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犬の緊急事態:応急処置と命を守る知識

緊急時の動物病院への連絡:伝えるべき情報と効果的な症状説明

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愛犬が突然の体調不良や事故に見舞われた時、動物病院🛒への連絡は飼い主にとって最初の重要なステップです。しかし、パニック状態では必要な情報を正確に伝えることが難しくなります。夜間救急医療を利用する場合は、必ず電話連絡の上でお越しください。連絡なしにいきなり行っても受付してもらえません。本記事では、緊急時に動物病院へ電話する際に伝えるべき情報、効果的な症状説明の方法、そして電話トリアージの仕組みについて、獣医師監修のもと詳しく解説します。

緊急時の電話連絡が重要な理由

事前連絡が必須の理由

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動物病院、特に夜間救急動物病院では、事前の電話連絡が必須となっています。これにはいくつかの重要な理由があります:

病院側の準備

  • 緊急処置に必要な器材や薬剤の準備

  • スタッフの配置調整

  • 手術室や入院設備の確保

  • 専門医への連絡(必要な場合)

効率的な診療

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  • 到着時にすぐ処置を開始できる

  • 待ち時間の短縮

  • 他の救急患者との調整

  • 適切な医療リソースの配分

飼い主への情報提供

  • 来院の必要性の判断

  • 応急処置のアドバイス

  • 持参すべき物品の指示

  • 到着までの注意事項

スタッフが病状や兆候を確認して緊急度を推察し、状態によって診療の順番が前後するシステムになっているため、電話での情報提供が診療の質を大きく左右します。

電話トリアージの仕組み

トリアージとは トリアージ(triage)とは、フランス語で「選別」を意味し、医療現場では患者の緊急度や重症度に応じて治療の優先順位を決定するプロセスです。人間の救急医療で広く実践されているこのシステムは、動物医療でも導入されています。

電話トリアージの目的

  1. 生命の危機を早期に発見:即座の処置が必要なケースを識別

  2. 医療資源の最適配分:限られたスタッフと設備を効果的に活用

  3. 不要な来院の抑制:自宅で経過観察可能なケースを判断

  4. 飼い主の不安軽減:専門家からのアドバイスで冷静な判断を支援

緊急度の分類例

  • レベル1(緊急):生命に関わる状態、即座の処置が必要

  • レベル2(準緊急):数時間以内の処置が望ましい

  • レベル3(非緊急):翌日の通常診療で対応可能

電話連絡時に伝えるべき基本情報

1. 飼い主と犬の基本情報

飼い主情報

  • 氏名(フルネーム)

  • 電話番号🛒(連絡がつく番号)

  • 現在地(自宅か外出先か)

  • かかりつけ動物病院の名前(ある場合)

犬の基本情報 個体情報(年齢、性別、予防歴、既往歴、現在の症状)や、使用中の薬剤名などが必要です:

  • 名前

  • 犬種:正確な犬種名(雑種の場合は体格を伝える)

  • 年齢:生年月日または◯歳◯ヶ月

  • 性別:オス・メス、去勢・避妊手術の有無

  • 体重:最近測定した体重(およその数値でも可)

  • 体格:小型犬・中型犬・大型犬

2. 現在の症状(最重要)

症状の説明は、具体的かつ客観的に伝えることが重要です。

症状説明のポイント:6W1H

  1. What(何が):どんな症状が出ているか

  2. When(いつ):症状が始まった時刻

  3. Where(どこで):症状が出た場所(体の部位)

  4. Who(誰が):誰が最初に気づいたか

  5. Why(なぜ):思い当たる原因

  6. How(どのように):症状の経過や変化

  7. How much(どの程度):症状の強さ・頻度

良い症状説明の例 ❌ 悪い例:「元気がありません」 ✅ 良い例:「今朝6時頃から急にぐったりして、立ち上がろうとしません。呼びかけても反応が鈍く、食事も水も口にしていません」

