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犬の食事と栄養:正しいフード選びの科学

ご飯を食べない…食欲不振の原因と対策

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愛犬がいつものご飯を食べてくれない——そんな状況に不安を感じる飼い主さんは多いのではないでしょうか。犬の食欲不振は、単なるわがままから深刻な病気のサインまで、さまざまな原因が考えられます。

VCA Animal Hospitalsの解説によると、食欲不振(医学的には「食欲減退」や「拒食」と呼ばれる)は、多くの病気に共通する初期症状のひとつです。だからこそ、原因を正しく見極めることが大切なのです。

この記事では、犬がご飯を食べない主な原因と、原因別の対処法、そして動物病院🛒を受診すべきタイミングについて詳しく解説します。愛犬の健康を守るために、ぜひ最後までお読みください。

犬がご飯を食べない主な原因【6つ】

犬がご飯を食べなくなる原因は大きく6つに分けられます。それぞれの特徴を理解することで、適切な対応ができるようになります。

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1. 病気・体調不良

食欲不振の最も心配な原因は、何らかの病気や体調不良です。PS保険の獣医師解説では、以下のような疾患が食欲不振を引き起こすと指摘されています。

消化器系の疾患:

  • 胃腸炎

  • 急性膵炎

  • 腸閉塞

  • 胃潰瘍

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口腔内のトラブル:

  • 歯周病

  • 口内炎

  • 口腔内腫瘍

その他の疾患:

  • 腎臓病

  • 肝臓病

  • 感染症

  • がん

また、体のどこかに痛みがある場合も食欲が落ちます。関節炎や怪我などで痛みを感じていると、食事どころではなくなってしまうのです。

2. ストレス・環境の変化

人間と同じように、犬もストレスを感じると食欲が落ちることがあります。特に以下のような環境の変化は、犬にとって大きなストレスになります。

  • 引っ越し

  • 家族構成の変化(赤ちゃんの誕生、家族の死別など)

  • 新しいペットの追加

  • ペットホテルへの預け入れ

  • 長時間の留守番

  • 大きな音(花火、雷など)

犬は人間よりも環境の変化に敏感です。些細な変化でも食欲に影響することがあるため、最近の生活に変化がなかったか振り返ってみましょう。

3. わがまま・偏食

「ご飯を食べなければ、もっと美味しいものがもらえる」——愛犬がそう学習してしまっているケースも少なくありません。

Marukanの獣医師監修記事によると、以下のような飼い主の行動が偏食の原因になります。

  • ご飯を食べないときにおやつ🛒を与える

  • 毎回トッピングを追加する

  • 人間の食べ物を与える

  • 食べないからと別のフードに何度も変える

一度わがままを許してしまうと、犬は「食べなければ良いものがもらえる」と記憶してしまいます。これを直すには、飼い主側の一貫した対応が必要です。

4. 老化(シニア犬)

7歳を超えたシニア犬は、加齢によって食欲が落ちやすくなります。イオンペットの解説では、以下の理由が挙げられています。

  • 代謝の低下: 運動量が減り、必要なエネルギー量も減少

  • 嗅覚・味覚の衰え: 食べ物の香りや味を感じにくくなる

  • 口腔内の問題: 歯の衰えや歯周病で硬いものが食べづらくなる

  • 消化機能の低下: 胃腸の働きが弱くなる

シニア犬の食欲不振は、若い犬とは違ったアプローチが必要です。ウェットフードvsドライフード:メリット・デメリットの記事も参考に、食べやすいフードを選んであげましょう。

5. 夏バテ・気温の影響

夏場の暑い時期には、人間と同様に犬も夏バテを起こすことがあります。高温多湿の環境では体力を消耗し、食欲が減退しがちです。

夏バテの場合は、以下のような症状も一緒に現れることが多いです。

  • 元気がない

  • 水をたくさん飲む

  • 涼しい場所でぐったりしている

  • 軽い嘔吐や下痢

エアコンで室温を管理し、水分補給をしっかりさせることが大切です。

6. フードへの飽き

同じドッグフードを長期間与え続けていると、犬も飽きてしまうことがあります。特に嗅覚が鋭い犬は、毎日同じ匂いのフードに興味を失うことも。

ただし、頻繁にフード🛒を変えるのは消化器系に負担をかけるため、あまりおすすめしません。飽きが原因と思われる場合は、トッピングや食感の工夫で対応するのが良いでしょう。

わがままと病気の見分け方

愛犬がご飯を食べないとき、「わがまま」なのか「病気」なのかを見分けることは非常に重要です。ここでは、その判断基準を詳しく解説します。

病気を疑うべき症状

以下の症状が見られる場合は、病気の可能性が高いです。すぐに動物病院を受診しましょう。

症状考えられる問題
嘔吐・下痢がある消化器系の疾患
水も飲まない重篤な状態の可能性
元気がない・ぐったり全身状態の悪化
体重が急に減った慢性疾患の進行
発熱・震えがある感染症や痛み
血便・血尿内臓疾患

