夏の暑い日、愛犬が突然ぐったりと倒れ、激しくあえぎ始めたら、それは熱中症の可能性があります。犬の熱中症は死亡率が約50%に達する非常に危険な緊急事態であり、適切な応急処置🛒を知っているかどうかが、愛犬の命を左右します。この記事では、熱中症で倒れた犬を救うための正しい応急処置と、絶対にやってはいけない間違った対応を詳しく解説します。
犬の熱中症:死亡率50%の緊急事態
犬の熱中症は、多くの飼い主が考えているよりもはるかに深刻な状態です。SBIプリズムペット保険の獣医師監修記事によれば、動物病院での熱中症の死亡率は約50%にのぼり、死亡例の多くは受診後24時間以内に亡くなっています。

さらに衝撃的なのは、熱中症は数分で突然死を引き起こす可能性があるということです。日本気象協会の調査では、犬の飼い主の24.3%が「愛犬が熱中症にかかったことがある」と回答しており、決して他人事ではありません。
熱中症が発生した場所として、「日中の散歩中」が44.3%と最も多いものの、「室内で過ごしている時」も29.1%を占めています。つまり、外出時だけでなく、自宅にいる時も油断できないのです。
熱中症の症状:段階別の見分け方
熱中症の症状は、軽度から重度まで段階的に進行します。楽天ペット保険🛒の獣医師監修記事では、以下のように症状が分類されています。

初期症状(軽度)
激しいパンティング(口を大きく開けてハァハァする)
大量のよだれ
落ち着きのなさ、ウロウロする
歯茎や舌が赤くなる
心拍数の増加
中期症状(中度)
ぐったりして動かない
嘔吐、下痢
目の充血
筋肉の震え
フラフラとした歩行
重度症状(重篤)
意識の混濁、反応が鈍い
痙攣、発作
歯茎や舌が紫色(チアノーゼ)
虚脱、倒れて動けない
失禁、血便
これらの症状のうち、中期以降の症状が見られた場合は、すぐに応急処置🛒を開始し、同時に動物病院へ連絡する必要があります。
危険な体温ライン:40℃超で緊急事態
犬の正常体温は、小型犬で38.6~39.2℃、大型犬で37.5~38.6℃程度です。アニコム損保の獣医師によれば、体温が一定レベルを超えると、段階的に危険性が高まります。
| 体温 | 状態 | リスク |
|---|---|---|
| 40℃超 | 危険な状態 | 細胞損傷が始まる |
| 40.5℃超 | 高体温状態 | 臓器機能への影響 |
| 41℃超 | 重篤な高体温 | 不可逆的な細胞ダメージ |
| 42℃超 | 極めて危険 | 多臓器不全、死の危険 |
体温が41℃を超えると、細胞が元に戻れないほどのダメージを受け、複数の臓器が機能不全に陥る多臓器不全で死亡する可能性が高まります。そのため、体温が40℃を超えた時点で、一刻も早く冷却処置を開始することが重要です。
「Cool First, Transport Second」:冷やしてから搬送
熱中症の応急処置で最も重要な原則は、Cornell大学獣医学部が推奨する「Cool First🛒, Transport Second(まず冷やす、次に搬送)」です。
研究によれば、動物病院へ搬送する前に即座に冷却処置を開始することで、犬の生存率が50%から80%に向上することが明らかになっています。つまり、「すぐに病院へ連れて行こう」と焦って車に乗せる前に、その場で冷却を開始することが、愛犬の命を救う鍵なのです。
正しい冷却手順
日陰か涼しい場所へ移動 - 直射日光を避け、風通しの良い場所へ
室温の水で体を濡らす - 全身を湿らせる(氷水は使わない)
扇風機🛒やうちわで送風 - 濡れた体に風を当てて蒸発冷却を促進
大きな血管がある部位を重点的に冷やす - 首、脇の下、内股(鼠径部)
濡れタオルを背中に乗せる - タオルで覆わず、背中に乗せるだけ
体温を定期的に測定 - 目標は102.5~103°F(約39~39.4℃)
PetMDの獣医師は、体温が39℃程度まで下がったら、それ以上の冷却は停止し、すぐに動物病院へ搬送することを推奨しています。
絶対にやってはいけない5つの間違い
善意から行った行為が、かえって愛犬の状態を悪化させることがあります。AKC(アメリカンケネルクラブ)の獣医専門家は、以下の行為を絶対にしないよう警告しています。
1. 氷や氷水を使う 氷や氷水で急激に冷やすと、皮膚の血管が収縮し、体内の熱が逃げにくくなります。さらに、体温が急降下して低体温症やショック状態を引き起こす危険があります。
2. 濡れタオル🛒で体全体を覆う 濡れタオルで犬の体を包んでしまうと、タオルが断熱材のように働き、体温がこもってしまいます。タオルは背中に乗せる程度に留め、風が当たるようにしましょう。
