愛犬が慢性的に体を掻いている、特定の食べ物を食べると下痢をする、目や耳の周りが赤い──こうした症状が続く場合、アレルギーが原因かもしれません。犬のアレルギー検査は、痒みや皮膚トラブルの原因物質を特定し、適切な治療と予防につなげる重要な診断ツールです。
この記事では、犬のアレルギー検査の種類(IgE検査、リンパ球反応検査、パッチテスト)、それぞれの特徴、検査の受け方、費用、準備と注意点まで、獣医師の視点から詳しく解説します。
なぜアレルギー検査が必要なのか
犬のアレルギーは、原因物質(アレルゲン)が体内に入ることで免疫系が過剰反応し、様々な症状を引き起こします。主な症状には、皮膚の痒み、赤み、脱毛、耳の炎症、消化器症状(下痢・嘔吐)などがあります(参考:犬のアレルギー検査について)。

アレルギー検査を行うことで、以下のメリットがあります。
原因物質の特定
環境アレルゲン(ハウスダスト、花粉、カビ)、食物アレルゲン(鶏肉、牛肉、小麦など)、接触アレルゲン(シャンプー🛒、植物)のうち、どれが原因かを明確にできます。
適切な治療法の選択

アレルゲンが特定されれば、除去食療法や減感作療法(アレルゲン免疫療法)などの根本的な治療が可能になります。
生活環境の改善
ハウスダストやカビが原因なら、掃除や換気の徹底、空気清浄機の導入など、環境改善によって症状を軽減できます。
IgE検査(血清アレルゲン特異的IgE抗体検査)
IgE検査は、血液中のIgE抗体がどのアレルゲンに反応するかを調べる検査で、主に環境アレルゲンを特定するために使用されます(参考:アレルギー検査の種類)。
IgE検査の特徴
対象:ハウス🛒ダスト、ダニ、花粉(スギ、ブタクサなど)、カビ、昆虫、動物の被毛など
アレルギータイプ:I型アレルギー(即時型アレルギー)
反応時間:アレルゲン接触後約15分程度で症状が出る
費用:約3万円前後
IgE検査は、アトピー性皮膚炎の診断に有効で、目の周りや口の周りの接触性アレルギーによる「赤み」や「痒み」の原因物質を特定するのに役立ちます。
IgE検査の限界
食物アレルギーに対しては、IgEが関与しないIV型アレルギー(遅延型アレルギー)もあるため、IgE検査だけでは食物アレルギーを正確に診断できないケースがあります(参考:間違いだらけのアレルギー検査)。
リンパ球反応検査
リンパ球反応検査は、リンパ球を介したアレルギー🛒反応を捉える検査で、主に食物アレルギーの診断に優れています。
リンパ球反応検査の特徴
対象:鶏肉、牛肉、豚肉、ラム肉、魚類、小麦、大豆、米、卵など食物アレルゲン
アレルギータイプ:IV型アレルギー(遅延型アレルギー、リンパ球介在型)
検査方法:血液からリンパ球を分離し、アレルゲンと混ぜて培養してリンパ球の増殖度を測定
費用:1.5~3万円程度
犬の食物アレルギーでは、IgEよりもリンパ球が関わる場合が約7割といわれており、リンパ球反応検査は従来のIgE検査よりも特異度が非常に高く、食物アレルギーの把握が的確に行えます(参考:リンパ球反応検査について)。
リンパ球反応検査のメリット
IgE検査では検出できなかった食物アレルギーを見つけることができ、除去食療法の精度が大幅に向上します。
パッチテスト(皮内反応試験)
パッチテストは、皮膚に直接アレルゲン物質を塗布し、接触性アレルギー反応が現れるかどうかを確認する検査です。
パッチテストの特徴
対象:シャンプー🛒成分、植物、金属、プラスチック、ゴムなど接触性アレルゲン
検査方法:アレルゲンを塗布したパッチを皮膚に貼り、48~72時間後に反応を観察
費用:5,000~10,000円
シャンプー後に必ず痒がる、特定の首輪やハーネスを付けると皮膚が赤くなるなど、接触性アレルギーが疑われる場合に有効です。
アレルギー検査の種類比較表
| 検査名 | 検査対象 | 主なアレルゲン | 検査方法 | 費用 | 特異度 |
|---|---|---|---|---|---|
| IgE検査 | 環境アレルゲン | ハウスダスト、ダニ、花粉、カビ、昆虫 | 血液検査 | 約3万円 | 環境:高<br>食物:低 |
| リンパ球反応検査 | 食物アレルゲン | 鶏肉、牛肉、小麦、大豆、魚類、卵 | 血液検査 | 1.5~3万円 | 食物:非常に高 |
| パッチテスト | 接触アレルゲン | シャンプー、植物、金属、ゴム | 皮内反応 | 5,000~1万円 | 接触:高 |
すべての検査を行う場合、合計で4万~7万円程度の費用がかかります(参考:アレルギー検査の費用)。
アレルギー検査の受け方と手順
アレルギー🛒検査を受ける際の一般的な流れは以下の通りです。
ステップ1:動物病院への相談
