愛犬のしつけを成功させるためには、計画的なアプローチが欠かせません。「今日はおすわりを教えよう」「明日は待てをやってみよう」と思いつきでトレーニング🛒を行っても、一貫性がなければ犬は何を期待されているのか理解できず、混乱してしまいます。
効果的なトレーニング計画を立てることで、愛犬は着実にスキルを身につけ、飼い主との信頼関係を深めることができます。この記事では、科学的根拠に基づいたトレーニング計画の立て方を、月齢別スケジュールや具体的な週間プランとともに詳しく解説します。
なぜトレーニング計画が必要なのか
トレーニング計画を立てることには、以下のような重要なメリットがあります。

一貫性の確保
犬は繰り返しと一貫性によって学習します。計画を立てることで、毎日同じ順序、同じ方法でトレーニングを行うことができ、犬の理解が深まります。アメリカンケネルクラブ(AKC)によると、子犬の学習に最適な時期は生後16週までであり、この時期に計画的なトレーニングを行うことが特に重要です。
効率的な学習
無計画なトレーニングでは、同じことを何度も繰り返したり、重要なスキルを飛ばしてしまったりすることがあります。計画があれば、段階的にスキルを積み上げ、効率よく学習を進められます。

ストレスの軽減
計画的なトレーニングは、犬にとっても飼い主にとってもストレスを軽減します。犬は何を期待されているかを理解しやすくなり、飼い主は「次に何をすべきか」で悩む必要がなくなります。
モチベーションの維持
進捗を可視化できるため、飼い主のモチベーション維持にも役立ちます。「先週はできなかったことが今週はできるようになった」という成長を実感できることは、トレーニング🛒を継続する大きな原動力になります。
トレーニング計画の基本原則
短時間・高頻度が鍵
犬のトレーニングで最も重要な原則の一つが「短時間・高頻度」です。東京DOGSによると、犬の集中力が持続するのはわずか5分程度であり、子犬の場合は3分程度が最適とされています。
具体的には以下を目安にしましょう:
| 犬の年齢 | 1回のセッション | 1日の回数 |
|---|---|---|
| 子犬(2-4ヶ月) | 3-5分 | 3-4回 |
| 子犬(4-6ヶ月) | 5-10分 | 3回 |
| 成犬 | 10-15分 | 2-3回 |
| シニア犬 | 5-10分 | 2回 |
The Puppy Academyも強調しているように、週に1回60分のトレーニングよりも、毎日5分を3回行う方がはるかに効果的です。短いセッションを繰り返すことで、犬は集中力を維持し、ポジティブな状態でトレーニングを終えることができます。
正の強化を中心に
現代のドッグトレーニングでは、正の強化(ポジティブ強化)が最も効果的な方法として広く認められています。正の強化とは、望ましい行動をしたときにおやつや褒め言葉などの報酬を与えることで、その行動を増やす方法です。
PETOKOTOの解説によると、クリッカートレーニングは正の強化を活用した代表的な方法です。犬が正しい行動をした瞬間に「カチッ」という音を鳴らし、すぐにおやつを与えることで、犬は「この行動をすると良いことがある」と学習します。
正の強化のポイント:
良い行動をした直後(1-2秒以内)に報酬を与える
報酬は犬が本当に喜ぶものを選ぶ
叱るのではなく、正しい行動を教えて褒める
一貫した反応を心がける
成功体験を積み重ねる
トレーニングで最も大切なのは、犬に成功体験を積み重ねさせることです。ヒルズペットも指摘しているように、失敗を繰り返すと犬のモチベーションが下がり、トレーニング自体を嫌がるようになることがあります。
理想的な成功率は70-80%です。つまり、10回中7-8回は成功させるようにトレーニングの難易度を調整します。もし成功率が低い場合は、一つ前のステップに戻って確実にできることから再スタートしましょう。
月齢別トレーニングスケジュール
生後2-3ヶ月(お迎え直後)
お迎え直後の子犬には、まず新しい環境に慣れることと基本的な生活習慣を教えることが最優先です。アイリス動物医療センターによると、この時期に取り組むべき主なトレーニングは以下の通りです:
名前を覚える
名前を呼んで反応したらすぐに褒める
名前を呼ぶ=良いことが起きる、と関連付ける
叱るときは名前を使わない
トイレトレー🛒ニング
起床時、食後、遊んだ後など決まったタイミングでトイレに連れていく
成功したら大げさに褒める
失敗しても叱らない
ボディコントロールの開始
首、背中など触られやすい場所から始める
少しずつ足先、耳、口周りなどに範囲を広げる
触らせてくれたら褒めておやつ🛒を与える
生後3-4ヶ月(社会化期のピーク)
この時期は「社会化期」と呼ばれ、様々な経験を吸収しやすい非常に重要な時期です。Zigzagのトレーニングガイドでも、この時期の社会化を重視しています。
アイコンタクト
名前を呼んで目が合ったら褒める
おやつを目の高さに持っていき、目が合ったらあげる
徐々におやつなしでもできるように
[おすわりの練習](/articles/teach-dog-sit-command-first-basic)
おやつを鼻先から頭上に動かし、自然に座る姿勢を誘導
座った瞬間に「おすわり」と言って褒める
繰り返して言葉と動作を結びつける
社会化トレーニング
様々な人(帽子をかぶった人、子供、お年寄りなど)に会わせる
生活音(掃除機、ドライヤー、車の音など)に慣れさせる
他の犬と適切に交流させる
生後4-6ヶ月(応用期)
基本的なコマンドができるようになったら、より実用的なコマンドを追加していきます。
[「待て」の練習](/articles/teach-dog-stay-command-safety-practice)
まずおすわりの状態で1秒待てたら褒める
徐々に時間を延ばす(1秒→3秒→5秒→10秒)
距離を離しても待てるように練習
[「伏せ」の練習](/articles/teach-dog-down-command-three-steps)
おやつを鼻先から床に向かって下げて誘導
伏せた瞬間に「伏せ」と言って褒める
おすわりからの移行を練習
散歩トレーニングの開始
室内でリードをつける練習から始める
静かな場所から徐々に刺激の多い場所へ
引っ張らずに歩けたら褒める
生後6ヶ月以降(定着・応用期)
これまでに学んだコマンドの確実性を高め、様々な環境でも実行できるように練習します。
コマンドの確実性向上
家の中だけでなく、庭、公園など様々な場所で練習
気が散る状況でもできるように難易度を上げる
言葉だけでなくハンドシグナルでもできるように
[リーシュウォーキングの完成](/articles/leash-walking-no-pulling-training-basics)
横について歩く「ヒール」の練習
他の犬や人がいても冷静に歩く練習
信号待ちなどで自動的に座る習慣づけ
1週間のトレーニングプラン例
以下は、生後4ヶ月の子犬を想定した1週間のトレーニングプラン例です。各セッションは5-10分を目安にしてください。
| 曜日 | 朝(起床後) | 昼(食後) | 夕(散歩前後) |
|---|---|---|---|
| 月 | 名前+アイコンタクト | おすわり | トイレトレーニング |
| 火 | おすわり | 待て(短時間) | ボディコントロール |
| 水 | 名前+アイコンタクト | おすわり+待て | 社会化(音慣れ) |
| 木 | 待て | おいで | トイレトレーニング |
| 金 | おすわり+待て | ボディコントロール | おいで |
| 土 | 復習(全コマンド) | 社会化(外出) | 自由遊び |
| 日 | 軽い復習 | 休息日 | スキンシップ |
ポイント:
週末には新しいことより復習を重視
1日は「休息日」を設けてリフレッシュ
毎日同じ時間帯に行うとリズムができる
目標設定のコツ:段階的アプローチ
効果的なトレーニングには、明確な目標設定が欠かせません。「待て」を例に、段階的アプローチを説明します。
ステップ1:1秒待てる おすわりの状態で1秒間動かなければ成功。すぐに褒めておやつを与えます。
ステップ2:3秒待てる 1秒が確実にできたら3秒に延長。動いてしまったら1秒に戻ります。
