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犬の問題行動:原因を知って根本から解決

犬同士のケンカを防ぐ方法と仲裁術

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愛犬が他の犬とケンカを始めてしまったとき、飼い主として何ができるでしょうか。犬同士のケンカは、多頭飼い🛒の家庭や散歩中など、さまざまな場面で起こり得ます。犬の問題行動の中でも、ケンカは飼い主にとって特に対処が難しいものです。

犬のケンカは自然な行動の一つですが、放置すると重大なけがにつながる可能性があります。獣医師監修の記事によると、適切な予防と対処法を知っておくことで、多くのトラブルを未然に防ぐことができます。

この記事では、犬同士のケンカが起きる原因から、前兆サインの見分け方、安全な仲裁方法まで、飼い主が知っておくべき知識を詳しく解説します。愛犬と他の犬の両方を守るために、ぜひ最後までお読みください。

犬同士のケンカが起きる5つの主な原因

犬同士のケンカには、必ず何らかの原因があります。喧嘩の原因と予防策を理解することで、トラブルを未然に防ぐことができます。

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1. 所有欲と縄張り意識

犬には、自分のものに対する強い所有欲があります。おもちゃ、フードボウル、お気に入りの寝床など、「これは自分のもの」と認識しているものを他の犬が近づくと、守ろうとして攻撃的になることがあります。

特に食事中は縄張り意識が高まりやすく、近くで他の犬が食べていると緊張感が生まれます。これはリソースガーディングと呼ばれる行動で、適切な対処が必要です。

2. 発情期の影響

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去勢🛒のオス犬は、発情期のメス犬がいると特に攻撃的になりやすい傾向があります。メス犬への執着心から、近くにいるオス犬をライバルと見なし、威嚇や攻撃に発展することがあります。

3. 社会化不足

生後3〜12週間は「社会化期」と呼ばれ、犬が他の犬とのコミュニケーション方法を学ぶ重要な時期です。この時期に他の犬との適切な交流がなかった犬は、大人になってから犬同士のルールがわからず、無意識に相手を怒らせてしまうことがあります。

社会化不足の犬は、犬の攻撃性が高まりやすく、他の犬との関係構築が難しくなります。

4. ストレスと不安

運動不足、環境の変化、生活リズムの乱れなど、さまざまな要因がストレスになります。ストレスが溜まると、普段は我慢できることでも我慢できなくなり、些細なきっかけでケンカに発展しやすくなります。

