愛犬の健康を守るために、飼い主として絶対に知っておきたいのが「犬に触れさせてはいけない危険物」です。犬と暮らす家づくりでは安全対策が重要ですが、具体的にどのようなものが危険なのか、詳しく解説していきます。
食べ物の危険物リスト
犬が食べてはいけないものについて、獣医師監修の情報をもとに、危険度の高い食品から順にご紹介します。

チョコレート・ココア【危険度:★★★★★】
チョコレートに含まれるテオブロミンという成分は、犬にとって致命的な毒物です。犬の毒物リストによれば、以下のような症状を引き起こします。
中毒症状:
興奮・落ち着きのなさ
嘔吐・下痢
頻脈(心臓の鼓動が速くなる)
筋肉の震え
痙攣
最悪の場合は死亡

| 危険な量: | 犬の体重 | ミルクチョコレート |
|---|---|---|
| ダークチョコレート | 5kg | 約50g |
| 約15g | 10kg | 約100g |
| 約30g | 20kg | 約200g |
| 約60g |
ダークチョコレートやココアパウダーは特にテオブロミン含有量が多く、少量でも危険です。
ぶどう・レーズン【危険度:★★★★★】
ぶどうとレーズンは、犬に腎臓障害を引き起こす危険な食品です。少量でも中毒を起こす可能性があり、個体差が大きいため、どの程度の量で症状が出るか予測できません。
中毒症状(摂取後2〜3時間以内):
嘔吐
下痢
食欲不振
元気消失
腹痛
重症化すると(24〜72時間後):
尿量の減少または無尿
急性腎不全
死亡
犬の誤食と中毒の症状では、ぶどう数粒でも中毒を起こした例が報告されています。
たまねぎ・ねぎ類【危険度:★★★★★】
たまねぎ、長ネギ、にら、にんにくなどのネギ類には、アリルプロピルジスルファイドという成分が含まれており、犬の赤血球を破壊します。
中毒症状:
溶血性貧血(赤血球が壊れる)
貧血による元気消失
呼吸困難
血尿(赤色または茶色の尿)
黄疸(歯ぐきや白目が黄色くなる)
生のままはもちろん、加熱調理しても毒性は残るため、ハンバーグやすき焼きの残りなども与えてはいけません。
キシリトール含有食品【危険度:★★★★★】
キシリトール入りのガムや菓子、歯磨き粉は、犬に低血糖と肝不全を引き起こします。
中毒症状(摂取後30分〜1時間):
嘔吐
歩行困難
虚脱
痙攣
昏睡
危険な量: 体重1kgあたり0.1g以上のキシリトール摂取で中毒症状が現れます。キシリトールガム1粒(約0.5g)で5kgの犬が中毒を起こす可能性があります。
その他の危険な食べ物
以下の食品も犬には有害です。
| 食品 | 危険度 | 主な症状 |
|---|---|---|
| アボカド | ★★★★ | 嘔吐、下痢、呼吸困難 |
| マカダミアナッツ | ★★★★ | 嘔吐、運動失調、震え |
| カフェイン | ★★★★ | 興奮、頻脈、痙攣 |
| アルコール | ★★★★★ | 昏睡、呼吸困難、死亡 |
| 生の魚介類 | ★★★ | ビタミンB1欠乏症 |
| 生卵の白身 | ★★ | ビオチン欠乏症 |
薬品・化学物質
犬の誤飲・誤食時のチェック項目によれば、家庭内の薬品類は特に注意が必要です。
人間用の医薬品【危険度:★★★★★】
人間用の薬は犬には量が多すぎたり、成分が有害だったりします。人間用薬の誤飲では、以下の薬が特に危険とされています。
特に危険な医薬品:
解熱鎮痛剤(アセトアミノフェン、イブプロフェン):肝臓・腎臓障害
降圧剤:血圧低下、ショック
睡眠薬・抗不安薬:中枢神経抑制
風邪薬(総合感冒薬):多成分による複合的な中毒
たった1錠でも命に関わることがあるため、薬の保管には細心の注意が必要です。
洗剤・漂白剤【危険度:★★★★】
犬や猫が中毒事故に陥りやすい危険物として、洗剤類が挙げられています。
危険な洗剤類:
塩素系漂白剤
トイレ用洗剤
洗濯用洗剤(特にジェルボール型)
食器用洗剤(濃縮タイプ)
カビ取り剤
中毒症状:
口内・食道の炎症
嘔吐
よだれ
呼吸困難
ジェルボール型洗剤は、カラフルでおもちゃのように見えるため、犬が誤って噛んでしまうケースが多発しています。