WebMDの解説によると、食欲不振が72時間以上続く場合や、他の深刻な症状を伴う場合は、緊急の対応が必要とされています。

わがまま・偏食の特徴

一方、以下のような場合は、わがままや偏食の可能性が高いです。

  • おやつや好物なら喜んで食べる

  • トッピングがあればドッグフードを食べる

  • 元気に遊んだり散歩したりする

  • うんちやおしっこは正常

  • 他に体調不良の兆候がない

このような場合は、健康上の問題ではなく行動の問題として対処できます。

「食べたくない」vs「食べられない」の違い

犬の様子をよく観察すると、「食べたくない」のか「食べられない」のかがわかることがあります。

食べたくない(食欲がない):

  • 食器の近くに来ない

  • 食べ物に興味を示さない

  • 匂いを嗅いでも反応しない

食べられない(食欲はあるが食べられない):

  • 食器の近くまで来るが口をつけない

  • 食べようとするが途中でやめる

  • 口を気にする仕草をする

  • 片側だけで噛もうとする

後者の場合は、口腔内のトラブル(歯周病、口内炎、異物など)が疑われます。口の中を確認するか、動物病院で診てもらいましょう。

食欲不振の対処法【原因別】

食欲不振の原因がわかったら、それぞれに合った対処法を実践しましょう。

病気が疑われる場合

病気の可能性がある場合は、自己判断せずにすぐ動物病院を受診してください。動物病院では以下のような検査が行われます。

  • 血液検査(CBC、生化学検査)

  • レントゲン検査

  • 超音波検査

  • 内視鏡検査(必要に応じて)

早期発見・早期治療が愛犬の命を救うことにつながります。「様子を見よう」と思わず、不安を感じたらすぐに専門家に相談しましょう。

わがまま・偏食の場合

わがままが原因の場合は、飼い主の一貫した対応が鍵となります。

15分ルールを実践する:

  1. いつもの時間にドッグフードを与える

  2. 15分経っても食べなければ、お皿を片付ける

  3. 次の食事時間まで、おやつも含めて何も与えない

  4. 次の食事時間に再度フードを与える

このルールを守ることで、「今食べないと何ももらえない」と犬が学習していきます。最初は可哀想に感じるかもしれませんが、健康な成犬なら1〜2食抜いても問題ありません。

ただし、以下の場合は15分ルールを適用しないでください:

  • 子犬(低血糖のリスク)

  • シニア犬

  • 持病がある犬

  • 体調が悪そうな場合

シニア犬の場合

シニア犬の食欲不振には、若い犬とは違ったアプローチが必要です。

フードを食べやすく工夫する:

  • ドライフードをぬるま湯でふやかす

  • ウェットフード🛒に切り替える、または混ぜる

  • 少量ずつ複数回に分けて与える

環境を整える:

  • 食器の高さを調整(首を下げすぎないように)

  • 滑りにくいマットを敷く

  • 静かな場所で食事させる

GREEN DOGの手作りごはんレシピも、シニア犬の食欲を刺激する方法として参考になります。

ストレスの場合

ストレスが原因の食欲不振には、ストレスの元を取り除くか、犬が環境に慣れるのを待つ必要があります。

  • 環境の変化があった場合は、時間をかけて慣れさせる

  • スキンシップの時間を増やす

  • 安心できる場所(クレートなど)を用意する

  • 散歩や遊びでストレス発散させる

焦らず、愛犬のペースに合わせてあげることが大切です。

食欲を刺激する7つの工夫

ここでは、愛犬の食欲を刺激するための具体的な工夫を7つご紹介します。病気以外の原因で食欲が落ちている場合に試してみてください。

1. フードを温める

犬は嗅覚で食べ物を判断するため、温めて香りを強くすると食いつきが良くなることがあります。

温め方:

  • 電子レンジで10〜20秒(人肌程度に)

  • ぬるま湯をかける

  • フライパンで軽く炒める(香りが特に立つ)

※熱すぎると口の中を火傷するので、必ず温度を確認してから与えてください。

2. ふやかして食感を変える

ドライフードの硬さが苦手な犬や、水分摂取が少ない犬には効果的です。

  • 白湯でふやかす

  • 鶏肉や野菜の茹で汁を使う

  • 犬用の出汁(塩分無添加)を使う

ふやかすことで、食べやすくなるだけでなく水分補給にもなります。

3. トッピングを加える

いつものフードにトッピングを加えると、香りや味に変化が出て食欲を刺激できます。

おすすめのトッピング:

  • 茹でたささみ(低カロリー高タンパク)

  • チーズ(少量)

  • ヤギミルクや犬用ミルク🛒

  • 茹でた野菜(ブロッコリー、にんじんなど)

  • ヨーグルト(無糖・少量)

ただし、トッピングを加える場合は、ドッグフードの量を7〜8割に減らして栄養バランスを保ちましょう。

4. ウェットフードを混ぜる

ウェットフードは水分含有量が60〜80%と高く、香りも強いため、食欲を刺激しやすい特徴があります。

  • ドライフードに少量混ぜる

  • 完全にウェットフードに切り替える

  • 交互に与える

詳しくはウェットフードvsドライフード:メリット・デメリットをご参照ください。

5. フードを変えてみる

同じフード🛒に飽きている場合は、別のフードに切り替えることで食欲が戻ることがあります。

ただし、急に変えると消化不良を起こすことがあるため、1週間〜10日かけて徐々に切り替えましょう。

日数新しいフードの割合
1〜2日目25%
3〜4日目50%
5〜6日目75%
7日目以降100%

フード選びに迷ったら、ドライフード徹底比較:本当に良いフードとはも参考にしてください。

6. 適度な運動をさせる

運動不足だと胃腸の働きが鈍くなり、空腹感も生まれにくくなります。

  • 食事の1〜2時間前に散歩に行く

  • 室内で遊ぶ時間を作る

  • シニア犬は無理のない範囲でゆっくり歩く

適度な運動は食欲だけでなく、全身の健康維持にも欠かせません。

7. 食事環境の改善

食事をする環境が原因で食べないこともあります。

チェックポイント:

  • 静かな場所で食事させているか

  • 他のペットや家族の視線が気にならないか

  • 食器の高さは適切か(首を下げすぎない)

  • 食器が滑らないか

  • 明るすぎたり暗すぎたりしないか

些細なことですが、環境を整えるだけで食べるようになるケースもあります。

動物病院を受診すべきタイミング

食欲不振の多くは家庭での対処で改善しますが、以下のような場合は迷わず動物病院を受診しましょう。

すぐに受診が必要なケース

  • 3日以上食べない: 成犬でも3日以上の絶食は危険

  • 嘔吐・下痢を伴う: 脱水や栄養失調のリスク

  • 水も飲まない: 全身状態が悪い可能性

  • 子犬: 低血糖を起こしやすく、半日〜1日食べないだけで危険

  • シニア犬: 体力の回復が遅いため早めの対応が必要

  • 持病がある犬: 基礎疾患が悪化している可能性

動物病院での治療法

動物病院では、原因に応じた治療が行われます。PetMDの解説によると、以下のような治療法があります。

点滴・輸液: 脱水を防ぎ、電解質バランスを整えます。

食欲増進剤:

  • ミルタザピン(Mirtazapine)

  • カプロモレリン(Capromorelin/Entyce®)

  • シプロヘプタジン(Cyproheptadine)

吐き気止め:

  • マロピタント(Maropitant/Cerenia®)

吐き気が原因で食欲が落ちている場合に効果的です。

強制給餌: 2〜3日以上食べられない場合は、シリンジやチューブでの給餌が必要になることもあります。

食欲不振を予防するために

愛犬が食欲不振にならないよう、日頃から予防を心がけましょう。

規則正しい食事習慣

  • 毎日同じ時間に食事を与える

  • おやつ🛒の量は1日の摂取カロリーの10%以内に

  • 人間の食べ物は与えない

  • 食べなくてもすぐに別のものを与えない

定期的な健康診断

年に1〜2回は動物病院で健康診断を受けましょう。血液検査や身体検査で、病気の早期発見につながります。

愛犬の健康管理について詳しくは、犬の食事と栄養:正しいフード選びの科学もご覧ください。

ストレス管理

  • 毎日の散歩と運動

  • 十分なスキンシップ

  • 安心できる居場所の確保

  • 環境の急激な変化を避ける

愛犬の様子を日頃からよく観察し、小さな変化にも気づけるようにしておくことが大切です。

まとめ

犬がご飯を食べない原因は、病気、ストレス、わがまま、老化などさまざまです。大切なのは、原因を正しく見極めて適切に対処することです。

この記事のポイント:

  • 食欲不振の原因は主に6つ(病気、ストレス、わがまま、老化、夏バテ、フードへの飽き)

  • わがままと病気の見分け方を知っておく

  • 原因に応じた対処法を実践する

  • 3日以上食べない、他の症状があるなどの場合はすぐに動物病院へ

  • 予防のために規則正しい食事習慣と定期健診を

愛犬の「食べない」サインを見逃さず、健やかな毎日をサポートしてあげましょう。不安を感じたら、迷わず獣医師に相談することをおすすめします。

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