愛犬のストレスサインを日頃から観察し、ストレス🛒が溜まっていないかチェックすることが大切です。

5. 序列争い

犬は群れで暮らす動物として、社会的な序列(順位)を形成する習性があります。多頭飼いの家庭では、どちらが上位かを決めるための争いが起きることがあります。

序列が確立すると争いは減少しますが、新しい犬が加わったり、先住犬が高齢になったりすると、再び順位争いが起きることがあります。

喧嘩の前兆サイン:見逃さないための観察ポイント

ケンカは突然始まるように見えて、実は事前にさまざまなサインが出ています。じゃれ合いとの違いを知り、危険なサインを見逃さないようにしましょう。

危険度が高いボディランゲージ

以下のサインが見られたら、ケンカに発展する可能性が高い🛒です。

牙をむき出しにする 唇を引き上げて歯を見せる行為は、明確な威嚇のサインです。「これ以上近づくな」という警告であり、無視すると攻撃に移行します。

低い唸り声 喉の奥から出る低くて長い唸り声は、強い警戒心の表れです。高い声で吠えるのとは異なり、本気の威嚇を意味します。

毛が逆立つ 首筋から背骨に沿って毛が逆立つのは、緊張・警戒のサインです。同時に体を硬直させている場合は、いつでも飛びかかれる状態です。

ホエールアイ(クジラ目)とは

犬が横目で相手を見て、白目が見えている状態を「ホエールアイ」と呼びます。これは不安や緊張を示す重要なサインで、恐怖症を持つ犬にもよく見られます。

ホエールアイが見られたら、犬は強いストレス🛒を感じています。そのまま状況が続くと、防衛のために攻撃に出る可能性があります。

姿勢と尻尾の変化

前傾姿勢 体重を前足にかけ、いつでも飛びかかれる姿勢をとっている場合は危険です。

尻尾の状態

  • ピンと上に立てている:興奮、威嚇のサイン

  • だらんと下がっている:不安、恐怖のサイン

  • 小刻みに震えている:極度の緊張状態

耳の位置 耳をピンと立てて相手を凝視している場合は、攻撃の一歩手前です。

じゃれあいと本気の喧嘩の見分け方

犬同士が激しく動き回っていても、すべてがケンカとは限りません。獣医師監修の記事を参考に、遊びと本気の違いを見分けましょう。

じゃれあいの特徴

尻尾を振っている どんなに激しく動いていても、尻尾を振っていれば基本的にはじゃれあいです。

プレイ🛒バウ 前足を伸ばして胸を地面につけ、お尻を高く上げる姿勢は「遊ぼう!」の合図です。

交互に追いかける 追いかける側と追いかけられる側が入れ🛒替わっていれば、お互いに楽しんでいる証拠です。

声のトーンが高い 遊びの時の声は比較的高く、楽しそうな響きがあります。

本気の喧嘩の特徴

低い唸り声 喉の奥から出る低くて長い唸り声は、本気の威嚇です。

緊張した体 筋肉が硬直し、無駄な動きがなく、非常に素早い動きをします。

相手の首や足を狙う 遊びでは口を大きく開けますが、本気では特定の部位を狙って噛みつきます。

離れない じゃれあいでは自然に離れる瞬間がありますが、本気のケンカでは執拗に相手を追い続けます。

ケンカを未然に防ぐ7つの予防策

AKCの専門家アドバイスによると、予防こそが最も効果的な対策です。以下の7つのポイントを実践しましょう。

1. フードとおもちゃの管理

食事は別々の場所で 多頭飼いの場合、犬同士の食事場所は離れた位置に設定します。できれば別の部屋で食べさせるのが理想的です。

共有おもちゃ🛒は片付ける 複数の犬がいる場所では、おもちゃを出しっぱなしにしません。遊ぶ時は1頭ずつ、または十分な数のおもちゃを用意します。

2. 十分な運動とストレス発散

運動不足はストレスの大きな原因です。毎日の散歩に加え、遊びの時間を確保してエネルギーを発散させましょう。

疲れている犬はケンカを起こしにくくなります。特に多頭飼いの場合は、それぞれの犬が十分に運動できているか確認が必要です。

3. 去勢・避妊手術の検討

未去勢のオス犬は、去勢済みの犬に比べて攻撃性が高い傾向があります。獣医師と相談の上、手術を検討することも一つの選択肢です。

ただし、手術だけですべての問題が解決するわけではありません。トレーニングと併用することが大切です。

4. 個別の安心スペースを確保

それぞれの犬に、自分だけの安心できる場所を用意します。クレート🛒や専用のベッドなど、他の犬に邪魔されない場所があることで、分離不安の軽減にもつながります。

疲れたときや緊張したときに逃げ込める場所があると、ケンカのリスクが下がります。

5. 正しい社会化トレーニング

子犬の時期から、他の犬との適切な交流の機会を設けましょう。パピークラスやドッグランなど、管理された環境での交流がおすすめです。

成犬でも、少しずつ他の犬との距離を縮めるトレーニング🛒は可能です。焦らず、犬のペースに合わせて進めましょう。

6. 飼い主のリーダーシップ

犬が飼い主を信頼し、指示に従う関係が築けていれば、危険な状況でも制御しやすくなります。

「オスワリ」「マテ」「オイデ」などの基本的なコマンドを、どんな状況でも確実にできるようにトレーニングしておきましょう。

7. 危険な状況を事前回避

犬のボディランゲージを常に観察し、緊張感を感じたらすぐに距離を取ります。

  • 他の犬と目が合う前に方向転換

  • 興奮している犬には近づかない

  • 狭い場所での犬同士の接触を避ける

安全なケンカの止め方:ハンズオフ(非接触)テクニック

ケンカが始まってしまったら、Preventive Vetが推奨する安全な方法で対処しましょう。最も安全なのは、犬に直接触れない方法です。

水をかける

最も安全で効果的な方法

バケツの水やホースの水を犬の顔にかけます。冷たい水に驚いて、多くの場合はケンカが中断されます。

  • 水は犬を傷つけない

  • 準備があれば素早く実行できる

  • 散歩中は携帯用スプレー🛒ボトルが便利

大きな音を出す

突然の大きな音は犬を驚かせ、ケンカを中断させる効果があります。

  • エアホーン(犬用防犯グッズ)

  • 金属製の鍋とお玉を叩く

  • 空き缶に小石を入れたもの

ただし、音に敏感な犬や、すでに興奮状態の犬には逆効果になることもあります。

障害物を挟む

犬と犬の間に物理的な障害物を入れて視界を遮ります。

重要:手は障害物の後ろに隠し、絶対に犬に近づけないこと

毛布をかぶせる

大きな毛布やジャケットを攻撃している方の犬にかぶせます。視界が遮られると、犬は混乱してケンカを中断することが多いです。

この方法は特に、1頭が一方的に攻撃している場合に効果的です。

最終手段:ウィールバローテクニック

上記の方法で止められない場合の最終手段です。咬傷行動を起こす危険性のある激しいケンカでは、この方法が必要になることがあります。

実施方法

必ず2人で同時に行う

1人が1頭の犬を担当し、同時に実施します。1人だけで行うと、残った犬が攻撃を続けてしまいます。

手順:

  1. 犬の後ろに回り込む

  2. 両手で後ろ足🛒の付け根(太もも)をしっかりつかむ

  3. 手押し車のように後ろ足を持ち上げる

  4. 後方に素早く引き離す

  5. 円を描くように回転させながら移動する

回転させる理由 犬がUターンして噛みついてくるのを防ぐためです。ゆっくり円を描きながら後退することで、犬は体のバランスを保つことに集中し、振り向いて攻撃しにくくなります。

