愛犬の被毛がパサパサしている、皮膚がカサついている、フケが多い──こうした症状は、食事の栄養バランスが原因かもしれません。犬の皮膚と被毛の健康は、毎日の食事から摂取するタンパク質、脂肪酸、ビタミン、ミネラルに大きく左右されます。
この記事では、犬の皮膚に良い栄養素(オメガ3・オメガ6、亜鉛、ビタミン類)、それらを含む食材、サプリメント🛒の選び方と使い方、ドッグフードの選び方まで、獣医師の視点から詳しく解説します。
犬の皮膚に必要な栄養素とその役割
犬の皮膚と被毛を健康に保つには、複数の栄養素がバランス良く必要です(参考:ペットの食事学・栄養素)。

タンパク質:皮膚と被毛の材料
タンパク質は、皮膚と被毛を構成する主要な材料です。食事から摂取したタンパク質の約30%が皮膚や被毛を作る材料になるといわれています(参考:犬の皮膚にいい食事とは)。
犬の皮膚は約21日周期でターンオーバー(新陳代謝)を繰り返すため、常に良質なタンパク質を供給することが重要です。
オメガ3・オメガ6脂肪酸:炎症抑制と皮膚バリア

オメガ3脂肪酸(EPA、DHA、α-リノレン酸)は、皮膚の炎症を抑える働きがあり、アトピー性皮膚炎や慢性的な痒みの軽減に効果的です。
一方、オメガ6脂肪酸(リノール酸、アラキドン酸)は、皮膚の角質バリア機能を維持し、被毛の質を向上させます。
ただし、オメガ6脂肪酸は炎症を促進する働きもあるため、オメガ6:オメガ3の比率を5~10:1に保つことが推奨されています(参考:オメガ3脂肪酸で犬の皮膚を健康に)。
ビタミン類:皮膚代謝とコラーゲン合成
ビタミンA:皮膚の代謝と皮脂分泌を調整し、乾燥を防ぎます。
ビタミンB群:被毛の質を向上させ、フケを減少させます。
ビタミンC:コラーゲン🛒合成に必要で、皮膚の弾力性を保ちます。
ビタミンE:抗酸化作用により、皮膚細胞の老化を防ぎます。
ミネラル:亜鉛と銅
亜鉛は、タンパク質の合成と細胞の生まれ変わりに深く関与しており、皮膚の健康に不可欠です。亜鉛が不足すると、皮膚疾患、脱毛、免疫低下などの症状が現れます(参考:亜鉛と丈夫な皮膚)。
銅もコラーゲンやメラニンの生成に必要で、被毛の色艶を保つ役割があります。
タンパク質の必要量と質
成犬は体重1kgあたり1.3~2.8gのタンパク質を必要とします。AAFCO(米国飼料検査官協会)によると、成犬維持用フードでは最低18%、子犬用フード🛒では最低22.5%のタンパク質が必要とされています。
良質なタンパク質源
鶏肉:低脂肪で消化しやすく、必須アミノ酸が豊富
牛肉:鉄分や亜鉛が多く含まれ、皮膚の健康をサポート
魚類(サーモン、サバ、イワシ):オメガ3脂肪酸とタンパク質の両方を摂取できる
卵:アミノ酸スコアが高く、ビタミンAやビオチンも豊富
ただし、食物アレルギーがある場合は、原因となるタンパク質源を避ける必要があります。
オメガ3脂肪酸の効果とサプリメント
オメガ3脂肪酸は、犬にとって体内で合成できない必須脂肪酸です。皮膚炎症の抑制効果が科学的に実証されています。
オメガ3脂肪酸の効果
ある研究では、オメガ3脂肪酸を12週間サプリメント🛒することで、痒みや被毛の状態、生活の質が改善され、アトピー性皮膚炎の治療薬の減量につながったと報告されています(参考:オメガ3と犬の毛艶)。
ただし、効果が現れるまでに2ヶ月以上かかること、投与を中止すると効果が徐々に失われることに注意が必要です。
オメガ3脂肪酸を含む食材
魚油(サーモンオイル、ニシン油):EPA・DHAが豊富
亜麻仁油:α-リノレン酸が豊富だが、犬はEPA・DHAへの変換効率が低い
青魚(サバ、イワシ、サンマ):生ではなく加熱して与える
魚油サプリメントを選ぶ際は、酸化防止のためビタミンEが添加されたものを選びましょう。
ビタミンとミネラルを含む食材
ビタミンA豊富な食材
レバー(鶏、牛):ビタミンAが極めて豊富だが、過剰摂取に注意
ニンジン:β-カロテンとして摂取、体内でビタミンAに変換
カボチャ:食物繊維も豊富で消化をサポート
ビタミンB群豊富な食材
豚肉:ビタミンB1が豊富
レバー:ビタミンB2、B6、B12が豊富
納豆:ビタミンB2とビオチンが含まれる
亜鉛豊富な食材
牛肉(肩ロース):100gあたり3.5~6.4gの亜鉛
牡蠣:非常に高濃度の亜鉛を含むが、与えすぎに注意
卵黄:適度な亜鉛とタンパク質
皮膚に良い栄養素の比較表
