と除去
まずは愛犬の尾追い行動がいつ、どのような状況で起こるかを観察・記録しましょう。
観察ポイント:
時間帯(朝、夕方、夜など)
状況(留守番後、来客時、散歩前など)
環境(特定の部屋、音、匂いなど)
頻度と持続時間
パターンが見えてきたら、可能な範囲でストレス🛒要因を除去または軽減します。退屈からくる問題行動の場合は、環境エンリッチメントが効果的です。
運動と精神的刺激の充実
運動不足や精神的な刺激不足は、常同行動の大きな要因となります。
推奨される対策:
十分な散歩:犬種や年齢に応じた適切な運動量を確保
知育玩具🛒:コングやパズルフィーダーで頭を使わせる
ノーズワーク:嗅覚を使った遊びでストレス発散
トレーニング時間:新しいコマンドを教えることで精神的刺激を提供
「疲れた犬は幸せな犬」という言葉があるように、適度な疲労は問題行動の予防に効果的です。
飼い主の正しい対応法
尾追い行動への対応は非常に重要です。間違った対応は行動を悪化させる可能性があります。
避けるべき対応:
大声で叱る(注目を与えることで行動を強化してしまう)
無理やり止めようとする(ストレス🛒を増加させる)
笑ったり面白がったりする(報酬として認識される)
推奨される対応:
落ち着いて無視する(反応しない)
別の行動を促す(「おすわり」など知っているコマンドを出す)
成功したら穏やかに褒める
安心できる環境を整える
不安を和らげるサプリメントやカーミンググッズの活用も、補助的な手段として検討できます。
獣医師による治療法:行動療法と薬物療法
常同障害と診断された場合、専門的な治療が必要になります。治療は通常、行動療法と薬物療法を組み合わせて行われます。
行動修正プログラム
獣医行動学の専門家による行動修正プログラムでは、以下のようなアプローチが取られます:
脱感作と逆条件づけ 尾追いのトリガーとなる刺激に対して、徐々に慣れさせながら、ポジティブな経験と結びつけていく方法です。
代替行動の強化 尾追いの代わりに、望ましい行動(「伏せ」「マット🛒に行く」など)を教え、その行動を報酬で強化します。
環境管理 トリガーを避ける、または管理することで、尾追いが起こる機会を減らします。
薬物療法の選択肢
行動療法だけでは改善が難しい場合、薬物療法が併用されます。犬の行動問題における薬物療法について理解しておくことは重要です。
クロミプラミン(クロミカルム) 三環系抗うつ薬で、犬の🛒強迫性障害治療にFDA承認されている薬です。セロトニンの再取り込みを阻害することで、不安や強迫行動を軽減します。
投与量:通常2mg/kg、1日2回
効果発現:2〜4週間程度
副作用:食欲低下、嘔吐、下痢、眠気など
フルオキセチン(プロザック/リコンサイル) 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)で、分離不安や強迫行動に使用されます。
投与量:1〜2mg/kg、1日1回
効果発現:数週間かかる
副作用:食欲低下、胃腸障害、落ち着きのなさ
重要な注意点 これらの薬を併用すると「セロトニン症候群」という危険な状態を引き起こす可能性があります。必ず獣医師の指示に従い、自己判断で投薬を変更しないでください。
サプリメントの補助的活用
薬物療法の補助として、以下のサプリメント🛒が使用されることがあります:
α-s1カソゼピン:牛乳由来の成分で、リラックス効果がある
ビタミン・ミネラル:研究では、適切な栄養補給が尾追い行動の軽減に関連することが示されている
L-テアニン:緑茶由来の成分で、不安軽減効果が期待される
予後と長期管理:完治より管理を目指す
常同障害は「完治」を目指すというよりも、「管理」していく疾患です。適切な治療により症状は大幅に改善することが多いですが、完全になくなることは稀です。
長期管理のポイント
継続的な治療 薬物療法は長期間(場合によっては生涯)継続が必要なことがあります。症状が改善しても、獣医師と相談なく投薬を中止しないことが重要です。
再発への備え ストレス🛒フルな状況(引っ越し、家族の変化、新しいペットの導入など)では再発のリスクが高まります。変化が予想される時は、事前に対策を講じましょう。
定期的なフォローアップ 症状の変化や薬の効果を確認するため、定期的な獣医師の診察を受けることが大切です。
家族全員での一貫した対応 家庭内で対応が異なると、犬は混乱してしまいます。全員が同じルールで接することが改善への鍵です。
まとめ:愛犬の尾追い行動に気づいたら
犬が尻尾を追いかける行動は、単なる遊びから深刻な常同障害まで、さまざまな原因が考えられます。
見極めのポイント:
一時的で止められる → 様子を見る
頻繁で止められない → 獣医師に相談
自傷行為がある → 早急に専門家へ
今日からできること:
愛犬の行動パターンを観察・記録する
ストレス🛒要因を特定し、可能な範囲で除去する
十分な運動と精神的刺激を提供する
気になる場合は早めに獣医師に相談する
尾追い行動は、愛犬からの「助けて」のサインかもしれません。犬の問題行動には必ず理由があります。愛情と忍耐を持って向き合い、必要に応じて専門家の力を借りながら、愛犬の心身の健康をサポートしていきましょう。
早期発見・早期介入が、愛犬との幸せな暮らしを守る鍵となります。