絶対に首輪を掴まない

首輪🛒を掴んで引き離そうとするのは、最も危険な行為です。

  • ケンカ中の犬は反射的に噛みつく

  • 普段おとなしい犬でも、興奮状態では飼い主を噛むことがある

  • 首輪を掴もうとする手が、格好の噛みつき対象になる

絶対やってはいけないNG行動

ケンカを止めようとして、かえって状況を悪化させたり、飼い主がけがをしたりするケースがあります。以下の行動は絶対に避けてください。

素手で間に入る

興奮した犬の間に手を入れると、ほぼ確実に噛まれます。飼い主自身の犬であっても、ケンカ中は相手を区別できません。

首輪を掴む

前述の通り、最も危険な行為です。手首や腕を深く噛まれる事故が多発しています。

叩く・蹴る(体罰)

体罰は犬の攻撃性を悪化させます。一時的に離れても、次はより激しいケンカになる可能性があります。

また、叩かれた犬が飼い主に対して攻撃的になることもあります。

大声で叱る

興奮した犬に大声で叫ぶと、さらに🛒興奮状態が高まります。冷静に、静かに対処することが大切です。

1人で無理に引き離す

1頭しか引き離せないと、残った犬が攻撃を続けます。必ず2人以上で対応するか、ハンズオフテクニックを使いましょう。

ケンカ後のケアと再発防止

ケンカが終わった後も、適切なケアと対策が必要です。

けがのチェックと応急処置

見えにくい傷に注意

犬の咬み傷は、皮膚の表面は小さくても、内部で大きなダメージを受けていることがあります。特に長毛種は傷が見えにくいので、全身をくまなくチェック🛒しましょう。

獣医受診が推奨されるケース:

  • 出血が止まらない

  • 傷口が深い、または大きい

  • 足を引きずっている

  • 元気がない、食欲がない

傷口は清潔な水で洗い流し、できるだけ早く獣医師に診てもらいましょう。

クールダウン期間

ケンカ直後は、犬同士を別々の場所に隔離します。最低10分以上、犬が完全に落ち着くまで再会させないでください。

隔離中は静かな場所で休ませ、過度に構いすぎないようにします。犬が自分で落ち着くのを待ちましょう。

落ち着いた後も、しばらくは舐め行動などストレスサインがないか観察してください。

再発防止策の検討

ケンカが起きた原因を振り返り、同じ状況を作らないようにします。

  • 何がきっかけだったか

  • どの場所で起きたか

  • 時間帯に傾向はあるか

原因が特定できれば、環境を改善してケンカのリスクを減らせます。

専門家に相談すべきケース

以下のような場合は、飼い主だけで解決しようとせず、専門家に相談することをおすすめ🛒します。ヒルズペットの記事でも、攻撃行動には専門家の介入が不可欠と説明されています。

相談が必要なケース

けがを伴う激しいケンカが繰り返される 一度や二度ではなく、頻繁にケンカが起きる場合は、根本的な問題がある可能性があります。

特定の犬への執拗な攻撃 特定の犬だけを狙って攻撃する場合は、その関係性に問題があります。

飼い主でも制御できない コマンドが効かない、引き離しても何度もケンカを仕掛けるなど、コントロールが効かない状態は危険です。

人間への攻撃も見られる 犬同士のケンカに介入しようとした飼い主を噛む場合は、攻撃的な犬としての専門的な対応が必要です。

相談先

かかりつけ獣医師 まずは獣医師に相談しましょう。健康上の問題が攻撃性の原因になっていることもあります。

認定ドッグトレーナー🛒 CPDT-KAなどの資格を持つトレーナーは、問題行動の改善を専門としています。

動物行動学の専門家 深刻な攻撃性の場合は、獣医行動学の専門家への相談がおすすめです。

まとめ:愛犬を守るために

犬同士のケンカは、正しい知識と対策で防ぐことができます。最後に、重要なポイントをまとめます。

予防が最重要 ケンカが起きてから対処するより、起きないように予防することが何より大切です。フードやおもちゃ🛒の管理、十分な運動、適切な社会化を心がけましょう。

前兆サインを見逃さない 唸り声、毛の逆立ち、ホエールアイなど、ケンカの前兆サインを覚えておきましょう。早めに気づいて距離を取れば、ケンカを防げます。

安全な止め方を習得 万が一ケンカが始まったら、水をかける、大きな音を出す、障害物を挟むなど、自分の身を守りながら対処する方法を覚えておきましょう。

必要なら専門家へ相談 繰り返すケンカ、激しい攻撃性がある場合は、一人で抱え込まず専門家に相談してください。

愛犬の問題行動には必ず原因があり、適切な対処法があります。この記事の内容を参考に、愛犬と他の犬の両方が安全に過ごせる環境を作っていきましょう。

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