3. 無理やり水を飲ませる 意識が朦朧としている犬に無理に水を飲ませると、誤嚥性肺炎を引き起こす危険があります。犬が自分で飲めない場合は、口の周りを湿らせる程度にとどめましょう。
4. アルコールで拭く アルコールは蒸発が早いため冷却効果があると思われがちですが、犬が舐めてアルコール中毒を起こす危険があります。また、皮膚への刺激も強いため使用は避けましょう。
5. 冷却を中断して急いで搬送 「一刻も早く病院へ」という気持ちはわかりますが、冷却を開始せずに搬送すると、車内でさらに体温が上昇する可能性があります。まず冷やし、冷却を続けながら搬送することが重要です。
車内での応急処置:移動中も冷却を継続
動物病院への搬送中も、冷却処置を継続することが重要です。SBIペット少額短期保険の獣医師監修記事では、以下の方法が推奨されています。
車内での冷却方法
エアコンを最大限に効かせる
濡れタオルを犬の背中に乗せる
耳や肉球を濡らし、そこに風を当てる
可能であれば、同乗者が扇風機🛒(USB充電式)で送風
水を入れたスプレーボトルで定期的に体を湿らせる
搬送中も定期的に犬の状態を確認し、呼吸や意識レベルの変化に注意を払いましょう。もし呼吸が止まったり、完全に意識を失ったりした場合は、可能であれば心肺蘇生(CPR)を開始しながら、最寄りの動物病院へ急ぎます。
動物病院での治療:集中的な管理が必要
動物病院では、熱中症の重症度に応じて、以下のような集中治療が行われます。Today's Veterinary Practiceの獣医救急専門医による解説では、治療の詳細が紹介されています。
1. 継続的な冷却
体温が39℃程度まで下がるまで冷却を継続
低体温症を防ぐため、慎重にモニタリング
2. 輸液療法
静脈点滴による脱水の改善
血圧の維持
腎臓への血流改善
3. 酸素療法
酸素マスクや酸素室での酸素供給
呼吸困難の緩和
4. 臓器機能のモニタリング
血液検査で腎機能、肝機能、凝固機能をチェック
心電図で不整脈の確認
尿検査で腎臓の損傷を評価
5. 対症療法
制吐剤(嘔吐がある場合)
抗痙攣薬(痙攣がある場合)
胃腸保護剤(消化管出血の予防)
重症例では、数日間の入院が必要になり、24時間体制でのモニタリングと治療が行われます。特に多臓器不全に進行した場合、集中治療室(ICU)での管理が不可欠です。
熱中症になりやすい犬種と個体
すべての犬が熱中症のリスクを持っていますが、特に以下の犬種や個体は高リスクです。
高リスクの犬種
短頭種:パグ、フレンチブルドッグ、ボストンテリア、ペキニーズ
被毛が厚い犬種:ハスキー、サモエド、ゴールデン🛒レトリバー
大型犬:セントバーナード、ニューファンドランド、グレートピレニーズ
黒い被毛の犬:熱を吸収しやすい
高リスクの個体
肥満の犬
高齢犬
心臓病や呼吸器疾患のある犬
過去に熱中症になったことがある犬
子犬(体温調節機能が未熟)
短頭種は、鼻が短く気道が狭いため、パンティングによる体温調節が苦手です。そのため、他の犬種よりも熱中症になりやすく、重症化しやすい傾向があります。
予防が最善の対策:熱中症を防ぐ7つのルール
熱中症は予防可能な疾患です。以下のルールを守ることで、愛犬を熱中症から守ることができます。
1. 暑い時間帯の散歩を避ける
夏場は早朝(6時前)か夜(20時以降)に散歩
アスファルトの温度を手で確認(5秒間触れられないなら中止)
2. 室内の温度管理
エアコンで室温を26℃前後に保つ
留守番時も必ずエアコンをつける
除湿機能も活用
3. 十分な水分補給
新鮮な水をいつでも飲めるようにする
複数の場所に水入れを設置
外出時は携帯用水筒を持参
4. 車内に放置しない
たとえ数分でも車内に残さない
窓を開けていても車内温度は急上昇
5. 冷却グッズの活用
クールマット、冷却ベスト
凍らせたペットボトルをタオルで包んで設置
濡らして使う冷却バンダナ🛒
6. 運動量の調整
暑い日は激しい運動を控える
泳ぎやプール遊びで適度に涼む
日陰で休憩時間を十分に取る
7. 高リスク犬への特別配慮
短頭種や高齢犬は特に注意
少しでも症状が出たらすぐに冷却開始
これらの予防策を日常的に実践することで、熱中症のリスクを大幅に減らすことができます。
犬の熱中症は、死亡率50%という非常に危険な緊急事態ですが、「Cool First, Transport Second」の原則に従って即座に冷却処置を開始すれば、生存率を80%まで高めることができます。氷水の使用や濡れタオルで覆うなどの間違った対応を避け、室温の水と扇風機による蒸発冷却を行いながら、動物病院へ搬送しましょう。日頃から予防を心がけ、万が一の時には正しい応急処置で、愛犬の命を守りましょう。






