わんケアガイドわんケアガイド
犬の緊急事態:応急処置と命を守る知識

犬のショック症状:サインの見分け方

犬のショック症状:サインの見分け方の画像

愛犬がぐったりして動かない、呼吸が浅い、歯茎が真っ白...これらはショック状態の兆候かもしれません。ショックは命に関わる緊急事態で、適切な対応をしないと数分~数時間で死に至ることもあります。この記事では、犬のショック状態の見分け方、4つのショックの種類、緊急時の応急処置🛒、そして動物病院での治療まで、獣医師の見解をもとに詳しく解説します。

ショックとは:命を脅かす循環不全

ショックとは、単に「驚いた」という意味ではなく、医学的には「全身の組織への酸素供給が著しく低下した状態」を指します。Petwellの獣医師によれば、犬のショック状態は以下のように定義されます。

犬のショック症状:サインの見分け方の画像2

ショックの医学的定義

  • 急激な血圧低下

  • 全身への血液循環の不全

  • 組織への酸素供給の著しい低下

  • 多臓器不全のリスク

PetMDの獣医師は、「ショックは適切に治療しなければ、数分から数時間で死に至る」と警告しています。時間との戦いであり、早期発見と迅速な対応が命を救う鍵となります。

ショック状態の主な症状:見逃してはいけないサイン

犬のショック症状:サインの見分け方の画像

ショック状態の犬には、特徴的な症状が現れます。わんちゃんホンポの獣医師監修記事では、以下の症状が挙げられています。

循環器系の症状

  • 歯茎が蒼白(白色、灰色、または青紫色)

  • 毛細血管再充満時間の延長(歯茎を押して色が戻るまで2秒以上)

  • 脈が弱い、または触れにくい🛒

  • 心拍数が異常に速い(160回/分以上)または遅い

呼吸器系の症状

  • 呼吸が浅く速い

  • 呼吸が荒い、ゼーゼーという音

  • 口を開けてあえぐ

神経系の症状

  • ぐったりしている、反応が鈍い

  • 意識が朦朧としている

  • 異常な興奮状態

  • 痙攣、失神

体温の変化

  • 低体温(37.8℃以下)

  • または高体温(39.7℃以上)

  • 四肢が冷たい

これらの症状が複数見られる場合、ショック状態の可能性が高く、緊急受診が必要です。

4つのショックの種類と原因

犬のショックは、原因によって4つのタイプに分類されます。VEGの獣医師による分類は以下の通りです。

ショックの種類主な原因特徴
循環血液量減少性ショック外傷、内臓破裂、大量出血、脱水最も一般的
心原性ショック心不全、不整脈、心筋症心臓機能の低下
敗血症性ショック重度の感染症、腹膜炎細菌毒素による
アナフィラキシーショックアレルギー反応、虫刺され、薬物急激に発症

循環血液量減少性ショック 交通事故、高所からの落下、内臓損傷などで大量出血した場合に発生します。また、激しい嘔吐や下痢による脱水でも起こります。

心原性ショック 心臓病が進行し、心臓のポンプ機能が低下すると、全身に十分な血液を送れなくなります。高齢犬や心臓病の既往歴がある犬に多く見られます。

敗血症性ショック 子宮蓄膿症、腹膜炎、重度の肺炎などで、細菌が血液中に入り込み、全身に広がることで発生します。

アナフィラキシーショック ワクチン接種後、ハチに刺された後、特定の食べ物や薬物に対するアレルギー🛒反応で、数分以内に急激に発症することがあります。

歯茎の色でショックを見分ける方法

歯茎の色は、ショック状態を見分ける最も重要な指標の一つです。Fountain Valley Emergency Pet Hospitalの獣医師による詳細な解説は以下の通りです。