❌ 悪い例:「吐きました」 ✅ 良い例:「昨晩10時から今朝までに5回嘔吐しました。最初は食べ物でしたが、今は黄色い液体だけです。嘔吐後もぐったりしています」

3. バイタルサイン(可能な範囲で)

可能であれば、以下の情報を測定して伝えます:

体温

  • 正常値:37.5~39.0℃

  • 測定方法:体温計🛒を直腸に挿入(約1~2cm)

  • 伝え方:「38.5℃です」または「測定できませんでしたが、耳や肉球が熱く感じます」

心拍数・脈拍

  • 正常値:小型犬100~140回/分、大型犬60~100回/分

  • 測定方法:内股の付け根の動脈を触診

  • 伝え方:「15秒で30回でした(120回/分)」

呼吸数

  • 正常値:安静時10~30回/分

  • 測定方法:胸の上下運動を1分間カウント

  • 伝え方:「1分間に60回で、口を開けて苦しそうです」

粘膜の色

  • 正常:ピンク色

  • 異常:白い(貧血・ショック)、青紫(チアノーゼ)、黄色(黄疸)

  • 伝え方:「歯茎が真っ白です」

意識レベル

  • 正常:名前を呼ぶと反応する

  • 異常:呼びかけに反応しない、けいれんしている

  • 伝え方:「呼んでも反応がなく、目が虚ろです」

症状別の効果的な説明方法

嘔吐・下痢の場合

伝えるべき詳細情報

  • 回数と頻度:「過去6時間で3回」

  • 内容物の性状:

- 嘔吐物:未消化の食べ物、黄色い液体(胆汁)、血液、異物 - 下痢便:水様、粘液状、血便、黒色便

  • 量:「手のひら大の量」「ティースプーン1杯程度」

  • におい:「腐敗臭がする」「血生臭い」

  • その他の症状:腹痛(お腹を触ると鳴く)、食欲不振

症状によっては、新鮮な便(半日以内)、嘔吐物または写真、新鮮な尿(半日以内)、けいれんや異常行動の動画などがあると診断に役立ちます。

例文 「今朝6時から3回嘔吐しています。最初は昨晩のドッグフードでしたが、2回目以降は黄色い液体です。嘔吐物に血は混じっていません。嘔吐後もムカムカしているようで、水も飲みたがりません。下痢はまだありませんが、お腹がキュルキュル鳴っています」

呼吸困難・咳の場合

伝えるべき詳細情報

  • 呼吸の様子:速い、浅い、苦しそう、口を開けている

  • 呼吸数:「1分間に60回」

  • 咳の種類:乾いた咳、湿った咳、ゲーゲーする

  • 咳の頻度:「5分おき」「一晩中続いている」

  • 粘膜の色:舌や歯茎の色

  • その他:泡を吹く、鼻水、チアノーゼ

例文 「2時間前から呼吸が荒く、口を開けてハァハァしています。呼吸数は1分間に50回以上で、舌がやや青っぽく見えます。横になれず、座った姿勢を保っています。咳はありませんが、時々泡のような唾液を垂らします」

けいれん・発作の場合

伝えるべき詳細情報

  • 発作の持続時間:「約2分間」

  • 発作の様子:全身けいれん、部分的なけいれん、意識の有無

  • 発作前の様子:前兆(ふらつき、よだれ、鳴くなど)

  • 発作後の様子:意識が戻るまでの時間、混乱状態

  • 過去の発作歴:初めてか、何回目か

  • 発作中の尿や便の失禁

  • 動画撮影:可能であれば発作の様子を動画で記録

例文 「10分前に突然倒れて、全身をバタバタさせてけいれんしました。約2分間続き、その間意識はなく、尿を漏らしました。今は意識が戻りましたが、ふらふらして歩けません。けいれんは今回が初めてです。動画を撮影しましたので、見ていただけます」

