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犬の繁殖と避妊・去勢:正しい知識と選択

避妊・去勢後の行動変化と性格の変化

避妊・去勢後の行動変化と性格の変化の画像

「避妊・去勢手術をすると犬の性格が変わる」という話を聞いたことがあるかもしれません。この記事では、科学的研究に基づいて、術後の性格や行動がどのように変化するのか、飼い主🛒が知っておくべき事実を詳しく解説します。

性格は本当に変わるのか

結論から言うと、避妊・去勢手術によって犬の基本的な性格が大きく変わることは、一般的にありません。ただし、ホルモンに影響されていた行動は変化する可能性があります。

避妊・去勢後の行動変化と性格の変化の画像3

性格と行動の違い

重要なのは、「性格」と「行動」を区別することです。

  • 性格:犬が生まれ持った気質や、経験によって形成された人格的特徴

  • 行動:ホルモンや環境刺激に反応して現れる具体的な行為

手術によって変化するのは主に「行動」であり、犬の本質的な「性格」はほとんど変わりません。活発な犬は術後も活発ですし、おとなしい犬は術後もおとなしい傾向があります。

避妊・去勢後の行動変化と性格の変化の画像2

参考:ペトコトの海外論文解説

個体差が大きい

性格や行動の変化には大きな個体差があります。「性格が変わる子もいれば変わらない子もいる」というのが正確な表現です。また、変化を感じた場合でも、「何となく違う気がする」という程度のことが多く、劇的な変化は稀です。

ホルモンの影響を受ける行動の変化

手術によって性ホルモンの分泌が止まるため、これらのホルモンに影響されていた行動は変化します。

オス犬に見られる変化

オス犬では、以下のような行動変化が見られることがあります:

1. マーキング🛒行動の減少

マーキング行動は性成熟とともに現れ、縄張り意識の高まりによって増加します。去勢手術により、マーキング行動が減少する犬が多く見られます。ただし、すでに習慣化している場合は、完全には消失しない可能性があります。

2. マウンティング行動の軽減

マウンティングも性ホルモンに関連する行動です。去勢により軽減されることがありますが、すでに学習された行動として定着している場合は、術後も継続することがあります。特に遊びの一環として行っている場合は、性的な要因がなくても続く可能性があります。

3. 攻撃性の変化

テストステロンの減少により、オス同士の攻撃性が低下することがあります。ただし、研究結果は一貫していません。後述する研究では、攻撃性が増加したという報告もあります。

参考:名古屋みらい動物病院の去勢後の変化解説

メス犬に見られる変化

メス犬の場合、オス犬ほど顕著な行動変化は見られないことが多いです。

1. 発情期の行動消失

発情期特有の不安、興奮、鳴き声などの行動が完全になくなります。これは性格の変化というより、発情というイベント🛒自体がなくなることによる変化です。

2. 縄張り意識の変化

発情期に高まっていた警戒心や縄張り意識が穏やかになることがあります。

3. 落ち着きの向上

発情ストレスから解放されることで、全体的に落ち着いた印象になることがあります。ただし、これも個体差が大きいです。

研究が示す意外な事実

避妊・去勢手術と性格・行動の関係について、いくつかの科学的研究があります。その結果は必ずしも一般的な認識と一致しません。

攻撃性に関する研究

ニューヨーク市立大学(CUNY)の研究では、「避妊・去勢手術に犬の性格を丸くする効果はない」という結果が出ています。さらに、生後7〜12ヶ月で手術を受けた犬は、見知らぬ人に対して攻撃的な態度を示す確率が高いことが分かりました。

また、2017年の研究報告では、去勢によって攻撃性が増加し、訓練性が低下するという結果も報告されています。

これらの研究結果は、「去勢すればおとなしくなる」という単純な図式ではないことを示しています。

参考:にょんた先生の獣医データ解説

行動変化の発現時期

行動変化が現れるまでには時間がかかります。術後2週間から3ヶ月程度で行動変化が見られ始めることが一般的です。すぐに変化を期待せず、長期的な観察が必要です。

性別による変化の違い

項目オス犬メス犬
変化の顕著さ比較的顕著あまり顕著でない
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マウンティング軽減する可能性もともと少ない
攻撃性変化する可能性(増減両方)あまり変化しない
発情関連行動なし完全に消失
活動量やや減少する可能性あまり変化しない

変化しないもの、変化するもの

変化しないもの

以下のような性格的特徴は、基本的に変化しません:

  • 人や他の犬との社交性

  • 好奇心の強さ

  • 怖がりや臆病な傾向

  • 活発さや遊び好きな性質

  • 学習能力や知能

  • 飼い主への愛着

変化する可能性があるもの

以下のような行動は変化する可能性があります:

  • マーキング🛒やマウンティングなどの性的行動

  • 発情に関連する行動(メス犬)

  • オス同士の競争的行動

  • 縄張り意識に関連する行動

  • 活動量(やや減少する傾向)

参考:petan の術後性格変化解説

手術時期による影響

手術を受ける時期によって、行動変化の程度が異なります。

早期手術(初回発情前)

初回発情前に手術を受けた場合、性ホルモンの影響を受ける前に手術するため、マーキングやマウンティングなどの行動が習慣化する前に予防できます。

メリット:

  • 問題行動の予防効果が高い

  • 病気予防効果も最大化される(最適な手術時期参照)

注意点:

  • 一部の研究では早期手術が攻撃性を高める可能性を指摘

  • 大型犬では骨格の成長への影響も考慮が必要

成犬期の手術

すでに性成熟後に手術を受けた場合、習慣化した行動は完全には消失しない可能性があります。

例えば:

  • 長年マーキングをしていた犬は、術後もマーキングを続けることがある

  • マウンティングが遊びの一部として学習されている場合は継続する

ただし、新たな問題行動の発生は抑制されます。

術後の性格・行動変化への対応

愛犬の術後の変化に適切に対応することで、スムーズな回復と良好な関係を維持できます。

観察期間を設ける

術後すぐに性格や行動が変わるわけではありません。最低でも3ヶ月は様子を見ましょう。この期間に以下を記録すると良いでしょう:

  • 散歩中の行動

  • 他の犬との接し方

  • マーキングやマウンティングの頻度

  • 食欲や活動量

  • 飼い主や家族への態度

問題行動が続く場合の対処

術後もマーキングやマウンティングが続く場合:

  1. 習慣化した行動として受け入れる:完全に消失しないこともある

  2. トレーニング🛒で改善を図る:叱るのではなく、代替行動を教える

  3. 専門家に相談:動物行動学の専門家や訓練士に相談する

攻撃性が増した場合

まれに術後、攻撃性が増すケースがあります。この場合:

  1. 痛みや不快感を確認術後のケアが適切か確認

  2. ストレス要因を探る:環境の変化やストレス源がないか確認

  3. 獣医師に相談:ホルモンバランスの問題や他の健康問題の可能性を確認

よくある誤解と真実

誤解真実
去勢するとおとなしくなる基本的な性格は変わらない、行動が変化するだけ
すぐに変化が見られる2週間〜3ヶ月かかることが多い
すべての犬が同じ変化をする個体差が非常に大きい
攻撃性が必ず減る研究では増加する場合もあると報告
マーキングが完全になくなる習慣化している場合は継続することも
性格が180度変わる劇的な変化は非常に稀

長期的な視点で見守る

避妊・去勢手術後の性格や行動の変化は、一朝一夕に判断できるものではありません。

手術直後の変化は一時的

手術直後に見られる変化の多くは、麻酔や痛み、環境の変化によるストレスが原因です。本当の性格や行動の変化は、術後数ヶ月経ってから現れます

ライフステージ全体で考える

犬の性格や行動は、年齢とともに自然に変化します。子犬期の活発さは成犬期に落ち着き、高齢期にはさらに穏やかになります。手術による変化と加齢による変化を混同しないよう注意しましょう。

愛情と理解が最も重要

どのような変化があっても、愛犬への愛情と理解が最も重要です。性格や行動が変わったとしても、それは愛犬の新しい一面です。受け入れて、新しい関係性を築いていきましょう。

参考:東中野アック動物医療センターの術後性格変化解説

まとめ:科学的事実を理解しよう

避妊・去勢手術と性格・行動の関係について、以下のポイントを押さえましょう:

  1. 基本的な性格は変わらない:活発な犬は活発なまま、おとなしい犬はおとなしいまま

  2. ホルモン関連の行動は変化するマーキング🛒、マウンティングなどは軽減する可能性

  3. 個体差が非常に大きい:すべての犬に同じ変化が起こるわけではない

  4. 攻撃性については複雑:減少する場合も増加する場合もある

  5. 変化には時間がかかる:2週間〜3ヶ月の観察期間が必要

  6. 習慣化した行動は残る可能性:完全に消失するとは限らない

避妊手術のメリット・デメリット去勢手術のメリット・デメリットを総合的に理解した上で、手術を決断することが大切です。また、手術前の準備と同様に、術後の観察と対応も計画的に行いましょう。

性格や行動の変化を過度に心配する必要はありませんが、変化が起こる可能性を理解し、長期的な視点で愛犬を見守ることが重要です。どのような変化があっても、それは愛犬の一部であり、受け入れて愛情を注ぎ続けることが、飼い主としての責任です。

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