ステップ3:5秒待てる 同様に5秒に延長。この頃から「待て」の合図を明確にします。
ステップ4:10秒待てる 10秒待てれば、実生活でもかなり使えるレベルです。
ステップ5:距離を離す 時間が安定したら、1歩離れても待てるか練習。徐々に距離を伸ばします。
ステップ6:気が散る状況で おもちゃ🛒を見せたり、他の家族が動いたりしても待てるか練習します。
この段階的アプローチは、「おいで」のリコールトレーニングなど他のコマンドにも応用できます。大切なのは、焦らず確実にステップアップすることです。
トレーニング記録のつけ方
トレーニング記録をつけることで、進捗を客観的に把握でき、モチベーション維持にも役立ちます。以下の項目を記録することをおすすめします:
基本項目
日付と時間
練習したコマンド
セッションの長さ
成功率(例:10回中8回成功=80%)
追加項目
犬のコンディション(元気、疲れ気味、興奮気味など)
使用したおやつの種類
気づいたこと、うまくいった点、改善点
記録のコツ
スマートフォンのメモアプリを活用すると手軽
週に1回、振り返りの時間を設ける
写真や動画で成長記録を残すのもおすすめ
計画がうまくいかないときの対処法
トレーニングには停滞期がつきものです。計画通りに進まないときは、以下の点を見直してみましょう。
難易度の調整 成功率が50%を下回っている場合は、明らかに難易度が高すぎます。一つ前のステップに戻り、確実にできることから再スタートしましょう。
報酬の見直し 犬が報酬に興味を示さない場合は、より魅力的なおやつに変更してみてください。普段の食事とは違う特別なおやつが効果的です。
環境の変更 気が散りやすい環境では集中できません。静かな室内から始めて、徐々に刺激を増やしていきましょう。
健康状態の確認 急にできなくなった場合は、体調不良や痛みの可能性もあります。気になる場合は獣医師に相談してください。
プロへの相談 どうしてもうまくいかない場合は、ドッグトレーナーへの相談も選択肢の一つです。個別の状況に合わせたアドバイスを受けられます。
よくある質問
Q: 成犬からでもトレーニングは間に合いますか?
A: はい、成犬からでもトレーニングは可能です。確かに子犬期ほど吸収は早くありませんが、根気強く続ければ新しいことを学べます。成犬の場合は、それまでの習慣を変える必要があるため、より時間がかかることがありますが、諦めずに続けることが大切です。
Q: 毎日トレーニングできないとダメですか?
A: 理想は毎日ですが、週に3-4回でも効果はあります。ただし、間隔が空きすぎると忘れてしまうこともあるため、できるだけ定期的に行うことをおすすめします。短時間でも毎日行う方が、週末にまとめて長時間行うより効果的です。
Q: 家族みんなでトレーニングしても大丈夫?
A: 大丈夫ですが、コマンドの言葉や方法を統一することが重要です。「おすわり」と「座れ」が混在したり、褒め方がバラバラだったりすると、犬が混乱します。家族で話し合って、ルールを決めておきましょう。
Q: おやつ🛒をあげすぎると太りませんか?
A: トレーニングで使うおやつは小さく切り、1日の食事量から差し引くようにしましょう。また、慣れてきたら徐々におやつの頻度を減らし、褒め言葉だけでもできるように移行していきます。
まとめ:継続は力なり
効果的なトレーニング計画の立て方について解説してきました。重要なポイントをまとめます:
短時間・高頻度:1回5-10分を1日3回が理想
正の強化:褒めておやつを与えることで望ましい行動を増やす
成功体験:70-80%の成功率を維持できる難易度設定
月齢に合わせた計画:発達段階に応じたトレーニング内容
記録をつける:進捗を可視化してモチベーション維持
柔軟な対応:うまくいかないときは計画を見直す
トレーニングは一朝一夕では完成しません。しかし、計画を立てて毎日少しずつ続けることで、愛犬は確実に成長していきます。焦らず、愛犬のペースに合わせて、楽しみながらトレーニングを続けてください。
愛犬との信頼関係を築くトレーニングは、お互いにとってかけがえのない時間になるはずです。