外傷・出血の場合

伝えるべき詳細情報

  • 受傷の経緯:交通事故、落下、咬傷など

  • 受傷時刻:「30分前」

  • 外傷の部位:「右前足」「頭部」

  • 出血の程度:「タオル🛒がすぐ真っ赤になる」「じわじわ染み出る程度」

  • 骨折の疑い:変形、触ると激痛

  • 意識状態:しっかりしているか、朦朧としているか

例文 「1時間前に車にはねられました。右前足から出血していて、清潔なタオルで圧迫していますが、まだ血が止まりません。足を地面につけられず、引きずっています。意識ははっきりしていて、呼びかけに反応します。呼吸は少し速いですが、粘膜の色は正常です」

中毒の疑いがある場合

伝えるべき詳細情報

  • 摂取した物質:食品名、薬品名、植物名など

  • 摂取量:「チョコレート板1枚」「タマネギ中1個分」

  • 摂取時刻:「2時間前」

  • 現在の症状:嘔吐、下痢、よだれ、ふらつきなど

  • パッケージや現物:できれば持参または写真撮影

例文 「3時間前に留守中、テーブル上のチョコレート菓子(約100g)を食べてしまいました。ミルク🛒チョコレートです。今のところ元気で嘔吐はありませんが、落ち着きがなく、うろうろしています。体重は5kgです。パッケージを持参します」

既往歴と現在の治療情報

過去の病歴

伝えるべき情報

  • 慢性疾患:心臓病、腎臓病、糖尿病、てんかんなど

  • 過去の手術歴:去勢・避妊手術、腫瘍摘出など

  • アレルギー:薬物アレルギー、食物アレルギー

  • 過去の同様症状:今回と似た症状の既往

重要性 既往歴は診断と治療方針の決定に大きく影響します。特に慢性疾患がある場合、使用できる薬剤や麻酔方法が制限されることがあります。

現在服用中の薬

伝えるべき情報

  • 薬剤名:正式な薬品名(わからなければ「心臓の薬」などでも可)

  • 用量:「1日2回、1回1錠」

  • 服用期間:「2年前から」

  • 最後の服用時刻:「今朝6時」

薬の持参 可能であれば、服用中の薬や薬の空き袋を持参すると確実です。

ワクチン接種歴

伝えるべき情報

  • 最終接種日:「今年の4月」

  • 接種種類:混合ワクチン(5種、8種など)、狂犬病ワクチン

  • 副作用の有無:過去にワクチンで体調不良があったか

ワクチン証明書 ワクチン接種証明書があれば持参してください。

フィラリア・ノミダニ予防

伝えるべき情報

  • 予防薬の種類:「ネクスガード」「レボリューション」など

  • 最終投与日:「先月15日」

  • 定期的に予防しているか

電話連絡時の注意点とコツ

落ち着いて話すためのテクニック

事前準備

  1. メモの準備:伝えたい情報をリストアップ

  2. 時計の確認:症状が始まった時刻を確認

  3. 深呼吸:電話をかける前に3回深呼吸

  4. 静かな場所:犬の鳴き声や周囲の音が少ない場所から電話

話し方のコツ

  • ゆっくり話す:早口になりがちなので意識的にゆっくりと

  • 簡潔に:長々と説明せず、ポイントを押さえて

  • 質問を待つ:病院スタッフからの質問に答える形でも良い

  • メモを取る:指示内容を書き留める

よくある質問への回答準備

病院スタッフから聞かれる可能性の高い質問:

  1. 「いつから症状が出ていますか?」

  2. 「食欲はありますか?」

  3. 「水は飲んでいますか?」

  4. 「排尿・排便は正常ですか?」

  5. 「何か食べてはいけないものを食べた可能性はありますか?」

  6. 「普段と違う行動はありますか?」

  7. 「持病や飲んでいる薬はありますか?」

  8. 「どのくらいで来院できますか?」

指示内容の確認

電話で受けた指示は、必ず復唱して確認しましょう:

確認すべき内容

  • 来院の必要性:「すぐ来院」「数時間様子を見る」「翌日でも可」

  • 応急処置の方法:具体的な手順

  • 持参すべき物:検査結果、薬、便や尿のサンプルなど

  • 到着までの注意事項:「食事を与えない」「保温する」など

  • 到着予定時刻:「30分後に到着します」

復唱の例 「確認させてください。すぐに来院して、その間食事と水は与えず、嘔吐物があればビニール袋に入れて持参するということですね。約30分後に到着予定です」

来院前の準備事項

持参すべき物のチェックリスト

必須アイテム

  • ☑ 飼い主の身分証明書

  • ☑ ペット保険証(加入している場合)

  • ☑ 診察券(かかりつけ病院がある場合)

  • ワクチン接種証明書

  • ☑ お薬手帳または現在服用中の薬

  • ☑ 現金またはクレジットカード

症状に応じた追加アイテム

  • ☑ 嘔吐物・便・尿のサンプル(ビニール袋に入れて)

  • ☑ 摂取した物質(中毒の場合)

  • ☑ 過去の検査結果や診療記録

  • ☑ 症状の動画や写真

  • タオル🛒やシーツ(汚れ防止用)

搬送準備

安全な搬送方法

  • キャリーケースまたはクレート🛒

  • 毛布で包んで安定させる

  • 車内では後部座席の床に置く

  • 同乗者がいれば、犬の状態を観察してもらう

搬送時の注意

  • 急ブレーキ・急カーブを避ける

  • 適温を保つ(暖房・冷房)

  • 嘔吐に備えてビニール袋を用意

夜間・休日の緊急連絡先

事前登録のすすめ

登録すべき連絡先

  1. かかりつけ動物病院

- 診療時間内の電話番号 - 時間外の緊急連絡先(留守電で案内されることも)

  1. 夜間救急動物病院

- 24時間対応の救急病院 - 自宅から30分圏内の施設を2~3ヶ所リストアップ

  1. 動物医療相談サービス

- Anicli24(アニクリ24)など、獣医師による24時間電話相談サービス - 来院の必要性を判断するアドバイスを受けられる

  1. ペット保険会社

- 保険加入者向けの相談ダイヤル

情報の管理方法

おすすめの準備

  • スマートフォンの連絡先に「緊急-動物病院」として登録

  • 冷蔵庫や玄関など目立つ場所に連絡先リストを貼る

  • 車内にも連絡先メモを常備

  • 家族全員で情報を共有

電話相談の判断基準

迷ったら電話すべき症状

緊急の状態かどうかって、プロでも見分けにくいので、一般の飼い主さんが判断することはかなり難しいです。以下のような症状がある場合は、迷わず電話相談してください:

すぐに電話すべき緊急症状

数時間以内に相談すべき症状

  • 継続する嘔吐・下痢(特に血液混入)

  • 食欲廃絶が24時間以上

  • 排尿困難(特にオス犬)

  • 腹部膨満

  • 歩行困難

  • 目の異常(充血、腫れ、痛み)

翌日の診療時間内で対応可能な症状

  • 軽度の食欲不振(元気はある)

  • 軽い軟便(1~2回程度)

  • 軽度の皮膚のかゆみ

  • 軽い咳やくしゃみ(呼吸困難なし)

キャンセルの連絡も忘れずに

ペットの容体が安定して病院に行く必要がなくなった場合は、必ずキャンセルの電話をして下さい。病院は緊急患者の受け入れ準備をしているため、キャンセル🛒の連絡は他の患者のためにも重要です。

まとめ:効果的なコミュニケーションが救命につながる

緊急時の動物病院への電話連絡は、愛犬の命を救うための最初の重要なステップです。

この記事の重要ポイント

  1. 夜間救急は事前の電話連絡が必須

  2. 基本情報と現在の症状を具体的に伝える

  3. バイタルサインを可能な範囲で測定

  4. 既往歴と現在の治療情報を整理

  5. 症状の動画や写真があれば撮影

  6. 落ち着いて、指示内容を復唱確認

  7. 持参物を準備して安全に搬送

日頃からの準備が大切

緊急時に冷静に対応できるよう、この記事の内容を家族全員で共有し、定期的に見直しておきましょう。電話口で症状を説明していただいて、獣医師や看護師に相談できますので、迷ったら遠慮せず電話してください。

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