殺虫剤・除草剤【危険度:★★★★】
庭やベランダで使用する殺虫剤や除草剤も危険です。
蚊取り線香・殺虫スプレー:ピレスロイド系の成分が中毒を起こす
ゴキブリ駆除剤:ホウ酸による中毒
ナメクジ駆除剤:メタアルデヒドによる神経症状
除草剤:ヒ素系やフェノール系の毒性
有毒植物
犬が食べると危険な植物一覧によれば、観葉植物や庭の植物にも注意が必要です。
室内植物【危険度:★★★★】
猛毒の観葉植物:
| 植物名 | 有毒部位 | 主な症状 |
|---|---|---|
| ポインセチア | 全草 | 嘔吐、下痢、皮膚炎 |
| スズラン | 全草(特に根) | 心臓の異常、不整脈 |
| アロエ | 葉の皮 | 下痢、嘔吐 |
| アイビー | 葉・茎 | 口内炎、嘔吐、下痢 |
| ディフェンバキア | 全草 | 口内の激痛、嘔吐 |
| モンステラ | 全草 | 口内炎、嘔吐 |
庭の植物【危険度:★★★★】
屋外の危険植物:
アジサイ:呼吸困難、痙攣
チューリップ(特に球根):嘔吐、下痢、心臓障害
スイセン:嘔吐、下痢、低血圧
ユリ科の植物:腎臓障害(特に猫に危険)
シャクナゲ・ツツジ:嘔吐、下痢、低血圧
犬を迎える前の部屋づくりでは、有毒植物の撤去が必須項目です。
家庭用品
タバコ・ニコチン【危険度:★★★★★】
タバコに含まれるニコチンは、犬にとって猛毒です。
危険な量: 体重1kgあたり10mg以上のニコチンで致死的。タバコ1本に約10〜25mgのニコチンが含まれているため、小型犬なら1本でも危険です。
中毒症状(摂取後15分〜1時間):
よだれが大量に出る
嘔吐
下痢
呼吸が速くなる
興奮
震え
痙攣
心停止
吸い殻の入った灰皿の水や、ニコチンガムも同様に危険です。
ボタン電池【危険度:★★★★★】
愛犬が誤飲したらによれば、ボタン電池は飲み込むと体内で化学反応を起こし、組織を溶かします。
危険性:
食道や胃の壁に張り付く
電流が流れて組織を腐食
重金属の溶出
緊急性:★★★★★ すぐに動物病院へ!自宅で様子を見るのは絶対にNGです。
乾燥剤【危険度:★★★】
お菓子や海苔に入っている乾燥剤も誤飲の対象になります。
種類と危険度:
シリカゲル:比較的無害だが、大量摂取で嘔吐や下痢
生石灰:水と反応して発熱、口内や消化管のやけど
金属類
銅【危険度:★★★】
銅製の容器や10円玉を飲み込むと、銅中毒を起こします。
中毒症状:
嘔吐
下痢
肝硬変
黄疸
亜鉛【危険度:★★★★】
亜鉛メッキされた金属製品(ボルト、ナットなど)を飲み込むと、亜鉛中毒を起こします。
中毒症状:
溶血性貧血
肝臓・腎臓障害
血尿
中毒症状の見分け方
犬の中毒リストによれば、以下のような症状が見られたら中毒を疑いましょう。
早期症状(摂取後30分〜2時間):
よだれを大量に垂らす
吐き気・嘔吐
下痢
食欲不振
元気がない
進行した症状:
ふらつき、歩行困難
震え、痙攣
呼吸が速い・苦しそう
意識がもうろうとしている
ぐったりしている
重症のサイン:
血尿・血便
黄疸(歯ぐきや白目が黄色)
昏睡状態
呼吸停止
誤飲・誤食時の対処法
当院で多い6つの誤飲の情報を参考に、正しい対処法をご紹介します。
やってはいけないこと
以下の対処は絶対にNGです:
❌ 無理に吐かせようとする 誤った方法で嘔吐を誘発すると、かえって危険です。
❌ 水や牛乳を飲ませる 成分が吸収されやすくなる場合があります。
❌ 塩を舐めさせる 塩分中毒を起こす恐れがあります。
❌ 様子を見る 症状が出てからでは手遅れの場合があります。
正しい対処法
何を食べたか・飲んだかを確認
- 商品名、成分表をメモ - パッケージや容器を持参
いつ、どのくらいの量を摂取したかを把握
- 時間が経過するほど吸収が進む
すぐに動物病院に連絡
- 電話で状況を説明 - 指示に従う
緊急受診
- 摂取後1〜2時間以内なら催吐処置(吐かせる治療)が可能 - 時間が経過している場合は、点滴や解毒剤投与
催吐処置が危険なケース
以下の場合は吐かせてはいけません:
腐食性物質(漂白剤、強酸・強アルカリ)を飲んだ場合
石油製品を飲んだ場合
鋭利なものを飲み込んだ場合
すでに意識がもうろうとしている場合
予防策
犬の誤飲・誤食の予防として、以下の対策を実施しましょう。
保管場所の工夫
高い場所に保管
- 犬が届かない高さの棚 - 鍵付きの戸棚
密閉容器の使用
- チャイルドロック付き容器 - しっかり閉まるケース
床に物を置かない
- 小物類は引き出しへ - 使用後はすぐに片付ける
環境整備
有毒植物の撤去
- 観葉植物を見直す - 庭の植物を確認
ゴミ箱の管理
- 蓋付きゴミ箱を使用 - キッチンゲートで隔離
ケージやサークルの活用
- 留守番時は安全なエリアに - 多頭飼いの住環境でも重要
しつけと習慣
「ダメ」「離せ」のコマンド訓練
- 拾い食い防止 - 口に入れたものを出させる
散歩中の拾い食い防止
- リードを短く持つ - 拾い食い防止用のマスクも検討
家族全員で意識を共有
- 子供にも危険物を教える - 来客時の注意喚起
まとめ
犬に触れさせてはいけない危険物は、私たちの生活の身近なところに数多く存在します。完全に排除するのは難しいかもしれませんが、以下の基本を守りましょう:
危険物の知識を持つ:この記事で紹介したリストを確認
手の届かない場所に保管:高さと鍵で二重に守る
誤飲・誤食時は即座に受診:様子を見ずにすぐ病院へ
予防が最善の策:環境整備としつけの両面から対策
万が一の事態に備えて、かかりつけの動物病院の連絡先と、夜間・休日対応の救急病院の情報も控えておきましょう。
引っ越し時のストレス軽減や防災対策においても、これらの危険物管理は重要な要素です。
愛犬の安全は飼い主の責任です。日頃から注意を払い、安全な環境を維持していきましょう。
よくある質問(FAQ)
チョコレートを少量舐めただけでも病院に行くべき?
はい、すぐに動物病院に連絡してください。チョコレートの種類と犬の体重によって危険度が異なりますが、少量でも中毒を起こす可能性があります。特にダークチョコレートやココアパウダーはテオブロミン含有量が多く危険です。摂取してから1〜2時間以内であれば催吐処置(吐かせる治療)が有効なため、早急な対応が重要です。自己判断せず、必ず獣医師の指示を仰ぎましょう。
ぶどうは何粒くらいから危険なのか?
残念ながら、安全な量は存在しません。ぶどう・レーズンによる中毒は個体差が非常に大きく、数粒で重篤な腎臓障害を起こすケースもあれば、比較的多く食べても症状が出ない犬もいます。しかし、どの程度で症状が出るか予測できないため、どんな少量でも危険と考えるべきです。誤食した場合は、量に関わらずすぐに動物病院を受診してください。
人間用の薬を1錠だけなら大丈夫?
絶対にNGです。人間用の薬は犬の体には強すぎるため、たった1錠でも命に関わります。特に解熱鎮痛剤(バファリン、ロキソニンなど)、睡眠薬、抗不安薬は危険度が高く、肝臓や腎臓に深刻なダメージを与えます。「痛そうだから」「熱があるから」と飼い主の判断で人間用の薬を与えるのは厳禁です。必ず動物病院で犬用の薬を処方してもらいましょう。
有毒植物を置いている部屋に犬を入れても大丈夫?
できるだけ避けるべきです。犬は好奇心旺盛で、飼い主が見ていない隙に植物を齧ることがあります。特に子犬や若い犬は何でも口に入れる傾向が強いため、有毒植物は完全に撤去するか、犬が絶対に入れない部屋に移動させましょう。どうしても植物を置きたい場合は、犬に無害な種類を選ぶか、高い棚の上など犬が絶対に届かない場所に配置してください。
誤飲から何時間以内なら催吐処置ができる?
一般的に摂取後1〜2時間以内であれば、催吐処置(吐かせる治療)が有効とされています。時間が経過すると、有害物質が胃から腸へ移動し、体内に吸収されてしまうため、催吐の効果が薄れます。ただし、漂白剤や強酸・強アルカリなどの腐食性物質、石油製品、鋭利なものを飲み込んだ場合は催吐禁忌(吐かせてはいけない)です。誤飲に気づいたら、何を飲み込んだかを確認し、すぐに動物病院に連絡して指示を仰ぎましょう。自己判断での催吐は危険です。






