愛犬が石や靴下🛒、ビニール袋などを口に入れて飲み込んでしまう…。このような行動に悩んでいる飼い主さんは少なくありません。これは「異食症(Pica)」と呼ばれる行動障害で、放置すると腸閉塞など命に関わる危険があります。
この記事では、犬の問題行動の中でも特に危険な異食症について、原因から治療法、予防策まで詳しく解説します。PetMDの獣医師監修記事によると、異食症は適切な対策で管理可能な症状です。愛犬の命を守るために、正しい知識を身につけましょう。
異食症(Pica)とは?犬が食べ物以外を食べる理由
異食症(Pica)とは、犬が食べ物ではないものを継続的に食べてしまう行動障害です。AKC(アメリカンケネルクラブ)では、「栄養価のないものを強迫的に摂取する行動」と定義されています。

犬が好んで食べてしまうもの
異食症の犬がよく口にするものには以下があります:
布類:靴下、タオル、下着、ぬいぐるみ🛒
石・砂利:散歩中に拾い食いすることが多い
プラスチック製品:おもちゃ🛒の破片、ペットボトルのキャップ
紙類:ティッシュ、段ボール、新聞紙
その他:木片、金属片、糞便(食糞症)
特に飼い主の匂いがついた靴下や下着を好む傾向があり、これは飼い主への愛着や分離不安と関連していることがあります。

単なる好奇心との違い
子犬が何でも口に入れるのは正常な探索行動です。しかし、異食症は以下の点で異なります:
成犬になっても継続する
同じものを繰り返し食べる
飲み込むまでやめられない強迫的な行動
罰を与えても改善しない
Oregon Humane Societyによると、異食症はラブラドール🛒・レトリバーやビーグルなど、食欲旺盛な犬種に多く見られる傾向があります。
異食症の原因:医学的要因と行動学的要因
異食症の原因は大きく「医学的要因」と「行動学的要因」に分けられます。適切な治療のためには、まず原因を特定することが重要です。
医学的要因
栄養🛒欠乏
鉄分や亜鉛などのミネラル不足は、異食症の原因として知られています。栄養バランスの偏った食事を与えていると、犬は本能的に土や石を食べて不足を補おうとすることがあります。
消化器疾患
炎症性腸疾患(IBD)や膵炎などの消化器疾患があると、栄養吸収が妨げられ、異食行動につながることがあります。次郎丸動物病院の解説によると、消化管の問題が異物摂取の引き金になるケースは少なくありません。
薬の副作用
ステロイド剤(プレドニゾンなど)や抗てんかん薬(フェノバルビタール)は食欲を異常に増進させ、異食症を引き起こすことがあります。
行動学的要因
ストレス・不安🛒・退屈
犬はストレスや不安を感じると、異常な行動で気を紛らわせようとします。特に運動不足や精神的な刺激が足りない犬は、退屈しのぎとして異食行動に走りやすくなります。
分離不安
分離不安を抱える犬は、飼い主🛒の不在中に強い不安を感じ、その対処法として異物を食べてしまうことがあります。特に飼い主の匂いがついた衣類を好んで食べる傾向があります。
注目を引くための行動
異物を口にしたときに飼い主が慌てて反応すると、犬は「これをすれば注目してもらえる」と学習します。こうして異食行動が強化されてしまうケースもあります。
腸閉塞の危険:異食症が命に関わる理由
異食症の最大の危険は「腸閉塞」です。飲み込んだ異物が消化管に詰まり、命に関わる緊急事態を引き起こします。
腸閉塞とは
腸閉塞とは、異物が胃や腸に詰まって内容物が通過できなくなる状態です。PETTENAの記事によると、特に5mm以上の石や大量の砂を飲み込んだ場合、腸閉塞のリスクが高まります。
靴下・布類の危険性
靴下やタオル🛒などの布類は特に危険です。消化されないまま腸内で絡まり、「ひも状異物」として複雑な閉塞を引き起こすことがあります。ひも状異物が胃から小腸にかけて詰まると、小腸全体に広範な損傷が生じ、非常に危険な状態になります。
石を飲み込んだ場合
石は消化されないため、以下のリスクがあります:
胃や腸の内壁を傷つける
腸管を塞いで閉塞を起こす
複数の石が蓄積して重症化
腸閉塞の症状
以下の症状が見られたら、すぐに動物病院🛒を受診してください:
| 症状 | 詳細 |
|---|---|
| 嘔吐 | 繰り返し吐く、食べてもすぐ吐く |
| 食欲不振 | 全く食べなくなる |
| 腹痛 | お腹を触ると痛がる、丸まって動かない |
| 排便困難 | ウンチが出ない、または下痢 |
| 元気消失 | ぐったりして動かない |
| 腹部膨満 | お腹が張っている |
Greater St. Louis Veterinary Specialistsでは、腸閉塞を放置すると腸壊死や腹膜炎、敗血症に進行し、命に関わると警告しています。
治療費の目安
腸閉塞の手術が必要になった場合の費用:
手術費用:5〜6万円程度
入院費用:1日あたり約1万円
検査費用:レントゲン、血液検査など別途
早期発見・早期治療であれば回復の可能性は高い🛒ですが、腸壊死や腹膜炎を起こした場合は命に関わることもあります。