| 栄養素 | 主な効果 | 推奨食材 | 欠乏症状 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| タンパク質 | 皮膚・被毛の材料 | 鶏肉、牛肉、魚、卵 | 被毛の質低下、脱毛、皮膚の脆弱化 | 成犬1.3~2.8g/kg体重 |
| オメガ3脂肪酸 | 炎症抑制、痒み軽減 | サーモンオイル、青魚 | 被毛のパサつき、皮膚炎悪化 | オメガ6とのバランス5~10:1 |
| オメガ6脂肪酸 | 角質バリア機能維持 | 鶏脂、植物油 | 被毛の質低下、皮膚乾燥 | 過剰摂取で炎症促進 |
| ビタミンA | 皮膚代謝・皮脂調整 | レバー、ニンジン | 皮膚の乾燥、角質化 | 過剰摂取で中毒の恐れ |
| ビタミンB群 | 被毛質向上、フケ減少 | 豚肉、レバー、納豆 | 皮膚炎、脱毛、フケ増加 | 水溶性で過剰摂取リスク低 |
| ビタミンE | 抗酸化作用 | ナッツ類、植物油 | 皮膚の老化促進 | 脂質と一緒に摂取 |
| 亜鉛 | 細胞再生、免疫強化 | 牛肉、卵黄 | 皮膚疾患、脱毛、免疫低下 | カルシウムと拮抗作用 |
サプリメントの選び方と使い方
皮膚トラブルがある犬には、食事だけでは不足しがちな栄養素をサプリメント🛒で補うことが有効です。
オメガ3脂肪酸サプリメント
魚油サプリメント:EPA・DHAを直接摂取できるため、犬に最適
投与量の目安:体重10kgあたり1000mg程度(製品の指示に従う)
投与期間:最低2~3ヶ月継続して効果を判定
亜鉛サプリメント
亜鉛の推奨量:体重1kgあたり約0.9~1.8mg
注意点:過剰摂取は銅の吸収を阻害するため、獣医師に相談
複合サプリメント
皮膚サポート用の複合サプリメントには、オメガ3、ビタミンE、亜鉛、ビオチンなどがバランス良く配合されています。
ドッグフードの選び方
皮膚に良いドッグフードを選ぶ際のポイントは以下の通りです。
高品質なタンパク質源
第一原材料が肉類または魚類のフード🛒を選びます。副産物や穀物が主原料のフードは避けましょう。
オメガ3・オメガ6のバランス
成分表示で、オメガ6とオメガ3の比率が5~10:1であることを確認します。
無添加・低アレルゲン
人工着色料、保存料、香料が含まれていないものを選びます。食物アレルギーがある場合は、加水分解タンパク質フードや単一タンパク質源フードを検討してください。
皮膚サポート専用療法食
アトピー性皮膚炎や慢性皮膚炎の犬には、獣医師の指導のもと、皮膚サポート専用の療法食を使用することも選択肢です。
手作り食での注意点
手作り食で皮膚の健康をサポートする場合、以下の点に注意してください。
栄養バランスの確保
タンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルのバランスを取ることが難しいため、栄養学の知識が必要です。
カルシウムとリンのバランス
肉類だけではカルシウムが不足し、リンが過剰になります。カルシウムサプリメントや骨ごと食べられる小魚を加えましょう。
加熱調理
生肉・生魚には寄生虫や細菌のリスクがあるため、必ず加熱してから与えます。
よくある質問(FAQ)
Q1: オメガ3サプリメントはいつまで続けるべきですか?
A: 皮膚症状が改善しても、効果を維持するために継続的な投与が推奨されます。中止すると効果が失われます。
Q2: 人間用のサプリメントを犬に与えても大丈夫ですか?
A: 人間用サプリメントには犬に有害な成分が含まれている場合があるため、必ず犬用を使用してください。
Q3: 皮膚に良い食事に切り替えたらすぐに効果が出ますか?
A: 皮膚のターンオーバーは約21日周期のため、効果が実感できるまで最低1~2ヶ月はかかります。
Q4: 療法食と通常食の違いは何ですか?
A: 療法食は特定の疾患に対応した栄養バランスに調整されており、通常食よりも厳密に管理されています。獣医師の指導のもと使用します。
まとめ
犬の皮膚と被毛の健康には、タンパク質、オメガ3・オメガ6脂肪酸、ビタミン類、亜鉛などの栄養素がバランス良く必要です。
タンパク質は体重1kgあたり1.3~2.8g、オメガ6とオメガ3の比率は5~10:1が推奨されます。オメガ3脂肪酸サプリメントは、12週間の継続投与で痒みや被毛の状態が改善することが報告されていますが、効果が現れるまで2ヶ月以上かかります。
ドッグフード🛒選びでは、高品質なタンパク質源を第一原材料とし、オメガ脂肪酸のバランスが取れた製品を選びましょう。アレルギーや慢性皮膚炎がある場合は、獣医師と相談して療法食やサプリメントを活用することで、愛犬の皮膚の健康を守ることができます。