正常な歯茎の色

  • 健康なピンク色

  • 湿っている

  • 毛細血管再充満時間:1-2秒

ショック時の歯茎の色

  • 蒼白(白色、灰色)→ 貧血、出血

  • 青紫色(チアノーゼ)→ 酸素不足

  • 赤すぎる、鮮紅色 → 敗血症、高体温

  • 黄色 → 肝障害、溶血

毛細血管再充満時間の測定方法

  1. 犬の上唇を優しくめくる

  2. 歯茎を指で2秒間押す

  3. 指を離す

  4. 色が戻るまでの時間を測る

  5. 2秒以上かかる場合はショックの疑い

この簡単なテストは、自宅でもできる重要なチェック方法です。

応急処置:動物病院に行くまでにできること

ショックが疑われる場合、すぐに動物病院へ連絡し、搬送の準備をします。その間にできる応急処置があります。

応急処置の手順

  1. 動物病院へ連絡

- まず電話で状況を伝える - 到着予定時間を知らせる - 移動中の注意点を聞く

  1. 保温

- 毛布やタオルで体を包む - ただし過度の加温は避ける - 体温が低い場合は湯たんぽ🛒(タオルで包む)

  1. 安静

- 犬を動かさない - 頭を心臓より低くする(脳への血流確保) - 出血がある場合は圧迫止血

  1. 気道確保

- 嘔吐物で窒息しないよう横向きに寝かせる - 首輪やハーネス🛒を緩める

  1. 搬送

- 平らな板やタオルを担架代わりに - 揺らさないよう慎重に運ぶ - 可能であれば2人で協力

絶対にやってはいけないこと

  • 無理に水や食べ物を与える

  • 激しく揺さぶる

  • 長時間様子を見る

  • 自己判断で薬を与える

動物病院での治療:集中的な救命処置

動物病院では、ショックの重症度と原因に応じて、以下のような治療が行われます。

1. 初期評価と安定化

  • バイタルサイン測定(心拍、呼吸、体温、血圧)

  • 血液検査(貧血、凝固機能、電解質)

  • 画像検査(レントゲン、エコー)

2. 輸液療法

  • 大量の静脈点滴で血液循環を改善

  • 電解質バランスの補正

  • 血圧の維持

3. 酸素療法

  • 酸素マスクまたは酸素室

  • 組織への酸素供給を増やす

4. 原因の治療

  • 出血:止血、輸血

  • 感染症:抗生物質

  • アレルギー:抗ヒスタミン薬、ステロイド

  • 心不全:強心剤

5. モニタリング

重症例では、集中治療室(ICU)での24時間体制の管理が必要になります。

ショックの予後:早期治療が鍵

ショックの予後は、原因、重症度、治療開始までの時間によって大きく異なります。

予後を左右する要因

  • 治療開始までの時間:早いほど良好

  • ショックの原因:原因を取り除けるかどうか

  • 年齢と基礎疾患:若く健康な犬ほど回復しやすい

  • 多臓器不全の有無:進行していると予後不良

一般的に、ショック発症から1時間以内に適切な治療を開始できれば、生存率は大幅に向上します。逆に、数時間放置すると、不可逆的な臓器損傷が進行し、治療しても回復が困難になります。

ショックを防ぐ:日常的な予防策

すべてのショックを予防することはできませんが、リスクを減らすことは可能です。

事故予防

  • 交通事故:リード🛒を短く持つ、道路に飛び出させない

  • 高所からの落下:ベランダにネット、窓の開けすぎ注意

  • 喧嘩:他の犬との接触を慎重に

健康管理

  • 定期的な健康診断

  • 心臓病の早期発見と治療

  • 適切なワクチン接種

  • 寄生虫予防

アレルギー対策

  • 過去にアレルギー反応があった食べ物や薬を避ける

  • ワクチン接種後30分は病院で様子を見る

  • 虫刺されに注意(ハチ、ムカデなど)

感染症予防

  • 子宮蓄膿症:避妊手術の検討

  • 歯周病:定期的な歯磨き、歯科検診

  • 早期の病気治療

愛犬がぐったりしている、歯茎が蒼白、呼吸が浅いなどの症状が見られたら、ショック状態の可能性があります。4つのショック分類(循環血液量減少性、心原性、敗血症性、アナフィラキシー)を理解し、毛細血管再充満時間を確認しましょう。応急処置として保温と安静を保ち、すぐに動物病院へ搬送してください。ショックは治療せずに放置すると数分~数時間で死亡する危険があるため、迅速な行動が命を救います。

関連記事