愛犬が異物を食べた!緊急時の対処法
愛犬が異物を飲み込んだ可能性がある場合、正しい対処が命を救います。
絶対にやってはいけないこと
以下の行為は状況を悪化させる可能性があります:
❌ 無理に吐かせる:尖ったものや大きなものは食道を傷つける
❌ 塩水を飲ませる:塩中毒の危険
❌ オキシドールを飲ませる:胃を傷つける可能性
❌ 牛乳を飲ませる:効果がないばかりか下痢の原因に
❌ 体を激しく動かす:異物が移動して状況が悪化
正しい対処法
落ち着いて状況を確認
- 何を、どのくらいの量、いつ食べたか - 現在の症状(嘔吐、元気消失など)
すぐに動物病院🛒に連絡
- 上記の情報を伝える - 獣医師の指示に従う
診察と検査
- レントゲン検査で異物の位置を確認 - 必要に応じてエコー検査 - 血液検査で全身状態を評価
治療方針の決定
- 経過観察(小さな異物で症状がない場合) - 催吐処置(飲み込んで間もない場合) - 内視鏡による摘出 - 開腹手術
早期に対処すれば、多くの場合は回復します。「様子を見よう」と放置することが最も危険です。
異食症を直すトレーニング:行動療法と予防策
異食症の改善には、適切なトレーニング🛒と環境管理が欠かせません。GREEN DOGのトレーニングガイドを参考に、効果的な方法を紹介します。
「Leave It(離せ)」コマンドの教え方
異物を口に入れる前に止めるための重要なコマンドです。
手におやつを握り、犬に見せる
犬が興味を示したら「Leave It」と言う
犬が手から離れたら、別の手からご褒美を与える
徐々に難易度を上げる(床に置く、屋外で練習など)
「Drop It(出せ)」コマンドのトレーニング
すでに口に入れてしまった場合に備えて:
犬が好きなおもちゃ🛒で遊ぶ
より魅力的なおやつを見せながら「Drop It」と言う
おもちゃを離したらおやつを与える
日常的に練習して確実に身につける
信頼関係を築くトレーニングの基本として、罰ではなく褒めることで学習させましょう。
アテンション・トレーニング
散歩中に地面ではなく飼い主に注目させる練習:
アイコンタクトができたらご褒美
名前を呼んで振り向いたら褒める
リードを緩めた状態で歩く練習
環境管理による予防
室内での対策
靴下や小物は犬の届かない場所に収納
ゴミ箱はフタ付きのものを使用
留守番時はクレート🛒を活用
散歩中の対策
リードを短めに持つ
ヘッドカラー(ジェントルリーダーなど)の装着
バスケット🛒型マズルの活用(食べることを物理的に防ぐ)
破壊行動を止める方法と同様に、「問題行動を起こさせない環境づくり」が重要です。
不安・ストレス軽減で異食症を改善する方法
行動学的な原因による異食症は、根本的なストレスや不安を軽減することで改善が期待できます。
十分な運動と精神的刺激
退屈は異食症の大きな原因です。以下を心がけましょう:
毎日の散歩:犬種に合った運動量を確保
遊びの時間:フェッチ、引っ張りっこなど
嗅覚を使う活動:ノーズワーク、宝探しゲーム
知育玩具の活用
口を使いたい欲求を安全に満たす方法:
コング🛒:中にフードやペーストを詰める
知育パズル:頭を使って食べ物を取り出す
長持ちするガム:安全な素材のもの選ぶ
フェロモン製品とサプリメント
不安軽減に効果的な製品:
Adaptil:犬用フェロモンディフューザー
カーミングサプリメント🛒:L-テアニン、トリプトファン配合
圧迫ベスト:サンダーシャツなど
薬物療法
重度の不安や強迫性障害が原因の場合、獣医師の処方により以下の薬が使われることがあります:
抗不安薬
選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)
三環系抗うつ薬
薬物療法は必ず獣医師の指導のもとで行い、行動療法と併用することが推奨されます。
専門家への相談
以下の場合は、獣医行動学者(行動専門の獣医師)への相談を検討してください:
まとめ:異食症は管理できる
異食症は放置すると命に関わる危険な行動障害ですが、適切な対策で管理することは可能です。
改善の三本柱
環境管理:異物へのアクセスを遮断
トレーニング🛒:Leave It、Drop Itコマンドの習得
医学的ケア:原因疾患の治療、必要に応じて薬物療法
飼い主として大切なこと
異食症は「しつけ🛒ができていない」のではなく、医学的・心理的な問題
罰を与えても改善しない、むしろ悪化することも
早期発見・早期介入が重要
一人で抱え込まず、獣医師や専門家に相談
異食症は生涯にわたって管理が必要なケースもありますが、愛犬との信頼関係を築きながら、根気強く取り組むことで改善は可能です。
犬の問題行動全般に言えることですが、愛犬の行動には必ず理由があります。その原因を理解し、適切なサポートを提供することが、飼い主としての大切な役割です。愛犬の命と健康を守るために、今日から対策を始めましょう。