まず、かかりつけの動物病院で愛犬の症状を詳しく説明します。いつから症状が出ているか、食後すぐに痒がるのか、散歩後に痒がるのかなど、日頃の観察内容をメモしておくとスムーズです(参考:アレルギー検査の手順)。
ステップ2:検査の種類を決定
獣医師と相談し、症状に応じて適切な検査(IgE検査、リンパ球反応検査、パッチテスト)を選択します。
ステップ3:採血または皮膚パッチ
血液検査:前脚または後脚の静脈から数ml程度の血液を採取します。
パッチテスト:アレルゲンを塗布したパッチを皮膚に貼り、48~72時間後に反応を確認します。
ステップ4:検査機関への送付
採取した血液サンプルは専門の検査機関に送られ、1~2週間程度で結果が出ます。検査機関によって異なりますが、一度に40~100種類のアレルゲンを検査することが可能です。
ステップ5:結果説明と治療方針の決定
検査結果をもとに、獣医師が陽性反応を示したアレルゲンを説明し、除去食療法、環境改善、減感作療法などの治療方針を決定します。
検査前の準備と注意点
アレルギー検査を受ける前に、以下の点に注意してください。
ステロイド剤や免疫抑制剤の休薬
ステロイド剤や免疫抑制剤を服用している場合、アレルギー検査の結果に影響を及ぼすため、約1ヶ月の休薬が必要になります(参考:アレルギー検査の注意点)。
ただし、休薬すると症状が悪化する可能性もあるため、かかりつけの獣医師とよく相談してから決めましょう。
日頃の症状を記録
いつから症状が出ているか
どのような状況で症状が悪化するか(食後、散歩後、季節による変化など)
現在の食事内容(フード名、おやつの種類)
使用しているシャンプー🛒や首輪などのケア用品
これらの情報を事前にまとめておくことで、診察がスムーズに進みます。
費用と保険適用について
犬のアレルギー検査は、基本的にペット保険の適用外となるケースが多いです。なぜなら、アレルギー検査は「診断の補助」として位置付けられ、治療そのものではないためです。
ただし、一部のペット保険では補償される場合もあるため、加入している保険会社に事前に確認することをおすすめします。
費用の目安は以下の通りです。
IgE検査:約3万円
リンパ球反応検査:1.5~3万円
パッチテスト:5,000~1万円
初診料・再診料:1,000~2,000円
採血料:約1,000円
検査結果の見方と治療への活用
アレルギー検査の結果は、通常「陰性(-)」「疑陽性(±)」「陽性(+~+++)」などのレベルで示されます。
陽性反応が出た場合
陽性となったアレルゲンは、愛犬が反応しやすい物質です。以下の対策を行います。
食物アレルゲン:該当する食材を含まない除去食療法を開始(参考:食物アレルギー対策)
環境アレルゲン:掃除の徹底、空気清浄機の導入、寝具の定期洗濯
接触アレルゲン:該当するシャンプー🛒やケア用品の使用中止
減感作療法の検討
IgE検査で環境アレルゲンが陽性の場合、減感作療法(アレルゲン免疫療法)を検討できます。少量のアレルゲンを定期的に注射し、徐々に体を慣れさせていく治療法です。
よくある質問(FAQ)
Q1: すべてのアレルギー検査を受けるべきですか?
A: 症状に応じて必要な検査を選びます。慢性的な痒みがある場合はIgE検査、特定の食べ物で下痢をする場合はリンパ球反応検査、シャンプー後に赤くなる場合はパッチテストが推奨されます。
Q2: 検査結果が陰性でもアレルギーの可能性はありますか?
A: はい。検査は100%ではありません。臨床症状と合わせて総合的に判断する必要があります。
Q3: 子犬でもアレルギー🛒検査はできますか?
A: 生後6ヶ月以降であれば検査可能ですが、アレルギーは加齢とともに変化することもあるため、獣医師と相談してタイミングを決めましょう。
Q4: 一度検査すれば一生有効ですか?
A: いいえ。犬のアレルギーは年齢や生活環境の変化によって変わることがあるため、症状が変化した場合は再検査が必要です。
まとめ
犬のアレルギー検査には、IgE検査(環境アレルゲン特定)、リンパ球反応検査(食物アレルゲン特定)、パッチテスト(接触アレルゲン特定)の3種類があります。
IgE検査はアトピー性皮膚炎などの環境アレルギーに、リンパ球反応検査は食物アレルギーに特に有効で、特異度が高いことが特徴です。費用は全種類で4~7万円程度かかりますが、原因物質を特定することで、適切な除去療法や環境改善が可能になります。
検査前にはステロイド剤の休薬が必要な場合があるため、かかりつけの獣医師とよく相談してください。また、日頃の症状や食事内容を記録しておくことで、診察がスムーズに進みます。
アレルギーは皮膚トラブルの主要な原因の一つです。適切な検査と治療で、愛犬の快適な生活を取り戻しましょう。






